複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.132 )
- 日時: 2014/06/12 00:09
- 名前: 梶原明生 (ID: hwITajaP)
「ひめゆり自衛隊」…顔にはすでにドーランが塗っており、オリーブ色と黒色、茶色の肌の中にやたらと眼光だけがギラリと光っていた。他の神谷、佐藤の部隊は高地に陣取る日本軍兵士の合間を縫って110ミリ対戦車砲を構えた。「テーッ。」バシュッという音と共に槍型の弾頭が発射され、いくつもの白煙を描き、まるでストライプ模様のように地面を覆いつくした。そして見る見るうちに戦車軍は炎の残骸へと化していく。そうしてる間にも円ピで迫撃砲陣地や、ミニミ軽機関銃陣地を構築していく。「何だ、この攻撃は。今までの日本軍と違うぞ。あの爆音、銃声は日本軍のものじゃない。」そう叫んだのは第三騎兵中隊ジャック・ネルソン軍曹だった。彼は顔に銃剣で刺された生々しい傷跡を残す荒くれ者だ。「ジャック、おめーっいつもより目が怖いな。そこまでの目は初めてだ。嫌な予感だ。」同僚の軍曹がネルソン軍曹に叫んだ。「うるせー、下らねーこと言ってる暇があったらけが人の護送でも手伝ってろ。」彼はM1A1ガーランド小銃を構えながら叫んだ。…省略…一方その時、柄川三尉は巧みな擬装と潜入テクニックにより、米軍後方の野戦砲兵隊陣地にたどり着いていた。彼等の存在にまだ誰も気づいていない。「指揮官は我々が仕留めます。」増田二曹がレミントンM24狙撃銃を構えて無線で伝達した。「よし、では元村、宗末組は裏手に回れ。俺と高山組はここから攻撃するL字攻撃を行う。増田達が狙撃した後ここから一斉射撃する。こっちに引きつけられて増してや指揮官を失っては混乱するだろう。そこへ裏手の元村組が掃討する。わかったな。」「了解。」かくしてその作戦は実行された。「風速5メートル。三時の方向、距離300。…」双眼鏡を両手に持った吉川三曹が応える。茂みで二脚を立てて匍匐姿勢で構える増田二曹。一発、二発の銃弾が戦況を大きく変える。…続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.133 )
- 日時: 2014/06/13 18:43
- 名前: 梶原明生 (ID: D486Goe5)
「美幸へ」…翌日は文子さんが芋掘りのバイトのためにその幼稚園には行けない。美幸さんが一人、どこかへ出かけるのをついていくことにした。「どこへ行くんだろう。」少し心配になったが、すぐに答えが出た。近所の駄菓子屋さんだ。「ここか。自伝書にあった駄菓子屋さんは。」物影から彼女を見守る俺。「あらーっ、美幸ちゃん。来てたの。今日は何が欲しいの。」おばちゃんが快く声をかけてくる。そして賞味期限切れのお菓子を差し出す。「ありがとう。」「あれ、やっぱり美幸ちゃんはエラいねちゃんとありがとう言えるものね。」終始ニコニコして、彼女がお菓子を選んで持っていく姿をオバチャンは笑顔で見送っていた。走って喜んで帰る美幸さん。…先の駄菓子屋さんに寄ってみた。そこには昔懐かしい駄菓子がズラリと並んでいる。コーラアップ、コーラ餅、ベビースター、味カレー、お好み焼き屋さん、蒲焼き屋さん、ヨーグルトラムネ等々。…省略…美幸さんが草摘みしている。外に出て聞いてみた。美幸ちゃん、何してるんだい。」「あー、先生。食べれる草を摘んでるの。」「ふーん。どれが食べれる草か、よくわかるね。」「うん、お父ちゃんが教えてくれたんだ。これ食べられるよ。ピンクの花は美味しいから。」「え、…まぁ、ありがとう。」少し戸惑ったものの、一口食べてみた。「うん、甘いね。シャキシャキしていいよ。」野草も悪くないと思えた瞬間だった。
次回「特別なおやつ」に続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.134 )
- 日時: 2014/06/14 20:36
- 名前: 梶原明生 (ID: y.72PaHC)
「ひめゆり自衛隊」…「バカな、てっ、敵襲、10時の方向。」面食らった下士官が指示するも、遅かった。その茂みに向かって、M1A1ガーランド小銃やトンプソンサブマシンガン等を撃ち込むが、効果なく次々とコルトM4A1カービン、89式小銃、ミニミ軽機関銃の銃弾が歩兵の護衛隊と砲兵を撃ち抜く。そして、前に気を取られたために後ろから、元村一曹や宗末三曹等に突撃されてもほとんど反撃できずに次々と撃ち殺されてゆく。「ダダン、ダダン、ダダダダダン。」虚しくも銃声だけが彼等の耳を支配していた。柄川三尉達はバックパックから、セムテックスを取り出し、ダイヤルプッシュボタンみたいな時限設定ボタンを手慣れた早さで押し、ロングトム155ミリ加農砲一つ一つに取り付けた。「後1分で爆発する。総員撤収だ。茂みの中へと次々に走り去っていく特殊部隊。高山陸士長は遅れつつも何とか柄川三尉達に追いつこうとしていた。と、そんな時。半長靴が何かに当たって倒れかけた。「危なかった。あれっ、…」一瞬言葉を失った。当たったのは人の足だった。灰色っぽい黒い人影は、よく見ると年の頃はまだ25、26歳の若い女性で、髪は乱れ、汚れた着物にモンペ服姿。そして、膝を立てて半座りになっているその背中と腕には1歳にも満たない赤ちゃんと三歳位の子供が抱かれていた。恐らく戦火の中を逃げ惑って、この茂みに隠れていたのだろう。「君達は。…」不意にそう言って手を差し伸べようとすると米兵かと思ったのか、怖がって今にも逃げようとしていた。「違う、俺は米兵じゃない。見ろっ、日の丸だ。俺達は義烈空挺部隊の者だ。安心しろ。さぁ、君達を助けてあげる、俺と一緒に行こう。」ようやく信じたのか、無言のまま彼女は頷いた。そして高山陸士長の手を握り、やっとの思いで立ち上がった。…続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.135 )
- 日時: 2014/06/25 20:54
- 名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)
「美幸へ」…⑩「特別なおやつ」
スパーンッと快い音が朝の52島に響く。よく見ると美幸さんが斧で薪を割っているところだった。「うまいな、美幸ちゃん。薪割りが慣れてるね。」「うん、父ちゃんから教えてもらってたから。」再び薪割り作業に戻った。…省略…彼女は色とりどりの花を摘みはじめた。「美幸ちゃん、そんなに花摘んでどうするの。」「うん、幼稚園のお友達にあげるんだ。」「そうか、きっと喜ぶよ皆。」「うん。」目を輝かせながら言う美幸さんを少し不憫に思えた。やがて両手いっぱいの花を持っていつもの幼稚園に走っていった。…続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.136 )
- 日時: 2014/06/29 00:07
- 名前: 梶原明生 (ID: diY.t.1D)
「ひめゆり自衛隊」…「おい、高山陸士長何してるんだ。報告しろ。」無線で柄川三尉が性急にまくし立てる。「こちら高山。避難民の母子を保護しました。もうすぐそっちに着きます。」「バカッ、不要な現地人との接触は避けろと命令されているはずだ。忘れたか。」「だからって3、4才の子供と赤ちゃんを抱えた母親を見捨てろって言うんですか。」その言葉にさすがの柄川三尉も閉口した。かつてイラクで爆弾テロにあって死んでいった母子の死体を思い出していた。「わかった。でも急げよ。」「了解。」力強く答えた高山陸士長は、子供と母親を腕で抱えて早足になった。「たく、世話の焼ける武道家だぜ。」なんと、元村一曹が戻ってきて子供を抱えた。89式小銃折曲銃床型を負い紐で背中にまわして。「元村一曹、…どうして。」「おめーのその精神気に入ったからだ。弱き者を助く。それが俺達自衛隊の精神だ。」二人の会話に聞き取れる間もなく、母親の女性は泣いた。「ありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか。」「そんなことより、先ずは避難する事だ。さっ、もうすぐだ。頑張ろう。」高山陸士長はより早足になって本隊へと戻っていった。しかし、戦いはまだこれからが修羅場だった。沢田一尉の本隊と合流するまで後4日。…続く。
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