複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.47 )
- 日時: 2012/12/29 18:24
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「昔はな、満足な食料もなく朝晩までお国のために尽くして死んでいったんだ。それに比べて今の若い者なんざ、やりたい事やって何でも手に入るから甘すぎるんだ。けしからん。」美幸さんは近くでポカーンと口を開けて聞いていた。「そうでしょうか。」焼酎をゴチになりながらも俺は初めて逆らった。「何も文句が言えないからあの戦争に失敗したんじゃないですか。」「いっ。」久幸さんは話の鼻を折られて不可解そうな顔になった。「むしろ、今の若者の方が冷静な判断であの戦争を有利に運べたんじゃないでしょうか。もしそんなに昔の人が甘くなければ、あんなに犠牲者を出すことはなかったはずです。あらゆる人の意見を汲み上げなかった結果、無条件降伏させられた上に日本を守った軍人の方々は卑しめられ、国が国として機能せず、あまつさえ、自国の国防軍すら創れない。それで果たして甘くなかったと言えますか。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「沢田中隊長、無事の帰還を祈っておりました。」岡田二尉が開口一番に言ってきた。「大袈裟だぞ。まだ最終段階じゃないんだ。こんなところで躓くようでは話にならんだろ。では早速、南風原へ向かうぞ。車両に乗れ。」「了解。」一方、司令官室では牛島中将と長中将が話し合っていた。「司令官、あの者達どう思われますか。」「うーむ。・・・解せぬ。」「はっ、と、言われますと。」「解せぬのだ。確かにあの者達は本物だ。そうとしか言いようがないのは分かっている。だが、妙な虫の知らせが腹の中を駆け巡るような気がするのだ。・・省略・・私も長く陸軍にいて、これでも軍部の事は大半を把握している。その自分ですら、あのような輩一人も見たことがないというのが解せぬ。・・省略・・あのような男をわずか三ヶ月で養成できるとはとても思えん。無論、中野学校の者でもない。すると・・・。」・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.48 )
- 日時: 2013/01/02 16:02
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
謹賀新年。作者からの豆メッセージ・・・今年も書きますよ。ただ、気になることが。ひめゆり自衛隊ですぐこの掲示板に来れたのに、いつの間にかそれだけでは検索できないようになっている。なにかの策略か、それとも偶然なのか。情弱の自分には知る由もありませんが、もし前者なら、大津のいじめ事件と大差ないですね。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.49 )
- 日時: 2013/01/02 17:14
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「・・・すみません。別に昔の人の事を侮辱するつもりはありませんが、果たして今の若者を甘いと言えるか疑問に思えたもので。」「ん、まぁ、そうかも知れんが。」・・省略・・「まぁ、いいか。別な話にしようか。・・・やはり子供は早くに社会に出したほうがいい。15歳で家を出なけりゃいかん。かわいい子には旅をさせろと言うからな。」「久幸さん、男は外にでれば何人の敵と言うかご存じですか。」「あーっ、確か7人の敵だっけ。それがどうした。」俺の話に不思議そうな顔になった。「そうです。では女、は外に出れば何と言うかご存じですか。」一瞬、美幸さんを見ながら言った。「さぁ、初めて聞くなぁ。何て言うんだい。」「女は外にでれば100人の狼・・・なんですよ。これは言わなくてもおわかりですよね。ですから本来女は家の外に出すべきじゃないんですよ。私はそう思いますがね。・・省略・・ごちそうさまでした。」彼女を振り返らず道場へと帰っていった。久幸さんに少しでも美幸さんの今後の運命を悟ってもらいたかった。誰もいない道場で、ただただ美幸さんの行く末の幸せを願った。・・・3「戦争とお父ちゃん」終わり。次回4「家訓で対立」に続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「いっそのこともう一度本土へ連絡を入れてみてはいかがかと存じますが。」「うむ、そうしてくれ。念には念をだ。」「わかりました。」牛島司令官と長参謀長のそんなやり取りも知らずに彼等はすでに出発していた。夜の帷の中、一直線にライトがいくつもの道を描き出しつつ、連なって流れて行った。・・・「疑念」終り。次回「もうひとつの謎」3月25日0630時。・・・夜遅くに辿り着いただけに、仮眠すら取れなかった者達が多かった。それでも朝早くからテキパキと動く看護要員や、衛生兵で慌ただしかった。衛生兵の部隊長、貴嶋安次郎大尉が神谷三尉に挨拶に来ていた。「やぁ、神谷三尉、少しは眠れたかね。」「あ、いえ。貴嶋大尉。あまり寝ておりませんが、何の支障もありません。御心配ありがとうございます。」「うむ、そうか。しかし新ためてこうして見ると、頼もしい戦車に兵隊の集まりだな。陛下も粋な計らいをしてくださるものだ。これからしっかり頼むぞ。」「了解しました。」そう神谷三尉が応えると、再び三角兵舎へと入っていった。・・省略・・沢田一尉は三浦三曹の報告を受けていた。「これが空自のf−2戦闘機パイロットから送られてきた画像です。木村三尉や幸村二尉から報告を受けましたが、予定通りの人員に間違いないそうです。ただ、・・・一つだけ不可解な事が。」その言葉に眉間を曇らせながら沢田一尉は彼を促した。「何だ、それは。」「はい。ひめゆり学徒隊の中に、歴史上では存在しないはずの者が2名いるということです。」「どういうことだ。」「我々が防衛省から命令が下った保護プログラムに記載されているひめゆり学徒隊犠牲者リストと実際に調べたリストを比べるとどうしても2名分多いんです。」「何かの間違いではないのか。・・省略・・」「そんなはずはありません。歴史上の記録を戸籍から辿って検索していますから先ず間違いありません。これは、私の私見ですが、・・・この作戦にはまだ裏があるのではないでしょうか。」それを聞きつつ沢田一尉は辺りを見回しながら三浦三曹に耳打ちする。「いいか、三浦。この事はまだ伏せておけ。」・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.50 )
- 日時: 2013/01/05 17:43
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・4「家訓で対立」 もうすぐ一ヶ月近くになる。この時代でのクリスマスもほど近い。皆ある程度の基本稽古は教える事ができた。・・省略・・美紀子に至っては多感な15歳。友美は泣き虫のせいか、怖がって全く寄り付かない。それはそれでいいと思った。志がなければ、無理に教えても身につかないからだ。美紀子は美幸さんの世話係のような役割をしていたようで、道場につれてくるのは彼女だった。・・省略・・「ああ、いつもすまないね。・・・美幸ちゃん、今日も型の稽古からしようか。」「うん。」次に気になったのは、美紀子の匂いだった。中学三年生のせいか、他の子と違って妙に色気ずいてて、香りのいいシャンプーを使っているようだった。「先生、変な顔。ウフフフッ。」妙子が空かってきたので気を引き締めた。「んっ、ゴホンッ。いかんいかん、俺としたことが。・・・別に何でもない。ホラ、先ずは座禅からだ。」・・・続く。 だが、美紀子にこの後不穏な事件が忍び寄っていた。イブの日に彼氏から誘いが。しかしそれは。・・・
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.51 )
- 日時: 2013/01/06 18:23
- 名前: 梶原明生 (ID: OHW7LcLj)
「美幸へ」・・・そう言ってる間にいつの間にか友成と義弘がサンドバッグ打ちを始めた。「コラッ、未だサンドバッグは早すぎる。先ずは基本をみっちりやってからでないと治せないクセがつくぞ。」友成が少しふてくされる。「チェ、折角こんないいのがあるのに。いつ打たせてくれるんすか。」「わかった。なら、今日テストするからそれに合格したら打たせてやる。」「ヤッター、まじっすか。で、何やるんすか。」「先ずは拳立て伏せ100回だ。」「えっーーー。」嫌がったもののやらせてみると見事クリアしたので打たせることにした。やがて稽古が終わったものの、いつも向かえにくる美紀子が来ない。そこで妙子が手を引く。「あたしが連れてく。」「えーっ、妙子ヤだーっ。」「何ーーーっ、」二人の仲裁に入る。・・省略・・美幸さんの気持ちもわからないでもない。彼女は美紀子が好きで、その匂いをこすり付けたくなるほどに近寄るくらいだったから。そんな美紀子も来年にはこの家を出ていかなければならない。恐らくはこの家で過ごす最後のクリスマスになるだろう。翌日、若佐工務店の仕事を手伝いにいった。建材を運んでたら道路側にあの美紀子の姿が。それだけでなく、彼氏らしい高校生と歩いてる。・・省略・・高校生の方をそれとなく尾行した。「おい、うまくいった。あいつ俺にゾッコンだぜ。」「じゃあ、先輩達に差し出せるわけか。これでもうリンチも、金をせびられる事もなくなる。」「ああ、イブの日に決行だ。運良かったら俺達も美紀子の体抱けるぜ。」「おう、ヤリまくれるぜ。」それを影で聞いた俺は沸々と怒りの拳を握り締めた。「イブの日だな。お前ら覚悟しとけ。」俺は心の中でそう叫んだ。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「我々の任務は今あるその謎を究明することではない。保護プログラムにある、ひめゆり学徒隊員を我々の時代に拉致することだ。それが第一優先事項だ。分かっているな。」三浦三曹は内心、唇を噛み締めながら命令に従った。「わかりました。」一方、警務に就いていた富岡三曹は以外な来客に驚いていた。「あのーっ。貴嶋大尉からこちらを手伝うようにと言われてきました古波蔵と申します。」「渡嘉敷と申します。」「黒島幸子と申します。」面食らった富岡三曹は、取りあえず応対した。・・省略・・「あっ、いえ、その、富岡さんはどちらの出身なのかなと思いまして。本土から来られたんですよね。」「あ、うん。えーっと。・・・」応えようとして不意に沢田一尉や佐藤三尉から強く言われている禁止事項を思い出していた。・・省略・・「埼玉県の、東松山市の生まれだよ。家の近くは高速道路が・・・いや、高等学校があって・・・。」「そうなんですか。埼玉の。・・・」・・省略・・無論、この時代の埼玉と富岡三曹がいた60年後の未来の埼玉県が同じであるはずがない。しかし、同時に昔懐かしい母に連れられて行ったショッピングモールの華やかさを思い出していた。とても言えるはずのない思い出。この時代のどこにもない光景に、何か悲壮感を漂わせた。「いいよ。もし戦争が終わったら連れて行ってあげようか。・・省略・・いいんだ。こんな状況なら少しは後に楽しみや希望があった方が生きる喜びが出来るじゃないか。」その話に古波蔵満子が驚いた。「希望・・・ですか。・・・兵隊さんからそんな言葉を聞いたのは初めてのように思います。希望。そうですよね。希望ですよね。」自分に言い聞かせるように彼女は呟いた。富岡三曹は心の底から湧き上がる不意な気持ちを覚えていた。それは彼女達が今、この時は生きていてもそれを目の当たりにしても、後数日、数ヶ月で死んでいなくなることを思い出したからだ。 「君達を守りたい。」 そう強く思った。・・・続く。
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