複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.343 )
日時: 2018/02/16 20:57
名前: 梶原明生 (ID: sdLb5.Z4)  

「美幸へ」…長髪のスラリとした男が一瞬で先ほどの男達を倒す。「すげーっ。」その鮮やかさに言葉を失った。「さてはお前達も。」「待った。俺達は、お宅の息子さんを助けようとして…」「問答無用。」秋季という人物は、素早い技で攻めてくる。「こっ、この技は和道流…」弁解しようと思ったが、つい戦ってみたい衝動に駆られた。足刀蹴りを入れようとした所を華麗な回し蹴りで抑えられて、蹴り足が交錯した。「やめて父さん。その人達は助けてくれたんだ。」「な、何。…」ようやく攻撃がやんだ。「あなたの息子さんの言われる通りです。私達は助けた方ですよ。」 堂守が仲介に入る。「これは失礼した。パトカーが来ていますから、私達の車についてきてください。」「わかりました。」言われるまま堂守のレンタカーに乗る俺達。秋季さん達の乗るグランディスを追いかけた。すると、秋季さんの自宅兼、和道流空手道場となっている邸宅へと入っていった。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.344 )
日時: 2018/02/23 16:02
名前: 梶原明生 (ID: HrJoNZqu)  

「それぞれの道」…ひめゆり自衛隊最終回。

現代、5月3日午前11:30時。「着いたぞ婆さんや。」腰の曲がっていない白髪の老人が、スーツ姿でタクシーから降りながら、奥さんであろう白髪の老女に声をかけた。共に降り立った孫でらしき高校生の少年がトランクから車椅子を引き出して広げる。どうやら老女は足腰が悪いようだ。「あきさみよー、こりゃ慣れたもんだな。でもじゅんにこの駐屯地でいいんかな。」「いいんですよ。ありがとう。和之、行こうか。」「うん、爺ちゃん。」徐々に陸上自衛隊第15旅団駐屯地正門に近づいた。その頃、意識不明の重体となった砂川美幸のベッドの傍らに羽野高正大臣と神谷三尉、富岡三曹の姿があった。羽野は美幸の手を握りしめていた。「美幸ちゃん…」しばし重い空気が流れる。そこへ隊員の一人が神谷に耳打ちしてきた。「何だと、吹田…」怪訝そうにしながら席を立ち、応接室に向かった。その途中、うっかり忘れていた数週間前の沖縄戦前に渡された手紙を思い出していた。「まさか…」彼は立ち止まってバックパックに突っ込まれたままの、雨沁みともつかぬ汚れにまみれた手紙を取り出した。慌てて開けてみる。

「拝啓神谷小隊長、お久しぶりです。凡そ70年の月日が流れてしまいました。もうお分かりですね。私は吹田光一二等陸士です。神谷小隊長と別れてから、あの爆発の後に私も、そして砂川美紀も、生きておりました。それからは米軍に民間捕虜として収容所行きになりました。美紀とは米軍の牧師の元で結婚式を挙げることができ、ほぼプロパカンダでしょうが構いませんでした。吹田美紀としての彼女と二人で生きていけるのなら。訳あって今は東京に住んでおりますが、実は極最近昔の記憶が蘇って急遽、5月3日にそちらへ訪れることにいたしました次第です。」

読み終えた神谷三尉はいても立ってもいられずに応接室に向かった。勢い良くドアを開ける。「吹田っ。」「神谷小隊長。お久しぶりです。おお、あの時のままだ。」思わず互いに涙した。姿こそ白髪に深い皺が年輪を感じさせるが、あの声と笑顔は当時のままだ。「こんななって吹田。よく生きててくれた。表情はあの頃のままだ。何だか変だよな。お年寄り相手にこんな。」「いえいえ何おっしゃいます。私はあの頃の吹田ですよ。」神谷三尉は傍らに車椅子の女性がいるのを察した。「砂川…美紀。これは…」「ええ。痴呆症でしてね。私がいけなかったんです。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.345 )
日時: 2018/03/12 18:22
名前: 梶原明生 (ID: MCpQOwBr)  

…美紀を愛おしむように見つめる吹田。「…五人の子供に恵まれたものの、仕事と酒に明け暮れましてね。何一つ家庭を顧みないのに私や子供達を支えてくれました。その苦労が祟って痴呆症に。だからこそ美紀に姉の美幸ちゃんに合わせたくて、ここにいる孫の和之と共に古巣の15旅団に来たわけです。」「わかった。俺に任せろ、今すぐ会わせてやる。」神谷三尉はそう言うと二人を集中治療室に案内した。ベッドに横たわる美幸の手を握る美紀。「み…美紀。…美紀なのね。」傍に立っていた羽野は二人の姿に涙を流した。「こんなに手…皺だらけになって… 」「ううん、ごめんなさい。私が勝手に飛び出したばっかりに。…ただ謝りたくて。」「もういいのよ。こうして会えただけで。生きてて良かった。」再び眠りにつく美幸。医師が羽野に耳打ちする。「大丈夫です。バイタルも安定してますし、手術も無事終わりました。しばらく休ませたほうがいいでしょう。」「ありがとう。」羽野は涙を隠さずに医師に礼を言った。一方、昭和20年6月23日のその後では、米軍による片付けが始まっていた。「ワッツ…オウ グレート。」米軍兵が二つ折れに破壊された89式小銃を見つける。やがてその未知なる小銃は軍の科学研究室に回され、機密扱いでコルト社とアーマライト社の技術者を呼んで解明していた。「うーむ。これは本当に日本軍がこんな小銃を開発していたのか。あまりにも完璧な銃だ。」「これを今推進中のAR18ライフル計画の参考にしてみては。」アーマライト社やコルト社製のAR−18にコルトM16を参考に作ったはずの89式小銃が、逆にその小銃開発に影響を与えることになろうとは。…現代側では、外で青空を仰ぎ見る神谷三尉の姿があった。その時、一斉に歌声が聞こえてくる。

海ゆかば

この斉唱が天幕の中からも大きく聞こえてきた。検疫を受けていた沖縄県民とひめゆり学徒達が歌い出したのだ。そしてまた、あの「故郷の歌」が…

うさぎおいし かの山 こぶな釣りし かの川

大団円がごとく駐屯地中に響いた。彼等彼女等の今後の幸せを願いつつ神谷三尉達も口ずさむのであった。

沖縄戦の戦死者約15万人。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.346 )
日時: 2018/03/13 19:41
名前: 梶原明生 (ID: HrJoNZqu)  

エピローグ

陸上自衛隊第708実験中隊は事実上解散となった。そしてそれぞれの道へと進んだ彼等。しかし肝心の日本軍の残した財宝はどうなったのか。実は神谷ノブ子が地図を所持していた。羽野は噂のみを検証し、部隊を送り込んだ。もし持っていなかったらどうなっていたことか。全てが無駄になるところだったのは言うまでもないだろう。神谷三尉はその後退官して即応予備自衛官となり、妻と共にひめゆりと沖縄県民のケアに当たることとなった。高山陸士長は同じく即応予備自衛官となり、神谷の補佐に回っている。触発された片瀬陸士長も余暇利用して参加。その馴れ初めもあり、武骨な高山と片瀬が急接近。将来を誓い合う仲にまでなった。回りからは「美女と野獣だな。」と皮肉られている有り様。それでもお構いなしな二人。一方、あの倉原総理はと言うと、発見された財宝を税金と国の借金と防衛費に当てて残りをひめゆりと沖縄県民の社会生活費用に還元。事後処理が終わると、その後辞任した。…続く

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.347 )
日時: 2018/03/13 20:43
名前: 梶原明生 (ID: oJBEkqvs)  

「美幸へ」…「すげーっ、こんな立派な道場をお持ちで。」「いやいやお恥ずかしい。息子を助けてくれたお礼です。もし良かったら皆さん、私の家に泊まっていってください。」「ありがとうございます。」俺達は全員リビングに通され、暫くくつろいだ。同じ武道家ということもあり、秋季さんと打ち解けるにはさほど時間はかからなかった。やがて就寝となり、長旅の疲れを癒やしていたのだが…「至善さん、起きて。嫌な予感がする。あの子が出ていった。」「何ですって。」日野さんのたたき起こしに目が覚めた俺は、堂守とシズさんと共に坂本の居城へと車を走らせた。その頃案の定秋季さんの息子、柴彦君は捕らえられていた。もっと俺達のために、情報を持ち帰りたいために侵入したのだ。「飛んで火にいる何とやらか。ハハハハッ、馬鹿な息子だ。反対運動の秋季を跪かせるネタが、自ら来るとはな。…この蒼碧石の力を使って、芸能プロダクションとしての社会的信用を勝ち取り、あまつさえ街の自警団まで買って出てる。そんな優良企業がまさか裏で、性風俗と売春の斡旋業しているとは誰も知りまい。だがこんなもんじゃない。こいつを使えばまだまだ叶うことがあるんだ。今にこの国、いや全世界の帝王になってやる。ハハハハッ。」高笑いしている中、ドアから部下の一人がぶっ飛ばされて入ってきた。「あ、兄貴。あいつら化け物だ」「何っ、誰にやられた。」胸倉を掴んで聞くものの、その来客はすでに来ていた。日野さんの蒼碧石の光は強くなり、まるで遠当ての技のごとく、坂本の部下達をぶっ飛ばしていた。「何だお前らはっ。」「坂本っ山本っ。お前達は芸能事務所を利用して悪行を重ねていた私利私欲の秘密を守るため、天原さんを殺めた。その蛮行は許せねーっ。彼女の無念に替わって、俺達がお前達の悪行を断つっ。覚悟しろ。」「うるせーっ、黙れ。大人しくしねーとこのガキを…」言いかけたところで秋季が部下達の後ろから襲いかかり、柴彦を取り戻した。「至善さん、構うことはない。存分に暴れてくれ。」「秋季さん……はいっ。」その掛け声で一斉に俺と堂守とシズさんは、坂本の部下達に襲いかかった。突きに、蹴りに、投げ固め技。大乱闘バトルに明け暮れた。無論、日野さんの力のおかげでもある。やがて最後は居城の最上階で俺と日野さん、坂本と山本との対決となっていった。日野さんは坂本と蒼碧石対決。俺は両手にナイフの山本と対峙した。「よぉ、オッサン。ナイフに勝てんのか。」…続く。


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