複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.232 )
日時: 2015/10/28 21:16
名前: 梶原明生 (ID: x03fhwcN)  

「ひめゆり自衛隊」…後方支援している諸岡三曹が高山陸士長に耳打ちした。「なーに。こっちも負けられませんて。でも。…」もう見慣れたとはいえ、同じ日本人の兵士の死体を見ると、気持ちが幻滅していた。「早めに確保したいもんですな。」89式小銃を肩に構え直しながら呟いた。一方その頃、奥の方に設けていた司令室では、牛島中将に慌ただしく戦況報告を行っている士官の姿があった。「大変です。只今中央付近を突破して、すでに三分の二近くの兵力を失いつつあります。このままでは奴らがここへ来るのは時間の問題です。」長参謀長はイライラする気持ちを露わにして問う。「守備防衛隊は何をしておる。たかだか100名にも満たない部隊に何を手こずっておるんだ。」焦る士官は向き直って告げる。「はっ、そ、それが無人の奇怪な戦車を操り、闇を見通して攻撃してくるので歯が立ちません。まるでこちらの動きを見透かしているようです。」しばらく腕組みをして黙って聞いていた牛島中将は、まるで台風の目のように落ち着き払って喝破した。「はははっ、まるで大人と子供の戦よのう。これでわかった奴らがどんな軍隊か。すぐに戦闘を中止させろ。奴らの要求をそのまま呑むとしよう。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.233 )
日時: 2015/10/29 19:29
名前: 梶原明生 (ID: D486Goe5)  

「美幸へ」…妙子と美幸さんはせっせと黄色いチラシの裏に「お父さんサンタ」宛てに手紙を書いて夜、皆が寝静まった頃に久幸さんの枕元にそっと置いてから就寝した。翌朝自分たちの枕元を見ると汚いブリーフのアソコの部分に紙が差してあるのを発見した。その手紙には「今年も風邪で来れませんでした。」「めっちゃ達筆。思いっきり父ちゃんの字やん。」二人のそんなガッカリする姿を、不謹慎ながら笑ってしまった。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.234 )
日時: 2015/10/31 21:27
名前: 梶原明生 (ID: SnkfRJLh)  

「ひめゆり自衛隊」…誰もがその言葉を疑った。いや聞き間違いではなかろうかとも思いたかった。しかし確実にそう言ったのである。長参謀長は猛反対した。「何を言われますか司令官。まさか臆されたわけでもありますまい。断固戦うべきです。」一息ついてから牛島中将は語りだした。「そうだ。しかし本来我々が戦うべき敵は誰だ。米軍ではないか。奴らにひめゆり学徒隊員を引き渡せばあの無敵の兵器と兵隊が手に入る上に、この戦局を有利に進められる。もはやここまでくれば毒を食らわば皿までだ。義烈空挺隊が何であれ、米軍に一泡ふかせてやるものに変わりはない。」長参謀長は、それでも苦汁な面持ちで進言する。「し、しかし、実情ではこの摩文仁を明け渡すも同じではありませんか。あのような米軍もどきの舞台に…」「いや、奴らは日本軍だ。今の日本軍ではないがのう。」…省略…壕の最前線にいた兵士達に士官が戦闘中止命令を下す。これをもって、
昭和20年6月17日 午後0350時に摩文仁の司令壕は、陸上自衛隊第708実験中隊により事実上、占拠された。…
次回 「上田と片瀬」に続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.235 )
日時: 2015/11/01 15:35
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)  

「美幸へ」…時は過ぎ、春が訪れると義弘が浮かぬ顔をして道場で修行している。察した俺は彼に問いただしてみた。「どうした義弘。元気ないな。」「うん、実を言うと俺、卒業式きたら就職で東京に行くんだ。少し不安で…」「そうだったのか。大丈夫、お前なら無事帰ってきて彼女とここで暮らす手筈になって…」「え、何ですか。」「いや、その、なんだ。うまくいくって意味だよ。ハハハッ。」またいつもの癖が出た。ついつい未来を知ってるばかりに喋りたがる。「だが美幸にだけは別れを言えよ。」義弘が東京に行って一番悲しんだのは彼女だと知っていたからだ。「はい、わかりました。先生、ありがとうございます。」こうして彼は52島を後にした。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.236 )
日時: 2015/11/05 19:25
名前: 梶原明生 (ID: tdVIpBZU)  

「ひめゆり自衛隊」…
「上田と片瀬」 同日、0430時。伊原の第一外科壕。爆風除け付近で古波蔵満子は、陸自用折り畳み担架で横になっていた。その近くには上田美十子や牧志鶴子等が付き添い、森山三曹と片瀬陸士長もそばで待機していた。無論、富岡三曹もいた。点滴を打ってはいるものの、やはり口から食べ物を入れないといけなかった。「何か食べたくはないか。ここにいくらかあるけど。」富岡三曹は戦闘糧食を手に持って彼女に見せるものの、小さく首を横に振るばかりだった。「弱ったな、何なら口に入るんだろう。」そう彼が呟いていると上田美十子が言い出した。「ねぇ、古波蔵さん。砂糖黍なら口に入るんじゃないかしら。」その言葉に彼女は目を少し輝かせながら頷いた。それを見ていた佐藤三尉は腕時計(陸自空挺仕様)を見ながら叫んだ。「そうだ、今すぐ砂糖黍を取ってくるんだ。片瀬、増田、吉川、彼女に同行しろ。いいか、遅く帰ってこいよ。」「了解。」その言葉の意味するところはわかっていた。…続く。


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