複雑・ファジー小説
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- 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
- 日時: 2012/11/10 18:20
- 名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)
美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。 ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.42 )
- 日時: 2012/12/19 14:29
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「おーっ、すげーっ、本格的だー。こういうの習ってみたかったんだよな。」それを聞いて彼にこう告げた。「ほう、そうか。男だからな。強くなりたいんだろ。」「え、まぁ。うん。」「では何故強くなりたい。力を自慢したいからか。暴力を振いたいからか。友成。」「いや、そんなことは。」「だよな。妹達を見ろ。この子達がひどい目にあった時、お前は見過ごす事はできないだろう。強くなるということは、守るべき者達を守りたいから強くなりたがるんだ。ケンカに強い事が男の強さではない。誰かを守りたいから人は強くなるんだ。分かるな。」「はい。」友成ははっきりと返事してくれた。「おめでとう。今日から君たちは羅心流空手拳法道の門下生だ。ようこそ。」そう言って俺は立ち上がり、早速あることを指示した。「先ずは座禅だ。心を落ち着かせて雑念を払い、その後体操とストレッチだ。」一通りそれを終わらせると、今度はいきなり・・・ケンカをさせた。「さぁ、俺が見てるから、いつも通り叩き合いのケンカをはじめろ。」「えっーー。」皆一斉に嫌がった。・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「それまで残りの者達はここのひめゆり学徒隊とその引率の教師全員を護衛しつつ、先頭と後方を高機動車や96式装甲車で固めて先導し、徒歩の速度に合わせて進め。・・省略・・わかってるとは思うが、彼女達とは一切無駄口をたたくな。必要な事以外は喋るんじゃない。英語も英単語も一切禁止だ。・・省略・・私からは以上だ。・・・それじゃ、木村三尉。ひめゆり学徒隊とこいつらの先任隊長として頼んだぞ。」「了解。必ず送り届けます。」力強く木村三尉が応える。「よし、それでは解散。幸運を祈る。」・・省略・・片瀬陸士長は先程から自分に向けられる好奇の目を感じていた。森山三曹も同じだった。「何だろうね。さっきからジロジロ見られてる気がするんだけどな。」小声で片瀬陸士長が耳打ちする。「ええ、多分私達二人が、自動小銃を持ってる上に女でありながら皆と同じ姿で、同じ隊員として扱われてる事を不思議に思ってるんでしょう。この時代、陸軍兵士に女はいませんから。」「だろうね。それでか。時代がやっぱ違うね。普通の事とばかり思ってたから全然気付かなかったけど、よく考えたらそうだよね。」二人のヒソヒソ話を後ろでクスクス笑って見ている特戦群の隊員がいた。地賀谷勇基一等陸曹である。今年22歳になる色黒、天然パーマの隊員だ。・・省略・・「おい、森山三曹。見られてるのは片瀬陸士長だけだ。あんたは・・・クククッ、男に見られてるよ。心配いらない。」「何ーーっ、あんた誰だよ。あれ、階級章は一曹か。・・・てっ、一曹。し、失礼しました。で、でも、いくらなんでも酷過ぎじゃないですか。」「悪い悪い。軽い冗談だ。さ、道程はまだある。しっかり学徒隊を見張ってくれよ。」はぐらかすように前へ進んでいく地賀谷一曹。「なにあれ。男じゃねぇーーよ。頭くるな全く。・・・行くよ、片瀬。」「あ、はい。」・・・続く
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.43 )
- 日時: 2012/12/22 06:06
- 名前: 梶原明生 (ID: iEydDqYB)
「美幸へ」・・・その頃、五女の妙子さんも入ってきていた。「妙子か。丁度いい、君も入れ。美幸と向かい合わせになれ。」「えーっ、めんどくさい。皆いないから来ただけ。」「そう言わず、まずは向かいあって。」「はーい。」兄弟の中で一番乗り気がなかったのが妙子だった。「よーい、はじめ。」手拍子の合図で蹴り合い、殴り合いが始まった。勿論、やり過ぎないように見張るが同時にやられたほうの分を逆に勝ってるほうに俺が突き蹴りをお見舞いしてやった。三女の加代は肘鉄を得意とした。だからこちらも肘打ちで返した。・・省略・・加代は肘鉄でケンカするのが得意だったので、強かったもののそこはまだ子供。俺にかなうはずはなかった。一方、妙子はというと、美幸の髪の毛を引っ張りまわしていた。「コラッ、髪は反則だぞ。なら、こっちも髪を引っ張るぞ。」「痛い、もうっ何だよジジィ。」「おい、何だその口の利き方は。君は門下生なんだぞ。分ったか。」「はいっ、もう離して。」俺は妙子の髪をはなしてやった。「よしっ、やめーーっ。やめ。そこまでだ。」と言っても駄目そうなので、直接間に入ってやめさせる。「やめんかコラッ、・・・はい、落ち着いて。よーく話を聞け。何でこんなことしたか分るか。」「分らないよ。」加代が言ってきた。「よし、なら教えよう。羅心流空手拳法は礼に始まり、礼に終わるとも言えるが、同時に乱撃に始まって乱撃に終わるとも言える。基本稽古も大事だが、いきなり乱撃からはじめるところに極意がある。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・そこにはまだ、彼女への好奇の話題を続ける学徒隊員がいた。「満ちゃん、あの人こっちを見た。すごい、まるで兵隊さんそのものだね。何だか顔に似合わず強そう。」上田美十子が古波蔵満子に言う。「そうね。でもあんまり見ない方がいいわ。怒られるわよ。」「そうだけど、ただでさえあんな変わった色柄の戦闘服を身に付けた兵隊さんを見た上に、あんな凄い戦車も持ってて年もそんなに変わらない女の人が兵隊さんしてるんだもの。驚くなと思う方が無理よ。」守上エリも賛同する。・・省略・・話してるうちに、上田美十子、神谷ノブ子、新垣ハル、島袋ノブ、古波蔵満子、そして、宮城静子と砂川美佐と美紀等は、マメ科の植物で「相思樹」と呼ばれる大木にさしかかった。大きく見下ろしているその木はまるで彼女達に寂しげに別れを告げているようだった。神谷三尉は知っていた。この木が忘れ形見として、ひめゆりのシンボルとなることを。・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.44 )
- 日時: 2012/12/21 16:37
- 名前: 梶原明生 (ID: uZAkimhj)
「美幸へ」・・・「ただ、それと平行してもうひとつ悟ってほしい事がある。どうだ、友成、加代、勇、そして妙子。俺から蹴られて叩かれてどう思った。」聞くと一同一斉に応える。「痛かったし嫌だった。」「そう、そのとおりだ。皆よく聞いてくれ。誰だって殴られて蹴られりゃ痛い。それは相手も同じなんだ。君達がもし感情のままに力を使えばそれは自分を痛めつけるのと同じ事なんだ。人を思いやり、人の痛みを分かってもらいたいからあえて叩いたんだ。その事を今日、心に刻んでほしい。・・・よし、それじゃ、基本稽古に移ろうか。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「疑念」・・慌しく一人の仕官が第32軍司令部の司令官室に牛島満中将へ報告をするために入ってきた。「た、只今、天皇陛下直轄義烈空挺部隊の方々が到着されました。もうすぐ指揮官の沢田亮元大尉がこちらに来られます。」姿勢正しく報告する士官に牛島中将は間違いを正す。「大尉ではなく一尉だろう。何でも大本営ではすでに階級の呼び名が変更になったとか言う話ではないか相手が相手なだけに粗相のないようにしてもらわんと困るぞ。早速ここへお通ししろ。」「はっ、了解しました。」仕官はまたもや慌しく外へ出た。一方その頃、夜の闇の中に82式指揮偵察車から降り立つ沢田一尉の姿があった。「いよいよだぞ。総員外で待機だ。幸村二尉、三浦三曹、柄川三尉、そして佐藤三尉は私と共に謁見しにいく。万が一の時は・・・言わずとも分かっているな。」「了解。」・・省略・・この第32軍司令部は1500mも自然壕を縦貫しているだけあって、その大きさはかなりのものだった。奥の方へ歩いていくと、牛島中将のいる司令官室があった。「どうぞ、お入りください。」案内していた仕官が中へはいるよう、促した。・・省略・・「天皇陛下直轄義烈空挺部隊中隊長の沢田亮元一尉であります。この者達は私の配下の士官であります。ひめゆり学徒隊を守るよう、天皇陛下から直々密命を受けてまいりました。先ずは第32軍司令部の牛島中将にご挨拶をと思いまして参上した次第であります。」・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.45 )
- 日時: 2012/12/22 15:37
- 名前: 梶原明生 (ID: UlsZCx61)
「美幸へ」・・・「先ずは受け払い技からだ。通常、空手拳法においては最初に拳技、蹴技から入る。攻撃を知って最大の防御となるからな。だが、羅心流空手拳法は受け払い捌き技にはじまり、受け払い捌き技に終わるとも言える。また同じ言い回しだけど、この三つが基本理念だ。・・・戦わずして敵に勝つ。この考えが根本理念にあるからだ。はいっ、分からなかったらいい。何となくこれから学んでいけばいいからね。じゃぁ、先ずは上受け、中受け、下受けから。」こうして基本的な受け技と体捌きを教えて1時間程で終えた。友成が最後に言い寄ってくる。「言い忘れてたけど、至善さん。今日うちに飯食いに来ないかって言われてたんだよ。」「ほう、それは有難い。久々ゴチになろうかな。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・席からようやく立ち上がった牛島中将が応える。「御苦労。よくぞ来てくれた。いやーーっ、しかし見るからに素晴らしい姿だな。こんな兵隊がこちらの手に入れば米軍等恐れるに足りん。しっかり戦ってもらうぞ。」その言葉に少し曇りがちの表情になる沢田一尉。・・省略・・険悪な空気が二人の間に流れ始めた。それを中断させるかのように一人の士官が入ってきた。「長参謀長であります。」沢田一尉等は即向きを変えて、長参謀長に敬礼した。・・省略・・「おお、来たか長君。こちらに来たまえ。」「はっ。」彼は右隣に立った。長勇 中将。彼もまた、牛島中将と共に第32軍司令部の中枢人物として最後まで戦い抜いた軍人である。「お二人には是非見ていただきたいものがございます。三浦。」「はい。」彼は沢田一尉の一声でバッグの中からパソコンと映写機類を取り出した。丸眼鏡を上げながら、長参謀長が最初に興味を示した。「な、何かね。その板のような物は。・・・」・・・続く。
- Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.46 )
- 日時: 2012/12/26 17:46
- 名前: 梶原明生 (ID: iEydDqYB)
「美幸へ」・・・というわけで、またもや大家族の食卓に呼ばれたわけだ。お鍋を囲んで、いつの間にか久幸さんはすでに焼酎で出来上がっていた。「いただきまーす。」と声が掛かると、より分けられた食材が次々皆の口に運ばれていく。「おっ、至善君。よくきてくれた。皆もよく聞け。戦争当時はなぁ。・・・」「また始まったよ。」友成がうんざりしながら舌打ちする。「・・・わしのこの頭の上でな、戦闘機が撃ち合いになってな、落ちてきた破片に頭が当たって気絶したこともあった。」・・・続く。 「ひめゆり自衛隊」・・・「天皇陛下直轄の研究機関が密かに開発したものです。まぁ、見ていて下さい。」映写機とパソコンを後ろの机に置いて操作しはじめた。すると壁に白黒映像が映しだされた。・・省略・・「あい分かった。陛下の御意向とあらばいたし方あるまい。それではひめゆり学徒隊のことを頼んだぞ。」「了解しました。では、我々はこれより南風原陸軍病院へ向かいます。これにて失礼いたします。」沢田一尉はじめ、全員で敬礼し、先ほど案内してくれた士官が再び現れて彼等を入り口まで見送った。・・・続く。
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