複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.142 )
日時: 2014/09/13 18:16
名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)

「美幸へ」・・・「明日、更に風当たりが激しくなる。先生には何も分からないんですよ。」「お前、もしかして・・・イジメにあってるのか。」「もう、ほっといてください。」「おい、義弘。」彼は天原家に帰っていった。結局この日、道場には顔を出さなかった。翌日も朝から顔をあわせないように登校していく義弘。俺は若佐社長にこのことを話してみた。「そうか、義弘君がね。・・・まぁ、教育委員会のトップに知り合いがいるから、解決策を練るのは可能だがね。学校は認めたがらんだろうな。」「ですね。・・・一応、義弘の学校近くで張り込みしてみます。」そう言うと、一目散に向かった。丁度その彼と、リーダー格の少年等が下校途中の空き地で屯していた。空かさず物陰に隠れてスマートフォンを構えた。「昨日、オメーがよく言って聞かせねぇーから、ひどい目にあったんだろうがよ。どうしてくれるんだよ。」リーダー格の少年を中心にリンチがはじまった。「よし、証拠は撮った。」逸る気持ちをようやく抑えて飛び出した。「こらーっ、まだやってるのか。」仁王立ちになる俺に慌てふためく少年達。「うわーっ、何でこんなとこに。逃げろー。」リーダー格はふて腐れながらも逃げていった。「大丈夫か義弘。」・・省略・・「お前どうしたんだ。以前と違うぞ。」「小学生と中学生じゃ、違うのは当たり前だよ。・・・先生言ったよな。愛する者を守れっって。だから、クラスの好きな娘をイジメから助けたんだ。そうしたら、柳って言うさっきのリーダーが出てきて、貧乏のくせに子供が多すぎるってバカにされて、立ち向かったけど勝てなかった。そこから始まったんだ。・・・」俺も座り込むようにして彼に問いかけた。「でも何故そのことを先生に、・・・いや、担任に相談しなかったんだ。」「したら・・・僕がいじめられなかったら、またその娘に向くだろ。だから・・・」「耐えてきたのか。」「うん。」「そうだったのか。分かった、後は俺に任せろ。何、心配するな。悪いようにはならないからさ。」半信半疑の義弘を促し、天原家へと帰っていった。・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.143 )
日時: 2014/09/17 13:22
名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)

「ひめゆり自衛隊」・・・そして、ひめゆり学徒隊は他の先生、傷病兵、防衛隊員、一般人そして子供たちにいたるまで、夜中に明滅する照明弾や砲弾が炸裂する中を歩いて移動した。体は泥だらけとなり、患者には手を貸し肩を貸して、包帯をちぎって道標として進んだ。この夜の移動ほど辛いものはなかったろう。誰も地理に詳しいわけでもなく、迷いながら東風平、高峰、与座岳を経て歩き通した。・・省略・・場所は変わって三和村、米須の第一外科病院付近。宮城フミという学徒隊員と他数名を保護しなければならない。・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.144 )
日時: 2014/09/18 17:34
名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)

「ひめゆり自衛隊」・・・「ゲッ、何だこれ。」吹田二士が仮眠できず外を見ると、そこは五月にいた南風原どころではなかった。機銃や砲撃により死んだ死体が所狭しと散らばり、不自然に口から先の顔や頭が欠けてなくなっている死体や、兵士とも民間人ともわからぬ死体まで転がっている。「もう、嫌だ。何でこんな時代に来たんだよ。クソッ、こんな時代に来なければ・・・来なければ良かったのに。もう誰も殺したくないよ。米人も日本人も、誰も誰も誰も・・・」パニックに陥る吹田二士を神谷三尉が制する。・・省略・・幹部自衛官が心を乱せば、一体誰が隊を統率するのか。嘗て福岡県の幹部候補生学校に行った時の教官の怒号を思い出す。だから神谷三尉もその言葉は自分自身への戒めでもあった。・・省略・・一方、沢田一尉等は小川に面した炊事場らしき場所に辿り着いていた。しかし、そこには誰もいない。「一体どうなってる。ここに宮城フミがいるはずだが。」沢田一尉が不思議に思っていると、姿は見えないのに笑い声が聞こえてくる。よく見ると木の枝やそれに紐をかけた物干しにモンペ服や防空頭巾が掛けられているのが見えた。・・省略・・「柿村三曹、無線で森山三曹と片瀬陸士長をを呼べ。」その様子で佐川二曹が大体予想が付いた。「ははんっ、なるほど。入浴中ってわけか。」それを聞いた葉室三曹が興奮して言う。「えーっ、裸ーっ、久々見たいな女の体。」斜め上に頭を伸ばしながら目を凝らした。・・省略・・「見ろよ、富岡がこっちを睨んでるぜ。」「本当だ。」二人は知らん顔を決め込んだが、富岡にはお見通しだった。だが、不意に古波蔵満子の事を思い出していた。以前、初めて彼女と出会った時、同行していた学徒が彼にこんな話を持ちかけてきた。「富岡さん、・・・古波蔵さん、女優で誰に似てると思います。」言われて現代の芸能人を思い浮かべたが、それは言えるはずがなかった。「高峰三枝子ですよ。あの銀幕女優の。似てませんか。」タカミネ・・・ほとんど彼には思い浮かばぬ全く知らない女優の名前だ。でも、古波蔵満子ほどの美人なんだろうなと勝手に想像していた。今はどうしているのか。保護されていないだけに心配していた。やがて森山三曹と片瀬陸士長が到着した。「森山、片瀬両名到着しました。」「うむ、やはりこんな時は君達がいて良かった。茂みの向こうにひめゆり学徒隊員がいる。宮城フミ等を連れてきてくれ。」「りょ、了解。」不審に思った二人だが、茂みに行ったところで納得した。「何だ、こんなことか。それで呼ばれたはずだ。」森山三曹は89式小銃を後ろに回して近ずいた。すると。「キャーッ。」宮城フミ以下数名の学徒隊員は悲鳴を上げた。「てっ、何だよ。オッサンじゃねーよっ。同じ女、分かる。女っ。キャーじゃないでしょ。」言ってる先から片瀬陸士長が88式鉄帽を取って見せた。セミロングの黒髪がパサリと落ちたその姿は美人女優さながらだった。「あなたが宮城フミね。すぐに服を着て私達に着いてきなさい。時間は五分以内。さあ、早く。」しかし、その口調は姿に似つかわしくなく、淡々としていて事務的だった。「はい、分かりました。申し訳ありません。こんな姿で。・・・何せ一か月ぶりの水浴びだったもので。」宮城フミは申し訳なさそうに小川から出た。「沢田隊長、彼女達を連れてきました。」片瀬陸士長が報告する。「うむ。では装甲車に戻るぞ。着いてこい。」「了解。」宮城フミを保護した沢田一尉等は足早に進みだした。森山三曹は最後尾になりながらも、必死に着いていく。だが、シーサーのある大きな民家に差し掛かった時、表門から、首や額からドロドロ血を流しながら一人の中年女性らしき民間人が手で喉を押さえつつ現れた。森山三曹もさすがに我を忘れた。「ギャッ。え、ええ。・・・」片手を森山三曹に伸ばして懇願するように声にならない声を発した。「ジネナイ・・・オロシテ・・・オロシテ。」我に返った森山三曹は中年女性の手を取り抱きかかえた。「大丈夫ですか。今止血しますよ。」ファーストエイドキットで応急処置を施そうとしたが、その手を撥ね退けようとして苦しむ姿を見てようやく先の言葉を理解できた。つまり、「死ねない、殺して。」と言っていたのだ。「何で・・・殺せるわけないでしょ。」言ってる間に中年女性は息絶えていた。「どうしてこんな。」次は民家から悲鳴らしき声が聞こえてきた。「ギャーっ。」咄嗟に森山三曹は89式小銃を肩に構えた。心臓が必要以上にバクバク鳴っている。「落ち着け、落ち着け。」彼女はそう呟きながら表門から民家の玄関に近付いていった。右左前と銃口と視線を向けながら、警戒しつつ、中を覗いた。すると・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.145 )
日時: 2014/10/05 16:45
名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)

「美幸へ」・・・「そうか。スマホを見せるわけにはいかないんだよな。SDカード渡すわけにもいかないし。・・・仕方ない。若佐社長のところ行って何とかしてもらおう。」慌てて引き返した。「そうか。そうだったね。ほう、これが未来のスマホとかいうやつか。堂守から聞いてたがなかなかだな。よし、何とかうちにあるSonyの8ミリビデオv900に変換してみよう。」「お願いします社長。その映像が唯一、義弘が苛められている証拠なんです。」若佐社長に全て任せると、俺は意気揚々と工務店を後にした。その頃、柳の家には父親が帰っていた。「おーい、勇気いるのか。」リビングには柳高志の名で優勝トロフィーや賞状が掲げられていた。やがて勇気は二階から降りてきた。「何だよ。」「何だよはないだろ。ほら、惣菜とか買ってきたから一緒に食べよう。」「またそんなのかよ。母ちゃんがいたころはこんなじゃなかったのに。」眉間を曇らせながら高志は声を荒げた。「それを言うな。あんな奴のことは忘れろ。」「どうして。何で別れたんだよ。あんなに仲良かったじゃねぇか。なのに。」「うるさい。・・・んっ。お前その顔の痣、どうしたんだ。」高志は初めて息子の異変に気付いた。「何でもないよ。」「何でもないわけないだろ。まさか学校で苛められたとかじゃないだろうな。」ここで勇気は妙な悪知恵が働いた。「そうだよ。そいつの空手やってるらしい兄貴で、30過ぎのオッサンにやられたんだ。」「何だと。同級生相手ならやり返せと言いたいが、よりによって大人がこんな目に合わせたのか。どこのどいつだ。空手なんてヘボいことやってる奴がやりそうな事だ。明日この俺がぶちのめしてやる。」物事がとんでもない方向に流れはじめた。翌日、午前中に若佐社長からSonyのv900を借りて義弘の通う中学に出向いた。そこで俺は運悪く柳達と出ぐわした。無視して正門を抜けたものの、すぐ後ろから声がした。「あいつだ、父ちゃん。俺に痣作った男。」「何っ。」高志は勢いこんで歩み寄り、こちらの胸倉を掴んでくる。「テメーッ、うちの息子を苛めてる連中の兄貴だな。」「何のことだ。」「恍けるなっ。お前がここのクラスメイトと一緒になって、勇気に暴行を働いたんだろうが。」・・・続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.146 )
日時: 2014/10/05 17:15
名前: 梶原明生 (ID: qSKICFXZ)

「ひめゆり自衛隊」・・・今、まさに人が人を殺している光景だった。玄関の土間に三人ほどの年寄りの死体のうえに、ヨレヨレの足取りで17歳前後のモンペ服の女の子が歩いてきた。そして。・・・土間に倒れたら、その姿は不自然に左側に首が折れた状態だった。否、違う。よく見たら折れてるんじゃない。首の三分の一ほどが胴体から切断されているのだ。「うわーっ、何なのよこれ。」思わず後ずさりしたが、奥を見るとこちらを振り返る初老の農夫らしい男がいた。手には鮮血にベッタリ染まった鉈を握ってる。それで全てを悟った森山三曹は思わず叫んだ。「あんた、何てことするのーっ。」そして89式小銃を肩付けで構えた。農夫のすぐそばには怯えきって抱き合う5,6歳の女の子が座り込んでいた。・・省略・・怯えきった顔付で森山三曹は震えていたが、開いた口から出た言葉は悲痛な叫びだった。「やめてーっ。」おそらく彼女にとって人に銃口を向けて撃ったのはこの時が初めてであろう。望んだことではなかったが、それ以外に方法が見つからなかった。「パパパ—ンッ。」ア・タ・レ・3という89式小銃の表示中で「3」にレバーをまわしていた。3とは3点バーストの事で、連発と点射の中間にある撃ち方だ。・・・続く。


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