複雑・ファジー小説

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美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト
日時: 2012/11/10 18:20
名前: 梶原明生 (ID: /PtQL6mp)

美幸へ・・・しがない空手拳法有段者の警備員が「金無し大兄妹アイドル」の不運の死を遂げた未来を変えるために、過去へタイムスリップする。  ひめゆり自衛隊・・・沖縄第15旅団の隊員達が実験と称した防衛省の企みにより特戦群と空挺団の策略に巻き込まれ、時空波装置で昭和20年3月23日にタイムスリップする。そこで彼等が見たものは・・・やがて酷い惨状に特戦群の隊員等も心を動かされる。そして新たな希望が・・・2つ交互にお送りするタイムスリップアクション。ダイジェスト短縮版で執筆いたします。・・・原稿は完成済み。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.267 )
日時: 2016/06/29 18:54
名前: 梶原明生 (ID: eVM80Zyt)

「ひめゆり自衛隊」… 「解散命令」


同日、1230時。 「駄目だ。もう手の施しようがない。次の患者を…」「先生、でもこれではあまりにも。」「わかっている。だが救える傷病兵を見殺しにはできん。わかってくれ。」粗末な診療台にてのた打ちまわって苦しむ兵士を前に苦汁の選択をした広池院長。ひめゆり学徒隊員も従う以外なかった。ここは山城の本部壕。もうすでに禄な医療品も薬品も底をついてなくなる事態が生じていた。不衛生で暗がりな蝋燭の灯がやっとの壕内では、ただ、包帯を巻いてやるか、寝かせるかしか手立てがなかった。…省略…「あっ、神谷三尉。そろそろここを離れましょう。でないと…」吹田二士が斥候を終えた隊員と共に現れた。「待て。するとこの人は…広池院長。」彼はすっかり忘れていた歴史を思い出した。6月18日、山城の本部壕で広池院長戦死。神谷三尉は咄嗟に彼の腕を掴んで叫んだ。「危ない、今すぐここから離れろ、伏せろっ、早く。」何らかの直感が働いたか、神谷三尉は有りっ丈の看護婦や患者を含めて大手を広げて伏せた。

「ドカーン」

地震と雷が一度に来たかのような、直撃砲弾の爆撃が治療室をめちゃくちゃに破壊した。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.268 )
日時: 2016/07/07 17:59
名前: 梶原明生 (ID: x03fhwcN)

「ひめゆり自衛隊」…土埃がおさまったところで辺りを見渡した。一見被害は大きいように思われたが全員無事だった。「も、もしかしてここの人達いまので爆死してたはず…」「しっ。」吹田二士がつい口に漏らそうとしたのを神谷三尉が制した。「広池院長、許してください。」神谷三尉はそう呟いて反拳を腹に見舞った。「広池院長がやられた。ここでは治療は無理だ。外で治療する。吹田、行くぞ。」「了解。」足早に腕を担いで壕を後にする神谷三尉達。ひめゆり学徒隊を匿っている天幕まで来ると、分が悪いことに幸村二尉が警務の視察に訪れているところだった。「んんっ、待て、誰だそいつは…こ、これは…一体どういうことだ。広池院長ではないか。まさか助けたのか。馬鹿野郎。歴史に余計な干渉をするなとあれほど言ったはずだ。」「わかってます。ですが見殺しにはできませんでした。」「何ーっ、なら構わん。ここで撃ち殺せば同じことだ。米軍の凶弾に倒れて戦死。辻褄は合うだろう。」幸村二尉がホルスターからシグP226拳銃を抜いて銃口を広池院長に向けた。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.269 )
日時: 2016/07/08 20:22
名前: 梶原明生 (ID: x03fhwcN)

「美幸へ」…「美幸ちゃん、時々は俺が向かえに行くから。それでいいかい。」笑顔になりつつ彼女は答えた。「うん。先生が来てくれるならうれしいな。」もの淋しそうにしている美幸さんの姿はいたたまれないものだった。「ねぇ、先生。SPEEDって知ってる。」言われて瞬時にミュージックステーションを思い浮かべた。かつてこの時代、アイドルを席巻していたのはヒロをはじめとする四人組ユニットだ。「ああ、知ってるよ。沖縄のアクターズスクール出身のアイドルだろ。」「すごーいっ、知ってるんだ。家の母ちゃんなんか、私と妙子と変わらない年の子が活躍してるのに、理解してくれないんだ。耳も遠くなってるし。」それを聞かれて思い出したのは、かつて自分も同じ思いをしていたことだ。まだ10代だったあの頃、美紀子と同じくブルーハーツやJ(S)W。ZIGGYやBzに渡辺美里…そんな音楽やロックに痺れていたが、父や母に聴いてもらっても理解されることなく雑音扱いされたのはショックだった。彼女にそんな自分を投影して見てしまう。…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.270 )
日時: 2016/07/31 22:39
名前: 梶原明生 (ID: DU.Bh3c8)

「ひめゆり自衛隊」…「広池院長っ。」天幕から保護されていた、ひめゆり学徒数名が出てきて叫んだ。幸村二尉もさすがに拳銃を胸に隠す。意識朦朧ながら広池院長が目覚める。「おお、君達は…そうか私はとうとうあの世とやらへ来たのか。」神谷に殴られたことよりも、ひめゆりの犠牲者に再会できたことが大きな驚きだった。植村三曹が幸村二尉に耳打ちしてくる。「幸村二尉、どうでしょう。彼女たちばかりでは心のケアの面で無理があります。広池院長は優秀な医師でもあります。ここにいてもらえば何かと重宝すると思いますが。」「わかった。しっかり見張れ。」「わかりました。」植村三曹が敬礼で返すと、無視してそのまま沢田班へ帰っていった。「ありがとう植村三曹。助かったよ。」「お礼なら森山三曹に言ってください。彼女の機転がなかったら天幕の扉は開かれなかったでしょうから。…」森山三曹の神谷三尉に敬礼しながら笑顔を向ける姿が目に入ってくる。「ありがとう。」…続く。

Re: 美幸へ。ひめゆり自衛隊。混合ダイジェスト ( No.271 )
日時: 2016/08/30 20:26
名前: 梶原明生 (ID: tdVIpBZU)

「ひめゆり自衛隊」…神谷三尉は呟きながら広池院長を肩で担いで宿営地に入った。それから数時間後、昭和20年 6月18日午後に摩文仁の司令壕から解散命令が下った。「親愛なる諸氏よ。諸氏は勇戦敢闘、実に3ヵ月。すでにその任務を完遂せり。諸氏はその陣地に拠り所在上級者の指示に従い祖国のために最後まで敢闘せよ。さらばこの命令が最後なり。」沢田一尉は史実に合わせてこの命令を下させたのだ…次回 「更科のわかれ」に続く。


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