二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.219 )
日時: 2018/01/31 22:49
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第34話「月乃大奮闘!プリキュアが子供になっちゃった!?」2

<月乃視点>

「ごめーん。星華の忘れ物取りに戻ってたら遅くなっちゃって……」

 私はそう声を掛けながら、公園に駆け込んだ。
 しかし、辺りを見渡して、私は首を傾げた。

「あれ……三人とも、いない……?」

 公園には、杏奈達らしき人物がいないのだ。
 いるのは、遊具で遊んでいる子供と、その保護者だけ。
 あー、あとはベンチ近くに三人の幼女が……。

「おねーちゃん!」

 ベンチの近くにいる幼女の内の一人の少女が私を見ると、その小さな体で駆け寄ってくる。
 それに驚く暇もなく、腰辺りに抱きつかれ、私は固まる。
 黄色い髪の幼女……まさか、コイツは……。

「せ、星華!?」
「つきのちゃんっ!」
「つっきー!」

 腰に抱きついた幼女の正体に言葉を失っていた時、そう名前を呼ばれた。
 見ると、そこには茶髪のツインテールの幼女と青髪ロングの幼女がこちらに駆け寄って来ていた。
 この子が星華だとしたら、この二人は……。

「杏奈に、瑞樹?」
「よかったぁ……つきのちゃんはぶじで……」

 そう言って少し脱力する杏奈。
 彼女の言葉に、瑞樹もコクコクと頷いた。
 私は現状に思考が追いつかなくて、瞼を擦った。

「月乃~!」

 その時、リコルンがこちらに飛んで来た。
 あ、リコルンならこの状況を説明してくれるかもしれない!

「リコルン! これって、一体どういう状況なの?」
「分からないリコ~。急に三人が小さくなったリコ~」
「三人が急に小さく……?」

 私が聞き返すと、リコルンは何度も頷いた。
 うん。リコルンでもこの状況が分からないってことは分かった。
 私はため息をつき、その場にしゃがんで星華の頭を撫でた。

「よしよーし。星華、安心して?」
「エグッ……なんか、きゅうによくわかんないことになって……ふあんでぇ……」

 そう言ってボロボロと涙を流す星華。
 彼女を見て、杏奈と瑞樹が驚いたような表情をした。
 ……あぁ、そっか。
 私も忘れていたけど、星華は……すごく、弱い子なんだ。
 モデルを初めて、歳も取って、大分強くなったとは思う。
 しかし、幼い頃の星華は凄く弱くて……私が支えてあげていたんだ。
 ……こういう時にすぐに私を頼ってくるだなんて、可愛いところもあるじゃないか。
 泣きじゃくる星華の涙を指で拭い、私は笑う。

「よしよし。大丈夫だよ。私がいるからね」
「うん。……うん……」

 そう言って頑張って涙を拭う星華。
 ……幼い頃の星華の心は弱い。
 人の心というものは、なんだかんだ、自分の体に引っ張られるものだ。
 しかも、一歳とはいえ、この中で一番幼い星華。
 ……姉の私が、守ってあげなければならない。

 いいや、星華だけじゃない。
 杏奈と瑞樹も、だ。
 この二人だって、幼くなっている状況は変わらない。
 プリキュアじゃない私に出来ることなんて限られているけれど、でも……!

「よっしゃ分かった。じゃあ、今から月乃お姉ちゃんが遊んであげる!」

 そう言いつつ、私は自分の胸を叩いた。
 私の言葉に、三人は大きく目を見開いて私を見た。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.220 )
日時: 2018/01/31 23:05
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第34話「月乃大奮闘!プリキュアが子供になっちゃった!?」3

「きゅうじゅうきゅう、ひゃーく! もーいいかーい」
「「「もういいよー」」」

 聴こえてきた声に私は顔を上げ、辺りを見渡す。
 フッ……体は小さくなっても、中身は中学生。
 やはりひと目で分かるような場所に隠れてはいないか。

「よーし……見つけるぞー」

 私はそう言いつつ腕まくりをして、歩き出す。
 何してるのかって? かくれんぼ。
 集合場所にしていた公園は大きい遊具が多く、かくれんぼをするには最適なのだ。
 というわけで私が鬼になり、皆には隠れてもらった。
 ……一応私以外のメンバー、中身中学生だけどね。
 まぁいいや。

「どこだ~?」

 そんな風に言いつつ、私は辺りを見渡す。
 とはいえ、先ほどのもういいよから、大体の場所は分かっている。
 しかし、だからってすぐに見つけずに多少焦らすのがコツ。
 私はあえて全然関係のない草むらの中などを探してやる。
 ……ホラ、クスクスって笑う声がしてきた。

「あれぇ? こっちから笑う声がするぞ~?」

 わざとらしくそう言いながら遊具に近付くと、笑う声が収まった。
 ドーム状の遊具に近付く。
 四個トンネルがあり、中で合流できる仕組みだ。
 私はその一つのトンネルを覗き込み、奥の方に隠れていた瑞樹を見つけた。

「瑞樹見つけた!」
「えぇ!?」

 ショックを受ける瑞樹に、私は「ホラ、おいでおいで」と声を掛ける。
 すると瑞樹は頬を膨らませてトンネルから出てきた。
 星華を一番に見つけるのは姉としてなんだか罪悪感があったし、杏奈と瑞樹がいる場所を比べると、瑞樹の方が近かった。
 だから先に見つけたのだ。
 許せ、瑞樹よ。これは必要な犠牲なのだ。

「さーて、次は……」

 私はそう言いつつ、辺りを見渡す。
 この公園の中は、このドーム状の遊具と、ブランコと鉄棒と滑り台。
 それから……公衆トイレ。

「……さて」

 私は息を吐くように声を発し、ドーム遊具の周りをゆっくり歩く。
 この公園で隠れられる遊具と言えば、このドームくらいしかない。
 トンネルは四つ。つまり、高確率でこのどこかに隠れている。
 私は別のトンネルの前に立ち、中を覗き込む。
 ……いない……。

「へぇ……」

 小さく声を発して、私は別のトンネルの前に立った。
 それから中を覗き込むと、そこには、杏奈がいた。

「杏奈みーつけた!」
「ふぇぇ……」

 情けない声を出しながら、杏奈が出てくる。
 これであとは星華だけ。
 まぁ、大体の予測は出来てるんだけど。

「後は公衆トイレ、か……」

 私はそう呟いて、公衆トイレを見た。
 ……幼い頃に母さんが死んで、私達は心を閉ざした。
 同い年の友達も作らずに、二人きりで遊んでいた。
 そんな時に、一度、公園でかくれんぼをしていた時があったのだ。

 あの時の私は、今の杏奈や瑞樹くらい幼かった。
 だから、星華が公衆トイレに隠れているなんて思わなくて……。

『星華いないの~? もう帰るよ~?』

 今でも、あの時のことは明瞭に覚えている。
 私が帰ろうとしたら、公衆トイレの扉が開いて……星華が出てきたのだ。

『エグッ……おねえちゃん……いかないでぇ……』

 ……きっと、不安になったんだろうなぁ……。
 お父さんは仕事で忙しくて、お母さんはいない。
 唯一の家族である私が、いなくなるんじゃないかって。
 まだ幼かったし、そう思うのは仕方ない。

 今では、私も星華も中学生になった。
 あの頃から心も体も成長したと思う。
 けど……。

『エグッ……なんか、きゅうによくわかんないことになって……ふあんでぇ……』

 ……本当はまだ、弱いままなんだ。
 こんな、ちょっとした変化で……あんなに泣いちゃうくらい。

 ……たまにね、思うんだよ。
 今の星華に、私はいらないんじゃないかって。
 私はプリキュアにもなれないし、星華には、杏奈や瑞樹みたいな良い先輩もいる。
 けど、違うんだと思う。
 先輩と姉は違う。
 よく分かんないけど……私は最後まで、星華の味方でいないといけない。
 星華を、支えてあげないといけない。
 だから……――

「……星華、見つけた」

 ――……私が、成長するんだ。
 私は一つの個室の扉を開けて、中にいた星華に笑いかける。
 今度は見つけてあげられる。
 今度は彼女の前を照らしてあげられる。
 プリキュアになれなくても、私は星華の姉だから。
 彼女を……支えないといけないんだ。

「あのさぁ、前のかくれんぼの時は公衆トイレに隠れて嫌な思いしたんだから、せめてもう少し学習して……」
「おねえちゃんっ!」

 なんとなく文句を言った時、幼くなった星華が抱きついて来た。
 それに私は苦笑し、星華の頭を撫でた。

「……じゃ、そういうことで、次は瑞樹が鬼ね」
「え、わたし!? こんな体なのに!?」
「冗談冗談。次は何して遊ぶ?」

 私はそう笑いながら聞いた。
 さぁ、まだまだ一日は長い。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.221 )
日時: 2018/02/01 23:17
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第34話「月乃大奮闘!プリキュアが子供になっちゃった!?」4

 それからとにかくたくさん遊んだ。
 うん。子供のエネルギーってすごいね。
 どこからその体力が出るんだって聞きたくなるくらい引っ張り回された。
 ベンチでダウンしていると、杏奈が心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「つきのちゃんだいじょうぶ? げんきないよ?」
「え? あぁ、大丈夫。ただ、少し疲れただけ」

 私の言葉に、杏奈は首を傾げる。
 ていうか、今更だけど、私いつの間にかこの三人の幼女化を当たり前のように受け止めていないか!?
 良いのか? そんなことで。
 ……しかし、この状況を理解しようとすると頭痛がするので、私は頭を押さえて俯いた。

「おねえちゃん」

 その時、星華に呼ばれた。
 顔を上げると、星華が「はいっ」と言って、コーンポタージュの缶を渡してきた。

「おー。ありがとさん」

 私はお礼を言って受け取り、プルタブを引っ張って開ける。
 それから口を付け、数口飲む。
 温かい液体と粒々が喉に流れて、疲れた私の体を温もらせる。

「んっ」

 その時、服の裾を軽く引っ張られた。
 見ると、星華が両手でジュースの缶を持って、上目遣いで私を見上げていた。
 あぁ、そっか……今は小さくなってるから、自分で開けれないんだ。
 私は嘆息し、コンポタの缶を置いて彼女のジュースの缶を受け取り、開けてあげる。
 それから渡すと星華は嬉しそうな表情をして飲み始める。
 フッ……可愛い奴め。
 ジュースを飲んでいる星華の頭を撫でると、星華は嬉しそうに目を細めた。

「せいかちゃんいいなー。わたしもー」

 そう言って私の隣に座る杏奈。
 星華だけでなくお前等二年生組も幼くなったらマジで収集つかなくなるからやめろ。
 そう思いつつも、ついつい甘やかしてしまう私。
 杏奈の頭を撫でていると、瑞樹が「わたしもー」と言って私の膝に乗って来る。
 だからお前等の中身まで幼くなるなって。

「……なぜ普通に過ごせているのですか!?」

 その時、そんな怒声が聴こえた。
 顔を上げると、えっと……シーフだっけ?
 ロブメモワールとやらの人だったのは覚えている。

「しーふちゃん!」

 私に頭を撫でられていた杏奈がそう言って顔を上げた。
 あ、名前合ってたのか。
 幼い杏奈を見た瞬間、シーフの顔がほんの一瞬破顔するが、杏奈の頭を撫でている私を見てキッと睨んだ。
 ホントなんでこの子敵やってるんだろう。
 そんなに杏奈のこと好きならもうこっち側に来れば良いのに。

「あー……勘違いされたら困るんだけど、杏奈から来たよ?」
「なっ……」
「だってつきのちゃんになでられてるせいかちゃんがきもちよさそうだったんだもん」

 そう言ってふにゃぁとはにかむ杏奈。
 彼女の表情に、ますます怒りに歪むシーフ。
 だからそんな顔で私を見るなって。私はあくまで子守りをしてるだけなんだから。

「もう許しませんわ……」

 怒りに染まった表情で言うと、彼女の腕に何か光が纏う。
 あれは……メモリア、か?
 そこで、私はハッとして顔を上げる。
 世界は……白黒になってない……。

 星華から聞いた話なのだけれど、ワスレールが登場する時は世界が白黒に染まって停止しているらしい。
 リコルン曰く、そうしないとメモリアが集められないらしい。
 ……あれ? そうなると、メモリア集められなくね?
 それだけ怒ってるってこと?

「シーフ。怒った? 怒った?」
「怒ってませんッ!」

 そう叫び、シーフは腕を振るう。
 すると黒い塊が出現し、ワスレールが現れる。
 いや、滅茶苦茶怒ってるじゃん!
 そう思っていると、星華達が私の前に並んだ。
 えっと……。

「おねえちゃんは、わたしたちよりまえにでないで!」
「えっと……分かった」

 私は頷き、ベンチの後ろに隠れる。
 すると三人はラブメモリーウォッチとやらを構え、叫んだ。

「「「ぷりきゅあ! めもりあるこんばーじょん!」」」

 嫌な予感しかしねぇ!

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.222 )
日時: 2018/02/03 18:26
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第34話「月乃大奮闘!プリキュアが子供になっちゃった!?」5

「いまをかがやくひとつのひかり! きゅああでっそ!」
「かこをたばねるひとつのゆめ! きゅあぱーすと!」
「みらいをてらすひとつのきぼう! きゅあふゅーちゃー!」
「とりもd……」
「とりm……」
「とりもどs……」
「せーの!」
「「「とりもどせ! あいのめもりー!」」」
「せーの!」
「「「めもりあるぷりきゅあ!」」」

 ……学習発表会かな?
 変身の名乗りを終えた三人を見て真っ先に思いついた感想がそれだった。
 ていうか、何気にこれ、私が初めて見た名乗りなんだよね。
 初めて見たのがこれかー……学習発表会……。
 そう思っていた時、ワスレールが私の方に攻撃をしてきた。
 ……って、狙いは私かよ! 完全に私怨籠ってんじゃねぇか!
 そう思いつつ瞼をギュッと瞑り、私はベンチの裏に隠れる。

「「「でやぁ!」」」

 しかしその時、力が抜けそうな掛け声が聴こえた。
 恐る恐るベンチの後ろから顔を出すと、そこでは、星華達がワスレールの攻撃を受け止めているのが見えた。
 おー。小さいのに立派。
 心の中で拍手をしていると、星華達はワスレールの攻撃をいなしてその場を離れる。
 幼い体。小さい体。弱体化した力。
 正直、それでどこまで戦えるか分からない。
 しかし、すでに疲労した様子の三人を見ていると、勝機があるようには思えない。
 こうなったら……!

「ッ……」

 一度大きく息を吐き、私は駆け出す。
 目指すは公衆トイレ横の水飲み場。
 私は地面を強く蹴り、水飲み場に飛びついた。

「ガァァァッ!」

 しかし、それをワスレールが見逃すハズがない。
 私の方に向いて、腕を振り下ろそうとしてくる。

「だめぇ!」

 しかし、その手に星華が飛びついた。
 それに続いて、杏奈と瑞樹もワスレールの動きを止めるように飛びつく。

「おねえちゃん!」
「おお!」

 星華の声に私は頷き、蛇口のハンドルを全開に開く。
 すると勢いよく水が溢れるので、私は水が出る部分に手を当てて、水鉄砲の要領で水をワスレールに向かって飛ばした。
 水はワスレールまで届き、ちょうど奴の目に入った。
 よっしゃ! 当たり!

「ガァァッ!」

 ワスレールは目を押さえ悶える。
 その間に私は手招きでプリキュア三人を呼び、小声で次の作戦を伝える。


「グゥ……」

 酷い目に遭ったと言いたげな表情で、ワスレールはこちらを睨む。
 割と長い間苦しんでいたが、ようやく痛みが引いたらしい。
 私はそれにヘラヘラと笑い、「お疲れ様~」とか言ってみせる。
 その時、シーフが辺りを見渡し、口を開いた。

「……杏奈は?」
「流石にさぁ、幼くなった杏奈達とワスレールが対等に戦えるとは思えないんだよね。そこで、私が一つ企画を提案してみました~」

 私の言葉に、シーフは訝しむように首を傾げた。
 それに笑いつつ、私は人差し指を立てて続けた。

「題して、『第一回、プリキュア対ワスレールのかくれんぼ』~」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.223 )
日時: 2018/02/03 21:42
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第34話「月乃大奮闘!プリキュアが子供になっちゃった!?」6

「題して、『第一回、プリキュア対ワスレールのかくれんぼ』~」

 私がそう言いつつ手を叩いて見せると、シーフは不思議そうに首を傾げた。
 それに私は拍手を止め、人差し指を立てる。

「ルールは簡単。この公園には、現在メモリアルプリキュアのメンバーが隠れています。それを制限時間以内に見つけることが出来ればシーフの勝ち。見つけられなかったら、プリキュア三人の勝ち。審判は私。どう? 簡単でしょう?」
「……こんな狭い公園、すぐにあの三人を見つけられますわ」

 不敵に笑うシーフ。
 彼女の言葉に、私は静かにほくそ笑む。
 よし。乗った。

「じゃあ、制限時間は今から三分。スタート」

 私の言葉に、シーフとワスレールが分かれて探し始める。
 遊具の中やトイレの中。草むらの中などを一通り探す。
 しかし見つからない様子で、シーフは悔しそうに顔を歪める。

「全く! どこにいるんですの!?」
「えー。分かんないの~?」

 私がヘラヘラと笑いながらそう言ってみせると、シーフはさらに悔しそうな顔をした。
 それから「ワスレール!」とワスレールに指示を出す。
 おっと……これはまずい。

「しょうがないなぁ。じゃあ、答えを教えてあげるよ」

 しかし、私は平静を保ちながら上空を見上げる。
 何も無い灰色の空に向かって、私は叫んだ。

「皆! 来て!」

 私が叫んだ瞬間、一瞬周りの木に色が戻る。
 と思えば中から幼くなったプリキュア三人が飛び出して、ワスレールに飛びかかる。
 三人でワスレールに蹴りを入れ、上から押さえる。
 幼い三人の体ではあまり大した力にならないが、それでも不意打ちだったからか、ワスレールは地面に伏せる。

「な……!」
「皆! 一気にトドメを!」
「うん!」

 私の言葉に真っ先に反応したのは杏奈だった。
 それから三人で手を繋ぎ、輪を作る。

「「「よみがえれ、あいじょうのめもりー。あむーるぱんでゅーる」」」

 ……学習発表会かな?
 そんな風に考えていると、三人の中心が光り、桃色の時計が現れる。
 あれが、アムールパンデュール……。
 観察している間に三人は桃色、空色、レモン色の針をそれぞれ時計に嵌め込み、回転させる。
 短かった針は長く伸び、普通の時計の針くらいの長さになる。
 すると針の回転は徐々に速くなり、剣のようなものが現れた。
 柄が豪華で、刃が白い剣。
 それぞれ、ロングソード、ショートソード、レイピア……かな。
 ……瑞樹と星華はともかく、杏大丈夫? ロングソード滅茶苦茶重そう。
 両手でしっかりと柄を握り、三人は剣の切っ先をアムールパンデュールとやらに向ける。

「かこをたばね!」
「い、いまをかがやき!」
「みらいをてらせ!」
「せーの!」
「「「きらめけ! あいのめもりー!」」」

 杏奈最初微妙にどもったよね!?
 絶対剣重いよね!?
 つい心の中でそう思っていた時、アムールパンデュールがさらに強く輝き始めた。
 その標準をワスレールに合わせ、三人はまた同時に叫んだ。

「せーの!」
「「「ぷりきゅあ! めもりあるれぼりゅーしょん!」」」

 そう叫んだ瞬間、極太の光がワスレールを包み込む。
 やがてワスレールが浄化され、消えていった。

「クッ……次こそは……!」

 シーフはそう呟くと、消えていった。
 すると浄化されたワスレールから光が杏奈達に流れ、彼女達の体を包み込む。
 その光が晴れると、そこには、元の姿に戻った杏奈達がいた。


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