二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.169 )
日時: 2018/01/01 17:26
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第26話「星華の友達?青い海と友情を!」3

「えっと、私の同じクラスの、水野 真凛まりんちゃんです」
「み、水野真凛です……」

 ふむ……まりりんだな。
 まりりんはオドオドした様子で、ペコッと頭を下げた。
 すると、セッチーは私達を手で示した。

「あ、こちらは私の姉の後宮月乃……で、友達の今行杏奈さんと、前原瑞樹さん」
「星華の姉の後宮月乃です。妹がいつもお世話になってます」
「い、いえいえそんな……」
「今行杏奈です。よろしく、真凛ちゃん」
「私が前原瑞樹。好きなように呼んで良いよ。まりりん」
「ま、まりりん……?」

 いきなりあだ名で呼んだからか、困惑した表情を浮かべるまりりん。
 すると、代表するようにセッチーがまりりんに聞いた。

「えっと……水野さんは、なんでここに……?」
「えっ、あ、えっと……実は、ここの海の家、私の叔父さんが経営していて……だから、その手伝いに来てて……」
「あー……なるほど」

 納得するセッチーを見つめるまりりんの目に、何やら熱が籠っているような気がする。
 これは……あれだな。
 セッチーに友達が出来るチャンスじゃん。

「……じゃあ、同い年は同い年同士で遊んだ方が良いでしょ」
「へ……!?」
「いや、でも……叔父さんの手伝いが……!」
「真凛。何しているんだい?」

 声がして、まりりんは慌てた様子で振り向く。
 そこには……失礼かもしれないが、冴えない感じのオジサンが立っていた。

「あ、叔父さん……なんで……」
「帰るのが遅いから迎えに来たんだ。……その人達は?」

 叔父さんの言葉に、まりりんは私達を紹介する。
 それを聞き終えた叔父さんは、「へぇ、真凛の友達……」と言ってセッチーを見た。
 それから少し間を置いて、「うん」と頷いた。

「折角の機会だ。一緒に遊んできなさい」
「えっ、でも……」
「お店は一人でもなんとかなるから。行ってらっしゃい」

 そう言って去っていく叔父さんを、まりりんはげんなりした表情で見送った。


<星華視点>

 なぜこうなったのだろう……。
 砂浜を歩きながら、私はなんとなく考える。
 隣を見ると、オドオドした様子で水野さんが付いてきている。
 そりゃあ、同い年に友達はいないけど……。
 でも、だからって、水野さんを無理矢理誘わなくてもいいのに……。

「……ねぇ、水野さん」
「は、はいぃ!?」

 私が名前を呼ぶと、裏返った声で返事をする水野さん。
 ……怖がられてる?

「……私のこと怖いの?」
「えっ? あぁ、いや、えっと……そういうつもりじゃ、ないん、だけど……」

 モジモジしながら言う水野さんに、私は「じゃあ何なんだ」と聞こうとした。
 しかし、それより前に水野さんが続けた。

「だって、後宮さんは、私なんかといるのは、嫌かな……って」
「……何それ?」

 つい聞き返すと、水野さんは「うぅ……」と声を漏らす。

「だ、だって……後宮さん、芸能人だし……私みたいな一般人といるのは嫌かと……」
「えぇっと……別に芸能人だからって、そんなことは全然思ってないよ」
「え……そうなの?」

 水野さんの質問に、私は頷く。
 すると水野さんはしばらくポカンとした後で、クスッと笑った。

「なんだ……皆が言ってることと違うや」
「皆が……言ってること?」
「あ、えっと……皆、後宮さんは、私達と住む世界が違うから、私達と話しかけられても迷惑だって……」
「……あー……」

 まぁ、そういう風潮があるだろうな、とは予想していた。
 だから、遠巻きにされているのだろう、と。
 しかし、水野さんは笑って、続けた。

「でも、そういうの気にしないんだ……なんか、後宮さんへの印象変わったかも」
「どういうイメージ持っていたの?」
「えっ……とぉ……」

 引きつった笑みで目を逸らす水野さんに、私はため息をつく。
 すると水野さんも、安心した様子で笑った。
 なんていうんだろう、杏奈さん達と話すのとは、また違った感じ。
 同い年の友人なんて小学生四年生以来だから、すごく久しぶりに感じる。
 あとは、最近年上の人とばかり仲良くしていたし。
 これが、同い年の友達ってやつ……なのかな。
 私は少し笑い、水野さんの手を取る。

「わ……後宮さん?」
「水野さん。折角なんだし、海で少し泳ごうよ!」
「え、急に何を……!?」
「良いから! ホラ!」

 私はそう急かしながら、水野さんの手を引いた。
 同い年との距離の縮め方なんて、分からない。
 ただ、私は私の方法で……友達を作れば良い。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.170 )
日時: 2018/01/01 21:13
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第26話「星華の友達?青い海と友情を!」4

「ぷはぁッ……」

 岩に手をつき、私は海水から顔を出す。
 すでにそこには水野さんがいて、私を見てパチパチと拍手をしていた。

「水野さんって、泳ぐの速いんだねぇ……運動苦手そうなイメージがあった」
「ん……運動は好きじゃないけど、泳ぐのは好きだよ。毎年叔父さんの手伝いで来てるし」
「なるほどねぇ……」

 水野さんの意外な一面に、私はそんな風に声を漏らした。
 かれこれ一時間くらい二人で遊んでいる間に、大分私達の距離は縮まったと思う。
 お互い気兼ねなく話すことも出来るし、ぎこちなさも無くなった気がする。
 だからこそ、私には新たな課題が出て来た。

 いつ名前で呼べば良い?

 改めて思うと、杏奈さんや瑞樹さんの時は、それなりの区切りみたいなのがあった。
 しかし、こう、水野さんのようにグダグダ仲良くなってしまうと、急に名前呼びが出来ないのだ。
 友達同士で苗字にさん付けは他所他所しいし、できれば名前で呼びたいところだけど……。

「星華~! 真凛~! お昼ご飯にするから戻っておいで~!」

 その時、お姉ちゃんからの呼び出しがあった。
 私達は海から上がり、お姉ちゃん達について行く。
 すると、瑞樹さんが私と水野さんを交互に見て、ニヤリと笑った。

「セッチー。ついにぼっち卒業出来そう?」
「そういう言い方はやめてください」
「星華ちゃん、同じクラスに友達が出来て良かったねっ」

 無邪気な笑顔で言う杏奈さんに、私は強く言い返すことが出来なかった。
 その時、腕を引かれた。

「……?」

 見てみると、それは水野さんだった。
 彼女は顔を赤らめ、モジモジしていた。

「あ、あの……後宮さ……」

 水野さんが何か言い出そうとした時だった。
 世界が白黒に染まり、停止したのは。

「さぁ……お楽しみの時間はここまでですよ」
「「「……!」」」

 顔を上げると、そこには腕にメモリアを纏わせているセフトの姿があった。

「セフト……!」
「この季節の海はメモリアで溢れていますからね。素晴らしいものです」

 そう言って不敵な笑みを浮かべるセフト。
 それに、私は止まった状態のお姉ちゃんと水野さんを見る。

「ディープエアインネルング!」

 しかしその時、セフトがそう言ってメモリアを振るう。
 その瞬間、黒いメモリアの塊が出来て、サーフボードの見た目をしたワスレールになる。
 それに私達はラブメモリーウォッチを構えた。

「行くよ! 皆!」
「オーケイ! 杏!」
「ハイ!」
「「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.171 )
日時: 2018/01/01 23:36
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第26話「星華の友達?青い海と友情を!」5

「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」」
「「「メモリアルプリキュア!」」」

 名乗りを終え、私はすぐに胸元のラブメモリーウォッチにレモン色の針を嵌め込み、回転させる。
 フューチャーレイピアを取り出し、私は構える。

「一気に行きますよ……二人とも!」
「え、うん!」

 驚いた様子で反応しつつアデッソソードを取り出すアデッソに、パーストがフッと笑う。

「どうした? フューチャー。いつもよりやる気じゃん」
「……別に。いつも通りじゃないですか?」
「ううん。フューチャー、今一番やる気満々だよ!」

 アデッソの言葉に、私はチラッと水野さんを見た。
 白黒に染まり停止した世界。
 そんな中で、世界と共に止まる水野さん。
 私は彼女に近づき、指でソッと彼女の頬を撫でた。

「……確かに、そうかもしれませんね」

 そう答え、私はフューチャーレイピアを構える。
 細い刃をワスレールに向け、私は続ける。

「私は……新しく出来た友達を、守りたい!」
「へぇ……貴方は彼女を守りたいのですか」

 そう言ってニヤリと笑うセフトに、私はレイピアを握る手を強くする。
 するとワスレールは雄叫びをあげ、その長い体を振るって攻撃をしてくる。
 私はそれをレイピアで受け止め、水野さんに当たらないようにいなす。

「そんなに大事なら、守って見せなさい」
「グッ……クッ……」

 レイピアを支える手が震え、ワスレールとせめぎ合う度にカタカタと震える。
 このままでは、私ごと……水野さんが……!
 確かに、このワスレールを倒せばこの世界は修復され、水野さんも元に戻る。
 でも、そういう問題ではない。
 水野さんを傷つけるという行為そのものが、嫌なのだ。

「でも、この、ままじゃ……!」
「大丈夫」

 その時、背後から声がした。
 振り向くより先に、桜色の刃がワスレールにぶつかる。
 隣を見ると、アデッソソードを持ったアデッソが立っていた。

「アデッソ!」
「私もいるよ!」

 そう叫び、私を挟む形で、青い剣……パーストソードがワスレールを斬る。
 顔を上げると、パーストがニカッと笑った。

「折角のフューチャーぼっち卒業記念日なのに、ワスレールなんかに、台無しにされてたまるかよ!」
「パースト……!」
「そうだね。それに、折角の海だもん……さっさと倒して、もっと目いっぱい楽しもう!」

 アデッソの言葉に私は頷き、さらに剣に力を込める。
 やがてワスレールを弾き、斬り伏せる。

「「フューチャー!」」
「ハイ!」

 私は頷き、胸元のラブメモリーウォッチから針を外し、フューチャーレイピアに嵌める。
 それから針を回転させ、私はレイピアを構えた。

「未来を照らす大いなる希望! フューチャーレイピア!」

 そう叫んでから、剣で円を描く。
 円の中で星を描き、レイピアを横に構えてその光を纏わせる。
 そして、私は叫んだ。

「プリキュア! フューチャーエスペランス!」

 叫び、私は目の前の空間を両断する。
 すると一筋の光がワスレールに飛び、空中でワスレールの体を停止させた。
 私はワスレールに背を向け、回転し続ける針を停止させた。
 背後から爆発音が聴こえ、ワスレールが浄化されたことを知った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.172 )
日時: 2018/01/03 14:11
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第26話「星華の友達?青い海と友情を!」6

 昼食は水野さんの海の家で食べることにした。
 メニューでそれぞれ注文をしてから、私達は机でだらける。

「ははっ……午前中だけで疲れた?」
「そりゃあ色々やったからね~……でも、お昼ご飯を食べて回復するぞ~!」

 紫音さんの言葉に、瑞樹さんはそう言って拳を握り締める。
 それにお姉ちゃんが笑い、紫音さんを見た。

「紫音さん達は別行動でしたけど、何してたんですか?」

 お姉ちゃんの言葉に、紫音さんは無言で水を飲む。
 不思議に思っていると、紫音さんの隣に座っていた風斗さんがクスクスと笑った。

「紫音ってば、女の子達に凄い声掛けられたから不機嫌なんだよ」
「そう言う風斗だって、僕と一緒にいたんだから、同じくらい声掛けられてただろ」
「俺は別に嫌じゃなかったよ。紫音と一緒にいるだけで楽しかったから」

 風斗さんが悪戯っぽく笑いながら言う言葉に、紫音さんは呆れた様子でため息をついた。
 それに、瑞樹さんがケラケラと笑った。

「いやぁ、兄貴はモテるからねぇ」
「ホント……僕の何が良いんだか……」

 そうため息をつき、頬杖をつく。
 ……その顔じゃないでしょうか。
 風斗さんと紫音さんの顔は、どこぞのアイドルなんかより整っていると思う。
 あと紫音さんは性格も凄く良くて、海の家に着いたらすごく丁寧にエスコートされた。
 気配りが出来て顔も良い……あと、確かピアノも弾けるんだっけ?
 モテない方がおかしいと思うな~。

「しっかし、まりりんも午後からはまたお仕事かぁ。セッチー、ぼっちに逆戻り~」

 紫音さんへの考察をしていた時、瑞樹さんが悪戯っぽく笑いながらそう言ってきた。
 さりげない話題逸らしなのかもしれないが、逸らす話題が私に対して酷すぎる。

「だからその言い方は止めてください。……水野さんにも用事があるし、杏奈さん達がいるから良いですよ」
「……そういえばさ、セッチーとぼっちってなんか響き似てるよね」
「杏奈さん!?」

 真面目な顔で杏奈さんが放った一言に、私は反応する。
 すると瑞樹さんも真面目な顔で「確かに!」と答える。
 確かにじゃない!

「セッチーとボッチー……うん。似てるわ、これ」
「そういうくだらないことに気付かないで良いですから……」
「つまりこの法則で行くとツッキーはボッk」
「お待たせしました~」

 瑞樹さんが何やらアウト発言をしようとしたところで、水野さんが注文したものを持ってくる。
 私達は合計六人いるけど、六人分の料理を一人で運んで来た。
 中にはラーメンとかもあるのに……凄いなぁ……。

「お疲れ様。手伝うよ」

 そう言って立ち上がり、水野さんが持っているお盆を一つ受け取る紫音さん。
 ホラすぐそうやって女の子をたぶらかす~。
 私はため息をつき、水を飲んだ。

「あの、カレーライスの人は……」
「あ、私」

 水野さんの言葉に、私は軽く手を挙げた。
 すると水野さんは嬉しそうに笑い、カレーライスを私の前に置いた。

「ハイ、後宮さん」
「ん……ありがと」

 私の言葉に、水野さんは嬉しそうに笑った。
 それから、突如顔を赤らめ、モジモジし始める。

「あ、あのね、後宮さん……実は、さっき言おうと思ったことなんだけど、その……」
「……? どうしたの?」

 私が聞くと、水野さんはさらに顔を赤らめる。
 それから手をエプロンのポケットに入れ、スマホを取り出した。

「め、迷惑じゃなかったら、その……私と、連絡先交換してください!」

 水野さんの言葉に、私はポカンと口を開けて固まった。
 彼女はそのまま俯き、プシューと音がしそうなくらい顔を赤くする。
 私はポリポリと自分の頬を掻き、それから笑って見せる。

「えっと……私の方こそ、喜んで」

 私の言葉に、水野さんはパァァァと目を輝かせる。
 それから私もスマホを取り出し、二人でLIMEを交換する。
 やがて水野さんは目を潤ませ、ニコッと笑った。

「ありがとう! これからもよろしくね、星華ちゃん!」
「うん……え、星華って……」

 突然名前を呼ばれ、つい反応する。
 すると水野さんも気付いた様子で、両手をブンブンと振りながら慌て始める。

「あ、いや、あの、心の中で勝手にそう呼んでて、それが出ちゃって、あの、その……!」
「あはは、良いよ。気にしてないから」

 私が笑いながら答えると、水野さんはホッと息をつく。
 だから私は笑い、続けた。

「こちらこそよろしく、真凛」
「星華ちゃん……んっ!」

 頷く真凛に、私も笑った。
 今年の夏、私に、三年ぶりに友達が出来ました。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.173 )
日時: 2018/01/03 17:04
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第27話「杏奈の故郷の夏祭り!?夜空に輝け火の花よ!」1

<杏奈視点>

「んぅ……」

 重たい瞼を開くと、向かい側の席で星華ちゃんと月乃ちゃんが話しているのが見えた。
 ぼんやりしていると、星華ちゃんが私を見て「あっ」と声をあげた。

「杏奈さん。目を覚ましましたか?」
「え? うん……」

 寝起きのせいで頭が回らない。
 そういえば、私今何かに寄りかかっているような……。
 そう思って首を動かして見ると、そこでは窓の外を見ている瑞樹ちゃんの姿があった。

「ふぎゃ!?」

 変な声をあげながら瑞樹ちゃんから離れると、瑞樹ちゃんは「猫か」と言って笑う。
 それに私は髪を手櫛で整えながら「だってぇ……」と抗議する。
 そんな私を見て、星華ちゃんと月乃ちゃんはクスクスと笑った。

「そんなに眠かったんですか? 杏奈さん」
「いや、ちゃんと寝て来たんだけどなぁ……瑞樹ちゃんの隣だと、つい安心しちゃって……」
「……そういえば、好きな人の隣だと安心して眠くなるって聞いたことが……」

 月乃ちゃんの言葉に、私は「えっ!?」と言って瑞樹ちゃんを見る。
 瑞樹ちゃんもギョッとして「ちょ、ちょっとツッキー!」と窘める。
 すると月乃ちゃんはケラケラと快活に笑った。

「冗談だよ、冗談。まー、友達同士でも安心はするでしょ」
「全く……もし瑞樹さんの隣で寝ちゃうなら、その……私の隣で、寝ますか……?」

 顔を赤らめながら言う星華ちゃん。
 星華ちゃんの隣かぁ……それもアリかも?
 そう思っていると、瑞樹ちゃんがムスッとした表情で私の腕を抱いた。

「ダーメ。杏は私のだから」
「ちょ、瑞樹ちゃっ……」
「えー瑞樹さんばっかりずるい~。たまには私も杏奈さんの隣が良い~」

 頬を膨らませ抗議する星華ちゃんに、瑞樹ちゃんは「ダメ~」と悪戯っぽく笑いながら言う。
 謎の喧嘩が始まり、私は助けを乞うように月乃ちゃんを見た。
 月乃ちゃんは笑顔で拳を握り締める。
 なんか、言葉にはしていないけど「頑張って」って言われてる気がする。
 無理だよ!
 私が小さく首を横に振ると、月乃ちゃんは困ったような笑みを浮かべ息をついた。

「……そういえば話変わるけど、なんで今日は浴衣持ってこいって言ったの?」

 私の意図を察した月乃ちゃんの言葉に、瑞樹ちゃんと星華ちゃんも「そういえば」と私を見る。
 うんうん、ナイスパスだよ月乃ちゃん。

「えっとね、実は今日は私の故郷で……」

『次は~、今別駅~。今別駅~』

 私が説明しようとした時、ちょうど目的地に着くことを知らせるアナウンスが鳴った。
 それに私は慌てて荷物を纏め、立ち上がる。

「え、ちょ、杏奈さん!」
「続きは……着いたら分かるよ! ホラ、早く早く!」

 私の言葉に、皆が慌てて荷物を持つ。
 それから電車から出て、改札口を抜けてホームに出る。

「杏奈~!」

 光輝君の声がして、私は顔を上げる。
 そこには、いつもの皆が待ち構えていた。

「な、なんか増えてる……」

 駆け寄った瞬間、歩美ちゃんがそう言って京子ちゃんの背中に隠れる。
 それに私は立ち止まり、後ろから付いてきている三人を見る。
 瑞樹ちゃんはともかく、星華ちゃんや月乃ちゃんまでいる。
 なるほど……確かに前より増えている。

「ていうか杏奈、その子……人気モデルの後宮星華じゃん!?」
「あ、そうそう今行~。前雑誌に今行に似た子が載ってたんだけどさぁ」

 そう言って夏美ちゃんが見せてくれたのは、前に星華ちゃんの撮影に付き合った時に流れで一緒に撮った写真が載ったものだった。
 服装の関係で髪も下ろしたりしてるし、パッと見バレないと思っていたんだけどなぁ。
 まぁ、流石に顔見知りには見破られるよね。

「あはは……まぁ、色々紆余曲折ありまして……」
「ほほう? それは聞かないといけないですねぇ」

 京子ちゃんがそう言ってニヤニヤと笑い肩を組んで来た。
 それに夏美ちゃんも目を輝かせながら頷いてくる。
 これから質問攻めに遭う予感しかしない。
 けど、それはそれで楽しそうで、私は自分の表情が緩んでいるのを自覚していた。


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