二次創作小説(新・総合)
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.179 )
- 日時: 2018/01/06 00:03
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第28話「真夏の夜の肝試し!セフトと星華まさかの接近!?」1
<杏奈視点>
インターフォンを鳴らすと、「はぁい」という声がして、中から紫音さんが出て来た。
紫音さんは私を見てから、私の後ろにいる星華ちゃんと月乃ちゃんを見て「おっ」と驚いたような顔をした。
「杏奈ちゃんはともかく……二人は?」
「えっと、私と瑞樹ちゃんの友達の……」
「後宮月乃です。こっちは、妹の後宮星華」
「あ、後宮星華、です……」
二人の挨拶に、紫音さんが「へぇ」と言って顔を綻ばせた。
「ようこそ。初めまして、僕は前原紫音。瑞樹の兄です。妹は今……」
「あ、杏達、来たんだ!」
「瑞樹ちゃん!」
私が名前を呼ぶと、瑞樹ちゃんは笑って手を振る。
それに紫音さんは笑い、道を空けた。
「ここで長話をしてもアレだね。どうぞ」
「ハイ。……あっ、その前に」
私はそう言いつつ、持っていた紙袋の中に手を入れた。
それから、私の故郷である今別町のお土産の饅頭を渡した。
「ハイ、これ。この前故郷に帰った時に買ったので、良かったら」
「おぉ。ありがとう」
「え、なんで杏が兄貴にお土産を……」
驚いたような声で言う瑞樹ちゃんに、私は首を傾げる。
すると、紫音さんが苦笑した。
「ははっ……実は、瑞樹もお土産を買って来てくれたんだ。これとは別の物をね」
「えっ、瑞樹ちゃん、紫音さんにはお土産あげないって……」
私の言葉に、瑞樹ちゃんは顔を赤らめた。
それから腕を組み、プイッと顔を背けた。
「わ、悪い? だって……なんか、恥ずかしかったかコッソリ……って、別に良いでしょ!?」
瑞樹ちゃんの言葉に、私達はニマニマと笑って見せる。
すると瑞樹ちゃんはさらに顔を真っ赤にして、不満げな表情をする。
しかし、そろそろ暑くなってきたし、さっさと目的を果たそう。
「では、そういうことなので、上がらせて頂きます」
「あぁ、うん。遠慮なく上がって行ってね」
紫音さんの言葉に私達は会釈し、家に上がる。
瑞樹ちゃんの部屋に上がり、床に腰を下ろす。
「しかし、まさか瑞樹が紫音さんにお土産を買っていたとはね~」
「なっ、まだその話引っ張る!?」
「まぁまぁ。本題に入るまでのちょっとした雑談ですよ。で、何を買ったんですか?」
未だに悪乗りをする後宮姉妹に、瑞樹ちゃんは不機嫌そうにしながらも「チョコレートの詰め合わせ」と答えた。
しかし二人の反応を見るより前にテーブルをバンッと叩き、「それよりも!」と言って私を見る。
「杏。急に集合しようなんて言い始めて、どうしたの?」
「あ、うん。……今日は、皆に相談したいことがあって」
私の言葉に、全員の顔が引き締まる。
それに私はホッと息をつき、話しだす。
「……シーフちゃんのことなんだけど……」
私の言葉に、瑞樹ちゃんと星華ちゃんの顔が強張る。
月乃ちゃんはそこまで反応がなく、しかし、真剣な表情で私を見てくれる。
それに私はホッとして、続ける。
「……あのさ、シーフちゃんは、私に離れたくないって……ずっと一緒にいてほしいって、言ってきたんだ。あれは、きっと本心からの言葉だったと思う。私、あれから色々考えたんだ。シーフちゃんは敵だけど、でも、悪い子ではないと思うの。……本当は、寂しがり屋な子だと思う。一回会っただけで偉そうなことは言えないけど、でも……私は、シーフちゃんを一人にしたくない」
言葉がまとまらないし、長くなった。
けど、皆嫌な顔せずに、聞いてくれた。
私の言葉が終わったのを察したのか、まず口を開いたのは、瑞樹ちゃんだった。
「……正直、シーフの狙いは、今のところ杏だと思う」
「……えっ、そうなの?」
私が聞き返すと、瑞樹ちゃんは苦笑いをした。
しかしすぐに優しい笑みになって、頬杖をついて私を見た。
「杏らしいや。……だからさ、シーフのことは杏に任せても良いと思うよ」
「私も同感です。杏奈さんは優しいから、シーフにトドメは刺せなさそうですが。……でも、杏奈さんが選んだ答えなら、それはそれでありだと思いますから」
「瑞樹ちゃん……星華ちゃん……」
私はそう呟いて、月乃ちゃんに視線を向けた。
すると月乃ちゃんは笑って肩を竦めた。
「私は変身出来ない部外者だから、偉そうなことは言えないんじゃない? ……でも、ま、敵を倒すだけが全部じゃないしね。改心ってのも、一つの答えだよね」
「月乃ちゃん……リコルンは、どう思う?」
私の言葉に、星華ちゃんに抱かれていたリコルンは少し考える。
それから星華ちゃんの腕の中から出てテーブルの上に立ち、腰? に手を当てて私を見る。
「正直、リコルンは、ロブメモワールの奴等が改心するなんて思わないリコ」
「あのさぁリコル……」
「でも、絶対に不可能とは言えないし、実際、皆は絶対に倒せないと思っていた月乃のワスレールを倒したリコ! だから、きっとシーフの気持ちを変えることも出来るかもしれないリコ!」
リコルンの言葉に、私は胸が熱くなった。
それから皆に「ありがとう」と答えた。
「……でもさ、戦わずに解決するなら、シーフだけじゃなくて、セフトとかあの……青い髪の……」
「バーグラーリコ?」
「そ。そいつ等も改心してくれれば良いんだけどね」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は頷きながら同意する。
確かに、戦わなくて済むなら、その方が良い。
けど……。
「せめて、あの二人とかとも、もっと話す機会があれば……」
ピンポーン。
私がそこまで言った時、チャイムが鳴った。
それに、私達は顔を上げる。
「何だろう……宅配便かな?」
「さぁ……ちょっと見てみる?」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は「なんで!?」と聞き返した。
しかしその間に瑞樹ちゃんは立ち上がり、部屋を出て行く。
どうせ宅配便とかだと思うんだけどなぁ……と思いつつ、私達も付いて行ってみる。
だが、その私の予想は、階段を下りる途中から聴こえ始めた話し声によって裏切られる。
「え、お客さん?」
「兄貴の……もしや彼女か!?」
「いや、男の人の声っぽいですが……」
星華ちゃんの言葉に瑞樹ちゃんはムッとしつつ、リビングの扉を少し開けて中を覗く。
そして、中にいる人影を見て、一気に扉を開けた。
「ちょっ、瑞樹ちゃ……!」
「あれ、瑞樹ちゃんに杏奈ちゃんに……おぉ、勢ぞろいだね」
そう言ってチョコレートを食べて微笑むのは、紫音さんの友達の風斗さんだった。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.180 )
- 日時: 2018/01/06 20:41
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第28話「真夏の夜の肝試し!セフトと星華まさかの接近!?」2
「風斗さん、なんでここに?」
「僕が呼んだんだよ。瑞樹と杏奈ちゃんのお土産、僕一人じゃ食べきれないから」
私の問いにそう言って笑みを浮かべる紫音さん。
それに、風斗さんは「そうそう」と言ってまんじゅうを摘まみ、口に入れる。
しばらく咀嚼してから飲み込み、続ける。
「ま、俺は残飯処理班ってわけ」
「残飯ではないけど……賞味期限とかあるしさ」
紫音さんの言葉に、私は「なるほど」と呟いた。
その間に風斗さんはチョコレートを食べ「んんッ」と声を漏らした。
「それにしても、杏奈ちゃんの故郷の夏祭りは中々興味深いね。俺も行きたかったな」
「いやいや、中学生しかいないし、二人が楽しめないでしょ」
「そんなことないよ~。俺は紫音がいれば充分楽しい」
瑞樹ちゃんの言葉に、悪戯っぽく笑いながら言う風斗さん。
それに紫音が「何だよそれ」と言って饅頭を食べた。
「でもさ、夏祭りって良いよね。夏っぽくて。時見町でも夏祭りがあったらしいけど、紫音が誘ってくれなくて~」
「……なんで僕が風斗を誘わないといけないんだよ?」
紫音さんの言葉に、風斗さんは不満そうな顔をした。
偶然か否か、私の故郷と時見町の夏祭りの日が被ったので、故郷の夏祭りを優先した。
瑞樹ちゃん曰く、紫音さんはそもそも夏祭りを好まないらしい。
人が多いところは嫌いなんだって。
「でもさ、折角だから何か夏らしいことしたいよな~」
「夏らしいことって……そんな大雑把な……」
紫音さんが困ったような表情で呟く。
それに、私は腕を組んで考えてから「そうだっ」と呟く。
「あの、皆が良かったらなんだけど……」
<星華視点>
「夏らしいことイコール肝試しって……どういう思考回路してるんですか」
私がそう聞いてみると、杏奈さんは「ごめんごめん」と言って笑う。
それに私はため息をつき、風斗さんを見た。
風斗さんはワクワクしている様子で、自分の顔を下から懐中電灯で照らして紫音さんに顔を向けていた。
しかし紫音さんはそれに呆れた様子でため息をついている。
風斗さんって、ホント、陽気な人だなぁ。
「えっと、ルート確認だけど、この林を抜けた先にある神社でお参りをして戻って来る。……だっけ?」
お姉ちゃんの言葉に、瑞樹さんは頷く。
それからスマホで地図機能を開き、細かいルートをお姉ちゃんに教えていた。
さて、あとの問題は……。
「……ペアってどうするの?」
私の質問に、瑞樹さんは顔を上げる。
それから顎に手を当てて考え、フッと今いるメンバーを見る。
「……まぁ、今のメンバーだと、私と杏、兄貴と風斗さん、それから……ツッキー&セッチーが無難じゃない?」
「私達だけ何かのコンビ名か何かですか? っていうか、それ、瑞樹さんが杏奈さんと組みたいだけなんじゃ?」
「いや、そういうんじゃ……」
反論する瑞樹さんに、私はジト目を向ける。
すると、会話を聞いていた風斗さんが、「え~」と抗議してくる。
……え? 抗議?
「風斗さん?」
「俺的には、折角勢揃いしてるんだし、紫音以外とももっと話してみたいなぁ……って、思ったんだけど」
風斗さんの言葉に、瑞樹さんは「ふむ……」と言って考えた。
すると、ずっと沈黙していた紫音さんが、静かに手を挙げた。
「あのさ……じゃあ、話し合いとかじゃなくて、運で決めない?」
「運?」
「あぁ。それこそ、ジャンケンとかくじ引きとか。……ダメかな?」
紫音さんの言葉に、私達は顔を見合わせた。
運、か……。
「ん……俺は紫音に賛成」
先に同意したのは、風斗さんだった。
彼の言葉に、私達も同意した。
それから、全人数は六人なので、グーチョキパーでグループ分けをすることにした。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.181 )
- 日時: 2018/01/06 23:28
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第28話「真夏の夜の肝試し!セフトと星華まさかの接近!?」3
<杏奈視点>
「それじゃあよろしくお願いします。紫音さん」
「あぁ。よろしく、杏奈ちゃん」
そう言って微笑む紫音さんに、私も笑う。
他の二ペアとジャンケンをして、私達が一番に行くことになった。
紫音さんが懐中電灯を持ち、前を照らす。
まず、今回の肝試しの舞台は裏山だ。
林の中にある道を抜け、突き当りにある神社でお参りをして帰る。
この際、帰る道はまた別の道を使う。
肝試しの道筋を思い出していた時、突然、ガサガサと林から音がした。
「ひゃ……!?」
「ん?」
咄嗟に飛びのくと、紫音さんが、音がした方に懐中電灯を向ける。
どうやら音の正体はカラスだったようで、少しして夜空にカラスのような影が飛び立つのが分かった。
それにぼんやりしていると、紫音さんがクスクスと笑った。
「大丈夫。本物のお化けなんていないからさ」
「紫音さん……そういうロマンの無いこと言うのやめましょう?」
私の言葉に、紫音さんは「そう言われてもなぁ」と言って頭を掻いた。
紫音さんと二人きりというのは、何気に初めてだ。
折角だし、色々話を出来たらな、と思った。
<瑞樹視点>
「じゃ、二番目。いこっか」
私の言葉にツッキーは頷き、懐中電灯を点けた。
それから夜の林を歩き出す。
前の方を照らしながら、ツッキーは口を開く。
「それにしても、瑞樹と二人きりだと、なんか緊張するな~」
「はぁ? 何それ」
「いや……私の中でのイメージは、星華を苛めてた印象が強いからさ」
「……あー……」
ツッキーの言葉に、私は納得する。
確かに、あの頃はセッチーに色々言ってたからなぁ。
「あの時は妹さんに大変失礼なことを……」
「何急にかしこまってんの」
そう言って笑うツッキーに、私は先ほどの発言が冗談だったことを知る。
すると、なんだか恥ずかしくなって、私は頬をポリポリと掻いた。
「なんか、ツッキーと二人で話すの初めてだから、変な感じするね」
「そうだね。中々二人きりなんて機会無かったし。ま、いつも通りで良いよね」
そう言って笑うツッキーに、私は頷いた。
ま、二人きりになったことないとはいえ、普段からよく話すしね。
いつも通りで良いか。
<星華視点>
「……じゃ、行こうか」
そう言って微笑む風斗さんに、私は頷いた。
まさか、よりによって風斗さんと組むことになるだなんて。
いや、風斗さんのあまり絡んだことない人と組むっていう目的は果たせている。
だからって年上と二人きりは……って、よく考えたらこのメンバー全員年上だ。
でも、プリキュアとしての知り合いである杏奈さんや瑞樹さんとは、すでに大分気心は知れている。
お姉ちゃんはそもそも身内だし……。
あと、紫音さんと風斗さんは高校生だ。中学二年生と高校二年生はまた別だ。
「……星華ちゃん、だよね?」
「は、はい……」
「星華ちゃんってさぁ……」
風斗さんがそこまで言った時、周りの空気が変わったような気がした。
ザワザワと周りの林が風で揺れ、音を立てる。
そんな中、前を照らす風斗さんは私に視線を向け、フッと微笑んだ。
「……杏奈ちゃん達とは、どういう関係なの?」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.182 )
- 日時: 2018/01/07 15:10
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第28話「真夏の夜の肝試し!セフトと星華まさかの接近!?」4
「……杏奈ちゃん達とは、どういう関係なの?」
懐中電灯の灯りが、こちらを見て微笑む風斗さんの顔を不気味に照らす。
それに対し、私は答えられない。
静寂が辺りを支配し、自分の鼓動だけが耳に付く。
……ダメだ。間を空けるな。
その言葉が頭の中で響く。
私はすぐに気持ちを取り直し、口を開いた。
「どういうって……友達ですよ。あ、そりゃあ、学年は違いますけど……」
「あぁ、そうだね。じゃあ少し質問を変えようか」
風斗さんはそう言って私に近づき、少し屈んで私と視線を合わせ微笑む。
そして……――
「星華ちゃんは杏奈ちゃん達と、どういう風に知り合ったの?」
――……そう言った。
この男は、なぜここまで私に聞いてくる?
私の表情からその疑問を察したのか、風斗さんは私から距離を取り、歩き出す。
慌てて彼の隣に並び歩いていると、彼が口を開いた。
「俺と紫音が出会ったのは五月。その時期に紫音の家に遊びに行った時に、杏奈ちゃんと瑞樹ちゃんには出会った。……その際、紫音からは、星華ちゃんや月乃ちゃんの話は聞かなかった」
「……」
「しかし、今ではごく普通に杏奈ちゃん達の隣にいる。……ねぇ、星華ちゃん」
目の前に神社が見えてきた時、風斗さんはそう言って私を見た。
それに、私は彼の目を見ることが出来ない。
心臓がバクバクと音を立てて、動揺を表情に出さないようにするだけで精一杯。
すると風斗さんは私の肩を抱き、耳を寄せて来た。
「星華ちゃんはさ……どーやって杏奈ちゃんと仲良くなったの?」
「……あ、あの!」
私は咄嗟に声を出し、風斗さんの腕を振り払う。
それからある程度の距離を取り、私は息をつく。
「ははっ、どうしたの? 男の人に触れられて緊張しちゃった?」
「そういうんじゃ……!」
「それとも……杏奈ちゃん達とのことは、聞かれたくない?」
そう言ってニヤリと笑う風斗さんに、私は腹を括る。
このまま風斗さんに怪しまれたままでいるわけにはいかない。
なんとか嘘をついて、誤魔化そう。
「は、はい……聞かれたくは、ないです……姉のプライバシーに関わることなので……」
「……お姉さん……って、月乃ちゃん?」
風斗さんの言葉に、私は頷く。
前に、杏奈さんを同じように問い詰めた時、彼女は上手く私を躱した。
あの時の嘘は中々上手だったのでどんな風にあの嘘を考えたのか聞いた時に、杏奈さんは恥ずかしそうに笑いながら答えたのだ。
『あのね、全くの嘘をつくと人は信じないの。九割本当のことを言って。その中に一割の真実を混ぜる。……って、こんなの後輩に教えるのもどうかと思うけどさ』
九割本当のことを言って……一割は、真実を混ぜる。
私は顔を上げ、続けた。
「実は、私の姉、つい最近まで“事故”で意識不明で……でも、“奇跡的”に目を覚まして。それで、“元々瑞樹さんと月乃さんが顔見知り”で、杏奈さんと一緒にお見舞いに来たり、勉強を教えたりしに来たんです。その際に何度か顔を合わせていたので、私も仲良くしてもらったんです」
一度嘘さえ考えれば、割とすぐに口はスラスラと動いた。
一割どころか二割、三割くらい嘘が混ざっていたようだが……気にしない。
私の言葉に、風斗さんはしばらくポカンと呆けたような顔をした後で、微笑んだ。
「なんだ、そういうことか。ごめんね? お姉さんが意識不明だったことなんて、話したくなかっただろうに」
「いえいえ。確かに、急に仲良くなった部分があったので、違和感はありましたよね。私の方こそ、気が利かなくて……」
私の言葉に、風斗さんは微笑む。
それから懐中電灯を持ちなお……そうとして、懐中電灯を落とした。
「危なっ……!」
咄嗟に拾おうとした瞬間、懐中電灯の光が黄色からグレーになった。
まさか、これは記憶世界との結合!?
よりによって今!?
街灯なども無い林の中のせいで、辺りが真っ暗闇だ。
風斗さんがいるのかどうかも視認できない。
「お友達と楽しく肝試しですか。やれやれ、良い御身分だことで」
「セフト……!?」
声がした方を見ると、そこには、木の枝の上でこちらを見下ろしているセフトの姿があった。
セフトは腕にメモリアを纏わせ、ニヤリと笑う。
「ディープエアインネルング!」
叫び、腕を振るう。
するとメモリアの黒い塊が出来て、それが晴れると、そこには懐中電灯のような見た目をしたワスレールがいた。
「星華ちゃん!」
「セッチー!」
そこで、杏奈さんと瑞樹さんが駆けつけてくる。
するとワスレールはすぐに飛び上がり、神社の方に向かっていく。
「な……! 杏奈さん!」
「うん! 行くよ! 皆!」
「「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.183 )
- 日時: 2018/01/07 21:05
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第28話「真夏の夜の肝試し!セフトと星華まさかの接近!?」5
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」」
「「「メモリアルプリキュア!」」」
名乗りを終えると、私達はすぐにワスレールを追って駆ける。
地面を蹴り、林を抜けて神社に出ると、すでに破壊活動を始めているワスレールが目に入った。
「はぁぁぁぁッ!」
すぐにパーストがパーストソードを取り出し、ワスレールに斬りかかる。
しかし、それより先にワスレールが振り向き、懐中電灯のライト部分を照らした。
すると眩い光が広範囲に輝き、パーストはたじろぐ。
その一瞬の隙をつき、ワスレールはパーストを攻撃した。
パーストの体は吹き飛び、地面を転がる。
「パースト!?」
「だ、大丈夫! これぐらい……!」
そう言ってパーストは起き上がる。
私達もそれぞれアデッソソードとフューチャーレイピアを取り出し、構える。
その時、ワスレールがこちらに攻撃を仕掛けて来た。
「……! はぁッ!」
カウンターを入れようと、私はレイピアを構える。
その時目前に、ワスレールのライト部分が迫ってきていることに気付く。
「しま……!?」
驚いた時には、視界一杯に光が広がる。
それに私は目を閉じ、腕を顔の前で交差した。
「フューチャー!」
その時アデッソが私の体を引き寄せ、後ろに跳ぶ。
するとワスレールが、先程私がいた場所に攻撃をするのが見えた。
私はアデッソに抱かれた状態で、ぼんやりとそれを眺めていた。
「大丈夫? フューチャー」
「だ、大丈夫です……ありがとうございます」
そう答えた時、ようやくアデッソに抱きしめられているという現状に気付く。
それに気づいた瞬間、私は自分の顔が熱くなるのを感じ、すぐにアデッソから距離を取る。
「ほえ? フューチャー?」
「あ、あああの、さ、さささっき……!」
私の言葉に、アデッソは不思議そうに首を傾げた。
恥ずかしさから私は動揺してしまい、声が震える。
その時、パーストが「危ないッ!」と言って、追撃しようとしてきていたワスレールをパーストソードで弾いた。
「フューチャー。こんな時に何考えてんの」
「私は別に……!」
「じゃあ戦いに集中しなさい!」
パーストの言葉に、私は口を噤んだ。
彼女の言うことは正論なので、反論なんて出来ない。
私の反応に、アデッソは困ったように笑ってから、先程パーストに弾かれたワスレールを見た。
「しかし、あのワスレール……どうしようか」
「あの目くらましが厄介だよね。……参ったな」
そう言って頭を掻くパーストに、私は自分の胸元にあるラブメモリーウォッチを見た。
……私は胸元だけど、二人は腕時計だよね……。
そこで私はとあることに閃き、パチンッ、と指を鳴らした。
「あの、二人共……」
私は二人を呼び寄せ、小声で先ほど思いついた作戦を話す。
作戦を聞き終えた二人は、驚いたような表情で私を見て、笑った。
「良いね、それ」
「フューチャー天才!」
アデッソに褒められ、私ははにかむ。
しかしワスレールがそろそろ攻撃してきそうだったので、早速作戦に移る。
私は二人から離れ、暗闇に紛れて様子を伺う。
そんな私に気付かず、ワスレールは二人に攻撃を仕掛けた。
そこで、二人はラブメモリーウォッチのネジを引っ張り、光を瞬かせた。
「ガァッ……!?」
それに、ワスレールは驚いたような声をあげてたじろぐ。
必殺技を発動するまでの光を使って、ワスレールに目くらましをやり返したのだ。
二人は腕時計型のラブメモリーウォッチなので、腕で自分の目を守ることが出来る。
しかし、ワスレールにはそれが出来ないので、驚いたようにたじろいで隙を作った。
「はぁぁぁぁッ!」
私はすぐに物陰から抜け出し、ワスレールをフューチャーレイピアで切り裂く。
すぐに胸元のラブメモリーウォッチからレモン色の針を外し、レイピアにはめ込み、針を回転させる。
レイピアを構え、私は叫んだ。
「未来を照らす大いなる希望! フューチャーレイピア!」
そう叫んでから、剣で円を描く。
円の中で星を描き、レイピアを横に構えてその光を纏わせる。
そして、私は叫んだ。
「プリキュア! フューチャーエスペランス!」
叫び、私は目の前の空間を両断する。
すると一筋の光がワスレールに飛び、空中でワスレールの体を停止させた。
私はワスレールに背を向け、回転し続ける針を停止させた。
背後から爆発音が聴こえ、ワスレールが浄化されたことを知った。
「クッ……次こそは……」
そう言って、セフトは去っていく。
世界が動き出す前に私達は自分達がいた所に戻った。
やがて世界に色が戻り、風斗さんも動き出す。
「あはは、懐中電灯落とすとかダッセェ……ん? 星華ちゃん何か疲れてる?」
「い、いえ……何でもないです。それより、早く行きましょう?」
私の言葉に、風斗さんはフッと小さく笑って「そうだね」と答えた。
疲れたのかと聞いた風斗さんのその笑顔の方が疲れているように感じたけれど……気のせいだろうか。
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