二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.149 )
日時: 2017/12/28 23:33
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第23話「輝け姉妹愛!感謝の気持ちを言葉に!」6

 お姉ちゃんの病室の前に立ち、私は一度深呼吸をする。
 後ろを振り向くと、杏奈さんと前原先輩がこちらを見ていた。
 私はそれにホッと一息つく。
 それから震える腕を扉に伸ばし、ノックをした。

「どうぞ」

 お姉ちゃんの言葉に、私は扉を開ける。
 すると、お姉ちゃんは嬉しそうに笑って、「星華っ」と私の名前を呼んだ。

「お姉ちゃんっ」

 私も彼女を呼び、お姉ちゃんのベッドに駆け寄った。
 直前まで感じていた雑誌の重みも、気にならなかった。

「ホラ、座りなよ。……その鞄はなぁに?」

 お姉ちゃんの言葉に、私はパイプ椅子を展開してから座り、持ってきた鞄を手に取る。

「これ? これはねぇ……」

 早速鞄を開け、私は持ってきた鞄を取り出す。
 それを見て、お姉ちゃんは「おっ」と声を発した。

「それは……星華が出てる雑誌だよね?」
「うん。お姉ちゃん、これ好きでしょ? だから」
「へぇ……あ、星華いた」

 一番昔のページを捲っていたお姉ちゃんは、そう言って嬉しそうに笑った。
 それに私も笑って、一番最近の雑誌を見せる。

「ホラ見て。これには杏奈さんもいるんだよ」
「へぇ、どれどれ……おぉ。本当だ」

 私と杏奈さんがポーズを決めている写真を見て、お姉ちゃんは声を漏らす。
 それから他にも色々な号の雑誌を見て行った。

「なんか、こうして見ると凄いねぇ……ホント、いつの間にこんなに、立派になって……」
「……あのさ、お姉ちゃん」

 私の言葉に、お姉ちゃんは顔を上げる。
 だから私は笑って、お姉ちゃんの手を握った。

「お姉ちゃんが頑張って私を支えてくれたから、私は今でもこうしてモデルを続けられている」
「星華……」
「だから、その……ありがとう。お姉ちゃん」

 そう言った瞬間、お姉ちゃんは「星華っ」と私の名前を呼んで、抱きしめてくる。
 それに私は動揺し、「ちょっ! お姉ちゃん!」と声を上げた。
 するとお姉ちゃんは体を離して、私の頭に手を置いた。

「ホント……ちょっと見ない間に、立派になったね」
「お姉ちゃん……これからは、お姉ちゃんだけに迷惑掛けないようにする。私も家事とか手伝うし、あと……今度は、私が絶対、お姉ちゃんを守る」

 私の言葉に、お姉ちゃんはしばらくキョトンとした後で、「ははっ……」と笑った。

「ホント……姉としての威厳、無さ過ぎるでしょ……」
「お姉ちゃん……?」
「星華ってば、私が寝てる間に……成長し過ぎ」

 そう言って、私の頭を撫でるお姉ちゃん。
 それに何と答えれば良いのか分からず困惑していると、お姉ちゃんは笑い、私の頭を抱き寄せた。

「こんなに立派に成長してくれて……こちらこそありがとう、星華」
「お姉ちゃん……うんっ」

 私は頷き、お姉ちゃんを抱きしめた。
 開けてある窓から風が吹き込んで、ベッドに付いたテーブルの上に置いてある雑誌のページを捲る。
 そのページを見て、私は、お姉ちゃんの腕の中で静かに笑った。
 それは、少し前にされたインタビューのページだった。

『Q:尊敬している人はいますか?』
『A:います』
『Q:誰ですか?』
『A:姉です。私の姉は、家のことをしてくれて、私のことを大切にしてくれます。私はそんなお姉ちゃんが大好きであり、憧れています。私もお姉ちゃんのような、立派な人になりたいです』

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.150 )
日時: 2017/12/29 11:29
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第24話「瑞樹の本心?瑞樹と星華初めてのおつかい!」1

---

<セフト視点>

「プリキュアが……三人に?」
「あぁ。黄色と、ピンクの青がいたぞ」

 バーグラーの言葉に、俺は顎に手を当てる。
 するとシーフが紅茶を優雅に啜ってから、こちらを見て「どういうことですの?」と聞いてくる。

「セフト……貴方はプリキュアは二人だと言っていましたわよね?」
「あぁ……キュアアデッソと、キュアパーストだけだったはず……バーグラー。そのプリキュアはどんな奴だった?」
「え? あぁ……色は黄色で、髪はサイドテールで……他二人に比べると少し小さかったな」

 その言葉に、俺の中に一人の少女の面影が浮かんだ。
 ……まさか、彼女が……?
 いや、彼女のラブメモリーウォッチは破壊したハズ……。

「……少し、お前のメモリアを覗かせてくれ」
「……? あぁ。良いぞ」

 バーグラーの言葉に、俺は「ありがとう」と答え、彼のメモリアを覗く。

『させない……私が、皆を守るんだ! プリキュア! メモリアルコンバージョン!』
『未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!』

 その部分を見た瞬間、俺は確信する。
 コイツは……旧キュアアデッソ……後宮星華……!

「セフト……コイツに見覚えがあるのか?」
「……あぁ。まぁ、ちょっとした顔見知りさ」

 俺はそう答えつつ、椅子に座る。
 そして目元を押さえ……笑った。

 今のメモリアルプリキュアほどではないが、この旧キュアアデッソにも中々苦戦を強いられたものだ。
 この三人が結託し、こちらにはバーグラーとシーフが復活した。
 俺は前髪を掻き上げ、一人笑う。

「ははっ……面白くなってきたねぇ」

 俺の呟きに、二人は身を震わせた。

---

<杏奈視点>

 あれから、無事に月乃ちゃんは退院した。
 退院してすぐに夏休みが始まったので、月乃ちゃんが正式に学校に復帰するのは二学期に入ってからだ。
 夏休みの内に眠っていた間の学力を取り戻そうという話になり、現在、後宮家で勉強会を開いている。
 会場は月乃ちゃんの部屋。
 床に直接座り、テーブルを四人で囲んでいる。
 席順は、私と星華ちゃんが隣に並んで座り、向かい側に瑞樹ちゃんと月乃ちゃんが座っている。

 この席順だって、適当に決めたわけではない。
 月乃ちゃんに勉強を教えるに当たって、やはり隣と向かい側を私達二年生組が囲んだ方が教えやすい。
 だから、姉妹並んで座るというわけにもいかない。
 ただ、この基準で行けば、私と月乃ちゃん&瑞樹ちゃんと星華ちゃんでも良いわけなんだけど……。

『はぁ? 私と生意気モデルが隣? 冗談でしょ?』

 どこに座ろうか決めようとした時の瑞樹ちゃんの言葉が頭の中で反芻する。
 ……ハイ、つまりはそういうことです。
 私はため息をつき、目の前の月乃ちゃんと瑞樹ちゃんを見る。

「だから、何々するつもりだ、はbe going toで……」
「あぁなるほど……つまり」

 瑞樹ちゃんに教えてもらい、月乃ちゃんは文章を書く。
 それを見て、瑞樹ちゃんは「おー!」と声をあげた。

「凄いなぁ……ツッキーは頭良いね。スポンジみたいに教えること全部覚えちゃう」
「いやぁ、瑞樹の教え方が上手なんだよ。杏奈もそう思うでしょ?」
「うん。瑞樹ちゃんが頭良いだけだと思うよ。確か、期末テストでは学年順位、六位だっけ」
「あー……まーね。でも、ツッキーも頭良いと思うよ」
「えぇ、そうかなぁ」

 照れたように笑う月乃ちゃん。
 それに瑞樹ちゃんは笑い、ふと星華ちゃんの手元を見た。

「……生意気モデル。そこ違う」

 ワントーン低い声で言う瑞樹ちゃん。
 それに、星華ちゃんは「へっ?」と間抜けな声を上げる。
 すると瑞樹ちゃんは少し苛立ったような様子で、星華ちゃんが解いていた問題を指で示す。

「ホラ、ここ。ここは現在進行形だからing」
「げ、現在進行形……」
「何々してるって状態。今やってること。そんなことも分からないの?」

 瑞樹ちゃんの鋭い口調に、星華ちゃんは落ち込んだような素振りをする。
 それに、私と月乃ちゃんは顔を見合わせた。

「……あ、私トイレ行きたいなー」

 咄嗟に出た言葉は、かなり棒読みだった。
 しかしそれをツッコまれるより前に私は立ち上がり、月乃ちゃんに視線を向ける。

「でもこの家初めて来るから、トイレの場所分からなーい」
「じゃ、じゃあ私が案内してあげるよー」

 月乃ちゃんも私の意図を察したようで、立ち上がる。
 それに星華ちゃんが立ちあがった。

「いや、これはお姉ちゃんの勉強会だから、代わりに私が……」
「いやいや、星華は瑞樹に勉強を教えてもらいなさい。今盛り上がってるみたいだし」
「は? 盛り上がってなんて……」
「つ、月乃ちゃん! 早く行こう!?」

 瑞樹ちゃんがあからさまな苛立ちボイスで抗議しようとしてきたので、私は慌てて月乃ちゃんを促し部屋を出た。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.151 )
日時: 2017/12/29 15:25
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第24話「瑞樹の本心?瑞樹と星華初めてのおつかい!」2

 部屋を出て、ひとまず話し声が聴かれないように、一階のリビングまで行く。
 そこでようやく、私達は同時に大きく息を吐きだした。

「いや……あの二人仲悪すぎない!?」
「まぁ、うん……私もあそこまでとは思わなくて……」

 私の言葉に、月乃ちゃんはため息をつく。
 ていうか、二人の仲が悪いというよりも……。

「……なんか、瑞樹ちゃんが一方的に星華ちゃんを毛嫌いしてる気がする」
「ん……それは同感」

 月乃ちゃんの同意に、私は息をつく。
 でも、瑞樹ちゃんだって完全に星華ちゃんのことを嫌っているわけではないと思う。
 星華ちゃんを気遣って月乃ちゃんにプリキュアのことを説明するのを手助けしようと言い出したこともあるし、星華ちゃんを助けに行くのだって率先して動いていた。
 月乃ちゃんのワスレールを倒した時には、星華ちゃんを守ろうと動いていた。
 それを月乃ちゃんに話してみると、月乃ちゃんは「私もそう思う」と言う。

「なんか嫌ってはいるけど、心のどこかでは嫌ってないというか……なんか、わけわからないなぁ」
「だよねぇ……せめて、二人が落ち着いてゆっくり話す機会があれば良いんだけど……」

 私の言葉に、月乃ちゃんは「んー」と唸って腕を組む。
 私もそれに顎に手を当て、なんとなく視線を彷徨わせた。
 その時、なんとなく台所に目が行った。
 そこで、私は閃いた。

「そうだ! ねぇ、月乃ちゃん……」
「ん?」

 私は月乃ちゃんの耳元に口を寄せ、先程思いついた作戦を囁く。
 それを聞いた月乃ちゃんは顔を輝かせて「それ良い!」と答えた。
 思い立ったが吉日。早速私達は月乃ちゃんの部屋に戻り、扉を開けた。

「うッ……」

 直後、あまりの空気の重さに、私は思わず呻き声をあげた。
 なんだ、この人が死んだような空気の重さは……。
 もしこういうムードとかの空気に質量があったら、今頃私達は圧死している。

「あ、杏奈さん……」

 そして涙目でこちらを見てくる星華ちゃん。
 ごめん。ホントに何された!?

「えーっと……何かあった?」
「……別に。ただ、言われた通り生意気モデルに勉強を教えていただけよ」

 月乃ちゃんの問いに、無表情な上に低い声でそう言う瑞樹ちゃん。
 彼女の言葉に、星華ちゃんはなぜか涙目でカタカタと震えた。
 いや、ホントに何をしたの?

「そう、なんだ……そういえば、さっきトイレに下りたついでに、お昼ご飯を作ろうとしたんだけどさー」

 そして私が言った作戦を実行しようとする月乃ちゃん。
 待って!? ここで作戦実行するの!?
 ホラ、星華ちゃんが明らかに『私があんな目に遭っていた間に何二人は楽しそうなことしてたの?』って言いたげな顔でこっち見てるよ!?
 しかし、月乃ちゃんも恐らくかなり動揺している様子で、そのまま続けた。

「実は何個か足りない材料があって……それで、星華と瑞樹に買って来てもらえないかなぁ~……なんて」
「えっ」「は?」

 月乃ちゃんの言葉に、絶望顔の星華ちゃんとイライラ度マックスの瑞樹ちゃんが同時に答えた。
 うーん……ホントピッタリ同時に反応したから、息は合いそうなんだけどねぇ。
 でもホラ……犬猿の仲と言いますか……。

「な、なんで私が前原先輩と……あの、お姉ちゃんが買い物行ってきたら?」
「いやぁ、ホラ、私は一応ロブメモワールに狙われている身ですし、外出は控えた方が良いかなって」
「じゃ、じゃあ杏奈さんは……」
「あー……私はホラ、この町来て日が浅いし……」

 私の言葉に、星華ちゃんの顔が徐々に青ざめていく。
 そんな中、瑞樹ちゃんはため息をつき、立ち上がる。

「足りない材料って何?」
「え? あぁ、ちょっと待って。メモするから」
「えっ……行って、くれるの……?」

 私の言葉に、瑞樹ちゃんは星華ちゃんをチラッと見てから、わざとらしく息をつく。

「杏とツッキーの頼みなら、断れないから」
「そっか……星華ちゃんは良い?」

 私が聞いてみると、星華ちゃんは怯えたような目で瑞樹ちゃんを見た。
 それから、小さく頷いた。

「ハイ……杏奈さんの頼みなら」
「そっか。ありがとう」

 私がそう言って頭を撫でると、星華ちゃんは少しだけ嬉しそうに笑った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.152 )
日時: 2017/12/29 16:25
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第24話「瑞樹の本心?瑞樹と星華初めてのおつかい!」3

<星華視点>

 目の前を歩く青髪の少女を眺めながら、私は小さく何度目かになるため息をついた。
 一体なぜ、私と前原先輩がおつかいに行くことになってしまったのだろうか……。
 いっそのこと私か前原先輩のどちらか一人で買い物に行くという手もあるが……杏奈さんとお姉ちゃんが許さないだろう。

 そもそも、あの二人の魂胆は見え透いているのだ。
 私達の不仲を察知して、仲良くさせようと仲人のようなことをしているのだ。
 しかし……。

『何度言ったら分かるわけ?』
『こんな問題も分からないの?』
『はッ……こんな問題も分からないとか、アンタ何のために生きてるの?』

 先ほどの勉強会のことを思い出し、私は身震いする。
 その時、前原先輩がこちらに振り向いた。

「何してんの? 歩くの遅い」
「あ……ハイ……」

 前原先輩の言葉に、私は早歩きで前原先輩のすぐ後ろまで行く。
 すると前原先輩は呆れたようにため息をつき、前を見る。
 いや、ホント……私、何かしたかな……。

「……危ない」

 その時、目の前に前原先輩の腕が現れた。
 顔を上げると、目の前は横断歩道で、目の前を車が通過していくのが分かった。
 もし前原先輩が止めていなかったら、私は今頃……。

「……ありがとう、ございます……」

 私がお礼を言うと、前原先輩は私を見た。
 しかしすぐに前を見て、「……ん」と小さい声を発した。
 その時横断歩道の信号が青になったので、前原先輩は歩き出す。
 私も慌てて早歩きで彼女の隣に並び、声を振り絞った。

「あ、あの! なんで今日は、そんなに……冷たいんですか!?」
「……」
「そりゃあ、昨日までも仲良かった……とは言えません。でも、微妙に仲良くはしてくれていた、というか……」
「……何それ。わけわからない」
「だから、あの……今日の前原先輩。なんか、怖いです」

 私の言葉に、前原先輩は突然立ち止まった。
 この言葉も無視されると思っていたので、私は驚いて前原先輩の顔を見た。

「……はぁぁぁ」

 それから大きなため息をつきながら、前原先輩はその場にしゃがみ込んで頭を抱えた。
 唐突すぎることに、私は「えっ? えっ?」と聞き返した。
 すると前原先輩は立ち上がり、私の手を握って歩き出した。

「ちょっ……前原先輩!」
「こんな道中で話すわけにはいかないでしょ! ……買い物しながら、話すよ」

 前原先輩の言葉に、私は口を真一文字に結んだ。
 すると前原先輩はそんな私を見て微かに笑い、無言で歩いて行った。
 ……このまま路地裏に連れていかれて闇討ちとかされませんように。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.153 )
日時: 2017/12/29 18:07
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第24話「瑞樹の本心?瑞樹と星華初めてのおつかい!」4

「えっと買うものは、シイタケに、タマネギに……」

 メモを見ながら呟く前原先輩の隣を歩きながら、私は言われたものが売っていないか探す。
 ……って、何私達は普通に買い物をしているんだ。

「あの……なんで、私に厳しかったんですか?」

 声を振り絞って、そう聞いてみる。
 すると前原先輩はチラッと私を見て、「そうだなぁ」と呟きながらメモに視線を落とす。

「……まぁ、簡単に言うとヤキモチかなー」

 そう言いながらタマネギをカゴに入れる。
 それに、私は「はい?」と聞き返した。

「ヤキモチ……ですか?」
「またの名を嫉妬とも言う」
「さらに黒い感じの言葉にしなくて良いです!」

 私の言葉に前原先輩は「えー」と言ってケラケラと笑う。
 それから手に持ったシイタケを見て続ける。

「正直さー、後輩相手にこういう、大人げないとは思うよ?」
「……なんで、ヤキモチなんて……」
「杏以外に理由、ある?」

 笑いながら言われた言葉に、私はビクッと肩を震わせた。
 すると前原先輩はシイタケをカゴに入れて続ける。

「ホラ、杏って転校生だから、まだ出会ってからも日が浅いでしょ? ……私さ、あそこまで心が開けた相手、杏が初めてなんだ。だから、私は杏のこと、一番大切」
「……」
「……でもさ、杏はそうじゃないんじゃないかって思って……それで、アンタが現れた時、ヤキモチ妬いたんだ。でも、その時に割り切れたのは、杏の言葉と……プリキュアっていう立場」

 プリキュアっていう……立場?
 首を傾げていると、前原先輩が「子供には難しかったか」と言って笑った。
 彼女の言葉に、私はムッとする。

「子供って、一歳違いじゃないですか」
「ははっ、そりゃそーか。……あの時は、アンタが元プリキュアなのも知らなかったし、どちらにせよアンタはプリキュアじゃなかった。だから、プリキュアという秘密を共有しているのは杏と私だけだった。……リコルンはノーカンね」
「……まぁ、プリキュアのことは他言出来ませんからね」

 私の言葉に、前原先輩は頷く。
 それから豚肉が入ったパックを手に取り、続ける。

「でも、アンタはプリキュアになった」
「……」
「けど、前とは事情が違う。アンタの事情も知っているし、責める気にはなれなかった。……でも、やっぱりちょっとイライラしちゃって」

 そう言いながら、豚肉のパックをカゴに入れる。
 彼女の言葉に、私は「そういうことですか……」と答える。

「……でも、分かる気がします。私も……杏奈さんのこと、好きですから」
「……だろーね」
「ハイ。杏奈さんとお姉ちゃんだけが、私に、モデルってこと関係無しに分け隔てなく接してくれて……だから、私も杏奈さんのこと、すごく、大切です」
「……ははっ。なんだかんだ、私達って似たもの同士だね」

 前原先輩の言葉に、私は「そうですね」と答えた。
 それから前原先輩は卵のパックをカゴに入れる。

「さて、これで頼まれたものは買い終わったけど……あの二人は何を作るつもりなんだか」
「さぁ。……もしかしたら、私達を二人きりにするための口実だったりして」
「え、そこまで私イライラを露わにしちゃってた?」
「ハイ。かなり」
「うーわ、マジか……杏に同じ説明するのは流石に恥ずかしいや」

 そう言ってはにかむ前原先輩に、私は笑った。

「じゃあ、仲直りしたってことにしませんか? 前原先輩が良ければ、ですけど」
「ん? あぁ、良いねそれ。アンタ自体を嫌いってわけじゃないし」
「ホントですか?」

 私の問いに、前原先輩は頷く。
 それにホッとして笑っていた時、前原先輩が「あ、それと」と何かを続けようと口を開く。
 しかし、前原先輩が続けるより前に、世界が白黒に染まり停止した。

「な……まさか、ロブメモワール!?」
「おや、本日は珍しい二人組ですねぇ」

 背後から聴こえた声に、私達は振り向く。
 そこには、黄色の髪に黒のメッシュが入った男……セフトが立っていた。

「セフト……」
「キュアアデッソ……あぁいや、後宮星華さん。お久しぶりですねぇ、お姉さんは元気にしていますか?」

 笑みを浮かべながら言うセフトに、私は小さく舌打ちをする。
 するとセフトは「おぉ、怖い怖い」と言って肩を竦め、周りの人達からメモリアを吸い取る。
 そして、その笑顔は明るい感じから一転、暗い陰鬱な嘲笑へと変わる。

「もう一度……同じ目に遭わせてあげますよ! ディープエアインネルング!」

 そう叫んだ瞬間、メモリアが巨大な黒い塊と化す。
 やがてその塊が消え、巨大なキノコのような見た目のワスレールが出て来た。

「ッ……星華! 行くよ!」
「は、ハイ!」

 前原先輩の言葉に私は頷き、ラブメモリーウォッチを構える。
 そして、二人同時に叫んだ。

「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」


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