二次創作小説(新・総合)
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.199 )
- 日時: 2018/01/19 23:36
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第31話「セフトの秘策!もう一人のキュアアデッソ!」2
<杏奈視点>
瑞樹ちゃんとのんびり雑談をしていた時、突然、世界が白黒に染まった。
「これは……ワスレール……!?」
「ッ……杏はセッチー達を呼びに行って! 私はその間にワスレールを探しておくから!」
瑞樹ちゃんの言葉に私は頷き、ケーキの箱を持ったまま後宮家に走り出す。
中でぐちゃぐちゃになってしまうかもしれないが、背に腹は代えられない。
最悪、私がまた買い直せば良い話だ。
そう思っていた時、目の前に現れた人影に、私は立ち止まった。
「セフト……」
「こんにちは、キュアアデッソ。いや、今は今行杏奈……でしたか?」
そう言って微笑むセフト。
それに、私はケーキの箱をソッと近くのベンチに置き、セフトに視線を向ける。
「なんで……貴方達はこんなことをするの……」
「全てはボウキャーク様の為に。……それ以外に、理由なんていりません」
「わけがわからないよ! なんでボウキャークの為に戦うの!?」
「……ボウキャーク様、だ」
セフトがそう呟いた瞬間、周りの空気が変わる。
ビリビリと震動しているような錯覚がして、私は表情を引き締めた。
シーフちゃんの時にすでに考えていたが、やはり、話し合いでの解決は無理なのか……。
……とにかく、今は変身しよう。
そう思い、私はラブメモリーウォッチを構えた。
「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
変身を終えると、私はセフトに向かって拳を構える。
すると、セフトの口元が裂ける。
否、彼が……笑う。
……嗤う。
「……!?」
「メモリアにはね、様々な使い方があるのですよ」
セフトはそう言って、私の影に手を添える。
その瞬間、セフトの手にメモリアが纏う。
「何……それ……」
「これは、云わば貴方のメモリアのコピー……とでも言いましょうか」
そう言うとセフトは自分の胸にその手を当て、私を見て笑った。
次の瞬間、彼の体をメモリアが包み込む。
そのメモリアは徐々に黒く染まり、彼の体に馴染む。
やがて、セフトを包み込んだ黒いメモリアは、一つのシルエットを象っていく。
セフトのもの……ではない。
セフトより少し小柄で、華奢で……髪も、長い。
「ま……さか……」
そう呟いた時、メモリアが晴れる。
メモリアが晴れた中に立っていた人影を見て、私は息を呑んだ。
「そんな……嘘……」
黄色の長髪をツインテールにしていて、その髪には黒いメッシュが入っている。
目も黄色で、フリフリした服も黒い。
色は全然違うが、しかし、あれは……―――
「―――……私……?」
「えぇ。貴方は私。私は貴方。……私は、貴方のメモリアから生まれた存在。そうね……ダークアデッソ、とでも呼んでもらおうかしら?」
そう言って微笑む少女に、私は背筋が寒くなり、血の気が引くような感覚がした。
そんな私を見て、少女は満面の笑みを浮かべた。
「今から貴方に……地獄を見せてあげるっ!」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.200 )
- 日時: 2018/01/21 12:28
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第31話「セフトの秘策!もう一人のキュアアデッソ!」3
「今から貴方に……地獄を見せてあげるっ!」
そう満面の笑顔で言うセフト。……いや、ダークアデッソ?
とにかく、私はそれに身構え、攻撃に備える。
直後、突然彼(彼女?)の姿が膨張した。
否、距離がゼロになった。
「なッ……!?」
言葉を失った瞬間、腹に彼の拳が食い込む。
「カハッ」と口から息が漏れ、私の体は吹き飛ぶ。
体がアスファルトの上を跳ね、転がる。
なんとか動きが止まるので顔を上げようとした時、胸倉を掴まれ、強引に立たされる。
「ぁ……」
「貴方のメモリアから、貴方の記憶……覗かせてもらったわ」
そう言いながら、彼は私の体を空中に放り投げる。
空中で動くことなんて出来ない。
抵抗が出来ない私の腹に、容赦なく彼は回し蹴りを放つ。
近くの壁に背中からぶつかり、私はその場に蹲る。
「ケホッ、カハッ」
「パパ。ママ。幼馴染。お友達。たーくさんの大好きな人に囲まれて、チヤホヤされて」
そう言いながら、ダークアデッソは私の顎を足でクイッと上げる。
自然と私の顔も上がり、私は彼と視線を合わせる形になる。
ボロボロの私を見て、ダークアデッソは嘲笑する。
「ホント……甘やかされて来たよねぇ!」
そう言って、私の顔面を蹴り飛ばす。
視界に閃光が走り、頬に激痛が走る。
痛みに声をあげそうになった時、彼が私の髪を掴んで、立たせる。
黄色の瞳に、ボロボロの私の顔が映り込む。
「ぁ……」
私がつい声を漏らすと、彼女の口がニヤァと歪む。
それを認識した瞬間、首を掴まれ、地面に背中から叩き付けられた。
鈍い痛みが走り、私は「あがッ!」と声を漏らす。
「甘やかされて、深い苦労も知らない安っぽいメモリアのアンタじゃ……他の二人の足手まといなんじゃない?」
その言葉に、私は目を見開く。
他の二人……瑞樹ちゃんと星華ちゃんの、足手まとい……?
そんな私の表情を見て、目の前にいる『私』の顔がニヤァと歪む。
直後、首を掴まれたまま私の体が持ちあげられる。
足が宙に浮き、体重が首に掛かる。
「かッ……あッ……!?」
声が漏れる。
首が締まり、呼吸が詰まる。
そんな私を見てダークアデッソは笑い、腕に巻いてあるどす黒いラブメモリーウォッチのネジを引っ張る。
その瞬間ラブメモリーウォッチが黒い光を発し始める。
「今を輝け……プリキュア。アデッソシャイン」
ダークアデッソがそう言うと同時に、視界に黒い光が広がる。
次の瞬間、私の体が吹き飛び、近くの建物をぶち破る。
壊れた建物から黒い光が溢れるのを見ながら、私はその建物の向こう側にあった道路で横たわる。
痛みと、先程首を絞められた影響で、意識が朦朧とする。
ぼやける視界の中、こちらに歩いてくるダークアデッソが見えた。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.201 )
- 日時: 2018/01/21 14:24
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第31話「セフトの秘策!もう一人のキュアアデッソ!」4
「ぅ……くッ……」
立ち上がろうとしても、体が上手く動かない。
徐々にダークアデッソは私の前まで歩いてきて、私の前でしゃがみこみ、視線を合わせる。
笑顔で私の顔を見て、「辛そうだねぇ」と言う。
彼の言葉に、私は答えない。
「でもさぁ、アンタの辛さなんて、あの二人に比べれば序の口だと思わない?」
続いたその言葉に、私はハッとして顔を上げる。
そこには、相変わらずの笑顔で私を見下ろすダークアデッソの姿があった。
彼女は微笑んだまま続ける。
「瑞樹ちゃんは、勝手な理想を押し付けられ、その重圧に苦しんだ。大好きだったピアノを止めるくらいの重圧に、ね」
「……」
「星華ちゃんは、仕事や学業で苦労しながらも、大事なお姉さんやお父さんを支えるために頑張って来た。でも自分のせいで姉を巻き込み、自分の手で……一度、姉を失った。月乃ちゃんだってそう。お父さんや妹が仕事で苦労する中、少しでも自分に出来ることを頑張ろうと努力した。……ねぇ、杏奈?」
ダークアデッソに顎を摘ままれ、私の顔は上がる。
彼は私を見下ろし、ニコッと微笑んだ。
「貴方は……ただの小娘でしかない」
「わ……たし……は……」
「目立つ苦労もせず、平凡な毎日を貪って来ただけのただの娘。それなのに、その日常にそぐわないメモリアを身につけてしまい、プリキュアとして戦うことになってしまった。……杏奈」
私の名前を呼び、私の体を強引に立たせるダークアデッソ。
彼は私の顔を見て、満面の笑みを浮かべた。
「貴方は……一番、プリキュアに相応しくないと思わない?」
プリキュアに、相応しくない。
その言葉に、私は鈍器で頭を殴られたようなショックを受けた。
目の前が揺らぎ、何も答えられない。
するとダークアデッソは私の腹を蹴り上げ、私の体を宙に上げる。
景色が高速で後ろに流れ、地面が遠退く。
しかし、それらが全て他人事のように思えた。
そうだ。
私はずっと……皆とは違ったんだ。
リコルンも。
瑞樹ちゃんも。
星華ちゃんも。
月乃ちゃんも。
皆が皆、苦しんで来た。
でも……私は?
私は今まで、何か……苦しんだ? 悲しんだ?
ロクに苦労もせずに、幸せな日常に溺れ、ヘラヘラと笑うだけの毎日。
……あぁ、そうだ……。
彼の言う通りだ。
私は……プリキュアに相応しくない。
私に、皆と一緒にいる価値なんて無いんだ。
その時、隣に誰かが跳んでくるのが見えた。
まだ地面は遠い。あぁ、これは。
「バイバイ」
笑顔でそう言い、私の背中にかかと落としを喰らわせるダークアデッソ。
私の体はそのまま重力に従い、落下する。
高速で近づいて来る地面に、私は目を瞑る。
どれだけ私が苦しんでも、結局それは、上辺だけの苦しみでしかなくて。
皆みたいに、苦労もせずに……甘やかされて育ってきた私にとっては、ただの一時の痛みでしかなくて。
「アデッソ!」
そんな声が聴こえて、私は目を見開いた。
それと同時に、誰かに抱き止められた。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.202 )
- 日時: 2018/01/21 15:28
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第31話「セフトの秘策!もう一人のキュアアデッソ!」5
<瑞樹視点>
――少し時間は遡る。
「ハァ……ハァ……クソッ」
荒くなった呼吸を強引に整えながら、私は悪態をつく。
ワスレールは全然見つからない。
あまり暴れていないのか、未だに音沙汰も無い。
「瑞樹さん!」
その時、名前を呼ばれた。
杏がセッチーを連れて来たんだ!
そう思い顔を上げた私の笑みは引きつった。
「セッチー……」
「瑞樹さん。あの、これって……」
私を見つけたからか、安堵の笑みを零しながらリコルンを抱いて駆け寄って来たセッチーは、この場に私しかいない状況を見て徐々にその笑顔を引きつらせる。
そう……セッチーを迎えに行かせた杏が、いないのだから。
「瑞樹さん。あの……杏奈さんは……」
「……セッチーを迎えに行かせたよ。でも……」
私の言葉に、セッチーはその顔を青ざめさせる。
杏がいない。杏を一人にしたらどうなるか分かったものじゃないのに。
そう思っていた時、どこからか、建物が破壊されるような音がした。
「杏ッ!」
「杏奈さんッ!」
「あっちから杏奈の気配がするリコ!」
リコルンの言葉に、私達は杏の名前を呼びながら、音がした方へ走り出す。
地面を強く蹴り、杏を探す。
杏……杏、杏、杏ッ!
気持ちが焦る。動悸が激しくなる。
音の主を探して曲がり角を曲がった時だった。
キュアアデッソが、彼女に似た少女に蹴り上げられたのは。
「杏ッ!」
高速で跳んでいくアデッソを、咄嗟に本名で呼ぶ。
しかし、彼女に聴こえた様子は無い。
そして、アデッソに似た少女が、彼女を追って跳んでいく。
それに私はラブメモリーウォッチを構え、セッチーに視線を向けた。
「セッチー!」
「分かってます!」
「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」
名乗りを終えるが、問題はアデッソをどう助けるか。
プリキュアに空を飛ぶ力なんて無いし……。
そんな風に考えていると、フューチャーがレイピアを取り出し始める。
「あの女……アデッソをあんな……」
「待ってフューチャー! 気が早い!」
殺気に満ちたフューチャーを私は必死に止める。
怖いよ! 血気盛んとかそれどころじゃないよ!
私が止めると、フューチャーは不満そうにその力を緩める。
あの少女が何者かは分からないけど、まず問答無用でレイピアを使うのは止めようよ。
「まずあの少女を生け捕りにして、正体とか諸々を聞き出さないと。レイピアはその後」
「……分かりました」
ムスッとした表情でレイピアをしまうフューチャーに、私は「よろしい」と答える。
その時、アデッソが落下してくるのが見えた。
……おいおい、あの高さから落ちて大丈夫なのか?
しかも、かなりボロボロにされたのか、受け身も一切取らずに落下してくるアデッソ。
これはまずい!
「アデッソ!」
私は咄嗟に名前を呼び、彼女の落下地点に駆け寄る。
そして落下してきたアデッソの体を抱き止めた。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.203 )
- 日時: 2018/01/21 16:33
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第31話「セフトの秘策!もう一人のキュアアデッソ!」6
「アデッソ! しっかりして! アデッソ!」
ボロボロになった彼女を、私は必死に呼ぶ。
すると、アデッソは瞼を開き、私の顔を見上げた。
そして、その目を涙で潤ませた。
「ぱぁすと……」
「アデッソ、大丈夫ですか!?」
心配そうにアデッソの顔を覗き込むフューチャーに、アデッソは「ふゅぅちゃぁ……」と弱々しい声を漏らす。
アデッソがこんなに弱るくらいダメージを与えるなんて……。
私は地面に降り立った少女を睨んだ。
「あらら、他のプリキュアも駆けつけちゃったかぁ。私、今一番ピンチ~」
ヘラヘラと笑いながら言う少女。
髪は黄色の髪に黒いメッシュが入っていて、目も黄色。服は黒が基調となっている。
でも、顔立ちや服自体は、アデッソにそっくりだった。
「アンタ……一体何者!?」
「セフトの気配がするリコ!」
リコルンの言葉に、私とフューチャーは少女……否、セフトに視線を向ける。
するとセフトはニヤリと笑い、両手を広げた。
「その通り! 杏奈ちゃんのメモリアをコピーして、杏奈ちゃんになり切ってみました~」
「なんでそんなことを!」
「なんで、って……その杏奈ちゃんを見て分からない?」
セフトの言葉に、私は腕の中にいるアデッソを見る。
すっかり憔悴して、満身創痍で、私の腕の中で静かに震えている。
こんな弱々しいアデッソ……初めて見た。
「……アンタ、何を……」
「いやぁ、ちょっと杏奈ちゃんのメモリアから彼女の記憶を覗いただけだよ。……で、それを元にちょっと二人でお話しただけ」
そうだよね? と、セフトはアデッソに視線を向ける。
ボロボロになったアデッソは、それに応えない。
それどころか、私達とも視線を合わせない。
ずっと俯いたままなので、表情すら伺えない。
「アデッソ。アイツと……セフトと何があったの?」
「……私、分かったの……」
小さく呟いたアデッソの言葉に、私は「何が?」と尋ねる。
すると、アデッソは涙で潤んだ顔を上げ、私と視線を合わせる。
そして続けた。
「私……私は、プリキュアに相応しくないって……!」
「アデッソ……!?」
「だから、私……プリキュア止める……」
そう言って、アデッソは私から離れ、変身を解く。
それから、どこかに走り去っていった。
プリキュアの姿に変身した私達であれば、容易に追いつくことは出来るだろう。
しかし、今彼女を追いかけてはいけないような気がした。
遠ざかっていく杏の背中を見ていると、世界が色を取り戻した。
「なっ……」
「フフッ。今日のところは見逃してあげる。……今日は、ね」
そう言って、セフトはアデッソの姿から、元の青年の姿に戻る。
そして私達を見て不敵な笑みを浮かべ、去っていった。
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