二次創作小説(新・総合)
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.129 )
- 日時: 2017/12/22 23:08
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第20話「星華の秘密?杏奈の仕事場見学!」4
「疲れた~」
衣装を脱ぎ休む頃には、すっかり疲れていた。
すると星華ちゃんは隣の椅子に座り、ポーチから銀紙に包まれたチョコレートのようなものを取り出し、銀紙から出して私の口元に持って行く。
「お疲れ様です。ハイ、糖分補給」
「ん? あぁ。ありがとう」
手で受け取ろうとしたが、星華ちゃんがすでに大分口元の方に持って来ていたので、諦めて口で直接受け取った。
あまり大きいチョコレートではないので、つい星華ちゃんの指先を舐めてしまう。
「んぐ……ごめん。指舐めちゃった」
「ん? あぁ。気にしなくて大丈夫ですよ」
星華ちゃんはそう言って指先を少し舐めた。
恐らくチョコレートが付いていたのだろう。
しかし、私が少し舐めたから、間接キスになっていたりしないか?
「……星華ちゃんは凄いね。毎日こんなことしてるんだから」
なんとなく話題を逸らすために、そう言ってみた。
すると星華ちゃんは指を舐めながら首を傾げた。
「そう、ですか?」
「うん。……ねぇ、星華ちゃんはなんでモデルをしているの?」
私の疑問に、星華ちゃんは舐めていた指を下ろして、「そうですねぇ」と言って顔を上げた。
少し考えるような間を置いてから、フッと笑って、私を見る。
「……姉が、勝手に応募したんです」
「……姉?」
私の疑問に、星華ちゃんは頷く。
それに私は少し間を置いてから、「姉!?」と二度聞き返した。
すると、星華ちゃんは恥ずかしそうに目を逸らす。
「星華ちゃん、お姉さんいたの!?」
「は、はい……」
「え、どんな人なの?」
あまりズカズカ聞くのはいけないのでは、と少し思ったが、好奇心に負けて聞いてしまう。
すると星華ちゃんは優しく笑って、口を開いた。
「優しくて、明るくて、元気で……まるで杏奈さんみたいな人なんです」
「私、みたいな……?」
「はい……あの、実は私……」
星華ちゃんがそこまで話した時、突然、世界が白黒に染まり停止した。
私は咄嗟に立ち上がり、後ろを振り向いた。
見るとそこには……こちらに手を構えている、ラオベンの姿があった。
「……ラオベン……」
「俺にはもう……後がない。だからせめて……お前を倒してやる!」
そう言うとラオベンはメモリアを体に取り込む。
次の瞬間、ラオベンはその場に蹲り、苦しみ始める。
「ぎガッ……ギイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
そんな鳴き声と共に、体が肥大化し、固い皮で自身の体を覆う。
それから皮膚を破るように巨大な羽が現れる。
目も巨大化して、複眼になる。
何この……巨大なハエ……。
見るだけで鳥肌が立つような見た目だし、瑞樹ちゃんもいない。
でも……やるしかない!
私はラブメモリーウォッチを構え、叫んだ。
「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.130 )
- 日時: 2017/12/22 23:41
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第20話「星華の秘密?杏奈の仕事場見学!」5
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「取り戻せ! 愛のメモリー!」
「メモリアルプリキュア!」
試しに一人で掛け声をしてみるが、それに応える人はいない。
あぁどうしよう。私今一番締まらない。
そしてツッコんでくれる人もいない。
「ギイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
しかし、それを気にしている場合ではない。
ラオベンが攻撃してきたのを、私は咄嗟に避ける。
するとラオベンの爪が地面に突き刺さり、穴を空ける。
この撮影会場はあまり広くない。
とにかく、外に出ないと!
そう思ってラオベンに背中を向けた時だった。
「ギアアアアアアアアアアアアアッ!」
ラオベンの叫びに、会場が揺れる。
私はそれにふらつき、床に倒れた。
その時、カメラが星華ちゃんに向かって倒れる。
「危ないッ!」
咄嗟に私は星華ちゃんの前に立ち、そのカメラをなんとか手で支えた。
まさか、先程のラオベンの叫びは……停止している世界を特定のものだけ動くようにする?
そして、その効果は一時的なものだったようで、カメラから手を離すとその場で停止した。
このままではラオベンを倒した後に世界が動き出した時に星華ちゃんにカメラが倒れてしまうが……気にしている場合ではない。
私は体勢を立て直し、ラオベンを睨んだ。
「……貴方は、星華ちゃんを傷つけようとした……」
そう言いながら、私は桃色の針を取り出す。
ラブメモリーウォッチに嵌め込み、回転させながら、私は続ける。
「モデルの星華ちゃんの顔に傷が付いたら……貴方は責任が取れるの?」
「ギアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
ラオベンの叫びが響く。
すると私の頭上にあった照明が揺れて、私に落下してくる。
それを私はアデッソソードで切り裂き、アデッソソードの切っ先をラオベンに向けた。
「星華ちゃんを傷つけようとした貴方を……私は、絶対に許さないッ!」
「ギイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
叫び、ラオベンは羽音を響かせながら宙を飛びこちらに突進してくる。
私はそれを紙一重で躱し、すぐさまラオベンの腹の下に潜り込む。
「でりゃあああああッ!」
叫びながら、私はラオベンを蹴り上げる。
するとラオベンの体は飛び上がり、天井をぶち破る。
まぁ、記憶世界の破損は後で直るから大丈夫だろう。
心の中で安心しながら、私はアデッソソードを構える。
やがて、重力にしたがって落下してくるラオベン。
私はそれにアデッソソードを構え、ラオベンの体を切り裂いた。
「ギギャアアアッ!」
叫びながら、ラオベンはのたうち回る。
それを見ながら、私はラブメモリーウォッチから桃色の針を取り出し、アデッソソードの柄の窪みに嵌めて回転させた。
「今を輝く大いなる光! アデッソソード!」
そう叫んでから、私はアデッソソードを構える。
剣で円を描くように回し、その中心に手を出して時計の針のように剣を一回転させる。
光がアデッソソードに集まり、眩い輝きを放つ。
「今を輝け! プリキュア! アデッソルーチェ!」
そう叫び、横薙ぎに空中を斬った。
すると真一文字の光がラオベンに向かって飛び、空中で固定させる。
私はラオベンに背中を向け、胸の前でアデッソソードを構え、針を停止させた。
すると、背後から爆発音が聴こえ、ラオベンは消え去った。
世界が修復されていくのを見つめながら、私は変身を解き、星華ちゃんに向かって走り出した。
走っている間に、世界が動き出す。
直後、カメラが星華ちゃんに向かって倒れる。
「星華ちゃんッ!」
私は叫び、星華ちゃんに向かって跳ぶ。
星華ちゃんを押し倒すように、床に倒れた。
数瞬後、機材が倒れるような音がした。
「いっつ……って、杏奈さん!?」
星華ちゃんはようやく状況を理解すると、真っ赤な顔で私を見た。
彼女の言葉に、私は微笑んで見せた。
「星華ちゃん……怪我はない?」
「怪我……大丈夫ですけど……?」
「良かったぁ」
私が安堵しながらそう声を零すと、星華ちゃんは「杏奈さん……変なの」と言って笑った。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.131 )
- 日時: 2017/12/23 17:50
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第20話「星華の秘密?杏奈の仕事場見学!」6
<セフト視点>
容器の中に零れるメモリアを見て、俺はラオベンが敗れたことを知る。
三幹部は全滅か。
流石に駒を乱雑に扱い過ぎたか、と少しだけ後悔する。
だが……もう関係の無い話だ。
「はぁ……少し寝過ぎましたわ」
そんな声が聴こえ、俺は声の主に振り向く。
二人分の人影がこちらに歩いてくるのを見て、俺は微笑む。
「遅かったな。二人とも」
「セフトは前の世界の時に寝ていたじゃないですか! お互い様ですの!」
そう言って頬を膨らませる、赤に黒いメッシュが入った髪にオレンジ色の目をした少女、シーフ。
俺はそれに「悪い悪い」と言って笑いつつ、その後ろにいる青に黒いメッシュが入った髪に空色の目をした男、バーグラーに視線を向ける。
彼は俺を見ると、微かに目を細めた。
「悪かったな。前の世界のプリキュアで思いのほか消耗していたようだ」
「まぁ、シーフが言う通り、俺も眠っていたからお互い仕方がない。それよりも……あの三幹部が全員、敗れた」
俺の言葉に、二人の表情が引き締まる。
すぐに、バーグラーが口を開く。
「まさか……あの三幹部が、か?」
「あぁ。デロベもシッパーレもラオベンも全員……メモリアを還元し、還っていった」
俺はそう言いながら、指でメモリアの容器を小突く。
それに、ようやく二人は事の重大さを知ったようで、息を呑んでいる。
それに俺は頷き、ゆっくり二人の元に近づく。
「というわけで、今の俺達の敵であるメモリアルプリキュアがどんな輩なのかを、少し説明するよ」
俺の言葉に、二人は重々しく頷いた。
---
<杏奈視点>
「いやぁ、なんかドッと疲れちゃったなぁ~」
私はそう言いながら車の中で伸びをする。
それに、星華ちゃんは「お疲れ様です」と言って笑う。
「ありがとう。星華ちゃんこそ、お疲れ様」
「いえ、私はそんな。慣れてますから」
頬を微かに赤らめながら言う星華ちゃんの言葉に、運転手でありマネージャーである一ノ瀬さんがクスッと笑う。
それから交差点で左折し、口を開いた。
「今行さん、折角だから送りますよ。家はどの辺りですか?」
「あ、私の家は……」
「あの、杏奈さん」
家の場所を答えようとした時、星華ちゃんが口を挟んだ。
見ると、星華ちゃんが私の左手を握って真剣な眼差しで私を見ていた。
「……星華ちゃん?」
「あの……この後、少し時間を頂いても良いですか?」
「え……?」
「どうしても来てほしい場所があるんです。お願いします」
そう言って頭を下げる星華ちゃんに、私は拒絶なんて出来なかった。
こちらに向いている頭を優しく撫でて顔を上げさせて、私は微笑んだ。
「良いよ。付き合う」
私の言葉に、星華ちゃんは嬉しそうに笑って「ありがとうございます」と答えた。
それから少し身を乗り出して、一ノ瀬さんに声を掛ける。
「あの、時見総合病院までお願いします」
「え、そこって……」
驚いた表情で聞き返した一ノ瀬さんは、少し間を置いてから、無言で車の速度を上げた。
これから、何が待っているのだろうか。
そう考えながら、私は、未だに握られたままの左手に震えを感じた。
……星華ちゃん。
貴方はこれから、何を伝えようとしているの?
震えるほどに……伝えたくない事情なの?
時見総合病院までは、まだ距離がある。
私は星華ちゃんの体を抱きよせて、彼女の頭を撫でた。
すると、星華ちゃんが「杏奈さん……」と驚いた表情で言いながら私の顔を見た。
だから、私は微笑んで見せた。
「大丈夫だよ。星華ちゃん。……大丈夫」
これから何が起こるのかも、星華ちゃんがなぜ震えているのかも分からない。
でも、とにかく彼女を慰めたくて、私は彼女の腰に腕を回し、もう片方の手で彼女の頭を撫でた。
すると星華ちゃんは「杏奈さん……」と、今度は嬉しそうに言った。
それから私の腰に腕を回し、少し強く抱きしめた。
どれくらいそうしていただろう。
車が停止したので車窓の外を見ると、そこは、時見総合病院だった。
「星華。着いたわよ」
「……ありがとうございます。一ノ瀬さん」
星華ちゃんはそう言いながら私から離れ、車から出る。
私も反対側の扉から下りて、星華ちゃんに付いて行く。
一ノ瀬さんは、車の中で待っているようだ。
私達は病院に入り、廊下を歩いて行く。
「星華ちゃん……なんで、病院に……」
「……もう少しで分かるので」
星華ちゃんの短い返答に、私は押し黙る。
それから私達はエレベーターに乗り、三階まで上がる。
さらに廊下を進んでいき……一つの病室の前で、星華ちゃんは立ち止まった。
「ここです」
星華ちゃんの返答に、私はネームプレートを見た。
『後宮 月乃』
「後宮って……まさか……」
「……」
私の問いに、星華ちゃんは答えない。
ただ、無言で扉を開け、先に入る。
私もすぐに彼女の後を追って、病室に入った。
そこには、大量の機械に繋がれた少女がいた。
星華ちゃんと同じ、綺麗な金の髪。
瞼は閉じられ、腕や鼻にはチューブが繋がれている。
星華ちゃんはその少女のベッドの脇に立つと、ゆっくり私を見た。
その目は、悲しそうに潤んでいた。
「杏奈さん、紹介します。私の姉の……後宮 月乃です」
星華ちゃんの言葉に、私は息を呑んだ。
この人が……星華ちゃんのお姉さん……。
驚きで固まっていると、星華ちゃんは静かに続ける。
「前に、杏奈さんと前原先輩との三人で遊んだ帰りに、前原先輩に言われたんです。私は……本当のことを杏奈さんに言わずに、杏奈さんのことを知ろうとしている。だから、前原先輩は私のことが嫌いだ、と」
「本当の……こと……?」
「はい。正直、前原先輩の言うことは正論だと思います。でも、私は杏奈さんを知りたい。杏奈さんと、仲良くなりたい。……だから私は、杏奈さんに、全部話そうと思います。私が……何者なのか」
「どういうこと!? わけがわからないよ!」
私の言葉に、星華ちゃんはクスッと笑った。
それから髪を耳に掛け、口を開いた。
「杏奈さん。私は……―――」
窓の外の電線に止まっていたカラスが、一斉に飛び立つ。
バサバサと羽音が聴こえる中、星華ちゃんはその綺麗な唇で、言葉を紡いだ。
「―――……去年まで、プリキュアをしていました」
それから語られたのは、物語でもなければフィクションでもない。
ただ、過去に起こったとある―――事実。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.132 )
- 日時: 2017/12/23 21:17
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第21話「語られる真実!プリキュアの代償!?」1
<星華視点>
---2年前---
賑わう教室の中、私は一人で机に向かい、本を読む。
別に、私は人見知りでもなければ、イジメを受けているわけではない。
ただ……―――
「後宮さんって、最近モデルやってるんだって~」
「なんか皆より落ち着いてるもんね~。大人~」
―――……遠巻きにされているだけ。
分かっている。
仮にも芸能人である私が、皆とは分かり合えないということは。
でも……私は……。
「星華っ」
名前を呼ばれ、私は弾かれたように顔を上げた。
そこには、私を見て微笑む一歳年上の姉……後宮月乃の姿があった。
「お姉ちゃん……」
「星華。あのね、今日算数の時間にね~」
笑顔で私に話しかけてくるお姉ちゃん。
他の皆と違って普通に接してくれる姉の優しさに、私は顔を綻ばせた。
私達の母は、幼い頃に事故で死んだ。
それからは父が一人で一生懸命仕事をして、家計を支えている。
しかし家事は出来ないので、そこはお姉ちゃんが担当していた。
私も自分に出来る限りは手伝うのだが、やはりお姉ちゃんには敵わなかった。
何か家の為に出来ることがないかと考えていた時、お姉ちゃんが勝手に雑誌のモデルに私を応募した。
私に何も言わずに応募したものだから、最初はかなり驚いた。
お姉ちゃん曰く、『折角だからやってみなよ~』だって。
とはいえ、どうせ落ちると思っていたし、私は特に気にしていなかった。
しかし、想像以上に順調に審査に受かり、ついに合格してしまった。
それから割と有名な雑誌でデビューしてからと言うもの、無駄に名前が売れてしまい、気付いたら今の状況になっていた。
私がモデルになってからと言うもの、クラスの皆もどこか余所余所しくなり、遠巻きにされていた。
けど、そんな中でお姉ちゃんだけが、普通に接してくれた。
お姉ちゃんだけが……私に光をくれた。
まるで、夜空に煌く……満月のように。
「まぁでもぶっちゃけ、お姉ちゃんが勝手にモデルに応募しなければ今みたいな状況にならなかったんだけどね~」
「それを言ったらダメだよ、星華」
苦笑いをしながら窘めるお姉ちゃんに、私は「冗談だって」と笑う。
今は下校中。
私達は手を繋いで、赤いランドセルを背負って下校道を歩いていた。
「でももうすぐ私も卒業だからねぇ。星華、大丈夫? 一人でやっていける?」
「大丈夫だって。お姉ちゃんは心配し過ぎ」
「だって妹が一人で無事にやっていけるか不安じゃないですか~」
そう言って天を仰ぐお姉ちゃんに、私は「お姉ちゃんってば……」と苦笑する。
その時、茂みの中に何かが落ちているのが見えた。
「……? 何だろう、あれ」
「ん? 星華どうした?」
お姉ちゃんの言葉を聞き流しながら、私は茂みの中に落ちていたソレを拾った。
それは……耳が大きい小動物だった。
「チワワ?」
「コアラ?」
私達は同時に呟いた。
その時、小動物が「うぅ……」と呻き声をあげた。
怪我をしているみたいだし、ひとまず一旦家に連れて帰ろう。
私達の意見は一致したので、家に帰り、その小動物を治療することにした。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.133 )
- 日時: 2017/12/23 23:42
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第21話「語られる真実!プリキュアの代償!?」2
「本当に、助けてくれてありがとうリコ」
そう言って土下座をする耳の大きな小動物ことリコルン。
ちなみにチワワでもコアラでも無かった。
助けてもらったお礼として、私達はリコルンから、なぜここに来たのかを聞いた。
どうやら、リコルンが住んでいたメモリー王国という場所は、ロブメモワールという集団に襲われたらしい。
ロブメモワールは人々の記憶を司るメモリアというエネルギーを集め、ボウキャークという悪のボス的な存在を復活させようとしているらしい。
メモリアを奪われた人間は意識不明になり、その人の記憶世界で暴走するワスレールという化け物を倒さないと目を覚まさない。
今までロブメモワールに狙われた世界の人間は全てメモリアを奪われ、目を覚まさなくなったらしい。
リコルンは、少しでも世界の滅亡を防ぐべく、今まで異世界を転々として止めようとしてきたが、間に合わずに何度も世界の滅亡を目の当たりにしてきた。
そして今、私達の住む世界が狙われていて、リコルンはこうしてこの世界にやって来たのだという。
ロブメモワールを止める方法というのは、ラブメモリーウォッチという時計でプリキュアに変身し、ワスレールを浄化していくことだ。
ラブメモリーウォッチは、メモリアが強い人間が選ばれるらしい。
全ての説明を聞き終えると、あまりの情報量の多さに頭痛がした。
こめかみ辺りを指で押さえていると、リコルンが少し笑った。
「まだ星華には早かったリコ?」
「そうみたい……まぁとりあえず、悪い奴がこの世界を狙ってるってことで良いんだよね?」
「そうリコ!」
「……ねぇ、ラブメモリーウォッチって、どんな見た目してるの?」
私とリコルンが話していると、お姉ちゃんがそう聞いた。
彼女の言葉に、リコルンは少し思い出すように間を空けてから、口を開いた。
「ラブメモリーウォッチは、カラフルで針が金ぴかしてる腕時計リコ!」
「……それ、星華持ってたけど」
「「えっ」」
私とリコルンの声がハモる。
するとお姉ちゃんは笑みを引きつらせながら、外を指さす。
「なんか、ランドセルに引っ掛かってたけど……リコルンを拾う時に落としてた……」
「ちょっ……なんで言ってくれなかったの!?」
「いや、割と雑に扱ってたから、てっきりいらないものかなって!」
「とにかく、さっきリコルンを拾った場所まで行くリコ!」
そう言うとリコルンは私の頭に上り、前方を指さした。
それに便乗するように、お姉ちゃんも「ゴー!」と言って、私の腕を引く。
突然のことに驚きつつも、私もなんだか楽しくて笑っていた。
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