二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.144 )
日時: 2017/12/27 21:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第23話「輝け姉妹愛!感謝の気持ちを言葉に!」1

<星華視点>

 翌日の土曜日、私は杏奈さんと前原先輩と共に病院に来ていた。
 廊下を歩きながら、私は口を開く。

「あの、今日は付いてきてくれてありがとうございます」
「いえいえ。私達も、どうせすることなかったし。ね、瑞樹ちゃんっ」

 杏奈さんはそう言って前原先輩に視線を向ける。
 すると前原先輩はプイッと顔を背けた。

「まぁ、プリキュアのことも色々説明しないといけないしね。私達がいた方が良いと思って」
「……星華ちゃん」

 杏奈さんに名前を呼ばれ、私は視線を向ける。
 すると杏奈さんはニコッと笑って、耳を近づけてくる。

「実はね、星華ちゃんと一緒にお見舞い行こうって提案したの、瑞樹ちゃんなんだよ」
「え、そうなんですか?」
「うん。昨日の夜、瑞樹ちゃんから電話が来てさ」

 そう言って笑う杏奈さんに、私は前原先輩に視線を向けた。
 すると前原先輩は私と杏奈さんを交互に見て、「聴こえてますけど~」と言った。

「生意気モデル一人じゃ、色々説明すんの面倒でしょ? だから付いて行ってあげようかと思っただけ」
「でも私が星華ちゃんと一緒に行くだけでも充分説明出来たと思うのに」
「なッ……それ早く言ってよ!?」

 顔を赤らめながら抗議する前原先輩。
 それに、杏奈さんは「え~?」と言ってクスクスと笑った。

「てっきり瑞樹ちゃんもお見舞い行きたいんだと思って気にしなかったんだぁ」
「それは……! んぁぁッ!」

 頭を抱え、呻き声をあげる前原先輩に、私はクスクスと笑う。
 ていうか、まだ私の名前呼ぶの生意気モデルなのか……。
 戦っていた時は星華って、呼んでくれたのになぁ……。
 私はため息をつき、前を見た。
 話しているとあっという間にお姉ちゃんの病室まで着いていたようだ。
 私は深呼吸をして、ノックをする。

 ……。
 ……。
 ……?

 しかし、いくら待っても返事がない。
 もう一度ノックをしようと手を伸ばした時、通りかかった看護師さんが「あら?」と声を掛けて来た。

「貴方達、もしかして後宮月乃さんのお見舞い?」
「あ、ハイ……」
「彼女なら、今リハビリルームにいますよ?」

 看護師さんの言葉に、私達は声を合わせて「「「リハビリルーム?」」」と聞き返した。


 看護師さんに案内されてリハビリルームに行くと、そこには、二本の手すりを使ってフラフラと歩くお姉ちゃんの姿があった。
 彼女を見た瞬間、私は自分の胸が高ぶるのが分かり、考えるより先に駆け出していた。

「お姉ちゃん!」
「星華!」

 お姉ちゃんもすぐに私に気付き、軽く手を振る。
 私はすぐに彼女の元に駆け寄り、お姉ちゃんの手を握った。

「何してるの? コレ」
「ん? あぁ。何ヶ月も寝たきりだったからねぇ。筋肉が衰えてたみたい。だから、歩いて少しでも筋肉を鍛えようと」
「へぇ~」
「ホラ、後宮さん。休んでいないで、あと少しですよ」

 コーチらしき人の言葉に、お姉ちゃんは「はいッ!」と緊張した面持ちで答え、リハビリを再開する。
 それからしばらくリハビリをした後で、病室に帰る。
 一応全く歩けないわけではないので、少しでも鍛えるがてら手すりを伝ってお姉ちゃんの病室まで一緒に歩いて行く。

「はぁ~」

 大きく息を吐き、お姉ちゃんはベッドに腰掛ける。
 それから私達を見て、「あはは」と笑った。

「なんか、折角来てもらったのに、私に合わせてもらって申し訳ありません」

 杏奈さんと前原先輩を見てそう言って笑うお姉ちゃん。
 それを私が止めようとするより先に、前原先輩が「良いよ良いよ」と言って笑う。

「私達は勝手に付いて来たようなものなんだし、そんな謝らなくても良いって」
「でも……」
「あと、敬語。私達一応同い年なんだし、タメ口で良いよ。ね、杏」
「え? あぁ、うん」

 前原先輩の言葉に、杏奈さんはそう言って笑う。
 ……前原先輩、お姉ちゃんには普通に接するんだ。
 なんとなくそれにムッとしていると、お姉ちゃんが口を開いた。

「それで、あの……私、分からないことだらけなんだけど……二人はその為に来てくれたってことでオーケイ?」

 お姉ちゃんの言葉に、私達は顔を見合わせる。
 さて……どこから説明したものか。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.145 )
日時: 2017/12/28 16:10
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第23話「輝け姉妹愛!感謝の気持ちを言葉に!」2

 それから私達三人で、今までのことを全て話した。
 ロブメモワールの手によって、お姉ちゃんの記憶世界が崩壊していたこと。
 その際に私はプリキュアの能力を失い、お姉ちゃんを救うことが出来なかったこと。
 数ヶ月寝たきりだったが、杏奈さんと前原先輩と……それから、奇跡的にプリキュアの力を取り戻した私の三人で、お姉ちゃんの記憶世界を破壊するワスレールを倒したこと。
 その結果、お姉ちゃんが目を覚ましたこと。
 お姉ちゃんも半信半疑だったが、私以外に二人も証人がいたので、納得してくれた。

「そんなことがあったとはねぇ……まぁ、何はともあれ、星華が無事で良かったよ」

 お姉ちゃんはそう言って笑い、ベッド脇にパイプ椅子を展開して座っていた私の頭を撫でた。
 それに私は目を細め、「ありがとう」と答えた。
 するとお姉ちゃんは表情を緩め、「それで……」と壁際に立っている杏奈さんと前原先輩を見る。

「二人が、今のプリキュア……なんだっけ?」
「うん。今は私達二人で」

 杏奈さんはそう言って前原先輩を見る。
 すると前原先輩は杏奈さんを見て、笑顔で頷く。
 するとお姉ちゃんは「そっか……」と呟いた。

「じゃあ、星華はこれから二人と一緒に戦うの?」
「えっ? えっと……」

 正直、そういう細かいことは考えていなかった。
 私はなんとなく杏奈さんに視線を向けた。
 すると杏奈さんは私とお姉ちゃんを交互に見てから、「うんっ」と頷いた。

「これからは、星華ちゃんも……それから、月乃さんも、私達の仲間!」
「私も、か……あはは、嬉しいなぁ」

 そう言ってお姉ちゃんは頬をポリポリと掻き、はにかんだ。
 すると、ずっと杏奈さんに抱かれぬいぐるみのフリをしていたリコルンが口を開いた。

「じゃあ……星華もこれからはプリキュアとして戦うリコ?」
「うん、そうだよリコルン」

 私が肯定すると、リコルンはパァァと顔を輝かせ、「星華~!」と言って杏奈さんの腕を抱き、私に突っ込んで来た。
 しかし勢いを殺しきれず、私の顔面に衝突する。
 視界に閃光が走り、鈍い痛みが走った。

「っつう……!?」
「星華~また星華に撫でてもらえるリコ~!」

 そう言って私の頭の上でスリスリするリコルンに、私は苦笑する。
 リコルンの体を鷲掴みして手元に持って来て、頭を撫でてあげる。
 すると、リコルンは気持ちよさそうに目を細めた。

「あはは、リコルンは昔から、星華に撫でてもらうのが好きだからねぇ」

 お姉ちゃんがそう言って笑う。
 顔を上げて見ると、杏奈さんが「リコル~ン」とリコルンを呼んでいた。
 するとリコルンは私の腕の中で「杏奈も良いけど星華の方が好きリコ~」と言った。

「へぇ。じゃあ私は?」
「瑞樹は論外リコ」

 一刀両断され、前原先輩は「何だよ~」と言って肩を落とした。
 その時、病室に昼食を持って看護師さんが入って来た。

「はい、お昼ご飯の時間ですよ~」
「あ……じゃあ、もう帰るね」

 私がそう言って立ち上がると、お姉ちゃんは「え~?」と不満そうに声を漏らした。

「なんで~。もっといなよ~」
「いや、お昼ご飯の邪魔したくないし、見てたらお腹空いちゃう」
「あ、そっか……」
「ん……また明日も来るから。じゃあね」

 私がそう言って手を振ると、お姉ちゃんも手を振り返す。
 それから杏奈さん達を促し、私達は病室を後にした。

「しかし、起きてすぐに退院できるわけではないんだねぇ」

 帰りながら、前原先輩がそう言った。
 それに、私は頷く。

「はい。でも、あくまで検査入院って感じみたいなので、夏休みまでには退院できるみたいです」
「へぇ……じゃあ、夏休みは姉妹でいっぱい遊べるね!」

 嬉しそうに言う杏奈さんに、私は「はいっ」と頷いた。
 それから、リコルンを抱きしめる力を少しだけ強くする。

「でも……私のせいでお姉ちゃんは入院して……折角目を覚ましたんだし、何か恩返ししたいな……」
「恩返しかぁ……」

 私の言葉に、杏奈さんはそう言って考える。
 恩返し……何か出来ること……。

「……じゃあ、何かプレゼントでもすれば?」

 考えていた時、前原先輩がそう言った。
 彼女の言葉に、私は「プレゼント?」と聞き返した。
 すると前原先輩は頷く。

「うん。私なら、ピアノを演奏するし……何か自分に出来ること」

 前原先輩の言葉に、私は腕を組む。
 しばらく考えた後で、私はとあることに閃き、指を鳴らした。

「ありがとうございます、前原先輩! おかげでお姉ちゃんに恩返し出来るかもしれません!」
「え、マジで……?」

 引きつった笑みで聞き返す前原先輩に、私は頷いて見せた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.146 )
日時: 2017/12/28 18:06
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第23話「輝け姉妹愛!感謝の気持ちを言葉に!」3

 家に帰ると、私はすぐに自室に向かい、自分の本棚から雑誌を掻き出した。
 元々、私に読書の趣味はない。
 だから、本棚というものは、毎回出版社から届く私が出る雑誌を詰め込むだけの場所だった。
 しかし、それらを……かき集める。

 無論、全て集めるというわけではない。
 私がモデルを始めたのは小学四年生からなので、全部集めると中々の量になる。
 だから、全部では無く……お姉ちゃんが意識不明になってから、つい最近までのものを。
 それらをかき集め、鞄に詰め込む。

 前原先輩に、自分に出来ることをすればいいと言われた時、私の中で一番に浮かんだのはモデルのことだった。
 しかし、モデルで恩返しって、どうすればいいのだろうと考えた。
 考えた末に……私は、お姉ちゃんに雑誌を持って行くことにした。

 元々、私が出ている雑誌はお姉ちゃんが好きな雑誌だ。
 だから新人モデルの応募にお姉ちゃんが目を付け、勝手に応募した。
 最初は迷惑だったけれど、でも……今はすごく楽しい。
 だからこそ、その感謝を伝えるためにも、この雑誌は必要不可欠だ。

「ふぅ……」

 雑誌をトートバッグに詰め終え、私は額の汗を拭うような素振りをする。
 実際は、今は七月なので冷房も付けており、汗など一切掻いていない。
 しかし、中々の重労働であったため、精神面の疲れなどがあったのだ。

 そこで、ふと気になることがあり、私は立ち上がった。
 単純な疑問。むしろ、なぜ今まで気にならなかったのか、不思議なくらい。

 お姉ちゃんの部屋って……今、どうなってんの?

 一度気になりだすと、確認するまで気にしてしまう。
 だから私は自室を出て、隣のお姉ちゃんの部屋に向かう。
 扉を開けると、そこは……すごく綺麗に、整頓されていた。

「え……?」
「ただいま~」

 玄関から聴こえた声に、私は弾かれたように顔を上げる。
 階段を下りて玄関の方に行ってみると、お父さんが食品が入ったレジ袋を下ろしているところだった。

「おかえり、お父さん」
「ん? あぁ。星華。ただいま」

 そう言ってお父さんは微笑む。
 それに私は笑い返しつつ、下ろしたレジ袋を持って台所に行く。

「あぁ、悪いね」
「いえいえ。それより、お父さん」

 私が冷蔵庫に食材をしまいながら呼ぶと、リビングでネクタイを緩めていたお父さんは「ん?」とこちらを見た。
 それに、私は生肉をしまいながら続ける。

「……お姉ちゃんの部屋片づけたの……お父さん?」
「……見たのか?」
「うん。……お父さん、ただでさえ仕事で忙しいのに、そこまでしなくても……」

 私の言葉に、お父さんは「そうだなぁ」と言った。
 それから私に近づいてきて、私の頭に手を置いた。

「だが、お前の方が忙しいだろ?」
「……へ……?」
「学校のことだけじゃなくて、モデルもある。おまけに、俺が家事のことが出来ないせいで、家のことも任せっきりで」
「それは……」
「だから、せめて掃除くらいはな」

 お父さんはそう言って笑う。
 彼の言葉に、私は笑い返した。
 するとお父さんは少し屈んで私と視線を合わせ、目を細めて笑った。

「いつも家のこととか色々してくれて……ありがとう」
「お父さん……」

 ありがとう。
 その一言だけで、胸が熱くなった。
 だから私も頷き、「ありがとう」と返した。

「ははっ……これからは月乃も戻ってくるし、また家族三人で頑張っていこうな」
「うん……そうだねっ」

 私の言葉に、お父さんは笑って、私の頭をポフポフと撫でた。
 それに私は笑い返した。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.147 )
日時: 2017/12/28 21:11
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第23話「輝け姉妹愛!感謝の気持ちを言葉に!」4

 翌日。午前中は仕事だった。
 撮影の間、私は午後からのお姉ちゃんのお見舞いが楽しみで、少し上の空だった。

「星華ちゃん、少し顔が緩みすぎじゃない?」

 カメラマンさんが苦笑混じりにした指摘に、私は慌てて真顔を取り繕う。
 それにカメラマンさんは笑い、カメラを覗く。

「なに? 何か良いことでもあったの?」
「えへへっ……実は、意識不明だった姉が目を覚ましたんです」
「え? えっと……月乃ちゃん、だっけ」
「ハイ」
「へぇ。じゃあ、いっぱい笑っても良いように、もう少し可愛い感じの服の方が良かったねぇ」

 カメラマンさんの言う通り、今回は少し清楚な感じなので、あまり笑わない方が良い。
 笑っても良いかもしれないが……いや、今回の服は無表情でミステリアスな雰囲気を出すべきだ。
 だから私は一度頬を解し、なんとか無表情になる。
 そして深呼吸をして、カメラマンさんを見つめた。

「ごめんなさい。もう大丈夫です」
「そうかい? じゃあ、さっさと撮影を終えて月乃ちゃんの所に行こうか」

 カメラマンさんの言葉に私は頷き、ポーズを決めた。


 それから撮影は無事に終わり、私はマネージャーである一ノ瀬さんの車でお姉ちゃんが入院している病院に向かった。
 向かいながら、一ノ瀬さんは口を開いた。

「良かったね。お姉さんが目を覚まして」
「ハイ。……あの、一ノ瀬さん」
「ん? なぁに?」
「……いつも、ありがとうございます」

 私の言葉に、一ノ瀬さんは「急にどうしたの?」と言ってクスクスと笑う。
 それに私は姿勢を正し、続ける。

「一ノ瀬さんは、マネージャーとして、いつも私に色々なことをしてくれましたから。……そのお礼です」
「そんなの、ただの仕事なのに……でも、ありがとう」

 一ノ瀬さんはそう言って微笑む。
 それに私も笑い返した時、車が停止した。
 どうやら時見総合病院に着いたようだ。
 もう一度一ノ瀬さんにお礼を言って車から下りようとした時だった。

 世界が白黒に染まり、停止したのは。

「……!?」

 私はすぐに鞄を車内に置き、車から飛び出す。
 全てが止まった世界。
 そんな中で、私と……こちらに向かって歩いてくる男だけが、動いていた。

「……誰……?」
「む……一人だけか。プリキュアは二人だと聞いたが」

 その男の言葉に、私は胸に掛けたラブメモリーウォッチに手を添える。
 コイツ……ロブメモワールの一人か!?
 私が知る限りは、ロブメモワールの中で認知しているのは、ラオベンと、シッパーレと、デロベ……あと、セフト……。
 まず、先に名前を上げた三人では確実に無い。
 奴等は何か別の生物に人間を混ぜたような見た目をしているから。
 けど、セフトでもない。彼の髪は私と同じ黄色に黒のメッシュが入っている。
 彼のような、青に黒のメッシュではない。

「……まぁ良い。とにかく、俺がやるべきことは変わらない」

 そう言って腕を構えた瞬間、男にメモリアが集まる。
 やがて男は腕に纏わせたメモリアを構え、叫ぶ。

「ディープエアインネルング!」

 そう叫んだ瞬間、メモリアが黒く染まり、巨大な塊になる。
 やがて黒いメモリアが晴れると、そこには、車を模したようなワスレールがいた。

「ワスレール……!?」
「やれ! ワスレール!」

 青い髪の男の指示に、ワスレールは雄叫びをあげる。
 それに私は首からラブメモリーウォッチを外し、構える。

「させない……私が、皆を守るんだ! プリキュア! メモリアルコンバージョン!」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.148 )
日時: 2017/12/28 22:58
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第23話「輝け姉妹愛!感謝の気持ちを言葉に!」5

「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」

 名乗りを終え、私はすぐにレモン色の針を取り出す。
 そして胸のリボンの中心にあるラブメモリーウォッチに嵌め、針を回転させた。
 するとラブメモリーウォッチは眩い輝きを放ち、やがて、レイピアが飛び出した。
 私はそれを握り、ワスレールに向ける。
 すると、青髪の男は高笑いをした。

「ふっははは! 一人で何が出来ると言う! やれ! ワスレール!」
「グルァァァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」

 雄叫びをあげながら、私に襲い掛かろうとするワスレール。
 それにレイピアを構えた時だった。

「「一人じゃないよ!」」

 二人くらいの声が聴こえ、同時に、ワスレールの攻撃を防いだ。
 その後ろ姿を見た瞬間、私は息を呑んだ。

「杏奈さん……前原先輩……!」
「違う!」

 杏奈さんはそう叫び、ワスレールの攻撃を剣で弾く。
 そして私を見て、ニッと笑った。

「アデッソとパーストだよ! フューチャー!」
「……! ハイ! アデッソ! パースト!」

 私の言葉に二人は笑い、ワスレールを睨む。
 それにワスレールは怒り狂い、一気に突進してくる。
 腕が振るわれ攻撃をされるが、私達はそれを咄嗟に避ける。

「「「はぁぁぁぁぁぁぁッ!」」」

 同時に叫びながら、各々の方向から攻撃をする。
 それにワスレールの体はひしゃげ、苦悶の声を上げる。
 しかし苦し紛れに腕を振るってくるので、私達はそれを避ける。
 その時、驚いたような表情で私達を見ている青髪の男が視界に入った。

「聞いてない……プリキュアが三人いるだなんて、聞いてないぞ!」

 苦しげに叫ぶ男に呼応するように、ワスレールが私達に攻撃をしてくる。
 しかしそれをいなしながら、アデッソが叫んだ。

「今の人数、覚えておいた方が良いよ! だって、これから変わることなんて無いんだから!」
「それって……」
「ふざけるなぁぁぁぁぁッ!」

 私の言葉を遮るように、青髪の男は叫ぶ。
 それと同時にワスレールが攻撃してくるが、私達はそれらを全ていなし、攻撃をしかける。
 疲労と私達のカウンターを受けたワスレールの動きが、若干鈍る。

「フューチャー!」

 パーストが私を呼ぶ。
 私はそれに頷き、胸元のラブメモリーウォッチからレモン色の針を外して、フューチャーレイピアに嵌めた。
 それから針を回転させ、レイピアを構える。

「未来を照らす大いなる希望! フューチャーレイピア!」

 そう叫んでから、私は円を描く。
 そしてその中に星を描き、その真ん中でレイピアを横向きに構える。
 レイピアに光が纏うのを確認し、私は叫んだ。

「プリキュア! フューチャーエスペランス!」

 そう叫びながら、私は体を回転させ、目の前の空間を両断する。
 すると、一筋の光がワスレールに飛び、空中でワスレールの体を停止させた。
 私はワスレールに背を向け、回転し続ける針を停止させた。
 背後から爆発音が聴こえ、ワスレールが浄化されたことを知った。
 私は変身を解き、同じく変身を解いた二人に顔を向けた。

「あの……」
「ん?」
「どしたの? 生意気モデル」

 相変わらず私の名前を呼ばない前原先輩に苦笑をしつつ、私は少し姿勢を正し、続けた。

「助けに来てくれて、ありがとうございました。それと……これから、よろしくお願いします」

 そう言ってからお辞儀をすると、杏奈さんが「はわわ顔を上げて!」と言った。
 その言葉に顔を上げると、杏奈さんはニコッと笑った。

「こちらこそ、これからよろしく! ねっ? 瑞樹ちゃんっ」
「へ? あぁ、うん……よろしく」

 曖昧な感じの言葉だが、それでも、認めてくれたことに変わりはない。
 私はそれに「はいっ」と、頷いた。


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