二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.254 )
日時: 2018/03/22 21:42
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「セフトVS紫音!?料理男子!美味いのはどっちだ!」3

 残り六つの内、一つは紫音が見本で割った。
 彼の割り方を真似して五つ割ってみると、意外と上手く割れた。

「おぉー! カンドー!」
「ハハッ、大袈裟だなぁ。それじゃあ、後は味をつけて……」

 そう言いながら素早く塩とか色々入れて、紫音は卵をかき混ぜる。
 その手つきはかなり慣れていて、俺は、ついそれに見入った。

「チキンライスの準備はどう?」
「おう! 順調だぜ!」

 卵をかき混ぜながら聞いた紫音に、博人が笑顔でサムズアップをする。
 その横では、フライパンで炒めた赤いご飯を皿に分けている龍也がいた。
 二人を見て、紫音は笑顔で頷く。

「よし。じゃあ、そのフライパンを洗ってキッチンペーパーで水気を取っておいて」

 紫音は笑顔でそう言いながら、素早く卵をかき混ぜる。
 彼の言葉に、すぐに二人はフライパンを洗い始める。
 あくまでサッと洗う程度で良い様子で、軽く洗ってから水気を取り、再び火にかける。
 油を入れて、しばらく熱する。

「ハハッ、紫音。すげぇ本気出してる」
「……そうなのか?」

 油の様子を見ていた紫音を見て、博人は笑いながら言った。
 彼の言葉に聞き返すと、博人は「ちょっと来い」と言って俺の袖を引く。
 その間に紫音はフライパンに卵を適量入れて、器用にフライパンに広げた。

「……アイツさ、お前が来るまではあんな感じじゃなかったんだよ」
「……なんで?」

 つい聞き返すと、付いてきた龍也が苦笑いをしながら女子を指さした。
 女子達は自分達の料理もそこそこに、紫音が料理をする姿を、頬を赤らめて見ていた。

「アイツ、女子からモテモテだろ? オマケに勉強も運動も、料理だって、嫌味なくらい何でも出来る。……だからさ、毎日凄く退屈そうだったんだよ」
「女子に見られるのが嫌で、調理実習だって、去年は他の奴等に任せて自分は見てるだけだったし」
「え……そんな奴には見えないけど」

 少なくとも、俺の目からは、そんな風には見えなかった。
 すると、博人と龍也はニヤニヤと笑って、口を揃えて「だろーな」と言った。

「アイツ、お前が来てから、毎日凄く楽しそうなんだよ」
「あぁ。目に見えて明るくなったよな」
「……そうなんだ……」

 俺の言葉に、二人は大きく頷いた。
 紫音が俺のことをどう思っているのかは分からないが、少なくとも、良くは思ってくれているみたいだ。
 ……この世界が辿る未来は二つ。
 ボウキャーク様が復活してメモリアを全て消滅させられるか……俺達の手によってメモリアを全て奪われるか。
 それか、あまり考えたくない末路ではあるが……プリキュアの手によって、ロブメモワールが壊滅させられるか。
 この案はありえないから、実質二種類。
 ……どれにしても、結局、俺と紫音が友達でい続けるという結果はあり得ない。

 ……分かっていた、ハズなのに……。
 どうしてこんなに……胸が苦しいんだ……。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.255 )
日時: 2018/03/25 17:56
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「セフトVS紫音!?料理男子!美味いのはどっちだ!」4

「よし、いっちょ上がり」

 何事も無かったかのように言う紫音の前には、綺麗なオムライスがあった。
 それに、女子達が黄色の悲鳴を上げた。
 いやぁ、しかし、確かに上手い。

「すっげぇ上手……これ、店開けるんじゃねーの?」
「そこまででは無いでしょ。……僕、両親が不在がちで、妹と二人暮らしだから、食事は基本僕が作るんだよ。だから、多分そのせい」
「いよっ! このシスコン!」

 茶化した博人の言葉に、紫音は無言で彼の足を強く踏んだ。
 それに博人は声にならない叫びを上げ、蹲った。
 痛そー……。

「全く……それじゃ、ケチャップ掛けようか」
「じゃーさ、自分の分は自分で掛けない? ……紫音か風斗がケチャップ掛けたオムライスなんて食ったら、後が怖い」

 龍也はそう言って、女子達を見てブルッと震えあがった。
 まぁ、確かに睨まれたりしそうだなぁ。
 すると紫音は「何それ」と言って笑い、ケチャップのボトルを手に取る。
 それから、片手で適当に掛けようとするが、博人が「待て」と言って紫音の腕を掴んだ。

「……何だよ」
「お前、まさかと思うけど、適当に掛けようとしてないよな?」
「……してる、けど?」
「はぁー……」

 紫音の言葉に、博人は呆れたようにため息をつく。
 それから、紫音を指さし、次に俺を指さした。
 え、俺?

「お前等はハートを書け! ケチャップで!」
「「はぁ?」」

 博人の言葉に、俺と紫音は同時に呆けた。
 しかし紫音はすぐに諦めたようにため息をつき、ケチャップを両手で構える。
 そして、素早くハートを書いた。

「キャー!」

 巻き上がる黄色の悲鳴に、紫音は忌々しそうに舌打ちをした。
 良い加減イライラするよなぁ……俺も頭痛がしてきた。
 ウンザリしていると、紫音にケチャップを渡された。
 次、俺か……。

「だから、俺、料理とかしてないんだって……」

 そう文句を垂れながら、俺は紫音からケチャップを受け取る。
 自分の分のオムライスの前に立ち、ケチャップのボトルを両手で持つ。
 逆さまにして、とりあえず……全力で握り締めれば良いのかな?

「……あまり強く握るなよ」

 その時、紫音がそう言って俺に背中から密着してくる。
 両手がしっかりと俺の手に添えられて、どうすれば良いのかを教えてくれる。
 ……俺の進むべき未来を、示してくれる。

「握る力は……弱くてもアレだな……強すぎず、弱すぎず……」
「あ、あぁ……」

 呟き、俺はケチャップのボトルを少し強く握る。
 すると赤いペースト状の物体が出てきて、卵の生地に垂れる。

「お……」
「ゆっくり……動かして……」

 そう言って紫音がリードしてくれるので、俺はそれに従って腕を動かす。
 緊張からか、腕が震える。
 線も歪で、歪んだハート。
 描き終えると、俺は、自分の分と紫音の分を見比べた。

 ……それはまるで、俺と紫音の心を表しているような気がした。
 笑顔で偽り、偽物のメモリアで取り繕った俺。
 真っ直ぐで純粋で、ただただ綺麗な紫音。
 俺は……俺は……。

「……ねぇ、紫音」
「ん? 何?」

 こちらに振り向く紫音に俺は笑い、親指と中指を合わせた。

「……何でも無い」

 そう言って笑い、指を鳴らす。
 パチンッ、という乾いた音と共に、世界が白黒に染まった。
 停止するクラスメイトに、俺は無言で前髪を掻き上げた。

「さて……友達ごっこは終わりだよ」

 そう呟き、俺はメモリアをかき集める。
 そしてそのメモリアを振るい、ワスレールを召喚した。
 巨大であるため、調理実習室の壁をぶち破って外に出るワスレール。
 それを見ながら、俺は自分の胸に手を当てて、宣言した。

「我が名はセフト。ロブメモワールの幹部であり、ボウキャーク様の下僕! さぁ、ワスレールよ! 記憶世界を破壊し、メモリアを集めるのだ!」

 宣言しながら、なんだか泣きそうな気持ちになった。
 ……そう宣言しないと、自分の心を、保てそうになかったから。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.256 )
日時: 2018/03/26 21:28
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「セフトVS紫音!?料理男子!美味いのはどっちだ!」5

<杏奈視点>

 白黒に染まった世界に、私達は顔を上げる。

「ワスレール!? 一体どこから!?」
「とにかく、変身して探そう!」

 そう言いつつ、私はすぐにラブメモリーウォッチを構える。
 瑞樹ちゃんも頷き、ラブメモリーウォッチを構える。
 そこで、星華ちゃんがいないことに気付く。

「待って! 星華ちゃんが……!」
「杏奈さん!」

 星華ちゃんがいないことを瑞樹ちゃんに伝えようとした時、星華ちゃんが入って来た。
 彼女は肩で息をして、私と瑞樹ちゃんを交互に見る。

「ワスレール……ですよね? 場所は!?」
「分からない。だから、これから探しに行くの」
「……了解です」

 そう言うと、星華ちゃんもラブメモリーウォッチを構える。
 私達は顔を見合わせ、頷き合う。

「「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」」
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」」
「「「メモリアルプリキュア!」」」

 変身を終えると、私達はすぐに校舎を飛び出した。
 住宅地の屋根の上を跳ねるように飛びながら、フューチャーが口を開く。

「それで、ワスレールは一体どこに……!」

 そこまで言った時、突然、どこからか爆発音が響く。
 私達は足を止め、その音の方向に視線を向ける。
 見ると、そこには、ワスレールがいた。

「行くよ!」

 私の言葉に三人は頷き、すぐにワスレールに向かって駆ける。
 屋根を蹴る度に体が高速で前に行き、景色が高速で後ろに流れていく。
 その時、ワスレールの次の攻撃がメモリアの光で見えた。
 横薙ぎの一撃。上に跳んで躱すか……。

「パースト! フューチャー! 上!」
「おお!」
「ハイ!」

 私の指示に、二人は上に跳ぶ。
 すると、私達の足元をワスレールの攻撃が通り過ぎた。
 改めてワスレールを睨んだ時、その奥にセフトがいるのが見えた。

「セフト……!」

 セフトは私達を、まるで品定めするかのような目で見ていた。
 やがて人差し指と中指を立てて、ワスレールにハンドサインで何か指示をする。
 すると、視界にメモリアの光が広がる。
 いや、これは……ワスレールの攻撃!?

「くッ……」

 私は咄嗟に立ち止まり、近くにいたパーストを突き飛ばす。
 これでパーストはワスレールの攻撃範囲から逃れた!

「アデッソ!?」
「そこから動かないで!」

 そう叫びながら私はフューチャーに飛びつき、彼女を押し倒す形で地面に伏せる。
 数瞬後、頭上をワスレールの攻撃が通り過ぎた。

「へぇ……今の攻撃を躱しますか……本当にメモリアが見えているんですね」
「……だったら何?」

 私はそう言いながら立ち上がり、フューチャーを立たせる。
 するとセフトは「いえいえ」と言って微笑む。

「ただ、次からは少し、戦術を変えないといけないなと、思いまして」
「次……」

 セフトの言葉に、パーストが眉間に皺を寄せて呟く。
 ……次がある。
 ロブメモワールとの戦いには慣れてきた方だと思っていた。
 しかし、終わりが見えない。
 次があるという事実を、改めて認識させられた。
 でも……。

「……次も、その次も……私達が勝つ!」

 私の言葉に、二人は頷く。
 するとセフトは呆れたように肩を竦め、首を横に振った。

「二人共! 一気に決めるよ!」
「オーケイ!」
「ハイ!」

 私達は手を繋いで輪を作る。

「「「甦れ、愛情のメモリー。アムールパンデュール」」」

 そう言った瞬間、私達の作った輪の中心が光り、アムールパンデュールが現れる。
 私達はそれぞれ、桃色、空色、レモン色の針を嵌め込み、回転させる。
 すると腕時計に合ったサイズだった針が回転するごとに伸び、普通の長針、短針、秒針になる。
 それを認識できるようになるのと同時に、時計の針が高速で回転して、白い剣が出てくる。
 剣の柄を握った私達は、剣の切っ先をアムールパンデュールの時計の針の中心に合わせ、叫ぶ。

「過去を束ね!」
「今を輝き!」
「未来を照らせ!」
「「「煌け! 愛のメモリー!」」」

 そう叫ぶと同時に、アムールパンデュールが輝きを放つ。
 標準をワスレールに合わせ、私達は叫んだ。

「「「プリキュア! メモリアルレボリューション!」」」

 そう叫んだ瞬間、アムールパンデュールから極太の光が放たれる。
 それはワスレールを包み込み、浄化していった。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.257 )
日時: 2018/03/27 18:13
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第39話「セフトVS紫音!?料理男子!美味いのはどっちだ!」6

<セフト視点>

 調理実習室に行くと、世界が動き出す。
 出来上がったオムライスを見て、女子達がキャイキャイと騒いでいた。
 自分の分作らねぇのかよって思っていたけど、一人一人の声量がデカいだけで、実際の観客はそこまで多くなかった。

「風斗君料理苦手なんだね~」
「可愛い~」

 まるで子供に言うような言葉。
 馬鹿にされているような気持ちになって、不快だ。
 イライラする。

「それじゃあ出来たし食おうぜ!」

 しかし、明るい口調で言う博人に、少しだけ心が軽くなる。
 やはり、持つべきものは友だ。
 一人そう感心しながら龍也の隣に座ろうとした時、博人に腕を引っ張られた。

「お前は紫音と隣に座れ」
「は? なんで……」
「イケメンと並べられる俺の気持ちにもなれ」

 ギロッと睨むような目で言う博人に、俺は少し考えて、無言で頷いた。
 なるほど。比べられるのね。
 博人の言葉に賛同するように、龍也も何度も頷いた。
 というわけで、俺と紫音は並んで座った。

「おい博人……また変なことを……」
「まぁ良いじゃん。さっさと食おうぜ」

 喧嘩腰になる紫音を、俺はヘラヘラと笑いながら窘める。
 すると紫音は舌打ちをして椅子に座り、目の前にあるオムライスのハートをスプーンで早速グチャグチャに混ぜた。

「あ、折角描いたのに何やってんだよ~!」
「うるさいな。お前が勝手にやらせたんだろ」

 そう言って紫音は乱暴にスプーンでオムライスを掬い、口に運ぶ。

「流石に博人もふざけすぎだって。俺も、そろそろ怒るよ?」
「な、なんだよ……悪かったな」
「分かればよろしい」

 そう言いつつ笑ってやると、博人は「何だよ」と言って笑う。
 俺はそれに「何でもない」と言って笑い返し、オムライスを一口食べた。
 次の瞬間、言葉に表せないくらい美味な味が口に広がった。

「んまっ!」
「……喜んでもらえたなら嬉しいよ」

 俺の反応に、紫音はそう言って微笑む。
 いや、マジで美味い。
 掻き込むように二口、三口、と食べていると、紫音がクスクスと笑った。

「そんなに食ってると喉詰まらすよ」
「だって凄く美味しいから……紫音才能あるって! 店開ける……か……」

 話しながら紫音に顔を向けた時、隣だから、凄く近い位置に顔があった。
 予想以上に近かったため、俺は驚いて固まる。
 すると紫音は笑い、俺の顔に手を伸ばす。

「ケチャップ……付いてる」

 そう言って、俺の頬を指でなぞった。
 突然のことに、俺は身を強張らせた。
 すると紫音はクスッと笑い、俺の顔の前に手を持って来る。

「ホラ。……ゆっくり食べなよ」

 そう言って、その指を舐めた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.258 )
日時: 2018/03/29 22:18
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第40話「バーグラーと月乃!?二人きりの補習授業?」1

<バーグラー視点>

 人間の姿に化けた俺は、町を歩く。
 一歩歩く度に、この前のセフトの言葉が頭に響く。

『生きている間に、たくさん会っておきたいんだ』

 ロブメモワールとして生まれた以上、この世界の人間とずっと一緒にいることは出来ない。
 奴等のメモリアが奪われ、ボウキャーク様が目覚め次第、俺達のメモリアが取り込まれる。
 双方共生き残るという選択肢など……無い。
 しかし、セフトもシーフも、この世界の人間に執心している部分がある。

「……俺は……」

 呟きながら、俺は自分の手を見つめる。
 俺は誰かに……執心しているだろうか?
 そう考えて浮かぶのは……後宮月乃。
 一度話したきりだが、奴の存在が、やけに記憶にこびりついている。
 自分の感情の正体など分からない。
 だが、俺は……。

「……場倉先生?」

 その時、名前を呼ばれた。
 聞き覚えのある声だ。
 振り向くとそこには、両手にパンパンのレジ袋を持った後宮月乃がキョトンとした顔で立っていた。


「なんかすみません。半分持ってもらってしまって」
「……大丈夫だ。気にするな」
「アハハ~。相変わらずぶっきらぼう」

 そう言って笑う後宮月乃に、俺は無言で目を背ける。
 すると彼女は笑い、俺の顔を見上げた。

「それにしても、まさかこんな所で会うとは思いませんでした。この近くに住んでいるんですか?」
「……あぁ」
「へー! 私もなんですよ! ……でも、じゃあなんで今まで会わなかったのかなー」
「近所だからって、確実に会うとも限らないだろ。……俺は、あまり家から出ないからな」
「えー! そんなんじゃ立派な先生になれませんよ!?」

 不満げに言う後宮月乃に、俺は苦笑する。
 すると彼女は「全く……」と言い、前方を見る。

「でも、家に引きこもっている割には、力持ちなんですね」
「ん? ……あぁ。趣味で鍛えているからな」
「ほー……でも、その割には体つきがそこまでガッチリしてないというか……」

 そこまで話していた時、後ろから車が来ているのが見えた。
 俺は咄嗟に後宮月乃の腕を引く。
 彼女の肩を掴み、車が行くまで待つ。

「ふぅ……行ったか……」
「……あの、場倉先生……」

 苦しげな声がして、俺は、慌てて彼女の肩から手を離す。
 すると、彼女は俯いて、袋を持ちなおす。

「あ……ありがとうございます」
「あ、あぁ……どういたしまして?」

 ぎこちなく返すと、彼女の髪の先を弄る。
 それからは言葉少なになり、会話もあまり弾まなかった。
 何かしてしまったかと悩んでいた時、後宮家に着く。

「あっ……」

 意外と早く着いたな。
 驚いていると、後宮月乃は鍵を開ける。
 それから、オズオズと俺の方を見てきた。

「あ、あの……良かったら、上がって下さい。……さっきのお礼もしたいので」


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