二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.99 )
日時: 2017/12/05 23:01
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第16話「感謝を言葉に!想いを刻め時計塔!」1

<杏奈視点>

「作文とかめんどくさぁ~」

 瑞樹ちゃんは顔をしかめながら、手に持った原稿用紙を見つめる。
 これは先生からの宿題で、『お父さん』というタイトルで作文を書くというものだ。
 提出は来週で、その締め切りの日に参観日があって、親の前でその作文を読むことになるのだ。
 ……ここの先生は鬼畜か?

「大体、お父さんのことなんて詳しく知らないし……」
「瑞樹ちゃんのパパ、外国行ってるもんね」
「まぁ、なんとなくで書くけどさぁ……杏の所はどうにかなりそう?」
「ん~……多分。パパと仲が悪いわけでもないし、なんとかなるかな」

 私の言葉に、瑞樹ちゃんは「良いな~」と言った。
 しかし、お父さん……か。
 そういえば、と少し考える。

 私、パパの仕事に関して詳しく知らないや。


---

<セフト視点>

「今回も、メモリアの集まりはイマイチでしたね」

 俺の言葉に、シッパーレはジロッと睨んでくる。
 おぉ怖い怖いと笑っていると、突然ラオベンが俺の前に立った。
 不思議に思っていると、ラオベンは口を開いた。

「……アンタの実力は認める。だが、俺達だって一生懸命やっているんだ。アンタに偉そうに言われる筋合いはない」
「ちょっ、ラオベンッ!」
「へぇ……言いますねぇ」

 あくまで笑みを絶やさず、俺は答える。
 なるほど、これは……宣戦布告か。
 近々使い潰す予定であるとはいえ、このまま放置していたらプリキュアに寝返ったりして不穏分子になる可能性はある。
 悪い芽は、早い内から摘んでおかなければ。

「じゃあ……私を倒して見せますか?」

 そう言いつつ、俺はラオベンの背後に回り込む。
 彼の顎をしっかり掴み、頸動脈の辺りに人差し指を当てる。
 ラオベンの呼吸がやけに荒くなるのが分かった。
 その奥で、シッパーレが青ざめた表情で見ている。

「この通り……私はいつでも、貴方達を倒すことが出来ます」

 そう言いながら、俺はラオベンの体から手を離した。
 ラオベンは床に蹲り、何度も咳をする。
 それを尻目に見つつ、俺はメモリアの器を撫でる。

「別に、最悪私一人でプリキュアの対処をすることも出来ますよ? ただ、それは少し疲れますし……何より、そうなってしまっては、貴方達がボウキャーク様に見切られてしまいます」
「「……」」
「私はあくまで貴方達に居場所を与えているだけですよ? プリキュアを倒しメモリアを回収しやすくする。……難しいことを頼んでいますか?」

 俺の言葉に、二人は答えない。
 ふむ……流石に少しお灸をすえ過ぎたか。
 とはいえ、これで逆らおうという意志は起こさないだろう。
 ボウキャーク様の名を借りているようなものだから、心苦しいものはあるが。
 でも、ボウキャーク様の名前を出せば、彼等は絶対に逆らわない。だって……―――

「―――……私達は同じ、ボウキャーク様に作られた存在です。だから、お互い頑張りましょう?」

 俺の言葉に、二人は重々しく頷いた。
 それに満足しつつ、俺はメモリアの器を見上げた。

 全てはそう、ボウキャーク様の為に。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.100 )
日時: 2017/12/06 21:40
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第16話「感謝を言葉に!想いを刻め時計塔!」2

<杏奈視点>

「ただいま~」

 いつものように店側の扉から中に入ると、そこには神妙な顔で時計を見ているおじいさんがいた。
 ついぼんやりと見ていると、おじいさんもようやく私に気付いた様子で、小さく会釈をしてきた。
 私も慌てて頭を下げる。

「おかえり、杏奈。……裏の扉から入るよう言っているだろ?」
「えへへ~。だって裏に回るのめんどくさいんだもん」
「全く……あ、すいません。娘が……」
「いやいや良いんですよ。元気が一番ですから」

 おじいさんはそう言って快活に笑う。
 それに、パパも釣られて笑う。
 やがておじいさんは一つの時計を手に取り、パパに見せた。

「では、こちらの時計を頂こうかな」
「あ、ハイ。ではレジで会計をしますので……」

 パパはそう言っておじいさんをレジに案内する。
 それからレジ打ちをしている時、おじいさんが口を開いた。

「そういえば、そろそろ年に一度の時計塔の修繕ですなぁ」
「え、そうなんですか?」
「おや? 知らないのですか? 毎年ここの修太郎さんが、年に一回時計塔の点検と修繕を行っていたのですが……もう修二郎さんも年ですから、今年は雄二さんがやると思っていたのですが」
「あ~……そういえば言っていた気がします。そうか、もうそろそろか……色々準備しないとなぁ……」

 おじいさんの言葉に、パパは顎に手を当ててブツブツと呟き始める。
 あの時計塔の修繕かぁ……あそこ、結構大きいよなぁ……。
 一人だけで全部出来るものなのかな? と不思議に思っていると、私の表情から何を考えているのか読み取ったのか、おじいさんは苦笑した。

「心配しなくても、点検とかをするのは内部の機械部分だけだよ。外部はまた別」
「そうなんですか?」
「あぁ。まぁ、機械部分も確かに広大ではあるが、雄二さんは若いしなんとかなるだろう」
「……ははっ、どうでしょうねぇ」

 曖昧に笑うパパに、おじいさんは「まぁ気楽にやりなさい」と言う。
 それから買った時計を持ち、お店を出て行った。
 するとパパは息をつき、俯く。

「パパ、大丈夫?」
「うん? あぁ、大丈夫だよ。しかし……うーん……時計塔の点検かぁ……」

 パパは頭に手を当てると、俯いた。
 しばらく小さい声で何かを呟いたりした後で、「よしっ」と呟き顔を上げた。

「まぁなんとかなるだろう」
「ねぇ……本当に大丈夫?」
「うん? あぁ、これくらい大丈夫さ」

 そう言って明るい笑顔を浮かべるパパに釣られて、私も笑った。
 そこでとあることを思い出し、「あっ」と声を漏らした。

「うん? どうした?」
「えっとね、実は今日出された宿題で、お父さんを題材に作文を書かないといけないの。だから、えっと……その時計塔の点検のお仕事、連れて行ってほしいの」

 私の言葉に、パパはしばらくキョトンとした。
 やがて、フワッと優しい笑みを浮かべ、頷いた。

「あぁ、良いぞ」

 その言葉に、私は「ありがとうっ!」と返事をした。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.101 )
日時: 2017/12/08 16:47
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第16話「感謝を言葉に!想いを刻め時計塔!」3

「んぅ……」

 目を覚ますと、まだ真夜中だった。
 夜中に目が覚めてしまったらしい。
 明日はいよいよパパとの時計塔の点検に付いて行く日だ。
 出来るだけたくさん眠って、体力をつけておかなければならない。
 そう思って眠ろうとするが、下腹部に違和感を感じ、私はベッドから下りた。

「うわ、暗……」

 部屋を出ると、廊下は真っ暗だった。
 さっさとトイレをして眠ろう。
 そう思って廊下を歩き、階段を下りて一階に行く。
 そのまま壁を手探りしながら進んでいき、用を足す。
 スッキリしたことだし部屋に戻ろうとしたところで、店側の廊下に薄ぼんやりとした光を発している部屋があった。

「……?」

 不思議に思いそこに視線を向けてみる。
 見ると、そこは作業部屋のような場所だった。
 誰かいるのかな……? と少しボーッとその扉を見ていたところで、私はハッとした。
 まさか……泥棒!?

「ッ……」

 生唾を飲み込み、足音を忍ばせて、私はその扉に近づく。
 たまに床が軋む音が、私の頬に冷や汗を伝わらせる。
 やがて扉の前に立つと、私はゆっくりと開けた。
 部屋には……机に突っ伏すパパの姿があった。

「パパッ!?」

 声を上げながら、私は扉を開け放つ。
 すぐにパパに駆け寄り、肩を揺すろうとした。
 そこで、パパが寝息を立てていることに気付く。

「なんだ……眠ってるのか……」

 そう呟いた瞬間気が抜けて、私はホッと息をつく。
 しかし、こんな場所でなんで……と思いつつ視線をずらした所で、その原因に気付いた。
 これは……時計の図面?

「……?」

 一つを手にとり、よく見てみる。
 時計の内部の図面らしきものが、そこには記されていた。
 でも、普通の時計とは何かが違う。これは……。

「時計塔の……内部?」

 そう、それは時計塔の内部の図だった。
 点検すべき箇所だとか、注意点だとか。そういう部分に印がされている。
 そうか……時計塔の点検をするから。
 納得しつつ図面をよく見ると、気になる文章を何個か見つけた。

『杏奈をどこで待たせておくか』
『移動中に道具や部品を落とす可能性がある』
『点検の際にあまり通らない場所をピックアップしておく』
『危険ではない場所はどこか』

 それは、私を気遣う文章だった。
 私を、危険な目に遭わせないための図面だった。
 点検すべき場所より、私のためを思った印の方が、何度も書き直された痕が残っていた。
 これを全部……私の為に……?

「パパ……」

 私が軽い気持ちで言ったワガママのために、こんなに一生懸命……。
 甘く考えていたけれど、点検はそれだけ危険が伴うことだ。
 パパの気持ちに気付いた瞬間、私は胸が熱くなった。

「……ありがとう、パパ」

 私の言葉に、眠ったままのパパは答えない。
 でも、それで良かった。
 私は風邪を引かないようにと、タオルケットをパパに羽織らせた。
 そして物音を立てないように、作業部屋を抜け出した。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.102 )
日時: 2017/12/08 18:17
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第16話「感謝を言葉に!想いを刻め時計塔!」4

 ついにやって来た時計塔。
 私は少しでも力になろうと、点検に使う道具を持っていた。
 パパは階段を上がりながらも、ずっと真剣な表情で図面を見ていた。

「パパ……緊張してる?」

 私がそう聞いてみると、パパは「ん?」と顔を上げた。
 それから緩く笑って「そうだなぁ……」と独り言のように呟いた。

「確かに、緊張してるかもな」
「そうなの?」
「あぁ。だって、時計塔の点検なんて初めてだからな。でも、大丈夫。やり方とかは教えてもらったし、杏奈の前だからな」

 そう言って自分の胸に拳を当てる。
 パパのその姿が、いつもよりなんだか逞しく見えて、私は「うんっ!」と頷いた。
 その時階段を上りきり、目の前にガラス張りの時計が広がった。
 今日は、時計は点検のために止めているので、頭上にある歯車は止まっている。
 私は床に点検用の道具を置き、パパは図面を見ながら道具を纏めていく。

「……ねぇ、パパ?」
「うん?」
「パパは……なんで、この仕事をしようと思ったの?」

 私の言葉に、パパは不思議そうな顔で私を見て来た。
 それに、私は続ける。

「確かに、この町では、『Adesso』は人気店かもしれない。でも、パパが無理して継ぐ必要無いんじゃないかな。……パパは、パパがしたいことをするべきだと思うけど……」
「……まぁ、杏奈が言うこともよく分かる」

 そう言いながら、パパは道具箱から道具を取り出していく。
 だったらなんで。そう聞こうとした。
 しかし、私が聞くより先に、パパが続けた。

「例えば……杏奈の好きな店が、ある日突然無くなったら……どうする?」
「えっ……」
「時見町の店とは限らない。それこそ、前に住んでいた町の店とか……それがある日無くなっていたら、どうする?」

 パパの言葉に、私の頭には該当する店が幾つか浮かんだ。
 例えば、だ。ある日あの町に帰ったら、それらが無くなっていたとする。
 それこそ、歩美ちゃん達と遊んだ場所だとか、そういう思い出のお店が。

「……なんか、やだ」
「ははっ……だろ? どんな店でも、誰かにとっては思い出の場所だったりする。誰かにとっては、大切な場所だったり。父さんは、そういう誰かの思い出や笑顔を……守りたいだけだ」

 そう言って、パパは温かい笑みを浮かべた。
 道具が入ったポーチを腰に付け、続ける。

「というわけで……行ってくる」
「……行ってらっしゃい」

 私の言葉にパパは笑い、歯車を伝って上っていく。
 まるで飛び職人のように、点検箇所を見て行く。
 誰かの笑顔を守るため。誰かの思い出を守るため。
 ただそれだけのために、パパはこうして、危険な仕事もする。

 ……こうして見ると、パパがしていることは、プリキュアに通ずるものがある。
 プリキュアも、メモリアを取り戻し、誰かの笑顔や思い出を守るために戦っている。
 けど、プリキュアと違って、パパに特別な力があるわけではない。
 彼を突き動かしているものは……精神力だけだ。

「私も……パパみたいになれるかな」

 一人呟く。
 今のパパみたいに、誰かのために、想いの力だけで動けるような人間に。
 一生懸命、今を輝けるような……そんな人に。

「杏奈ッ! しゃがめ!」

 その時、パパが必死な表情でそう言って来た。
 咄嗟にしゃがみ込みと同時に、頭上を何かが通り過ぎた。
 数瞬後、「がッ……」という声と共に、誰かが倒れるような音がした。
 しゃがんだ体勢のまま振り向くと……そこには、顔を押さえてその場に座り込むラオベンの姿があった。

「ラオベン……?」
「杏奈、ソイツから離れろッ!」

 部品を伝って下りてくるパパの言葉に、反射的に私は距離を取るように跳んだ。
 しかしその時、ラオベンの目がカッと怒気を帯び、すぐに立ち上がる。

「テメェッ! 俺の邪魔をしやがって!」
「何が邪魔だ! 娘を守るのは当然だ! 杏奈に手を出すな!」

 そう叫びながら私とラオベンの間に立ち両手を広げるパパ。
 その姿に私は嫌な予感がして、立ち止まる。
 案の定、ラオベンはパパの言葉を聞いて不敵な笑みを浮かべた。

「へぇ……お前、ソイツの父親か」
「パパッ! 逃げてッ!」

 私が叫ぶのと、ラオベンがパパの胸元に手を掲げるのはほぼ同時だった。
 直後、突然糸が切れたかのように……パパは仰向けに倒れ込んだ。

「パ……パ……?」

 私が名前を呼ぶと、パパは光が失せ掛けている目でこちらに顔を向けてきた。
 そして、口元に緩い笑みを浮かべ、口をパクパクと動かした。
 何と言ったのかを理解するよりも前に、パパの目から、完全に光が抜けた。

 胸元が……裂けた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.103 )
日時: 2017/12/08 20:29
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第16話「感謝を言葉に!想いを刻め時計塔!」5

「パパァァァァァァァァァァッ!」

 私は叫んだ。
 頭の中が真っ白になって、咄嗟にパパを抱き起こす。
 その時、目の前にラオベンが立つのが分かった。

「やめ……お願い、パパだけは……!」
「うるせぇ。どけ」

 そう言って、ラオベンは私の体を蹴り飛ばす。
 その方向が階段の方向であることに気付き、なんとか踏ん張ろうとしてみる。
 しかし体はその勢いを留めず……上半身の背中を柵にぶつけた。
 口から吐息が漏れ、私は何度も咳き込む。
 けど、頭のどこかで、今はこんなことをしている場合ではないことを思い出す。

「パパッ!」

 叫びながら顔を上げると、すでにそこにはラオベンはいなかった。
 私はすぐに立ち上がり、倒れるパパの体を揺すった。

「パパ、起きて! パパ!」

 私の言葉に、パパは答えない。
 私の声が、パパに届かない。

「やっほ~。Adesso行ったら杏のお母さんが、お義父さんと時計塔の点検行ってるって言ってたからさ~。差し入れ持ってきたよ~」
「瑞樹ちゃんッ!」

 レジ袋のようなものを片手に階段を上がってきた瑞樹ちゃんに、反射的に私は縋りつくように抱きついた。
 すると瑞樹ちゃんはバランスを崩し、その場に尻餅をつく。
 私はすぐに彼女の服を掴み、叫んだ。

「瑞樹ちゃん、助けて! パパが……パパが!」
「ちょ、杏落ち着いて。えっと、お義父さん、何が……」
「……ロブメモワールの気配がするリコ!」

 瑞樹ちゃんに付いてきたリコルンの言葉に、彼女の顔が引き締まる。
 すぐに彼女は私の肩を掴み、顔を近づけて来た。

「杏! お義父さんに何があったの!」
「うぇぅ……ラオベンが来た……それで、パパを、あの……パパが、目を覚まさな……」
「杏ッ!」

 瑞樹ちゃんは私の名前を呼ぶと同時に、頭突きを喰らわせてきた。
 額に鈍い痛みが走り、私は尻餅をついた。
 すると瑞樹ちゃんは私の手を握り、自分の胸元に持って行く。
 そして、真剣な眼差しで私を見つめた。

「杏は……お義父さんを助けたいんだよね?」
「う、うん……」
「だったら、今ここでグダグダしてる場合じゃないこと……分かる?」

 瑞樹ちゃんの言葉に、私は額を押さえながら何度も頷く。
 それに瑞樹ちゃんは表情を緩めた。
 彼女の頭突きの恩恵か、多少は冷静になることが出来た。
 私はスクッと立ち上がり、パパの元に駆け寄った。

「こんなことしてる場合じゃないよね……瑞樹ちゃん!」
「全く……調子良いんだから」

 苦笑混じりにそう呟く瑞樹ちゃんの笑いつつ、私はラブメモリーウォッチを掲げた。
 パパの胸元が裂けるのを見て、私は深呼吸をした。
 すると、瑞樹ちゃんは何も言わずに私の手を握ってくる。
 私はそれに彼女の手を握り返した。

「瑞樹ちゃん……行こう!」
「おぉ!」

 その声を皮切りに、私達は同時にパパの胸元に空いた穴に踏み込んだ。
 すると体が引っ張られ、記憶世界に出る。
 着地して辺りを見渡すと、それは、私が前に住んでいた家の玄関だった。

「ここは……?」

 瑞樹ちゃんが不思議そうに辺りを見渡す。
 その時、玄関の鍵がガチャガチャと音を立てる。
 やがて扉が開き、スーツを着たパパが入って来る。

「ただいま」
「ぱぱ~!」

 パパの言葉に応えるように、リビングから幼い私が飛び出してくる。
 それにパパは目元を緩め、屈んで両手を広げる。
 すると幼い私は抱きつくように走って、手を……――――。

 見ていた時だった。
 世界が白黒に染まり、停止したのは。

「ッ……!」

 私達は顔を上げる。
 目前の空間が裂け、そこから時計の形をしたワスレールが出て来た。
 それに、私達はラブメモリーウォッチを構えた。
 パパのメモリア……絶対に、取り戻す!

「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」


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