二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.154 )
日時: 2017/12/29 21:22
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第24話「瑞樹の本心?瑞樹と星華初めてのおつかい!」5

「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」

 名乗りを終え、私達は同時に「んっ?」と呟いた。
 え、名乗りの後の奴……何?

「まさか、二人以上で変身すると強制発動するオートセリフなのかこれ……」
「マジですか……」

 どうやら杏奈さんと変身していた時もこの名乗りはあったらしい。
 私の場合ずっと一人で戦っていたから、こんなセリフ無かった。
 だから、初めての言葉に私は呆然とする。

「せ、折角の初めてなら杏奈さんとが良かった……!」
「フューチャー、あのねぇ……」

 呆れたように笑うパーストは、突然無表情になる。
 そして、私の腕を引き後ろに跳んだ。
 突然どうしたのだろうかと思っていると、先程まで私達がいた所にワスレールの攻撃が入った。

「ぉおッ……」

 小さく声を漏らす。
 するとパーストはそのまま私を抱きしめ、地面を転がった。
 ワスレールの攻撃が思いのほか強力で、爆風によりバランスを崩したのだ。

「ぱ、パースト……大丈夫?」
「大丈夫、だよ……これくらい」

 そう言ってパーストは笑い、私に向かって親指を立てた。
 それに私はホッとして立ち上がり、パーストに手を差し出した。
 するとパーストは私の手を取り、立ち上がる。

「しっかし、アデッソもいないし……どうしようか」
「……弱らせて、私のフューチャーレイピアでトドメをさす」
「ははっ……それで行きますか」

 パーストはそう言って笑い、空色の針を取り出す。
 私も頷き、レモン色の針を取り出した。
 それぞれラブメモリーウォッチに針を嵌め、回転させる。
 すると剣が出てくるので、それを手に取った。

「一気に行くよ! フューチャー!」
「はいッ!」

 パーストの言葉に私は頷き、ワスレールの元まで一気に駆ける。

「な……たった二人だと言うのに……ワスレール!」

 セフトの指示に、ワスレールは私達に攻撃を振るってくる。
 しかしそれをいなしながら、私達は進む。
 攻撃を躱し、いなし、ワスレールに近づいて行く。
 だが、その時、ワスレールの攻撃の爆風でパーストが後ろに吹き飛ばされた。
 逆に、私は爆風が追い風となり、ワスレールとの距離が縮まる。

「パースト!」
「フューチャー!」

 その時、パーストが私の名を呼び、短剣をこちらに投げつけて来た。
 考える時間など無かった。
 私はワスレールに向かって跳び、攻撃を躱すモーションの中で、その短剣を受け取る。
 そのまま体を捻り、短剣でワスレールを斬りつけた。

「ガァァッ!」

 呻き声をあげるワスレールを、さらにフューチャーレイピアでもう一度斬りつける。
 するといよいよワスレールは身悶え、その場に倒れ込む。

「今よ! フューチャー!」
「ハイ!」

 私は頷き、一度地面にパーストの短剣をソッと置く。
 それからラブメモリーウォッチからレモン色の針を外し、フューチャーレイピアに嵌め込む。
 そして針を回転させ、フューチャーレイピアを構えた。

「未来を照らす大いなる希望! フューチャーレイピア!」

 そう叫んでから、剣で円を描く。
 円の中で星を描き、レイピアを横に構えてその光を纏わせる。
 そして、私は叫んだ。

「プリキュア! フューチャーエスペランス!」

 叫び、私は目の前の空間を両断する。
 すると一筋の光がワスレールに飛び、空中でワスレールの体を停止させた。
 私はワスレールに背を向け、回転し続ける針を停止させた。
 背後から爆発音が聴こえ、ワスレールが浄化されたことを知った。

「パースト……」

 疲れたような表情で笑いながらこちらに駆け寄ってくるパースト。
 私の目の前まで来ると手を挙げるので、私も同じく手を挙げた。
 それから、パァンッと音を立てて、私達はハイタッチをした。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.155 )
日時: 2017/12/29 23:09
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第24話「瑞樹の本心?瑞樹と星華初めてのおつかい!」6

「ただいまー」

 私が先に家に入り、帰宅の挨拶をする。
 すると台所から、杏奈さんとお姉ちゃんが出て来た。

「おかえり星華! 瑞樹!」
「星華ちゃんおかえり~。ロブメモワールの気配があったけど、二人で倒せたんだね」

 安心した表情で言う杏奈さんに、前原先輩は玄関を閉めながら「当然」と答えた。

「何たって私がいたんだもん。ね、星華」
「いえ、私がトドメを刺しました」

 正直に結果を話すと、前原先輩が鳩尾に膝蹴りを入れて来た。
 それに私は脇腹を押さえ蹲った。
 するとお姉ちゃんが心配そうに近づいて来た。

「せ、星華大丈夫?」
「う、うん……大丈夫」
「ちょ、瑞樹ちゃん……流石にやり過ぎなんじゃ……」
「本気じゃないから大丈夫でしょ。あ、それよりさ、今日買うように頼まれていた材料は結局何なの?」

 前原先輩が疑問を口にすると、杏奈さんは笑いながらレジ袋を受け取り台所に向かう。
 それに前原先輩も向かうので、私はお姉ちゃんに支えられながら付いて行く。
 その様子を見て、杏奈さんが苦笑を浮かべた。

「ねぇ、瑞樹ちゃん……ホントに大丈夫なの……?」
「えっ? ……大丈夫でしょ」
「そう……じゃあ、とりあえず料理マスターさん。よろしくお願いします!」

 そう言って敬礼をする杏奈さんに、お姉ちゃんは「おう!」と答え同じように敬礼をする。
 それから台所に行き、料理を始める。
 私は脇腹に痛みを感じながら、前原先輩と一緒にお姉ちゃんの料理過程を見つめる。
 お姉ちゃんは久しぶりに料理をするハズなのにすごく手際よく料理をしていく。

「うわぁ……すごい」
「フフッ。星華に手料理を食べさせるのは久しぶりだからね。お姉ちゃん頑張るよ~」

 そう言って得意げに笑い、お姉ちゃんはフライパンで調味料を混ぜ、シイタケとタマネギと豚肉を炒める。
 それから溶かした卵を万遍なく入れて、蓋をする。
 しばらくして半粥状になるとフライパンを止め、前もってどんぶりに盛っておいたご飯に掛けていく。
 仕上げは刻んだ青ネギをパラパラとかけて、完成だ。

「ハイ、完成。親子丼ならぬ他人丼!」
「他人丼?」
「ホラ、親子丼は卵と鶏肉だから親子丼でしょう? そうじゃなくて、鶏肉以外を使った卵系のどんぶりのことを、他人丼って言うんだ~」
「へぇ~!」

 私が感心したように声を漏らすと、前原先輩は「へぇ~じゃないでしょ」と窘めて来た。
 それからジト目を杏奈さんに向けた。

「わざわざこの他人丼を選んだ意味はなぁに? 杏」
「えへへ……私達は、血が繋がってるわけでもないし……あ、星華ちゃんと月乃ちゃんは別だけど……でも、それ以外には接点があるわけでもないし、共通点も特にない。でもね、そんな、他人である私達がこうして一緒にいられることは凄く奇跡だと思うの。だから、二人には喧嘩もして欲しくないし……だから、この他人丼みたいに、皆の心が一つになれたらなって思って……」

 杏奈さんの言葉に、私と前原先輩は顔を見合わせた。
 すると、お姉ちゃんがパンパン、と手を打った。

「ま、とりあえずさ、冷めない内に食べちゃおうよ。ね?」
「……そうだね。食べよっか」

 前原先輩はそう言って私を見た。
 それに、私は「はいっ」と頷き、一緒に座る。
 席順は、私と前原先輩が並んで座り、向かい側に杏奈さんとお姉ちゃんが並んだ。
 それから声を合わせて「いただきます」と言い、食べ始める。

「でもさ、二人の空気、なんか軽いね。もしかして、もう仲直りしたの?」

 お姉ちゃんの言葉に、私は「買い物の最中に」と答える。
 すると、杏奈さんが「へぇ~」と言った。

「二人の空気凄く重かったからねぇ……ははっ、仲直りしたみたいで良かったよ」
「私も、前原先輩凄く怖かったから、これで一安心です」
「いやぁ、その件に関してはご迷惑をお掛けしました。……あ、そうだ」

 笑いながら謝罪をした前原先輩は、何かを思い出したようにそう呟く。
 それから、私に視線を向けてきた。
 え、私?

「あのさ、前原先輩っていちいち呼ぶの堅苦しいよ。……杏奈みたいに、瑞樹で良いから」
「……じゃあ、私も他の二人みたいにあだ名で呼んで下さいよ」

 私の言葉に、前原先輩はムッとした表情をした。
 それからしばらく考えるような間を置いた後で、私を見て口を開く。

「分かったよ。……セッチー」
「……はいっ。瑞樹さん」

 私の言葉に、瑞樹さんは顔を背けて他人丼を頬張った。
 わざとらしい照れ隠しに、彼女の顔が赤くなっていることに気付いて、私は笑った。
 すると瑞樹さんが「笑うな~」と言いながら私の口に他人丼を押し込もうとしてきた。
 そんなじゃれ合いを見て、杏奈さんとお姉ちゃんも笑っていた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.156 )
日時: 2017/12/29 23:24
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

一応話がひと段落したので、一応年納め?のご挨拶を。
毎度メモリアルプリキュアをご愛読して頂きありがとうございます。愛です。
さて、本日は12月29日……もうすぐ30日になりますね。
まぁ何が言いたいのかと言うと、年末です。
時間が経つのが、なんだかとても早く感じます。
今年はカキコにてオリキュア小説を書かせて頂き、さらに夏大会では金賞を頂きました。
現在は冬大会が開催中ということで。
しかし、私はあくまで自分が書きたいものを書くだけです。
予定では年内に22話が書き終われば良い方だったのですが……なぜ24話書き終わっているのでしょうか。
残っている二日間で頑張って25話を完成させていきたい所存です。

さて、改めまして、今年はこのカキコではオリキュア小説を書かせて頂き……自分で言うことではないかもしれませんが、カキコにプリキュア小説ブームを巻き起こせたのではないでしょうか。
最近カキコにプリキュア小説が増えてきているのを感じます。
私は二年前ほどから別名でカキコで執筆活動をさせていただいているのですが、私が来た頃はプリキュアの小説はほとんど無かったような気がします。
しかし、ここ最近、それこそ私がオリキュア小説を書くようになってからプリキュア小説が増えてきている傾向を感じます。
偶然ではあるかもしれませんが、やはりプリキュアというものに触れる人が増えることは良いことです。
もし私の小説でプリキュアに興味を持った、プリキュアを好きになったという人がいるのであれば、それはそれで嬉しいですね。

本来であればメモリアルプリキュアの中身についても触れたいところですが、それはまた年明けの挨拶でやっていきたいと思います。
ただ、次の25話の内容は少しだけ語っておきましょうか。
25話では、新たにロブメモワールに加入した『あの子』が出てきます。
彼女がメモリアルプリキュアという物語をどう引っ掻き回すか、乞うご期待ということで。
本日は自分でもアホかと思うレベルで小説を書きすぎたので、少し大人しめのテンションでお送りしております。
多分年明けの時はハッチャけます。

では、残り少ない2017年……そして来年、2018年も。
メモリアルプリキュアをよろしくお願いいたします。
では皆さん、良いお年を。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.157 )
日時: 2017/12/30 16:11
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第25話「杏奈争奪戦!?小悪魔シーフ登場!」1

<セフト視点>

 キュアフューチャーは、キュアアデッソだった頃よりもパワーアップしているように感じた。
 プリキュアの戦力が大幅に上がっている……。
 これは、俺達も本気で挑まねばならないかもしれない。

「二人とも情けない……」

 そう言って紅茶を啜るシーフ。
 彼女の言葉に、バーグラーがこめかみに青筋を立てながらも、あくまで冷静な口調で返す。

「それはお前がプリキュアと戦ったことが無いから言えるのだろう? プリキュアと戦ってみれば分かるさ」
「いいえ、お二人のメモリアからなんとなく察しました。……プリキュアには、ある一つの支えがある」

 シーフの言葉に、俺は顔を上げる。
 バーグラーも興味を示した様子で、「どういうことだ?」と聞いた。
 するとシーフはクスッと笑って、自分の髪を指に絡めた。

「どういうことって……分からないんですの? キュアアデッソ……今行杏奈よ」
「今行杏奈が……メモリアルプリキュアの支え?」

 俺の呟きに、シーフは頷く。

「えぇ。前原瑞樹も、後宮星華も、彼女を中心として集まったに過ぎない」
「……でも、今行杏奈がいない状態でもセフトのワスレールを破ったのだろう?」
「それは、どこかに今行杏奈という存在がいたから。だから、彼女という存在を……奪う」

---

<瑞樹視点>

「んーっ。今日も快晴!」

 そう言って杏は伸びをする。
 今日は、最近駅前に出来た新しいアイスのお店に皆で行くのだ。
 やはり夏と言えばアイス! 今日は良い天気だし、絶好のアイス日和だ。

「ていうか、セッチーは良いの? モデルなのに甘いもの食べて」
「あぁ、その分動いたりして調節はするから大丈夫ですよ。夏はこの気温のおかげで代謝も良くなりますし」
「なるほどねぇ」

 そんな風に会話をしていた時だった。

「杏奈!」

 突然杏の名前を呼び、見覚えのない少女が杏に抱きついたのは。
 あまりに突然のことに、私達は固まる。

「え、ちょ……杏奈さん! その女は何ですか!?」

 一番に反応したのはセッチーだった。
 流石はモデル、と言ったところだろうか。
 撮影中にハプニングはいくらでもあるだろうし。

「いや、急に聞かれても……!」

 そして、どうやら杏にも覚えは無いらしい。
 見た目は……赤い髪に、黒いメッシュ? が入っている。
 顔まではよく見えない。だって杏に抱きついているから。
 ただ、背丈的に私達より年下くらいに見える。

「杏奈……もしかして、私のことを忘れてしまったのですか?」

 少女はそう言って杏のことを見上げる。
 口調が凄く上品で、丁寧で、お金持ち的な印象を抱く。
 杏はそれに少女の顔を見る。

「いや、私達は、しょたい……」

 恐らく、初対面、と言おうとしたのだろうか。
 しかし、突如少女の顔を見た杏の顔から、表情が失せる。
 日差し等の影響だろうか。
 目からも光が無くなったような……。

「……あぁ……シーフちゃん」

 やがて、小さくそう呟いた杏。
 シーフ……それが、あの少女の名前、なのだろうか?

「ねぇ、杏。その子は一体……」

 私がそう声を掛けると、杏はフッとこちらを見た。
 やがて、光の無い目のまま首をかしげた。

「えっと……貴方は一体……? あの、杏って……私のことですか……?」

 その言葉に、私は言葉を失う。
 するとシーフと呼ばれた少女は不敵に笑い、杏の腕を抱きしめた。

「杏奈。こんな人達構っていないで、早く行きましょう?」
「あぁ、うん……そうだね」

 シーフの言葉に杏は笑い、二人でどこかに歩いて行ってしまった。
 取り残された私達は、ただ無言で立ち尽くすことしか出来なかった。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.158 )
日時: 2017/12/30 18:03
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第25話「杏奈争奪戦!?小悪魔シーフ登場!」2

<シーフ視点>

「んんっ……美味しいですわ!」

 口に含んだアイスの味に、私はついそう言った。
 そんな私を見て、今行杏奈はクスクスと笑った。

「良かった。シーフちゃんが喜んでくれて。私も初めて来るから心配だったんだぁ」
「そうなのですか?」
「うん。ここ、最近出来たからさ」

 そう言って自分の分のストロベリーアイスを食べる今行杏奈に、私は納得しながらチョコレートアイスを食べる。
 今、私達は今行杏奈が案内したアイスクリーム屋に来ている。
 彼女のメモリアを覗いた感じ、どうやらここは、メモリアルプリキュアメンバーで来る予定だったようだ。

 今、私は彼女のメモリアを奪っている。
 メモリアは記憶を司るエネルギー。
 即ち、現在彼女に記憶は無い。
 そこに私が友達だったという偽りのメモリアを流し込んだ。
 無論、そんな記憶、欠落だらけの不良品に過ぎない。
 しかし、彼女本人はそれに一切違和感を抱かないように、感情を操作している。

「ねぇねぇシーフちゃん」

 その時、今行杏奈がそう名前を呼んできた。
 顔を上げると、彼女が私の口元にストロベリーのアイスを運んできていた。

「へ……?」
「アイス、食べ合いっこしよ?」

 今行杏奈の言葉に、私はポカンと口を開けて固まった。
 すると、その口の中に彼女のスプーンが入って来て、口の中に甘酸っぱいイチゴの味が広がる。

「……美味しい」
「フフッ。でしょう? ね、シーフちゃんのアイスも食べて良い?」
「え? あ……うん」

 私は頷き、チョコレートのアイスを少し掬って今行杏奈に差し出す。
 すると彼女は口を開け、綺麗な形の唇でそのアイスを口の中に入れる。
 しばらく味わうと、「美味しい~」と言って嬉しそうに笑う。

 しかし、その目は暗く濁り、私以外の何物も映さない。
 そして、それを知っているのも私だけ。
 無論、人から話しかけられればそれなりに対応する。
 だが、最優先は私だ。
 なぜなら……私が彼女にとって、唯一の友人だから。

「それじゃあ、杏奈。次はどこに行きますか?」

 私の言葉に、今行杏奈は「ん~」と考える。
 それから手を打ち、口を開いた。

「じゃあ、行きたいところがあるんだけど……」


<瑞樹視点>

「杏奈さん……何があったんでしょうか……」

 近くの公園のベンチで、セッチーがそう言った。
 それに、ツッキーも腕を組んで「うーん」と呻く。

「杏奈が瑞樹を忘れるとは思えないし……原因としては、あのシーフとやらか……リコルンは何か知らないの?」
「アイツはロブメモワールのシーフリコ。ただ、杏奈に何をしたかまでは分からないリコ……」
「……ちょっ……ロブメモワールだって分かってるなら早く止めてよ!」

 セッチーの抗議に、リコルンは「そう怒らないで欲しいリコ~」と言って耳を押さえる。
 その会話を聞きながら、私はため息をついて頭を抱える。

「ロブメモワールの仕業って分かったところで……私はどうすれば良いの……」
「一体どんな術を使ったのかも未知数ですし……いきなりシーフを倒す、というのは……」
「……もし、杏奈がシーフを守ろうとしたら……?」

 セッチーの案は、ツッキーによる指摘で却下となる。
 そりゃそうだ。あの態度から、杏はシーフを自分の友達だと思い込んでいる。
 ……思い込まされている。
 だから、あの杏ならシーフの盾にもなりかねない。

「……やっぱり、瑞樹さんが動くべきなんじゃないですか?」

 その時、セッチーがそんなことを言ってくる。
 彼女の言葉に、私は「は?」と聞き返した。
 するとセッチーは顔を上げ、続ける。

「この中では瑞樹さんが一番杏奈さんと親しいですし、それに……二人とも、お互いを一番大切にしていますから」
「そんなこと、言われても……」

 私が困惑していると、ツッキーが「大丈夫だよ」と言って私の手を握った。

「瑞樹ならきっと、杏奈を元に戻せる。自分と……杏奈との絆を、信じて?」
「ツッキー……セッチー……」

 私はツッキーとセッチーを交互に見てから、頷いた。

「うん。……私に出来ることを、頑張ってみる」


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