二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.84 )
日時: 2017/11/04 17:29
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第13話「杏奈帰る!?そうだ故郷行こう」6

 私の持つパーストソード……そして、アデッソが持つアデッソソード。
 二つはしばらくの間眩い輝きを放っていたが、徐々にその光は収束し、最終的に消えてしまった。
 先ほどの光は……一体……?
 ぼんやりしていると、徐々に世界が色を取り戻していくのが分かった。
 私達は慌てて変身を解き、駅に戻った。

 すぐに世界は動き出し、あゆみんも無事に目を覚ました。
 かなり心配はしたが、特に外傷も無さそうだし、ちょっとした立ちくらみということになった。
 それから私達は、久々に杏が帰って来たのだし、色々遊ぼうという話になり、駅を出た。

 相変わらず杏は皆の会話の中心で、『あの出来事』について話す機会は中々生まれなかった。
 リコルンは杏が管理? しているので、聞くことも出来ない。
 仕方がないので、私も会話に混ざりつつ、心の奥底で考えてみる。

 あの最後の光は、結局何だったのだろうか……と。
 メモリアの光? でも、なぜあの時?
 考えられるのは……今回の戦闘の時、やけに私達の体が軽くなったこと。

 メモリアの好調……この原因は、杏のメモリアが良い傾向で刺激されたことと、私が杏に関する記憶を大幅に増やして、良いメモリアが増えたから。
 あれ……何だろう、この違和感。
 私は一瞬足を止めそうになったが、すぐに動かす。

 でも、もしこの考察が正しいのであれば……―――どういうことだ?
 だって、今までの現象をかいつまんで考えると……―――杏のメモリアが影響していることになる。

 今覚えば、不思議だった。
 なぜ、杏と私がプリキュアに選ばれたのか。
 なぜ、プリキュアになれるほどのメモリアを持った杏が、ロブメモワールに狙われたことがないのか。

 そこまで考えて、私はまた足を止めそうになった。
 なんで……今まで考えなかった……?

 私と杏より前にプリキュアがいたかもしれないって……なんで考えなかった?

---

「クソッ……クソォッ!」

 俺は声を漏らしながら、床を引っ掻く。
 こんな結果でロブメモワールに帰ったら、そのままボウキャーク様に見切られることは分かっている。
 分かっているからこそ、苦しい。
 このままでは俺は……ッ!

「一つだけ……手段があります」

 頭上から降って来た声に、俺は顔を上げた。
 見るとそこには、セフト……―――人間に化けた状態の芹谷風斗―――が俺を見下ろしていた。
 一般的な人間は全員騙せているようだが、俺は、よく誰もコイツの内面に気付かないものだと驚く。
 ボウキャーク様以外の全ての生命体を人間だと思っていないような冷たい目。
 見下したような、冷酷な目。
 こんなもの……ごく普通の人間がして良い目ではない。

「手段……?」

 なんとか声を振り絞ってそう聞いてみると、セフトは「はい」と笑顔で言った。
 しかし、口元は笑っているが、目は死んでいる。
 やがて彼は一本人差し指を立て、笑顔のまま言った。

「メモリアの新しい使い方があるんです。まだ誰も使ったことはありません。ですが、この手段を用いれば、貴方は膨大な力を手に入れることができるでしょう」
「な……! それなら……!」
「ただし、一つだけ、代償があります」

 セフトの言葉に、俺は「代償……?」と聞き返す。
 するとセフトはニコッと笑い、俺の額に指を当て、続けた。

「それは……貴方の命です」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.85 )
日時: 2017/11/04 22:15
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第14話「メモリアの秘密!?プリキュア新たなる力!」1

<瑞樹視点>

 杏の故郷には、二泊三日でいる予定だ。
 今日は長い時間を掛けてここまで来たし、疲れてるだろうからホテルでゆっくり休もうって。
 んで、明日は一日皆で色々回ってエンジョイして、明後日にグッバイ。
 金色週間というだけあって、やはり、この長期休日は中々嬉しいものだ。

 そんなこんなで、私達は現在ホテルの一室に寝泊りをしている。
 そりゃあ、そもそも杏の実家が時見町にある『Adesso』なのであって、ここにあった家から出た今、杏に泊まれる家はない。
 というわけで、私はお先にお風呂に入らせてもらい、今は髪を乾かしている。
 髪が大体乾いたのを確認し、備え付けのドライヤーを置いて櫛で梳く。

「杏~お風呂先入ったよ~」
「あ、はぁい」

 浴室から出た私は、部屋で待っていた杏にそう声を掛けた。
 杏は慌てて服を持ち、部屋に備え付けられた風呂に入りに行く。
 バタンと扉が閉まるのを確認した私は、すぐに杏のベッドに座りテレビを眺めているリコルンを眺めた。

 コイツはまだ……私達に隠していることがある。
 それがどんなことかは分からない。
 でも、きっと……かなり重要なこと。
 私は無言で杏のベッドに近づき、そこに置いてあったテレビのリモコンを手に取り、テレビを切った。

「ちょっ……見ていたリコ!」
「ちょっと来て」

 自分でも分かるくらい、冷淡な声。
 しかしそれを気にするよりも前に私はリコルンの頭を鷲掴み、部屋から出る。
 廊下を早歩きで歩いて、エレベーターを下り、一階のロビーを抜けて外に出る。
 あまりこういう夜の町には出ない方が良いのだろうけど、それより大事な問題がある。

 私はホテルに入るまでのドアの前にある数段程度の階段に座り、掴んだままのリコルンを見つめた。
 リコルンも何か察したのか、ため息をつき、私の目を見つめ返した。
 多分傍から見たら、私はぬいぐるみをジッと見ている変な女子中学生なんだろう。
 別に良い。それより……―――。

「リコルン……二つ、聞きたいことがあるの」
「……何リコ?」

 訝しむような声色で聞いてくるリコルン。
 確かにそうだ。リコルンにだって話せることと話せないことがある。
 そして、恐らく話せることの大体は私達に話してしまっている。
 つまり、ここまで私が連れ出してまで聞くようなことは……話せないことである可能性が高い。

 でも……聞くしかない。

「まず一つ目。……杏のメモリアって、特別なの?」

 そう聞いた瞬間、リコルンの大きな耳がピクッと動いた。
 そして困ったように目を逸らし、口ごもる。

「……どうなの?」

 念を押すように聞いてみる。
 すると、リコルンはふと顔を上げるが、すぐに目を伏せる。
 それから口を少しだけ尖らせ……頷いた。

「ッ……」
「確かに瑞樹の言う通り、杏のメモリアは特別リコ」
「具体的には!?」
「痛いリコォ……」

 どうやら強くリコルンの体を強く掴みすぎてしまったらしい。
 私は慌ててリコルンから体を離し、改めて「具体的には?」と聞く。
 するとリコルンは一度咳をして、話し始める。

「まず、杏のメモリアは、他の人間とは比べ物にはならないくらいに多いリコ」
「ふむ……」
「メモリアのメカニズムから考えるに、単純な理由としては、杏にとっては全ての記憶がとても大事ということリコ。だからこそ、純潔なメモリアが彼女の体には貯蔵されているリコ」
「なるほど……で、その純潔過ぎるメモリアが私のメモリアに影響して、今日の体の好調が起こった……とか?」
「……勘が良いガキは嫌いリコ」
「おいどこで知ったそのセリフ」

 リコリンがかなり有名なセリフを言ったものだから私はついそう聞き返した。
 いや、今はそんなことどうでもいいか。
 まぁ、これで一つの謎は解けた。
 杏のメモリアが特別であることが分かったら……残る謎はもう一つ。

「じゃあ二つ目の質問ね。……私達の前に、プリキュアっていたの?」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.86 )
日時: 2017/11/12 22:07
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第14話「メモリアの秘密!?プリキュア新たなる力!」2

「じゃあ二つ目の質問ね。……私達の前に、プリキュアっていたの?」

 私の質問に、リコルンの顔色が明らかに変わる。
 目を見開き、冷や汗を頬に伝わらせる。
 これは、確実にビンゴ……しかも、かなり最悪の形で。

「な、なんでそんなことを聞くリコ?」

 リコルンの問いは尤もな話だ。
 いきなり話が飛躍しすぎた。
 私はリコルンの体を掴む力を少し緩め、口を開く。

「まず、杏のメモリアが特別なものであることは最早決定事項。だったら話はその次に至る。……杏がロブメモワールに狙われたことは無かったのか」
「……」
「私がロブメモワールに襲われた時に、杏はプリキュアになったんだよね? だったら、その前は? 杏は全くロブメモワールに襲われずに、時見町に来たのかな」
「……」
「そんなの、普通に考えたらありえないと思わない? だったら単純。杏の特別なメモリアをロブメモワールが狙い……私達の前にいたプリキュアが助けた」

 私の言葉に、リコルンは目を伏せる。
 否定しない辺り、恐らく正解なのだろう。
 私は手に汗を掻くのを感じながら、「どうなの?」と続ける。

「……瑞樹は、馬鹿そうに見えて、意外と頭が良いリコ」
「二言余計。……じゃあ、当たってるんだ?」
「……当たってるリコ」
「じゃあ……私達の前のプリキュアは、どうなったの?」

 私の言葉に、リコルンは口を歪める。
 それに、私は唇を噛みしめる。

 そういうことか……。
 なるほど、と思う。
 だって、そんなことを話せば、現在プリキュアをしている私や杏の決意が揺らぐに決まっている。
 実際、今のリコルンの反応で、大体は察してしまった。

「……死んだの……?」
「ちがッ……死んではいないリコ!」
「じゃあ何なの!?」

 つい声を荒げる。
 死んでいないなら何なんだ!
 憤りを抑え込みながら、私は次の言葉を待った。

「まず、前のプリキュアは……まだ生きているリコ」

 リコルンの言葉。
 その言葉に、私はホッと息をつく。
 しかし、その安心を打ち砕くように、リコルンは続けた。

「でも、変身は出来ないリコ。……変身できなくされたリコ」
「変身……できなく……?」

 私が聞くと、リコルンは頷いた。

「そうリコ。まぁ、変身道具であるラブメモリーウォッチを壊されたことが原因リコ」
「そうなんだ……」
「……でも……」

 リコルンが尻すぼみな言い方で呟く。
 私はその呟きに「でも?」と聞き返した。
 すると、リコルンは私を見上げて来た。

「瑞樹。これから話すことは、絶対に杏奈には喋らないって、約束してほしいリコ」
「え、なんで……」
「お願いリコ!」

 リコルンの言葉に、私はしばらく迷いつつも「分かった」と言って頷いた。
 するとリコルンはホッと息をつき、続けた。

「その前のプリキュアには……――――」

 それから話されたのは、前のプリキュアの過去だった。
 前のプリキュアが、どこで、どんな風に活動していて……誰だったのか。
 全てを聞いた私は、満天の夜空を仰いだ。

 なんてことだ。
 まさか、自分がこんなにも凶悪な事象に巻き込まれているなんて、夢にも思わなかった。
 しかし、リコルンが語ったことが真実であり、現実なのだろう。
 夢だって思いたい。嘘だって思いたい。
 でも、この胸に感じた痛みが、夢ではないことを知らしめる。
 リコルンがここで嘘をつく必要性を考えると、嘘ではないことも分かってしまう。

 これが……真実。
 こんなに残酷なことがあって良いのか。
 こんなに悲しいことがあって良いのか。

 とりあえず、これだけは分かる。
 この夜リコルンと話したことに関する事情は全て……杏に話してはいけない、と。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.87 )
日時: 2017/11/05 21:50
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第14話「メモリアの秘密!?プリキュア新たなる力!」3

 翌日になった。
 瞼を開くと、隣のベッドであどけない寝顔で眠る杏の姿があった。
 両手でリコルンを抱きしめ、スヤスヤと安らかに眠っている。
 私は体を起こし、その様子をぼんやりと眺めていた。

 あの後、部屋に戻ると、血相を変えた杏に物凄く心配された。
 私だけじゃなくてリコルンまでいなくなったから、何か事件かと思ったんだって。
 流石に何を話していたのかは言えないので、適当に散歩に行っていたと誤魔化した。

 私は床に置いてあるスリッパを履いて立ち上がり、杏の眠るベッドに近づいた。
 左手の甲を、杏の頬に当てる。
 無邪気な寝顔。悲しみや挫折を知らない顔。

 ……この子のメモリアを、歪めてはいけない。
 リコルンから特別であると言わしめるほどのメモリア。
 そこまで貴重なメモリアを……汚してはいけない。

 気付いたら、私は杏のベッドに座り、彼女の頭を撫でていた。
 綺麗な髪。普段二つに結んでいる髪を下ろしていて、少し違和感。
 でも、これはこれで似合っている。

「んぅ……瑞樹、ちゃん……?」

 杏のことを撫でながら観察していると、彼女は薄く目を開けて私を見た。
 どうやら起こしてしまったらしい。
 とはいえ、あゆみん達との約束もあるし、そろそろ起きる時間だ。

「杏。……おはよ」

 私はそう言って、笑った。
 そんな私の挨拶に、杏はふにゃぁと緩い笑みを浮かべた。
 だらけた感じの笑顔。
 でも、その笑顔を守り続けたいと、心の底から思った。


 待ち合わせの場所に行くと、すでにそこに皆揃っていた。
 私達はすぐに皆の元に駆け寄り、挨拶をした。

「おせーぞ杏奈」
「ごめんごめん」

 文句を言う光輝に対して、そう言いつつ杏。
 でも、時計を見た感じ待ち合わせ時間には遅れてないよね?
 しかし、杏に文句を言う光輝の口元が僅かに緩んでいるのを見て、私は「あぁ」と小さく声を漏らした。

 なるほど。そういうことね。
 そりゃそうだよね~。好きな人と会うのは待ち遠しいもんね~。
 どうやら他のメンバーも同じ事を考えている様子で、苦笑いで光輝を見ていた。

「ま、こんなことしてないで、さっさと色々遊びに行こうよ! 今日一日しか遊べないんだし!」

 そう言って手を叩く夏美の言葉に私達は頷き、歩き出す。
 さて、光輝は今回の遊びでどれだけ杏との距離を縮めるか。
 見物だな。

---

<デロべ視点>

 メモリアの新たなる使い道。
 その代償は、この俺の命。

 床を引っ掻きすぎて、爪がかなり酷いことになっている。
 鋭かった爪は床によって削れ、何本かは剥げて血の滲んだ地肌が見え隠れしている。
 それでも俺は、爪だけでなく指の先を使って、床に作った引っ掻き傷をなぞる。

 正直に言えば、悩む必要なんて無いのだ。
 このままではボウキャーク様に見切られるのは目に見えている。
 ボウキャーク様に見切られることは、イコールで俺の死を意味する。
 だったらせめて、この命を捧げ、最後までボウキャーク様に付き従うべきだ。

 それは分かっているのだが……死ぬのは、怖い。
 浅ましい願望かもしれない。
 しかし俺は、死にたくない。
 こうして目の前に死を突き付けられた瞬間、俺の心にはそんな願望が巣食っていた。

 でも仕方がないだろう?
 このままではボウキャーク様に見切られ死。
 ボウキャーク様に認めてもらうために力を使っても死。

 すでに、俺の人生は詰んでいる。
 だったらせめて、俺は、ボウキャーク様に最後の最後まで忠誠を誓うべきだ。
 最後の最後まで、あのお方に付き従う。
 それが、俺のあるべき姿。

 だったら最初から……答えは一つしかないじゃないか。
 俺は立ち上がり、天を仰いだ。

「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 吠えた。
 自分の宿命への嘆きを、少しでも晴らすために。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.88 )
日時: 2017/11/12 23:16
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第14話「メモリアの秘密!?プリキュア新たなる力!」4

<瑞樹視点>

 それから、私達はカラオケだとかボーリングだとかゲームセンターだとか、様々な娯楽場に行った。
 昨日会ったばかりだと言うのに、私もすっかり皆の中に溶け込み、自然体でいられた。
 証拠に、あゆみんがすごく良い笑顔だった。
 きっと、普段のあゆみんはこんな感じなんだろう。
 昨日は私がいたから人見知りが発動しちゃったみたいだけど、今日はすでにそんなこともなく、自分からも話しかけてくれたりして、中々楽しい時間を過ごせた。

 しかし、ここで問題がある。
 私はチラッと、とある少年に視線を向けた。

「いや~、ゲーセン楽しかった~! 杏奈、UFOキャッチャーの腕下がったんじゃないの?」
「うッ……今回は久しぶりにやったから腕が鈍ってただけだもん!」

 京ちゃんに馬鹿にされて、ムスッとした表情で顔を背ける杏。
 その横に並び、杏と手を繋ごうとしては引っ込めるを繰り返す少年、こうっぺ。
 しかも、そもそも杏が両手でしっかりリコルンを抱いてるから繋げないことに気付けない。
 残念すぎる……。

「こうっぺ~怖気づくな~」
「ここで行かないと情けないぞ~」
「光輝君頑張れ~」
「あーもうお前等うるせぇな!」

 後ろから私となつみんとあゆみんで冷やかしてると、こうっぺが怒りを露わにしながら振り向く。
 おぉ怖い怖い。
 そんな中、雄はあくまで無難に微笑み、様子を伺っている。

「ん? 皆何話してるの?」

 そう言って、杏はこちらに振り向く。
 すると、こうっぺはすぐに「いや、なんでもねぇよ」と言いながら笑う。
 全く、相変わらずのヘタレだ。
 私はため息をつき、前を見た……ところで、固まる。

「何、あれ……」

 あゆみんはそう呟いて、青ざめた表情で後ずさる。
 咄嗟に私は自分の後ろあゆみんとなつみんを隠した。
 同じように、杏も京ちゃんの前に立ち、目前を睨んだ。
 え? 男連中? 自力でなんとかしなよ。

「……デロベ……」

 獣のような見た目をした男、デロベに、私はそう言葉を投げかけた。
 明らかに常軌を逸した目で、デロベは私と杏を交互に見た。
 そして次の瞬間、手を構えた。

「ッ……! 危ないッ!」

 私が叫ぶのと同時に、私と杏以外の人間からメモリアが抜かれる。
 それと同時に世界が白黒に染まり、デロベの頭上に巨大な時計の針が現れる。

「ッ……よくも皆を!」

 怒った杏がデロベを睨む。
 しかし、そこで彼女の顔は引きつった。
 それもそうだ。だって……デロベはその場に蹲り、苦しんでいるのだから。

「グルルルルルル……グルァァァアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」

 本物の獣のような咆哮。
 それと同時に、デロベの体が一気に肥大化する。
 体は巨大になっていき、爪と牙が鋭く伸びていく。
 本当ならあゆみん達を安全な場所に連れて行きたいところだが、白黒に染まり時が止まったこの世界ではそれも出来ない。
 私と杏は顔を見合わせ頷き合い、ラブメモリーウォッチを構えた。

「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」


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