二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.34 )
日時: 2017/08/26 15:42
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」2

「それにしても、杏があの子のファンなんて思わなかった」

 朝のHRが終わり、業間休憩になった時、瑞樹ちゃんがそう声を掛けてきた。
 彼女の言葉に、私は次の時間の準備をしながら「そう?」と聞く。
 すると、瑞樹ちゃんは頷いた。

「うん。杏ってそういう系興味無さそう」
「ん〜。前まではそうだったんだけどね。でも、ママがよく雑誌買ってて、ある日星華ちゃんを見たら、可愛いなぁって」
「それでファンに?」

 瑞樹ちゃんの言葉に、なんだか恥ずかしくなって、私は頷いた。

「……星華ちゃんは、私より一歳年下とは思えないくらい、キラキラしてて……正に、今を輝くトップモデルで! ……私も、星華ちゃんみたいに、輝ける人になりたいなぁって思って」
「なるほどねぇ……それで、今を輝く一つの光、か」
「そういうこと、なのかな……」

 私の言葉に、瑞樹ちゃんは「さぁ?」と言う。
 適当だなぁ……。
 私は息をつき、天井を仰いだ。

「それにしても、まさか星華ちゃんと同じ学校に通えるなんて……夢みたいだよ」
「それは良かったね。と言っても、学年の違うし、接点なんて無いだろうけど……」

 瑞樹ちゃんの言葉に頷いた時だった。

「あの……今行先輩いますか?」

 扉の方からそう聴こえ、私は視線を向けた。
 そして、目を見開く。

「せっ……星華ちゃん!?」

 噂をすれば影とでもいうのか。
 そこには、私達の話題の人物である、星華ちゃんが立っていた。


「えっと……それで、私に何の用かな」

 廊下に連れ出された私は、恐る恐る星華ちゃんに聞く。
 すると、星華ちゃんは私の隣にいる瑞樹ちゃんを見て、微かに目を鋭くした。

「それより先に、あの、貴方は呼んでないんですけど」
「杏は私の親友だもん。杏への要件なら、私にだって関係ある。逆もまた然り」
「瑞樹ちゃん……」

 親友って言葉に、私は胸が熱くなるのを感じた。

「この件に貴方は関係ありません。どこか行ってください」

 しかし、それに対する星華ちゃんの言葉は冷たかった。
 彼女の言葉に、瑞樹ちゃんは「なッ……」と言葉を詰まらせた。
 もちろん、私も突然の言葉に驚いてしまう。

「ちょ、ちょっと、星華さ……!」
「貴方の方こそ、友達を危険に付き合わせるつもりですか?」
「危険……? ちょっと、何の話……!?」

 私の言葉に、星華ちゃんはしばらく黙った後で、僅かに目を伏せた。

「……アイツ、教えてないのか……」

 ポツリと、小さく、そう呟いた。
 彼女の言葉に、私と瑞樹ちゃんは顔を見合わせる。

「……今回は出直します」

 やがて、そう言うと、彼女は踵を返して歩き出す。
 それに、瑞樹ちゃんは「ちょ、ちょっと!」と声を掛けるが、星華ちゃんはそれに返事をせずに歩いて行ってしまう。
 やがて、彼女の背中は、階段を下りて消えて行った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.35 )
日時: 2017/08/26 18:48
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」3

「何アイツ! 年下のくせにどこか行けだの偉そうに……!」

 星華ちゃんがいなくなってから数秒後、瑞樹ちゃんは徐々に溢れだす怒りを体で表し始めた。
 そんな彼女を、私は「まぁまぁ」と宥める。

「多分、星華ちゃんは私個人に聞きたいことがあったのかも。それに、先輩二人相手に一人で話すのって、結構緊張しちゃうし」
「あのトップモデルの後宮星華様がぁ〜? ないない」

 顔の前で手を横に振る瑞樹ちゃんに、私は「そうかなぁ」と返す。

「あれは全部モデル……というか、芸能人としての演技で、本当はすごく怖かったのかもしれないよ?」
「……うーん……」
「だからさ、私、行ってくる。一人で話をしてみることにするよ!」
「え、ちょっと!」

 呼び止める瑞樹ちゃんを無視して、私は駆けだした。
 きっと一年生の教室のどこかにいるハズ。
 そう思いながら階段を一段飛ばしで駆け下りて、私は星華ちゃんを探した。


<星華視点>

 毎日のように向けられる視線に何も感じなくなったのは、いつからだっただろう。
 モデルとして有名になってから、毎日のように向けられる視線。
 物珍しいものを見るような目。……異物を見るような目。
 ……私は、異物だ。
 教室……否、学校という、ごく当たり前の身近な存在の中に紛れ込んだイレギュラー。

 芸能人という存在は身近にいてはいけない、と私は思っている。
 あれは、画面の向こう側や、紙面の中で活躍している凄い存在であるからこそ、特別なのだ。
 それが、こんなごく普通の学校の教室にいてはいけないと思う。
 それは、許されないことだから。

 だから人は、私を遠目に見る。無理矢理敷居を作って、私を凄い存在に仕立て上げようとする。
 そうすることで、芸能人という存在に憧憬を抱こうとするんだ。
 でも、仕方がないことだと思う。だから、私だってそれは諦めている。
 ……けど……。
 もし、許されるなら……『彼女』のような友達が……―――。

「星華ちゃん」

 名前を呼ばれ、私は顔を上げた。
 見ると、教室の前で立っている今行先輩の姿があった。

「今行先輩」
「良かった。えっと……とりあえず、ちょっと出てもらって良いかな?」

 その言葉に、私は立ち上がり、今行先輩の元に行く。
 それから、二人で中庭に出る。
 晴れた空の下、中庭に出てすぐにあるベンチに、私と今行先輩は腰掛けた。

「えっと……今行先輩」
「あ、安心してね? 瑞樹ちゃんはちゃんと教室に残ってもらったから……多分、誰も聞いてないハズだから」

 焦った様子で両手を振りながら言われた言葉に、私は「はぁ……」と返す。
 すると、今行先輩は安心した感じの表情で手を下ろし、優しく微笑んだ。

「ごめんね? 怖かった、よね。二人の先輩を相手にしたら……」
「いえ……大丈夫です」
「そうなの!? 星華ちゃんは強いなぁ……私じゃ怖くて震えちゃうや」

 恥ずかしそうに笑いながら言う今行先輩の言葉に、私も釣られて笑う。
 そこで、私はとあることに気付く。
 この人……私を対等な存在として見てくれてる……。
 トップモデルの後宮星華としてじゃない。
 時見中学校の一年生……同じ学校の、後輩として、私を見てくれてる……。

「……あれ? 星華ちゃん。どうしたの?」

 私が口を噤んでしまったからか、不思議そうに顔を覗き込んでくる今行先輩。
 それに、私はハッと我に返る。

「あ、ごめんなさい。少し考え事しちゃって……」
「良いよ〜。……ところで、私に何の話?」

 今行先輩の言葉に、私は無意識に姿勢を正す。
 彼女なら……仮に『そう』だとしても、良い。
 この人ならきっと……――――。

「ごめんなさい。つい、話し込んでしまって……」

 私はそう言ってから呼吸を整え、一度深呼吸をする。
 そして目を開き、今行先輩の手首に巻き付かれたラブメモリーウォッチを見て、口を開いた。

「先輩はこの時計を……どこで手に入れたんですか?」

 それと同時に、授業開始のチャイムが鳴り響いた。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.36 )
日時: 2017/08/26 21:56
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」4

<杏奈視点>

「先輩はこの時計を……どこで手に入れたんですか?」

 突然放たれた一言に、私は硬直した。
 ラブメモリーウォッチを、どこで手に入れたのか……か……。
 ここで教えても良いものか……ダメだ。
 プリキュアのことは誰にも内緒だ。
 そうしないと、星華ちゃんに危険が及ぶって、リコルンが言ってた。
 なんとか隠さないと。

「えっとね、星華ちゃん。これは……」
「へぇ〜。これまた良いメモリアの持ち主がいるじゃねぇか」

 背後から聴こえた声に、私は立ち上がって振り返る。
 見ると、そこには、緩く笑みを浮かべながらこちらに歩いて来る赤い獣みたいな男の姿があった。
 私は咄嗟に星華ちゃんを庇うように、前に立つ。

「い、今行先輩……!」
「せ、星華ちゃんは、すぐに逃げて……」

 なんとか星華ちゃんに声を掛けていた時には、すでに目の前に赤い男はおらず、背後から感じる気配が増える。

「しまっ……!」

 咄嗟に振り向くと、すでに、獣みたいな男は星華ちゃんに向かって手を翳しているところだった。
 星華ちゃんの胸元に時計の針が現れ、回転して六時半を指す。
 すると、星華ちゃんは倒れ、胸元が裂ける。
 そこに獣みたいな男は飛び込み、裂け目は消えた。

「星華ちゃん!」

 なんとか我に返った私は、すぐに星華ちゃんに駆け寄り体を揺する。
 しかし、当たり前だが星華ちゃんの瞼は開かず、なすがままの状態である。

「杏!」

 その時、瑞樹ちゃんがこちらに走って来るのが見えた。
 私はすぐに星華ちゃんをベンチに寝かせ、瑞樹ちゃんに顔を向けた。

「授業始まっても来ないから何事かと思って探しに来てみれば……これ、もしかしてロブメモワールが?」

 瑞樹ちゃんの言葉に、私は頷く。
 すると、瑞樹ちゃんは悔しそうに唇を噛みしめて、ラブメモリーウォッチを構えた。
 やがて出来上がった裂け目に二人で飛び込み、記憶世界に入る。

「あれは……」

 前方を見たまま動きを止める瑞樹ちゃんに、私は顔を上げる。
 見ると、それは教室の中で、一人の女の子が本を読んでいるのが見えた。
 髪色と顔つきから、それが星華ちゃんであることに気付く。

「星華ちゃ……!」

 咄嗟に名前を呼ぼうとした時、彼女に近づく少女の姿が見えた。
 少女は星華ちゃんの席の前で止まると、ニコッと笑みを浮かべた。
 そして口を開いた瞬間、世界がモノクロに染まって、全ての人々の動きが止まる。

「来るよ!」

 瑞樹ちゃんの言葉に、私は顔を上げた。
 すると、空間が裂けて、中からワスレールが現れる。

「ッ……瑞樹ちゃん! いくよ!」
「う、うん!」

 私達はすぐにラブメモリーウォッチを構え、同時に叫んだ。

「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.37 )
日時: 2017/08/27 10:48
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第6話「人気モデルは一年生!?美少女星華現る!」5

「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」

 変身を終えた瞬間、ワスレールが攻撃してくる。
 私達はそれをジャンプで躱し、辺りを見渡す。

「こんな狭い場所じゃ、記憶世界がすぐに破壊されちゃう!」
「ッ……あの窓から出よう!」

 パーストがそう言いながら指さした場所には、開け放たれた窓がある。
 私はそれに頷き、窓から飛び出した。
 私達が空中に身を投げ出した数瞬後、窓がある壁が破壊され、中からワスレールが飛び出してきた。

「クッ……アデッソ!」
「パースト!」

 私達は空中で手を繋ぎ、ワスレールを見つめた。
 なんとか地面に着地すると、すぐに後ろに跳び、ワスレールの追撃から免れる。

「行くよ、アデッソ!」
「うん!」

 パーストの言葉に私は頷き、一気にワスレールに向かって駆ける。
 それから繋いでない方の手をそれぞれ構え、ワスレールを殴った。
 揺らぐ巨体を見つめながら、私達は手を離し、横に跳びながら体を回転させる。

「「はぁぁあッ!」」

 叫び、双方から回し蹴りをワスレールに放つ。
 足がめり込み、ワスレールの体が拉げる。
 すぐに離れ、一度体勢を立て直すと、私達はすぐに駆け寄り、手を繋ぐ。
 そして顔を見合わせて頷き合うと、宙を跳ねるようにして、ワスレールの頭上まで行く。

「「プリキュア! シャインドリーマー!」」

 その掛け声と共に、繋いだ手を上空に突き出す。
 すると、五線譜のような輪が現れて、ワスレールの体を締め付ける。
 それから、その五線譜の輪をなぞるように光が出て、ワスレールの体を包み込んでいく。
 浄化されていくワスレールを横目に見つつ、私は修復されていく教室を見上げた。

「星華ちゃんの思い出……守れて良かった」


「……ッ!?」

 記憶世界から出てしばらくすると、星華ちゃんがハッと目を覚まし、体を起こす。
 キョロキョロと辺りを見渡し、それから、キョトンとした顔で私と瑞樹ちゃんを見ている。

「えっと……あの、さっき、デロb……変な赤い獣みたいな人が……」
「えっ、何の話? そんなのいなかったよね? 瑞樹ちゃん」
「う、うん。変な夢でも見たんじゃない?」
「そ、そんなわけ……あれは絶対!」

 立ち上がりながら言う星華ちゃんを宥めつつ、私は口を開く。

「星華ちゃん、モデルの活動で疲れてるんだよ。急に倒れちゃうし……たまにはゆっくり休んだら?」
「いえ、それは大丈夫です……小さい頃からやってることですから」
「でも、星華ちゃんだって一人の人間だし、休憩は大事だよ。……って、私に分かることでもないか」

 私の言葉に、星華ちゃんはしばらく困ったような、曖昧な表情で私と瑞樹ちゃんを交互に見る。
 やがて、「そういうことか……」と小さく呟いた。

「ん? 星華ちゃん……」
「もしかして、ですけど……瑞樹先輩? も、そうなんですか……?」
「そう、って……?」
「だから、その……二人は……―――!」
「君達、何しているんだ! すでに授業は始まっているぞ!」

 星華ちゃんが何か言いかけた時、男性教師の一人がそう声を張り上げて来た。
 彼の言葉に、瑞樹ちゃんは「ヤバッ」と声を漏らした。
 そして、私の手を引いた。

「ホラ、早く行くよ!」
「うん! あ、星華ちゃんも!」

 瑞樹ちゃんに手を引っ張られながら、私は星華ちゃんに手を差し出す。
 それに、星華ちゃんはしばらく困ったような表情をしていたが、やがて、フッと笑うと、私の手を握った。
 それから、男性教師から逃げるようにして、私達は教室に逃げ帰った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.38 )
日時: 2017/08/28 20:15
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第7話「正体がばれる!?杏奈と星華急接近!」1

<星華視点>

 まさか今行先輩だけでなく、あの青い人までとは思わなかった。
 授業を受けながら、私はコツコツとシャーペンで机を叩く。
 正直、あの青い人は苦手。あの人は私を異質なものと見ている感じがある。
 でも今行先輩なら、きっと正直に教えてくれる。
 だって、対等に見てくれるから。……『彼女』みたいに……。

「今行杏奈……少し、接触してみようかな」

 誰にも聴こえないくらいの、掠れた吐息くらいの声量で、私はそう呟いた。
 その時、シャーペンを持つ手に力が入り、シャー芯がパキッと折れた。

<杏奈視点>

「あー……授業終わったぁ……」

 伸びをしながらぼやく瑞樹ちゃんに、私は「お疲れ様」と言いつつ笑う。
 それから荷物をまとめて、鞄を肩に掛けた。

「それじゃあ瑞樹ちゃん。一緒帰ろうか」
「んー……ちょっと待ってね」

 そう言って瑞樹ちゃんが机の横に掛けた鞄を持とうとした時だった。
 クラスメイト達がざわつき始めたのは。

「ん……?」

 不思議に思い、私は振り向いてみる。
 すると、ちょうど教室の扉から、こちらに向かって歩いて来る人影が見えた。
 あれは……。

「せ、星華ちゃん!?」
「今行先輩」

 私の目の前に立った星華ちゃんは、私の目をジッと見る。
 それに不思議に思っていると、彼女は優しく微笑んだ。

「一緒に帰りませんか?」

 ……。
 突然の言葉に、私の思考は一時的に停止する。
 えっと……一緒に帰るっていうのは、文字通り、学校から家まで一緒に帰ること。
 そしてそれは、原則として友人同士で行われる行為。
 で、それを言っているのは……私の憧れの存在であり、超人気モデルである星華ちゃん……?

「ぇえッ!?」

 驚きながらあげた声は、裏返って、かなり素っ頓狂な声だった。
 すると、星華ちゃんは小さな手で私の袖を掴み、不安そうな顔で上目遣いに見上げてくる。

「ダメ……ですか……?」
「ぐぅッ……!?」

 そういう目で見られると、断るにも断れない。
 いや、断る理由なんてそもそもないんだけど!
 そう思っていた時、私の腕と星華ちゃんの腕。両方を誰かに掴まれた。

「ちょっと待った」

 そう言って間に入ったのは、他でもない瑞樹ちゃんだった。
 彼女は私から星華ちゃんを引き離し、私達の間に立ち、腕を組んだ。
 私の方に背を向けているため、顔色は伺えない。

「……何が目的?」

 明らかに苛立った様子の声。
 それに、星華ちゃんは驚いたように目を見開く。
 しかし、すぐに余裕そうな笑みを浮かべ、「何の話ですか?」と返す。
 それに、微かに瑞樹ちゃんが舌打ちしたのが聴こえた。

「わざわざ二年生の教室に、一日に二回も訪れて……さらに、特に仲良くも無い先輩に一緒に帰ろうなんて、何か裏があるようにしか見えないんだけど」
「酷い言いがかりですね。私は単純に今行先輩と仲良くなりたいだけですよ?」

 笑顔で言われた言葉に、私は胸が熱くなる。
 あの星華ちゃんが、私と、仲良くなりたいと言うのだ。
 今なら死んでも良い。私、今一番幸せすぎる……。
 喜びに打ちひしがれていた時、星華ちゃんが私の腕を抱きしめた。

「わッ!?」
「今行先輩もそうですよねっ!」

 明るい笑みで言われ、私は、咄嗟に「うん!」と大きく頷いてしまう。
 すると、瑞樹ちゃんが「ちょ、杏!?」と声を張り上げた。

「では、そういうことなので、今行先輩はこれから私とデートしてもらうので」
「へ? デート?」

 キョトンとしている間に、私は星華ちゃんに腕を引かれ、教室を飛び出す。
 すれ違う度に、奇異なものを見る目を向けられる。
 そんな目を向けられても、私自身も何が起こっているのか理解できてないのだ。
 とはいえ、こちらから見える星華ちゃんの横顔はとても嬉しそうで、楽しそうだった。
 まぁ、良いか。と開き直ることにした私は、少しだけ速足で彼女の隣に並び、二人で校舎を飛び出した。


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