二次創作小説(新・総合)
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.239 )
- 日時: 2018/02/12 23:28
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「今やりたいこと?杏奈の一日店長!」3
それから仕事は順調だった。
接客はパパやママのしていたことを真似して、あとは全力で頑張った。
しかし、昼食を終えて午後も頑張ろうという時になって、事件が起きた。
「おや……今日は雄二さんはおらんのかえ?」
そう言って入って来たのは、一人のお婆さんだった。
私はそれにレジカウンターから出て、「いらっしゃいませ」と応える。
「ハイ。今はパ……お父さんは入院中で、お母さんは旅行に行っているんです」
「あら……じゃあ、修理はまた今度にしましょうかねぇ」
「……修理?」
私が聞き返すと、お婆さんは「あぁ」と言って何かを取り出した。
見ると、それは腕時計だった。
しかし針が全然動いていなくて、秒針が進もうと震えてはいるが、時を刻むことはなかった。
「これはおじいさんの形見でねぇ。また使えるようにして欲しかったんだけど、修理出来ないならまた今度にしようかしら」
「あ、えっと……」
私は戸惑う。
でも、私には修理なんて出来ないし……。
そう思って俯いた時だった。
「……修理が必要なのか?」
そんな声がして、私はハッと顔を上げた。
そこには、こちらに歩いて来るおじいちゃんの姿があった。
おじいちゃんはおばあさんの持つ腕時計を観察して、頷いた。
「儂が直そう」
「え、でも……」
「明日までに修理をしておきます。こちらにお名前と電話番号を」
おじいちゃんがそう言ってレジ近くのメモ帳を差し出すと、お婆さんはそれを受け取って言われたものを書く。
それから返すと、おじいちゃんはそれを確認して、頷いた。
「分かりました。では、完成したら電話を掛けさせて頂きます」
「おじいちゃん!」
私がつい呼ぶと、おじいちゃんは私を見て微笑んだ。
---
今日の仕事は無事に終わる。
後片づけを終えて、晩ご飯の用意をしようと家の方に向かうと、作業部屋の電気が点いてるのが目に入った。
私は扉を開け、中を覗いた。
そこでは、おじいちゃんが今日貰った腕時計を修理しているのが見えた。
「おじいちゃん……」
「ん……おぉ。杏奈か」
そう言って工具を置き、私を見て目を細めるおじいちゃん。
それに私は頷き、おじいちゃんの手元を覗き込む。
小さな腕時計なのに、中身は物凄く複雑だ。
「おじいちゃん……凄いね。こんな時計とか直せて」
「構造さえ理解出来れば簡単だよ。杏奈にも出来る」
「本当?」
「あぁ」
頷くおじいちゃんに、私はもう一度腕時計の中身を見つめる。
私にも出来る、か……。
「……もしもパパが、いずれおじいちゃんくらいの年齢になったら、このお店ってどうなるの?」
なんとなく気になったので、私はそう聞いてみた。
するとおじいちゃんは驚いたような表情を浮かべてから、「そうだなぁ」と言って工具を持ちなおす。
「もしも後を継ぎたいって変わり者がいれば譲り渡すし、誰も継がないなら自然消滅じゃろうなぁ」
「……でも、このお店って、時見町では人気あるんだよね? 無くなったら、皆悲しむよ」
私の言葉に、おじいちゃんは目を見開いた。
それから優しく笑って、私の頭を撫でた。
「あっ……」
「確かに人を優先することは大事だが、お前のやりたいことを優先することも大事だ。自分がしたいことを一度見つめ直しなさい」
……バレちゃった。
私が、このお店を継がないといけないんじゃないかって……悩んでること。
撫でられた辺りを自分で撫でてみてから、私は「ん」と頷いた。
するとおじいちゃんは微笑み、私の背中をポンポンと叩いた。
「もしお前が本当に自分からこのお店を継ぎたいなら、その時は家族皆で応援するからな」
「おじいちゃん……」
「もちろん。別の夢が見つかったら、その夢を追いかければ良い。家族はお前の味方だからな」
そう言って笑うおじいちゃんに、私はもう一度「うんっ」と頷いた。
まだ自分がやりたいことは分からない。
でも、一つ分かったのは……おじいちゃんみたいな大人になりたいなって、気付いたこと。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.240 )
- 日時: 2018/02/13 11:41
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「今やりたいこと?杏奈の一日店長!」4
翌日、腕時計の修理が完了した旨を伝えると、お婆さんがAdessoに取りに来た。
私が修理を終えた腕時計を差し出すと、お婆さんは信じられないと言いたげな表情で腕時計を見つめた。
時を刻む秒針に、お婆さんは嬉しそうに顔を綻ばせた。
「ありがとうねぇ。本当に、ありがとうねぇ」
「いえ、修理したのは私ではなくおじいちゃんなので……伝えておきますね」
私がそう言うと、お婆さんは嬉しそうに微笑んだ。
その瞬間、お婆さんの周りがキラキラと輝いた気がした。
「……!」
私は驚いて、二度瞬きをした。
すると、すでにそのキラキラは無くなっていて。微笑むお婆さんがいるだけだった。
今のは……一体……。
「そ、それじゃあ、修理代を頂きますね。えっと……」
ひとまず私は見なかったことにして、おじいちゃんから貰ったメモを頼りに集計していく。
お金を頂き、私はお婆さんを見送った。
「……ふぅ」
息をつき、私は椅子に座り込む。
……今のは一体……何だったのだろう。
キラキラしていて……まるで、メモリアみたいな……。
でも、リコルン曰く、基本的に生身の人間にはメモリアは見えないらしい。
記憶世界とこの現実世界が結合した時は見えるようになるらしいが……。
「あれがメモリアだとして……なんで、私に……」
そう呟きながら、私は自分の目の辺りを指でなぞった。
その時、突然周りの景色から色が消えた。
「……!?」
私は椅子から立ち上がる。
かなり乱暴な立ち方だったにも関わらず、椅子はびくともしない。
私はすぐにレジカウンターから出て、店を飛び出す。
顔を上げるとそこには……バーグラーがいた。
「……! バーグラー……!」
「プリキュア……今日は一人か?」
そう聞いてくるバーグラーに、私はラブメモリーウォッチを構える。
その時だった。
「杏!」
「杏奈さん!」
声がして、私はハッと顔を上げる。
見ると、そこにはこちらに駆け寄って来る瑞樹ちゃんと星華ちゃんがいた。
「瑞樹ちゃん! 星華ちゃん!」
「お待たせ! 全く、ロブメモワールもわざわざこんな時に来なくても」
そう言って不満そうにフンッと息を吐く瑞樹ちゃんに、私は苦笑する。
星華ちゃんも苦笑いを浮かべるが、すぐに表情を引き締めて胸元のラブメモリーウォッチを構えた。
「とにかく、早く倒しちゃいましょう!」
「そうだね! ……じゃあ、行くよ! 瑞樹ちゃん! 星華ちゃん!」
「オーケイ! 杏!」
「ハイ!」
「「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.241 )
- 日時: 2018/02/13 13:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「今やりたいこと?杏奈の一日店長!」5
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」」
「「「メモリアルプリキュア!」」」
変身を終えると、私達はバーグラーを睨む。
するとバーグラーは不敵な笑みを浮かべ、腕にメモリアを纏わせた。
「ディープエアインネルング!」
叫び、腕を振るった。
すると黒いメモリアの塊が現れて、ワスレールが出来上がる。
「行くよ……!」
私の言葉に二人は頷く。
するとワスレールは雄叫びをあげて、攻撃を仕掛けてくる。
どう攻撃をしてくる!? と身構えた時だった。
「……え……?」
間抜けな声が出た。
だって……見えたのだ。
空間の一部が輝くのが……メモリアが、煌くのが……。
この位置は……私達の首辺りを通過している。
これは……まさか……!
「皆! しゃがんで!」
叫びながら、私はしゃがむ。
それに、二人も同時にしゃがんだ。
直後、私達の頭上をワスレールの攻撃が通り過ぎる。
ワスレールは渾身の攻撃が空ぶったからか、そのまま私達の後ろに飛んでいく。
その様子を眺めながら、私は自分の手を見つめた。
「アデッソ……今のは……?」
「……分からない……」
「え?」
聞き返すパーストの言葉を軽く無視しながら、私はワスレールを見つめる。
もしもこれが本当に、メモリアを見られる能力なのだとしたら……私は、どうすればいいのだろう。
分からない。でも、その答えはこれから見つける。
将来の夢も、今分からない全ての事を、私はこれから知って行きたい。
だから今は……ワスレールを倒したい!
「甦れ! 愛情のメモリー! アムールパンデュール!」
叫び、私は手を掲げた。
するとカッと目の前が光り、アムールパンデュールが現れた。
強い光が私達の周りを照らすのを感じながら、私はアムールパンデュールに桃色の針を嵌め、回転させる。
高速回転する針から、白っぽい剣が出てくる。
形はアデッソソードにソックリな、白い剣。
私はその柄を握り締め、アムールパンデュールから針を外して柄の部分に嵌め、回転させる。
すると強い光が瞬き、私はつい目を瞑る。
「今を輝く大いなる愛情! アデッソソード!」
しかし、体は勝手に動き、言葉を紡ぐ。
私は目を見開き、その光を目に映す。
先ほどよりも明瞭に見える光……これが、野良のメモリア……!
そんなことを考えながら、私は自分を中心に円を描く。
そしてもう一度円を描き、その光を纏わせる。
「今を輝け! プリキュア! アムールルーチェ!」
叫び、私は目の前の空間を横薙ぎに切る。
すると真一文字の光がワスレールに飛んで行き、空中に固定させる。
私はワスレールに背を向け、針を止めた。
ワスレールは爆散し、浄化されていく。
「凄いじゃん! アデッソ!」
するとパーストがそう言って肩を組んでくる。
フューチャーも微笑んで私に近づいて来る。
「アデッソ凄かったです。……でも、なんであの攻撃が来るって分かったんですか?」
「それは……」
説明しようとした時、世界が色を取り戻し始めた。
一気に世界が輝き始め、また、『当たり前』の日々が始まる。
……あぁ……。
「……なんとなく」
私はそう、答えを誤魔化した。
……言えない。
この輝く日常を。当たり前の日々を。壊したくないから。
私だけが異端だなんて……知られたくないから。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.242 )
- 日時: 2018/02/13 18:06
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第37話「今やりたいこと?杏奈の一日店長!」6
夕食を食べ終わった時、ちょうどママが帰って来た。
私は夕食のハンバーグが乗っていた皿などを流しに入れて、玄関に出迎えに行った。
「ただいま~」
「ママおかえり!」
私がそう言いながらママに抱きつくと、ママは「よしよし」と私の頭を撫でた。
「お留守番大変だったね。お疲れ様」
「えへへっ。大変だったけど、おじいちゃんも手伝ってくれたし、そこまで大変じゃなかったよ」
「そう。あ、お土産があるから、リビングで開けましょう。杏奈に可愛いヘアゴム買って来たのよ」
「へぇ。嬉しい」
私はそう答えながら、ママの背中を追う。
パパも今のところ回復は順調らしく、しばらくしたら退院できるらしい。
……私は、ママの背中を追いながら、恐る恐る口を開いた。
「ねぇ……ママ」
「うん? なぁに?」
「……旅行、楽しかった?」
「えぇ、とても」
そうママが答えた瞬間、彼女の体が微かに光を帯びる。
……あぁ、やっぱり……。
私はママが発する眩い輝きに目を細めながら、「そっか」と答えた。
---
夜。私は、自室を抜け出す。
物音を立てないように階段を下り、一階にあるおじいちゃんの部屋に向かった。
私はおじいちゃんの部屋の前に立ち、扉をノックする。
二度ノックすると返事があり、しばらくして、おじいちゃんが出てきた。
「……杏奈?」
「おじいちゃん……話したいことがあって」
私の言葉に、おじいちゃんは何も言わずに私を部屋に招き入れてくれた。
リコルンが星華ちゃん達の家にいる今、こんなことを話せるのは、おじいちゃんしかいなかった。
部屋に入ると、私は床に座り、おじいちゃんを見つめた。
「おじいちゃん……大事な、話があるの……」
「……なんだい?」
優しい口調で尋ねてくるおじいちゃん。
それに私は心を一度静め、口を開いた。
「私……メモリアが見えるようになった、かもしれない……」
私の言葉に、おじいちゃんは微かに目を見開いた。
私は続ける。
「今日、お婆さんに腕時計渡した時に、あのお婆さんが光ってるように見えて……プリキュアに変身したら、ワスレールの攻撃が、メモリアの光で見えるようになって……ロブメモワールが出てきた時に見えるメモリアとは違う、大きな光。あれは何なの!?」
「……普段記憶世界との結合で見えるものは、人間に見やすく加工されたメモリアじゃ」
おじいちゃんの言葉に、私は普段ロブメモワールの奴等が腕に纏わせているメモリアを思い出す。
なるほど……あれは、いわば可視化されたメモリアなのか……。
「じゃあ、私が見えているのは……」
「……可視化されていない、いわば自然なメモリア……恐らく、リコルン殿などが普段見ているものに近いだろう」
その言葉に、私は自分の手を見つめた。
これが……リコルンがいつも見ている世界……。
「……だが、あくまでそれだけだ」
おじいちゃんの言葉に、私はハッとする。
彼は続ける。
「結局は、メモリアが見える。それだけにしか過ぎない。見えている分、メモリアを扱いやすくなったりはするがな」
「……そうなんだ」
「あぁ。しかし、なぜ見えるのか……それは、今度調べてみよう」
「……ううん。大丈夫」
私が断ると、おじいちゃんは「え?」と不思議そうな顔で聞き返してきた。
だから私は笑って続けた。
「大丈夫。……リコルンもいるし、たまには私の力で調べてみるよ」
「本当にできるか?」
「大丈夫。……でも、応援はしてほしいな」
私がそう言いつつ首を傾げて見せると、おじいちゃんは笑って、私の頭を撫でた。
「安心しろ。儂はいつでも、杏奈の味方じゃからな」
「ん……ありがとう、おじいちゃん」
私の言葉に、おじいちゃんは優しく笑った。
……この不思議な力の根源は、正直よく分からない。
でも、もしもこれが、これからの戦いに役に立ったら……良いな。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.243 )
- 日時: 2018/02/14 23:10
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第38話「貴方は私の王子様?ドキドキ演劇シンデレラ!」1
<瑞樹視点>
「保育園での演劇?」
私が聞き返すと、クラスメイトの女子生徒の一人が「うん」と頷いた。
「それで、演劇の内容を絞りたいから、瑞樹と今行さんは何がしたいのか聞かせて?」
「私は別に何でも良いよ。杏は?」
「……へ?」
私が杏に話を振って見ると、杏はボーッとしていた様子で、私を見て聞き返してくる。
それに私は苦笑し、続けた。
「保育園で演劇をすることになったから、杏がやりたい劇とかあったら教えて?」
「え? あ、うん……私は何でも良いよ」
「じゃあ二人は何でも良いのね。分かった。ありがとう」
そう言って歩き去る女子生徒。
彼女達の後ろ姿を眺めながら、私は杏に視線を向けた。
……最近、杏の様子がおかしい。
ボーッとしているというか、心ここにあらずというか……。
「……そういえば、杏、保育園での演劇に関しては無反応?」
「え……あ、ごめん。ボーッとしてて……」
「それは見たら分かるけど……何? 何かあった?」
私がそう聞いてみると、杏は慌てた様子で「何でも無いよ!」と返してきた。
……これは何か隠しているな……。
しかし、それ以上のことが分からない。
もっと探りを入れられれば良いのだけれど。
ちなみに、保育園での演劇と言うのは、年に一回、二年生がそれぞれ保育園に出向いて演劇を披露するというボランティア的な活動だ。
先ほど私に質問してきた女子を含んだ何人かが実行委員として主に動き、内容だとか色々準備をする。
文化祭で一年生が演劇やったんだし、一年生がやる方が良いんじゃないかなーと思うけど、そこらへんの細かいことは知らない。
「皆さん席についてください!」
保育園での演劇について考えていた時、実行委員がそう指示をした。
それに私達は自分の席にそれぞれ戻り、次の言葉を待つ。
全員が着席したのを確認して、実行委員は口を開いた。
「皆に聞いた結果、このクラスではシンデレラをやることになりました」
「つきましては、今から配役を決めます」
配役ねぇ……。
私はチラッと杏に視線を向けてみる。
杏は相変わらずぼんやりした様子で、前方の黒板をただ眺めている。
見るのではなく、眺めている。
……最近彼女の様子がおかしい。
そして、その理由を聞いてもはぐらかされる。
……私ってそんなに信用無いのかな。
杏と私は親友だと思っていたのに……。
そう思った瞬間、なんだかムカッとした。
「では、まずはシンデレラ役ですが……」
「あのぉ……」
私がオズオズと手を挙げて見ると、全員の視線が集まって来る。
それに私は「どうもどうも」と笑いながら立ち上がり、杏を手で示す。
相変わらずボーッと呆けている杏。
それに私は内心苦笑しつつ、続けた。
「私はシンデレラ役に、今行杏奈さんを推薦したいと思います!」
「ふむ……他に立候補者等いませんか?」
実行委員の言葉に、誰も返事をしない。
それから実行委員は杏を見て続けた。
「今行さんはそれで構いませんか?」
「え、あ、はい?」
ボーッとしていたところで唐突に呼ばれ、素っ頓狂な声で返事をする。
すると実行委員は「では、シンデレラ役は今行さんで」と言い、黒板に杏の名前を書き足す。
「え、え。え?」
困惑した表情で辺りを見渡す杏。
私はそれを横目に、席についた。
最近様子がおかしい杏。
親友の私にすら相談しない杏。
だったら……私が無理矢理、彼女の心を暴く。
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