二次創作小説(新・総合)
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.64 )
- 日時: 2017/10/08 15:13
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第10話「転校生は危険な香り?セフトと紫音の急接近!」6
<セフト視点>
なんとか紫音の部屋に戻ると、ちょうど世界が色を取り戻し、彼も動き出す。
俺の顔を見たまま驚いた様子で目をパチパチと何度か瞬きをして、首を傾げた。
「あれ、芹谷君……なんか、疲れてない?」
「え? あぁ、気のせいじゃないかな」
「そう……?」
不思議そうに首を傾げる紫音に、俺は「そうだって〜」と言いながら笑って見せる。
すると、彼もそれ以上は言及せずに、「だったら良いけど」と言って、ずっと肩に掛けたままだった鞄を下ろす。
それから俺達は向かい側に座って、勉強を始める。
言い訳として、俺の学校と習っている範囲が違うだろうから確認という理由だ。
まぁ、実際のところ、全ての知識が俺の脳にはインプットされているから、今更確認する必要なんてないのだけれど。
「ん……前原君。そこ間違ってない?」
「えっ? あっ、ホントだ」
確認しながら問題を解いていた時、紫音の間違いを見つけ指摘してみると、彼は慌てた様子で消しゴムを探す。
俺も眼球だけ動かす形で探して見ると……ちょうど俺と紫音の間の、割と中間的な場所にあった。
「「あっ……」」
ほぼ同時に俺と紫音は手を伸ばし、消しゴムの上で手が触れた。
それは予想していなかったため、俺は慌てて手を引っ込めた。
「あ……ごめん」
紫音はそう謝りつつ消しゴムを手に取り、間違いの式を消していく。
その様子を眺めながら、俺は自分の手を見つめた。
今……彼の手に触れた時、なぜ自分はあそこまで動揺したのか。
そう考えていた時、一階からピアノの音色が聴こえて来た。
ぎこちなく、拙い演奏。
しかし、それに紫音は手を止め、顔を上げた。
「妹さんの演奏?」
「ん……正確には、妹の友達の演奏かな。瑞樹はもっと上手いよ」
そう言いつつ、目を瞑り、演奏に耳を傾ける紫音。
キュアパーストの兄であり、キュアアデッソとも友好的な関係である前原紫音。
ピアノへの思い入れから濃厚なメモリアを持ち、文武両道で眉目秀麗。
完璧を体言したような男。
先ほどの違和感は……メモリアによるものだけなのだろうか?
それとも……―――。
「ん? 芹谷君、どうしたの?」
紫音の言葉に、俺は顔を上げた。
どうやら少し考え込んでしまったようだ。
どちらにしろ……彼と一緒にいることは、中々面白そうだ。
濃厚なメモリアに、プリキュア達と最も近い位置にいる一般人。
調べてみる価値は十二分にある。
「なんでもないよ。ところで、芹谷君って、なんか他人行儀だな」
「え、そうかな」
「うん。だからさ、これからは風斗、で良いよ。俺も紫音って呼ぶからさ」
俺の言葉に、紫音は困ったように笑う。
しかし、やがて小さく頷き、「分かった」と答えた。
「それじゃあ、これからよろしく。風斗」
「あぁ。紫音」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.65 )
- 日時: 2017/10/13 20:12
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第11話「メモリア交換!?杏奈とリコルンが入れ替わる!?」1
<セフト視点>
メモリアを集めれば、ボウキャーク様が覚醒する。
だから、そのためにメモリアを集めているのだが……現在襲っている世界でそれを邪魔しているのが、プリキュアだ。
砂時計のような透明の容器に少しずつ溜まっていく黒い光を見ながら、俺はため息をついた。
すると、その部屋の扉が開いて、ラオベンが入って来た。
「おや……ラオベンさん。どうされましたか?」
「いや、メモリアの溜まり具合はどうかと思って」
困ったように目を逸らしながら言うラオベンに、俺は「そうですか」と返した。
それから砂時計のような容器を見て、彼は息をついた。
「やはり、中々溜まらないものだな」
「まぁ、そうですね。……プリキュアがいなければ、少しは簡単になるのですが」
「でも、前みたいに倒しても、また新しいプリキュアが出てくるんじゃないのか?」
ラオベンの言葉にも一理ある。
実際、今いる二人のプリキュアが良い例だ。
折角倒したというのに、むしろ増えてきたからな……。
「ふむ……」と顎に手を当てて、俺は一考。
そこで、少し愉快な方法を思いつき、俺は手を打った。
「少し、プリキュアをからかってみますかね」
「からかう?」
訝しむように聞くラオベンに、俺は笑って見せた。
「まぁ、今回は私はワスレールは作りません。ラオベンさん。後のことは頼みます」
「あ、ちょっと……!」
呼び止めるラオベンを無視して、俺は部屋を出た。
さてと。では、お友達の紫音君をお迎えに行きますかね。
翌朝。紫音の家の前まで歩いて行くと、そこにはキュアアデッソが制服に鞄を持った状態で立っていた。
彼女は俺の顔を見ると、ペコッと頭を下げた。
「おはようございます。えっと……芹谷、さん?」
「あぁ。風斗で良いよ。杏奈ちゃん」
「ふぇ……」
適当に笑みを浮かべながらそう言って見ると、キュアアデッソは顔を赤くした。
少し彼女のメモリアを覗いてみたところ、どうやら彼女には少しミーハーというか、面食いな部分があるようだ。
とはいえ、それも一時的なもののようだが。
その時、彼女が抱いている小動物に目が行った。
「ところで、その子は……?」
「ぅぇッ!?」
奇妙な声をあげ、慌てた様子で彼女はその小動物を後ろに隠した。
まぁ、正体は分かっているのだけれど。
プリキュアのアドバイザー的な立場であり、メモリー王国の数少ない生き残りである妖精、リコルン。
耳が大きいことが特徴で、甘い物で釣れる緩い部分もある。
キュアアデッソと一緒にいることが多い。
「えっと、ぬ、ぬいぐるみです!」
「へぇ。でも学校に持って行って良いの?」
「あっ……学校では鞄にしまってるんです。でも、大事な相棒みたいな感じで……」
そう言って引きつった笑みを浮かべるキュアアデッソ。
その時、前原家の扉が開いた。
「ごめん杏。待った?」
「ううん。待ってないよ」
家から出て来たキュアパーストに、そう言ってキュアアデッソは微笑んだ。
すると、キュアパーストの後ろから、紫音が出て来た。
「あれ……風斗……?」
「紫音に早く会いたかったから、来ちゃった」
そう言ってみると、紫音は「何だよそれ」と言って笑った。
それから、学校の方向が一緒であるため、途中まで四人(と一匹)で歩いて行くことになった。
紫音と他愛のない世間話に花を咲かせつつ、俺はプリキュア達の会話に耳を傾けた。
「そしたらリコルンがさぁ」
「いや、あれは杏奈の方が悪いリコ」
……リコルンさん、外でも普通に喋ってるじゃないですか。
幸い、他の通行人は気付いていないようだが。
それにしても、どうやらこの一人と一匹は軽口が叩ける仲のようだ。
そんなに仲が良いのであれば……と、俺は、二人のメモリアに意識を集中させる。
このメモリアを丸ごと……交換させる。
その瞬間、キュアアデッソは足を止めた。
「うん? 杏、どうしたの?」
不思議そうにそう言って、キュアパーストは足を止めた。
彼女の様子に、紫音も立ち止まろうとする……ので、彼の袖を引っ張って、俺は早歩きをした。
「ちょ、風斗!?」
「昨日家で勉強してたら分からないところがあってさ、ちょっと教えてほしいんだ〜」
「なっ……おい!」
制止する紫音の言葉を聞きながら、俺はほくそ笑む。
正直、紫音も同伴させても面白いが、冷静な彼だとあの二人が困らない選択肢を選んでしまいそうだ。
今回の俺の目標は、二人……主にキュアアデッソを混乱と困惑の渦に陥れることだ。
そして、戦いに集中できなくさせて、記憶世界にて……倒す。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.66 )
- 日時: 2017/10/13 22:45
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第11話「メモリア交換!?杏奈とリコルンが入れ替わる!?」2
<杏奈視点>
突然低くなった視界に、私はしばらく放心する。
ゆっくり自分の手を目の前まで持ってくると、それは、フワフワした感じの小さな手……。
これはまさか……リコルンの……!?
「杏。どうしたの?」
そう言って、明らかに私より上にある何かを見ながら言う瑞樹ちゃん。
瑞樹ちゃんって、こんなに背が高かったっけ?
……ううん。違う。
これはまさか……!
「瑞樹……ちゃん……」
「瑞樹……」
なんとか声を振り絞ると同時に、頭上から聴き慣れた声がした。
それに、瑞樹ちゃんは「えっ」と顔を引きつらせる。
うん。間違いない……これは……!
「瑞樹ちゃん……」
「リコルン達……」
「「入れ替わっちゃったみたい(リコ)!」」
「……えぇぇぇぇぇ!?」
瑞樹ちゃんが大きい声を出したからか、周りを歩いていた人達が一斉にこちらを見る。
咄嗟に私は口を閉ざし、様子を伺う。
「あれ……見覚えがあると思ったら、杏奈さんじゃないですか」
そこで、聴き慣れた声が聴こえた。
見るとそこには……星華ちゃんがいた。
「生意気モデル……」
瑞樹ちゃんはそう言ってさらに顔を引きつらせる。
すると、星華ちゃんはトコトコとこちらに向かって走って来て、私の目の前で立ち止まる。
「おはようございます、杏奈さん」
「お、おはよう……リコ」
「リコ……?」
リコルン、語尾! 語尾!
心の中で必死に訴えるものの、その叫びはリコルンに届かない。
お願い、気付いてリコルン……!
「えっと……杏奈さんどうしました? 顔色悪いですよ?」
「な、なんでもない……よ?」
笑みが引きつってるよリコルン!
明らかに普段と違うであろう私の態度に、星華ちゃんは眉を潜める。
これ以上言及されたらボロが出る、と怯えていた時、瑞樹ちゃんが星華ちゃんの体を反転させた。
「貴方の大好きな杏は今すこーし疲れてるみたいなの」
「え、そうなんですか? だったら……」
「ここは私がなんとかするから、生意気モデルちゃんはさっさと学校行こうね〜」
「あ、ちょっ……」
瑞樹ちゃんに背中を押され、星華ちゃんは離れていく。
大丈夫かなぁ……あんなことして。
とはいえ、これ以上話していてもボロが出ただけだろうし、ラブメモリーウォッチの時のこともある。
彼女の観察眼は油断できないし……仕方がない。
あぁ、でも星華ちゃんに感じの悪い先輩とか思われたらどうしよう!
折角毎日LIMEで会話してくれているのに、今日学校から帰ってからメッセージ送ったら既読無視されたら……!
きっと泣いちゃう……!
「それにしても、なんでこんなことになったのかな」
星華ちゃんに絶交させられるかもしれない恐怖に内心悶えていた時、瑞樹ちゃんがそう言って戻って来た。
「そんなこと言われても分からないよ……」
「そうリコ。これからどうすれば良いリコ?」
リコルンの言葉に、瑞樹ちゃんは困ったように眉間に皺を寄せた。
いや、言われなくても分かる。
「普通に学校に行くしか、無いよね……」
私の言葉に、二人は頷いた。
うん……それしかない。むしろそうする以外の選択肢が無い。
しかし、やはり不安要素は残る。
「リコルン……大丈夫?」
「えっと……一応この世界の言語は書けるし、頑張れば、なんとかなる……ハズ、リコ……」
……不安だ。
しかし、このまま路上で立ち話をしているわけにもいかないので、私達は学校に向かった。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.67 )
- 日時: 2017/10/14 10:18
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第11話「メモリア交換!?杏奈とリコルンが入れ替わる!?」3
学校の敷地内に入ると、すぐに鞄の中に入って教室に向かわせた。
チャックは開けた状態で、外のことが分かるようにしておく。
軽く挨拶などは交わしたようだが、なんとかボロが出ない内に教室に入った。
教室に着くと、すぐに私の席の引き出しから教科書類を全て出し、その中に小さな体を滑り込ませた。
やっと一息つける……。大きくため息をついていると、机の外から声がした。
「この教科書類はどうするリコ?」
「あー……私がロッカーにしまっておくよ。授業で必要になったら取って来てあげる」
「ありがとう瑞樹ちゃん」
私の言葉に、瑞樹ちゃんは「いえいえ」と言って、歩いて行く。
その姿を見送りつつ、私は引き出しからチョコンと顔だけ出して、リコルン……もとい、自分の顔を見上げた。
「リコルン、大丈夫?」
「分からない……リコ。これからどうすれば良いのか……」
「うん、私も。でもさ、なんとかするしかないよね」
私の言葉に、リコルンは不安そうに顔を歪ませた。
不安だよね……私もだよ。
互いに同情し合っていた時、教室の扉が開いた。
「杏奈さん……大丈夫ですか?」
星華ちゃん!?
引き出しの中に隠れていないとダメだから確認は出来ないが、この声は明らかに星華ちゃんだ。
見ると、リコルンの顔が明らかに引きつる。
うわぁ、リコルン今一番困ってる……!
瑞樹ちゃんは……まだ私のロッカーに教科書とかを入れてくれてる!
やけに丁寧にしまおうとしているため、こちらの状況を把握している様子は無い。
困惑していた時、星華ちゃんは続けた。
「さっき、顔色悪そうだったので……具合でも悪いのかなって」
「だ、大丈夫っ……だよっ?」
なんとか語尾を誤魔化すリコルン。
見ているこっちがヒヤヒヤする……誰か助けて!
「なんか、今日の杏奈さん、変ですよ? あの、私、杏奈さんの力になりたいんです」
星華ちゃんが良い子すぎて辛い件。
しかし、今私に発言権は無い。引き出しの奥で息を潜めるしか無い。
そんな間に、話は進んでいく。
「ほ、本当に大丈夫……だよ。リk……私、は、平気、だから……」
「なんかぎこちないですよ? まぁ、平気って言うなら、無理には聞きませんけど……」
そこまで言うと、少しだけ間が空く。
僅かに聴こえる衣擦れの音……ポケットから、何かを取り出しているような……?
「あの、これ……!」
「これは……?」
「私が好きな飴なんです。……私、辛くなったら、甘いものを食べるんです。モデルとして失格ですけどね」
自虐的な言い方で笑う星華ちゃん。
見えないけど、今、恥ずかしそうに笑っている星華ちゃんの顔が浮かんだ。
……この目で見たい!
「えっと……」
「一応辛くなった時用に、他にもお菓子はあるんですけど……私はこの飴が、一番元気が出るんです。だから、杏奈さんにも元気になってほしくて……」
「……ありがとう。大事に食べるね」
リコルンの返答に星華ちゃんは納得したようだ。
その証拠、星華ちゃんの足音だと思われるものが遠ざかって行ったから。
すると、ロッカーに教科書類を入れ終わった瑞樹ちゃんが、こちらに駆け寄って来た。
「ごめん、意外と手こずって! それより、今の生意気モデルなんじゃ……!」
「えっと、うん……」
「うわ、マジか……大丈夫? 正体バレなかった?」
瑞樹ちゃんの言葉に、私は「大丈夫だよ」と答えておいた。
星華ちゃんの優しさに、ちょっとジーンとしただけだから。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.68 )
- 日時: 2017/12/11 20:54
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第11話「メモリア交換!?杏奈とリコルンが入れ替わる!?」4
<リコルン視点>
後宮星華に絡まれてからは、特にトラブルに巻き込まれることなく、授業が始まった。
一時間目の国語。二時間目の数学。三時間目の家庭科。四時間目の体育。
……どれを取っても、かなり怪しいレベルになってしまったような気がする。
国語では書道をしたのだが、書道の仕組みが分からず墨汁とやらを直接筆にかけようとして杏奈に止められた。
数学では意味不明な数字と文字の羅列に固まった。
家庭科では針で何度も指を突き刺し、他の人の布と自分の布を縫い付けたりしてかなり迷惑を掛けた。
体育では競技のルールが分からずひとまずボールを持って走ろうとしたら止められた。どうやらボールを手で持ったらいけない競技だったようだ。
そんなこんなでなんとか昼休憩になり、リコルン達は屋上に上がったのだけれど……。
「もう、疲れた……」
そう言って、杏奈は地面に倒れ伏せた。
しかし、こうして人間の身になって自分の姿を見ると、中々不思議な感じだ。
メモリー王国は周りが自分と似たような生物しかいなかったし、他の異世界でこうして自分を客観視できる機会など中々無かったから。
それに、と少し考える。
こうして杏奈の体になってみて分かるのだが、人間の女子中学生というものは、かなり忙しい。
数学など、あれだけの数字と文字の羅列を見たら、頭が痛い。
あと家庭科で何度も針で突き刺した指が痛い。
体育で体を動かしたから、全体的に倦怠感がこの肉体を襲う。
……こんな中で、二人はプリキュアとして戦ったりしていたのか。
慣れというものもあるかもしれない。
しかし、少なくとも、自分にこの二人の真似は出来ないだろう。
このようなハードスケジュールをしていても尚、笑顔でいられる二人って……。
「……二人はすごいリコ」
「ふぇ? 何が?」
突然言ったからか、杏奈は不思議そうにリコルンを見る。
それに笑いながら、杏奈の頭を撫でた。
「二人が今までこんな忙しいことをしていたなんて、知らなかったリコ」
「うーん……もう慣れたし、忙しいとは思わないけどね」
瑞樹の言葉に、杏奈もコクコクと頷く。
いや、リコルンから見れば、この生活に慣れているというだけで充分凄い。
今までそんなことも知らずに、無茶振りをしたり、ワガママを言ったりしていた。
「リコルン?」
今までの自分の所業に反省しながら頭を撫でていると、杏奈が不思議そうに顔を覗き込んで来た。
おっと、どうやら考え込んでしまっていたようだ。
慌てて笑いつつ、「なんでもないリコ」と返した。
その時屋上に上がる扉が開いたので、慌てて杏奈を背中に隠す。
「あ、やっぱり瑞樹ここにいた。探したよ~?」
それは、杏奈や瑞樹のクラスメイトの女子の一人だった。
どうやら瑞樹に話があったようで、笑顔で歩いて来る。
下手なことを言わない内に、リコルンは杏奈を背中に隠したまま後ずさった。
「……なるほど。プリキュアをからかうとはこういうことか」
その時、そんな言葉が聴こえた。
咄嗟に振り向くと、そこには、ロブメモワールのラオベンがいた。
「ラ……ラオベン!」
「え、誰?」
驚いた様子でラオベンを見る女子生徒。
その時、ラオベンが女子生徒に向かって手を翳す。
すると、世界が白黒に染まり、女子生徒の胸元に時計の針が現れた。
彼女の目から光が失われ、仰向けに倒れる。
やがて、彼女の胸元が裂けると、ラオベンはその中に飛び込んだ。
「こんな時に……!」
「とりあえず行くリコ!」
リコルンの言葉に瑞樹は頷き、ラブメモリーウォッチを掲げる。
すると女生徒の胸元が裂け、異空間が出来る。
瑞樹はすぐに杏奈の体を抱き、異空間に飛び込んだ。
リコルンもそれに続く。
異空間を抜けると、そこは女生徒の記憶世界だった。
それに気づいた瞬間、辺りが白黒に染まり、世界が停止する。
「ッ……二人はそこで見ていて!」
瑞樹はそう言うと、ラブメモリーウォッチを構え、「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」と叫んだ。
すると、一瞬彼女の体を光が包み、プリキュアの姿へと変わる。
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
そう叫び、パーストはワスレールの元へと駆けてゆく。
しかし、彼女一人で倒せるだろうか……。
杏奈の顔を見ると、彼女も不安そうにパーストを見ていた。
「……どうしよう……このままじゃ、パーストが……」
「……杏奈は、ここで見ていてほしいリコ」
そう言って見ると、杏奈は目を驚いた顔で見た。
当然だ。でも、このままパースト一人で戦わせるくらいなら……。
震える足でなんとか立ち上がり、ラブメモリーウォッチを構えた。
「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」
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