二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.4 )
日時: 2017/08/04 00:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第1話「今を輝け!キュアアデッソ誕生!」4

「うわっとッ……」

 異空間を数秒間程抜けると、どこかのホールのような場所に出る。
 ただ、出た場所がかなり高い位置だったため、私はそのまま落下して、床に尻餅をつく。

「いっつぅ……ここは?」

 そう呟きながら立ち上がり、私は辺りを見渡す。
 ここは……音楽ホールか何かだろうか?
 ステージにはグランドピアノが一台あって、客席には観客がたくさんいる。
 そしてそのグランドピアノの遥か上に……巨大な、黒い時計の針が……。

「ッ……!?」

 私は息を呑む。
 なんだ、この巨大な時計の針は。
 それは重く響く音を立てながら、少しずつ六時半の部分に進んでいく。

「ねぇ、チワワさん。あれって一体……」
「リコルンはチワワじゃないリコッ!」
「ひぇ……ごめんなさい」
「……あの針が六時半を指したら、ワスレールが出てくるリコ」
「ワスレール……?」

 私がそう呟いた時、拍手が巻き起こる。
 それに、私はハッと顔を上げた。
 見ると、ステージには、水色のドレスを着た可愛らしい女の子が一人立っていた。

「あれが……前原さん……?」
「来るリコッ!」

 小動物の言葉に、私は身構える。
 すると、時計の針が六時半をさし、そこから裂け目が出来て、化け物が出てきた。

「ッ……」

 巨大なピアノのような化け物に、私はつい後ずさる。
 すると、腕の中にいる小動物が私の腕にかみついた。

「いっ……!?」
「逃げるなリコッ! 戦うリコッ!」
「戦え、って……あんな化け物に勝てるわけないじゃん!」

 そう抗議しつつ視線を上げた時、私は固まった。
 皆……動いてない……?
 先ほどまでちゃんと色が付いていた景色は全てモノクロに染まり、私達と化け物以外は全く動いていない。
 そう思っていた時、またもや腕を噛まれた。

「いだぁッ!?」
「よそ見するなリコッ! 今すぐ、ラブメモリーウォッチで変身するリコッ!」
「ちょ、命令しないでよッ! 急に言われても……」

 そこまで言って顔を上げた時、幼い前原さんが目に映った。
 彼女を見た瞬間、私は動きを止めた。

「……分かった。やるよ」
「リコ?」

 不思議そうに首を傾げる小動物を抱きしめる力を強くして、私は声を振り絞る。

「私やる。……新しくできた友達を、守りたい! どうやったら変身できるの!?」
「ラブメモリーウォッチの針を十二時のところに合わせるリコ!」

 小動物の言葉に頷き、私は一度小動物から手を離した。
 フヨフヨと浮かぶ小動物を見届けながら、私は腕時計を構える。
 針を時間に合わせるネジの部分に手を掛け、十二時の部分に合わせた。
 その瞬間、腕時計が強く光り輝き、私の脳に言葉が浮かぶ。

「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」

 そう叫んだ瞬間、目の前に光が煌き、私の周りを囲う。
 同時に、なぜか私の体に纏うものは光り輝く薄手のワンピース一枚のみになる。あと、なぜか結んでいたハズの髪は解け、長い髪が揺れる。
 すると、小さな時計のようなものがあって、そこに手首を突っ込むと、針がクルクルと回転して十二時の位置で重なる。
 直後、それは肘より下、指先除く全てをピッチリと包み込む白い手袋? に変わる。
 それはもう片方の手も同じ。
 足は、二つ飛んできた時計に足を突っ込むと、針が回転してブーツに変わる。
 頭上から巨大な時計が降って来て、ちょうど二本の針を支える中心部に頭からぶつかると、そこから徐々に髪型やら髪色が変わっていくのが分かった。
 髪型は、ただ耳の下あたりで結んでいたものが、耳より高い位置でのツインテールに。
 髪色は茶色だったものが黄色に変わる。
 それだけでなく、服装も薄手のワンピースからピンク色のフリフリした服装になる。
 不思議に思っていた時、頭にフレーズが浮かんだ。

「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.5 )
日時: 2017/08/04 22:03
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第1話「今を輝け!キュアアデッソ誕生!」5

「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」

 変身を終えた私は、「へ……?」と声を漏らした。
 自分の格好を見つめて、首を傾げる。

「何、これ……」
「来るリコッ!」

 小動物の言葉に、私は顔を上げる。
 見ると、化け物が腕を振り下ろそうとしているのが見えた。

「わわわッ!?」

 私は叫び、咄嗟に跳んで躱す。
 とはいえ、私は別に身体能力が目立って良いわけでもないし、ジャンプしたところで躱せるわけがない……って、思っていたんだけど……。

「とッ……跳びすぎぃッ!?」

 一度のジャンプで、ホールの天井スレスレくらいまで跳んでしまった。
 なんとか咄嗟に体を捻ってさかさま状態になり、足をついて止まる。
 ……いや、私こんなに運動できたわけじゃないんだけどッ!
 そう心の中で反論してみるも、今はそれどころじゃない。
 ずっと天井に足だけで貼り付くなど不可能なので、私は一度そこを蹴って、床に着地する。

「ウサギさん!」
「リコルンはウサギじゃないリコッ!」
「あの、明らかに身体能力が上がってるんだけど」
「当たり前リコ。ラブメモリーウォッチの能力リコ」

 ……あ、これ話通じないパターンだ。
 私は心の中で嘆息し、化け物を睨んだ。
 すると、化け物が雄叫びをあげ、腕を振り下ろしてきた。

「うわぁッ!?」

 私は咄嗟に両手を出し、受け止める。
 すると、化け物の動きが完全に止まり、びくともしなくなる。

「ぇぅ……!? ……はぁぁぁ!」

 私は叫び、化け物を突き飛ばした。
 すると、奴の体は吹き飛び、ホールの壁にぶち当たる。
 その光景を見つめながら、私は「ふぅ……」と一息つく。

「安心してる場合じゃないリコ! 早くトドメを刺すリコ!」
「え、でもどうやって……」
「ラブメモリーウォッチの針を回すネジを引っ張るリコ!」

 その言葉に、私は慌ててネジを引っ張った。
 すると、短針と長針が高速回転して、光を発し始める。
 混乱しそうになった時、頭に何か、フレーズが浮かぶ。

「今を輝け! プリキュア! アデッソシャインッ!」

 そう叫び手を突き出した瞬間、強い光の波動が化け物を襲う。
 浄化されていく化け物を見つめながら、私は自分の手を見つめた。

「これが……私……?」

 そう呟いた時、止まっていたと思われていた時間が、動き出す。
 世界に色が付き、拍手がホール内を支配する。
 その拍手に青い髪の少女は一度お辞儀をしてから、グランドピアノの前に座り、演奏を始める。
 綺麗な演奏を聴きながら、私は周りを見つめる。
 戦いの影響で乱れていた景色が、少しずつ、修復され始める。
 黒い光を出しながら修繕されていく光景を眺めながら、私は、ゆっくりと小動物に目を向けた。

「ここにいたままだと、あの子は目覚めないリコ。早く出るリコ」

 ……命令ばっかりだなぁ。
 少しムッとしつつ、私は出る時と同じように針を六時半の部分に合わせて手をかざす。
 すると、空間が裂けて穴ができるので、そこに飛び込み、外に出た。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.6 )
日時: 2017/08/05 21:53
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第1話「今を輝け!キュアアデッソ誕生!」6

「んん〜……ハッ!」

 目を覚ました前原さんは、慌てた様子で飛び起きる。
 私は咄嗟に彼女の肩を押さえ、改めて私の膝を枕にする形で寝かせる。

「まだダメだよ。もうしばらく安静にしてないと」
「いや、それより、あの、変な奴は……!」
「へ、変な夢じゃないかなぁ……時計塔に行こうとした瞬間急に倒れるから、ビックリしちゃったよ……」
「夢……? 変な夢見ちゃったなぁ」

 前原さんはそう呟いてため息をつく。
 私はそれに苦笑する。
 なんとなく、あの件は言わない方が良い気がした。
 正直、普通に話して信じてもらえるような話でも無いし。
 フゥ……と息をついた前原さんは、「でもっ」と言って手を伸ばし、彼女の顔を覗き込んでいる私の頬に手を当てた。

「杏と友達になったのは、夢じゃないんでしょ?」
「え、うん……」
「だったら、それだけで充分」

 そう言って白い歯を見せて笑う前原さんに、私の顔も綻んだ。
 しばらく見つめ合っていた後で、前原さんは「しかし……」と言って腕を組む。

「時間的に、今から時計塔に行くのは少し厳しいものがあるなぁ……」
「あぁ、確かに……」

 腕時計で時間を確認しながら、私は言う。
 すでに夕方の五時を回っているし、今から行こうとなると、正直かなり遅くなる。
 パパ達を心配させたくもないし……。
 そこまで考えていた時、前原さんが「そうだっ!」と言って立ちあがった。

「時計塔はまた今度にするとして、もう一軒、是非案内したいお店があるの!」
「お店……?」
「そう! 時見町に来たなら、ここは絶対に寄っておかないと! ホラ、行こう!」
「ちょ、待って、もう少し安静にしないと……!」
「いーからいーから!」

 強引に私の腕を引いて走り出す前原さん。
 私はそれに少し戸惑いつつも、結局笑って、ついて行ってしまうんだ。

「ところで、そのお店っていうのは何屋さんなの?」
「内緒内緒。きっと杏も気に入るよ〜」

 その言葉に、私は顔を上げる。
 ……あれ、すごく見覚えのある看板があるのですが……。
 そう心の中で思っていた時、前原さんは立ち止まる。
 え、まさかそのお店って……。

「時見町一のアンティーク時計ショップ! その名も『Adesso』!」

 ……実家……。

「えっと……」
「中も凄いんだよ〜? まぁまぁ、入って入って!」

 前原さんに手を引かれながら、私は入る。
 ……親が経営している店に。

「おや、杏奈おかえり。新しいお友達かい?」

 そしてレジに立っている何も知らないパパがそう言う。
 パパの言葉を聞いた瞬間、前原さんは立ち止まった。

「おか……えり……?」
「えっと……ここ、私の家……なんだ……」
「……えぇぇぇッ!?」

 大きな声を出して驚く前原さん。
 あぁ、なんか……ごめんなさい。

「そういえば、杏の苗字……今行、だっけ……」
「自己紹介した時に気付こうよ……」
「いやぁ、基本下の名前をあだ名で呼ぶ派の人間なので」

 照れたように言う前原さんに、私は嘆息する。
 そんな私達の様子に、パパは「あははっ」と楽しそうに笑った。

「まぁ良いことじゃないか。友達が出来たんだろ?」
「そう、だけど……」
「んー、まぁこれからよろしくねっ。杏」

 特に気にしていない素振りで言う前原さんに、私は苦笑した。
 まぁ、何はともあれ、結果オーライか。
 ……とある一つの事情を除いては。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.7 )
日時: 2017/08/08 20:42
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第2話「過去を束ねろ!キュアパースト誕生!」1

「さて……」

 部屋に戻った私は息をつき、窓を開く。
 周りに誰もいないことを確認し、私は「コアラさぁん!」と呼んだ。
 すると、少しして、フヨフヨと小動物が飛んでくる。

「コアラさん! こっちこっち!」
「リコルンはコアラじゃないリコ!」

 文句を言いながら、小動物は入って来る。
 ひとまず抱きしめて窓を閉め、カーテンを閉める。
 それから私は小動物を解放し、一度息をつく。

「それで……えっと、どこから聞けば良いのか……」
「自己紹介が遅れたリコ。リコルンの名前はリコルンリコ」
「えっと……りこるん……?」
「そうリコ! 君の名前は何て言うリコ?」
「あ、私は今行杏奈。よろしくね、リコルン」

 私がそう言いながら手を差し出すと、リコルンは「よろしくリコっ」と言って私の手の上に小さな手を置く。
 しばらく握手を交わし、手を離した後で、私は「それで……」と口を開く。

「えっと、色々聞きたいことが多すぎて、何から聞けば良いのか……」
「何から聞きたいリコ?」

 リコルンの言葉に、私は腕を組む。
 とりあえず聞きたいことは……。

「えっと、まず、この時計……らぶめもりーうぉっち……だっけ?」

 朝、パパから貰った時計を示しながら言うと、リコルンは大きく頷いた。

「そう! ラブメモリーウォッチリコ!」
「えっと、これは何なの? 私、ただ店にあったものを貰っただけなんだけど……」

 私の言葉に、なぜかリコルンはムスッとする。

「それは、リコルン達がいたメモリー王国に代々伝わる伝説の時計リコッ。それを使って、伝説の戦士、プリキュアに変身するリコ」
「それが、昼間に変身した、キュアアデッソ……?」
「そうリコ」
「じゃあじゃあ、昼間のあの男とか、化け物とか、あとあと、前原さんの胸にできた変な世界は何なの?」
「一度に聞いたら困るリコ」
「あ、そっか……」

 無意識に乗り出していた身を慌てて引っ込め、私は姿勢を正す。
 それにリコルンはコホンと一度咳払いをして、続ける。

「まず、昼間の奴は、ロブメモワールっていう軍団の幹部の一人、ラオベンリコ」
「らおべん……? ていうか、ロブメモワールって?」
「ロブメモワールっていうのは、人々の記憶に詰まったメモリアっていうエネルギーから、ワスレールっていう化け物を作り出し、その人たちの記憶世界を破壊して、メモリアを悪に染めてロブメモワールのラスボスの……」
「待って。知らない単語多すぎ」

 ノリノリで話すリコルンを慌てて止める。
 それに、リコルンはハッとして、少し考え込んでから言う。

「えっと、まずメモリアっていうのは……その人にとってどれだけその記憶が重要なのかを示す値みたいなものリコ。それが高いほど、その記憶から生まれるワスレールっていう化け物は強くなるリコ」
「ほぇぇ……」
「そして、そのワスレールを使って、アイツ等は人々の記憶世界を壊して、そこに込められたメモリアを悪に染めて、ロブメモワールのラスボスのボウキャークを復活させようとしているんだリコッ!」

 身を乗り出して言うリコルンに、私はポカンと口を開けて固まった。
 まるで漫画とかアニメみたいな話……そう簡単に信用できない。
 でも、昼間のこともあるし、きっと本当なんだと思う。

「……もし、私にそんなすごい力が本当にあるなら……私、頑張るよ!」

 私が拳を作りながらそう言って見せると、リコルンは「ありがとうリコ!」と嬉しそうに言った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.8 )
日時: 2017/08/09 20:23
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第2話「過去を束ねろ!キュアパースト誕生!」2

−−−

「今回のメモリアの溜まりが悪いぞ……どうしたんだ、ラオベン」

 項垂れながら帰って来たラオベンに、赤い、獣人のような見た目をした男……デロべはそう言った。
 彼の言葉に、ラオベンは「仕方ないだろ!」と言う。

「またプリキュアが現れたんだ! 折角前のプリキュアがいなくなって、メモリアを溜めやすくなったというのに……!」
「あら……またプリキュアが?」

 ラオベンの言葉に、青い、うろこみたいな肌をした女、シッパーレは驚いたように声を出す。
 そして顎に手を当てて、「プリキュア……ねぇ」と言って舌なめずりをした。

「面白そうじゃない。だったら、この私、シッパーレ様が相手してあげようかしら」

−−−

「それじゃあ、先生が合図したら、教室に入って来てね」

 先生の言葉に、私は「は、はい!」と返事をした。
 すごく緊張する……。いよいよ転校初日。
 上手くクラスに馴染めるかなぁ……ていうか、友達できるかなぁ……。
 いや、一応昨日前原さんとは仲良くなれたし……でもぉ……。

「私、今一番、緊張してる……」
「それじゃあ入って来て」
「はひぃッ!」

 先生の声に返事をすると、裏返った声が出た。
 うぅ……初っ端からやらかしたぁ……。
 とはいえ、まだやり直しは効く。
 私は一度深呼吸をして、教室の扉を開け、中に入る。

 一歩踏み出した瞬間、右手と右足が同時に出た。
 ヤバい。クラス中から視線を超感じる!
 頭の中が真っ白になるのを感じながら、私は一歩ずつ歩いて行く。

「杏!」

 その時、聞き覚えのある声がして、私はハッと顔を上げた。
 見ると、そこには見覚えのある青髪の少女がいた。

「ま、前原さん!?」

 ついそう返事をした瞬間、クラス中がどよめいた。
 まさか、前原さんと同じクラスになれるなんて……。
 この学年は五組あるらしいから、実質、五分の一の確率だ。
 だからほとんど諦めていたのに……。

「今行さん。名前、黒板に書いてもらって良い?」
「あ、ハイ!」

 先生の言葉に私は慌てて返事をして、チョークで黒板に名前を書いていく。
 なんとか名前を書いて、私はすぐに前を見る。

「それでは、今日からこのクラスに転入してきた今行杏奈さんです。今日から皆さんと一緒にこのクラスで過ごします」
「い、今行杏奈です。えっと、よろしくお願いします」

 そう挨拶して、私は頭を下げた。
 すると、すぐに前原さんが大きな音で拍手をするので、私は顔が熱くなる。


「今行さんっ」

 朝のHRが終わった後で、早速数名の女子に話しかけられた。
 ちなみに私の席は、出席番号の関係か、一番廊下側の前から二列目の席だった。
 前原さんは割と窓際の方だから、少し離れてしまった。

「は、はいッ」
「そんなにかしこまらないでよ〜。ねぇ、今行さんって、前原さんとはどういう関係なの?」
「えっと……昨日、外でたまたま出会って。それから仲良く……」
「なるほどねぇ」

 私の説明に、女の子達は返事を返す。
 その時、私の背後に誰かが立つのが分かった。
 振り返るとそこには、なぜかムスッとした表情で立っている前原さんの姿があった。

「前原さん……?」
「ちょっとぉ。杏は私のなんだから、あんまり話さないでよ〜」

 ムゥッとした表情で言う前原さんに、私に話しかけてきた女の子達は「何それ」と笑う。

「今行さんは皆のものでしょ」
「そうだよ〜。瑞樹ばっかり独占はずるいぞ〜?」
「むー……杏と一番に仲良くなったのは私なんだからなぁ」

 謎の対抗心を燃やす前原さんが可笑しくて、私は、気付いたら「あははッ」と笑っていた。
 そんな私の顔に、全員がキョトンとする。

「あはは……あれ?」
「今行さん……笑ったら超可愛い!」
「へ……!?」
「うんっ。やっぱり、杏は自然な方が良いよっ」

 ニヒッと笑いながら言う前原さんに、気付いたら、私も釣られて笑っていた。
 そっか……先ほどのやり取りは、それが狙いで……。
 そう思っていた時、前原さんに肩を叩かれた。

「そうだ。昼休憩は、校舎を案内してあげるよ」
「本当?」
「おう。私に任せときんしゃい」

 そう言って得意げに胸を叩く前原さんに、私は「よろしく」と答えた。


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