二次創作小説(新・総合)
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- 【オリキュア】メモリアルプリキュア!
- 日時: 2017/08/01 23:00
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.79 )
- 日時: 2017/10/23 21:07
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第13話「杏奈帰る!?そうだ故郷行こう」1
<瑞樹視点>
電車に揺られながら、私はふと瞼を開いた。
いつの間にか眠っていたらしい。……いや、当然か。
休日なのに朝早く起きて、こうして電車に乗っているのだから。
私の隣では、私に寄りかかり、スヤスヤと安らかに眠る杏がいる。
彼女の腕の中では、リコルンが丸くなり、同じように眠っている。
ここで動くわけにもいかないし、仕方がないので私は窓の外を眺める。
別に面白いものなんて何も無いんだけど。
「んぅ……ふぎゃ!?」
猫のような声をあげながら、杏はガバッと私から体を離した。
どうやら目を覚ましたらしい。
視線を向けて見ると、顔を真っ赤にして俯く杏の姿があった。
「おっ。おはよ、杏」
「おはよ……じゃなくて、えっと……」
「ん? あぁ、すごくよく眠っていたね」
「うぅ……」
恥ずかしかったのか、杏は顔を赤らめたまま俯く。
ひとまず頭をナデナデしてあげると、彼女は頬を膨らませた。
弄り甲斐のある性格をしていらっしゃる。
しかし、杏は私から視線を逸らし窓の方を見ると、途端に目を輝かせた。
すぐに向かい側の席に移動し、窓の外を見た。
「わぁ……!」
「ん……もうそろそろ?」
そう聞いてみると、杏は笑顔で頷いた。
今日は、これから杏が前に住んでいた町、今別町に行くのだ。
「んー……久しぶりの故郷だぁ……!」
伸びをしながら、杏は言う。
そう、杏にとっては故郷。私にとっては見知らぬ町。
……アウェイ感が凄いよね。
「杏奈~!」
その時、声がした。……男の声だ。
え、まさかと思うけど、彼氏!?
驚いている間に、杏はキョロキョロと辺りを見渡し、パァッと笑顔を浮かべた。
「皆~!」
杏はそう叫んでどこかに向かって両手を振る。
どこに向けてやっているのかと視線を向けると……なるほどね。
そこには、『おかえり杏奈』という大きな文字と共に、デカいプレートのようなものが掲げられていた。
恐らく、LIMEか何かでこれから帰るということを伝えていたのだろう。
杏が自分達の存在に気付いたということを知った瞬間、一人の少女が駆けだす。
「杏奈おかえり~!」
そう言って、杏奈の体を抱きしめる少女。
そしてワシャワシャと杏奈の頭を撫でると、杏奈は「ちょ、痛いよ……」と言いながら笑った。
さて、いよいよアウェイ感が酷くなってきた。
恐らくかなり苦い顔をしていたのだろう。
杏は私の顔を見た瞬間、無言で少女から離れた。
「えっと……とりあえず、お互いに自己紹介しよっか?」
杏が苦笑いしながら言った言葉に、私は杏に抱きついた少女と顔を見合わせた。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.80 )
- 日時: 2017/10/24 21:41
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第13話「杏奈帰る!?そうだ故郷行こう」2
<セフト視点>
状況は芳しくない。
まさか、キュアアデッソだけでなく、キュアパーストまで新たな力を手に入れることになるとは。
このまま奴等が順調に行けば、いずれは今の三幹部も……―――。
……いや。
人のことだけじゃない。
もしかしたら、俺もやられるかもしれない。
別に俺自身がやられること自体はなんとも思わない。
しかし、ボウキャーク様の側近である俺がいなくなることは、あのお方の手駒を減らすことになる。
あのお方が俺如きの存在が消えたところで困るわけはないが、せめてあのお方の戦力として、少しでも役に立てる部分はあるハズだ。
流石に俺が負けるほどの力は無い……と思いたい。
分からない。
もしもの時のために、予防線は張っておきたい。
そこで使えるのは紫音だ。
紫音の友人という立場を利用すれば、もしかしたら、上手くいくかもしれない。
しかし、この作戦にはまだ準備が必要だ。
現状では、もし俺の正体が知られたとしても、きっと紫音は俺より妹のキュアパーストを優先する。
これから時間をかけて、紫音との仲を深めよう。
奴からの信頼を強め、いずれは、俺が正体を明かしても、俺の味方につくくらい。
そのためにも、今は準備期間だ。
少なくとも、三幹部が機能する内は、俺が直接手を下すわけにはいかない。
そう結論付けていた時、俺のいるメモリアの入れ物の部屋に、三幹部の一人であるデロべが入って来た。
奴は俺の顔を見た瞬間、目を大きく見開いた。
「な、なんでお前が……」
「……私がここにいてはいけない理由でも、あるのですか?」
そう言いながら首を傾げて見せると、彼は目を伏せ、「いや、別に……」と言う。
……今のプリキュアの成長速度だと、もしかしたらまた新たな力を手に入れるかもしれない。
それこそ、下手をすれば、次の戦いで。
……デロべを囮に使ってみるか。
「デロべさん。三幹部の中で、貴方の成績は著しく悪いです」
「な……!?」
驚いたように目を見開くデロべ。
無論、そんなものハッタリだ。
実際、三幹部の成績など知らないし、興味もない。
しかし、それは奴等もだろう。互いの実績など把握していないに違いない。
だから、それを利用する。
「このままでは、ボウキャーク様は貴方を見切るかもしれません」
「し、しかし……」
「ボウキャーク様に見切られること……それがどういう意味か、分かりますか?」
俺の言葉に、デロべは俯いた。
ボウキャーク様に見切られること。
それは即ち、己の死を意味する。
「ですから、せいぜい見切られない程度に、頑張ってくださいね」
そう言いながら、俺はデロべの肩に手を置き、微笑んで見せた。
---
<瑞樹視点>
まず、人数の多い杏のお友達御一行の自己紹介をしてもらった。
ちなみに、男二人、女三人だ。
「それで、こっちが新しい学校での友達の……」
「前原瑞樹です。どうぞ、よろしく」
私の言葉に、最初に杏にじゃれついた少女、安藤京子が「よろしく~」と言って手を軽く振った。
それに続くように、次々に「よろしく」と挨拶を返してくれる。
中々人当たりの良さそうな人達だ。
相変わらず感じているアウェイ感も、いずれは消えるだろうか。
「しかし安心したよ。今行さんが新しい町でもなんとかやっているみたいでね」
そう言って微笑む眼鏡を掛けた少年、笹垣雄介。
彼の言葉に、ポニーテールにした少女、飯島夏美が頷いた。
「皆で心配してたもんね~。特に岡今なんて……」
「わー!」
夏美に名指しされたためか、岡今光輝が遮るように叫んだ。
その様子に、私は何かを察し、京子の袖を引っ張った。
すると、京子は私を見て、「おっ」と呟きニヤリと笑った。
「瑞樹ちゃん、気付いた?」
「あー……やっぱり?」
「そ。まぁ、ずっと片思いなんだけどね~。他の皆は気付いてるんだけど、肝心の杏奈は……」
「鈍感、と……ていうか杏、私の兄貴とかその友達にときめいてたんだけど」
「あちゃぁ……」
困ったように笑う京子に、私も苦笑いをする。
どうやら光輝の想いには気づかれていない様子。
未だにやっている夏美と光輝のじゃれ合いを見て、普通に笑ってるし。
どうやらこのやり取りを楽しんでいるらしい。
「そういえば、岡今君もだけど、宮村さんも心配してたよね?」
「えっ、歩美ちゃんが?」
杏が目を輝かせながら言う言葉に、雄介は頷き、片手で一人の少女……宮村歩美を示した。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.81 )
- 日時: 2017/10/26 20:48
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第13話「杏奈帰る!?そうだ故郷行こう」3
「ぁぅ、えっと、私は……」
モジモジとしながら俯く歩美。
恥ずかしそうに両手の指を絡めながら、内股になり、体を縮こめてしまう。
そんな歩美の様子に、雄介は「あぁ……」と呟いて苦笑した。
「宮村さん、人見知りしちゃうもんね」
「え、そうなの?」
「うん。私達と出会ったばかりの時もこんなんだった」
京子の言葉に、私は歩美に視線を向けた。
すると、歩美はビクッと肩を震わせて、キョロキョロと視線を彷徨わせる。
しかし、目当てのものがないのか、視線を少し遠くに向ける。
見ると、そこには、光輝と夏美のじゃれ合いに混ざって笑っている杏の姿があった。
「あぁ、そういえば、歩美と私達が仲良いのも、杏のおかげだっけ?」
「え、そうなの?」
私が聞くと、京子と雄介は同時に頷いた。
歩美も会話を聞いていたようで、小さく頷く。
へぇ、そうなのか……。
「確か、今行さんと仲良くなった時、宮村さんを紹介してくれたんだよね?」
「そうそう。ていうか、私達皆、杏奈を中心に集まったというか」
「ほぉ……」
私は生返事をしながら、歩美に目を向けてみた。
彼女は真っ青な顔で私を見ていて、目が合った瞬間逸らしてしまった。
あらら……。
「えっと、歩美ちゃん、だっけ?」
「は、はひぃッ!」
裏返った声で返事をする歩美に、私は頬をポリポリと掻いた。
一体どこから話すべきか……いや、何を話すべきか、か……。
私と彼女の共通の話題……そんなもの、一つしかなかった。
「歩美ちゃんと杏は、どういう関係なの?」
<杏奈視点>
「うん?」
久々に光輝君や夏美ちゃんとじゃれていた時、とあることに気付き、私は動きを止めた。
顔を上げて見ると、そこでは、瑞樹ちゃんと歩美ちゃんが話していた。
私の視線を追って光輝達もその光景を見て、「おぉ」と声を漏らした。
「珍しいな。歩美が初対面の人と話すのって」
「そうだよねぇ……初めて会った時なんて、ずっと今行の後ろで震えていたよね?」
夏美ちゃんの言葉に、光輝君はうんうんと頷く。
あぁ、言われてみれば……。
まぁでも、他の人ならまだしも、瑞樹ちゃん相手なら納得かな……。
「当たり前だよ。だって、瑞樹ちゃんだもん」
私がそう答えて見せると、光輝君はキョトンとした。
夏美ちゃんは私と瑞樹ちゃんを交互に見て、笑みを浮かべた。
「そういえば、前原ちゃんとはどんな風に仲良くなったの?」
「ふぇ? あー……時見町に行って、町を探検してる時に知り合ったの。ちょうど中学校の前で知り合ったから、知らない子が学校を見てるのが気になったんだと思う」
「へぇ……それで仲良くなった、と」
光輝君の返答に、私は頷く。
すると、夏美ちゃんが「へぇ~」と言いながら、瑞樹ちゃんに顔を向けた。
「でもホント、普通に友達出来たみたいで安心したよ。よく皆で話してたんだよ~? 今行が新しい学校に馴染めているかどうか、とか。ね~岡今?」
「あ、あぁ……ていうか、俺だけじゃなくて、歩美だってすげぇ心配してただろ」
「そうなの?」
私が聞き返すと、光輝君はすぐに頷いた。
「あぁ。朝会う度に、友達できたかなぁ~、とか、新しい学校でヘマしてないかな~、とか」
「そうなんだ……なんか照れるなぁ」
そう言いつつにやける口元を手で隠していると、なぜか呆れられた。
でも、しょうがないじゃないか。
だって、歩美ちゃんは私にとって大切な……―――。
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.82 )
- 日時: 2017/12/11 21:01
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第13話「杏奈帰る!?そうだ故郷行こう」4
<瑞樹視点>
「―――幼馴染?」
私がそう聞き返すと、歩美はコクッと小さく頷いた。
それからモジモジと恥ずかしそうにしながら、俯く。
「あー……杏奈から聞いた話なんだけど、小学校入る前からの友達だったみたいだよ?」
「そうなの?」
「うん。そういえば、今行さんが引っ越すってなった時、一番泣いてたし」
雄介の言葉に、歩美は顔を真っ赤にして俯いた。
それに私は苦笑しながら、歩美の顔を覗き込む。
すると目を見開いて数歩後ずさるので、私はそれに近づいた。
いよいよ泣き出しそうな顔をする歩美の手を握って、私は微笑んで見せた。
「あゆみんは、どういう風に杏と仲良くなったの?」
それから、私は歩美、もといあゆみんに、杏との思い出を色々聞いてみた。
雄介とかの話をかいつまんで考えるに、あゆみんは杏奈のことが大好きみたいだから。
私は色々な人と仲良くしているから分かるのだが、コミュニケーション能力の無い人でも好きなものの話になると饒舌になったりする。
あゆみんもその例に漏れず、杏の話になると、多少の差ではあるが饒舌になった。
その話を聞いたところによると、杏とは幼稚園で出会い友達になったらしい。
昔から杏は気さくな性格で、小学校になると色々な子達と仲良くなり、その度にあゆみんを引き入れていたとか。
「私だけじゃ、きっと友達なんて一人も出来なかった。……杏奈ちゃんのおかげだよ」
そう言って恥ずかしそうに笑うあゆみん。
光輝達と仲良くなったのは小学三年生でのクラスらしい。
当初、杏の後ろに隠れてばかりだったが、それでも四人は毛嫌いもせずに、快くあゆみんを受け入れてくれたらしい。
だからこそ少しずつあゆみんも心を開き、なんとか六人で楽しくやっていた。
そこで……杏の転校。
あゆみんは本当にショックで、行かないでと泣きながら訴えたらしい。
当然か。あゆみんの今の幸せは、杏がいてこその現状だったのだから。
しかし残り四人に慰められ、杏は転校していった。
それからあゆみんは、杏がいなくても大丈夫だってことを証明したくて、頑張ってクラスメイトに積極的に話しかけ始めたらしい。
クラスメイトはある程度顔を見知った間柄だし、私のような全くの初対面でなければ多少は話せるレベルにはなった。
しかしそこで、私の登場。
えっと、なんか……ごめんなさい。
「でも、前原さんも、なんだか杏奈ちゃんみたいに話しやすい感じの子で……少し、安心した、というか……」
「……? そう?」
「うん。……だから、その……」
そこまで言うと、あゆみんはキョロキョロと視線を彷徨わせ始める。
ここで無理に催促したら緊張してしまうかもしれない。
私は黙って、言葉の続きを待った。
そうしたら、あゆみんの胸元に、時計の針が現れた。
「……!?」
ロブメモワールが!? と焦った時、あゆみんの目から光が失せて倒れ込む。
咄嗟に私は手であゆみんの体を支えて、仰向けに寝かせた。
「歩美!?」
「宮村さん!?」
「……二人は、他の二人と一緒に助けを呼んできて! 私と杏で見ておくから!」
「わ、分かった!」
二人はすぐに頷き、向こうでじゃれ合っている三人に事情を説明しに行った。
しばらくして、杏が血相を変えた顔で駆け寄って来た。
「瑞樹ちゃん! これは一体……!」
「高確率で……ロブメモワール……」
「ッ……」
杏はあゆみんを見つめると、悔しそうに唇を噛みしめた。
私はそんな杏の肩に手を置いた。
すると、杏は私の顔を見て頷き、ラブメモリーウォッチをあゆみんの胸元に掲げる。
やがてあゆみんの胸元が裂け、異空間が出来る。
私達は手を繋ぎ、その異空間に飛び込んだ。
穴を抜けると、そこは小学校のような場所だった。
見ると教室の中には、幼い杏達らしき人影が見えた。
皆楽しそうに話している……が、突然世界が白黒に染まり、停止する。
「……! 来る!」
私の言葉に、杏も身構えた。
やがて空間が裂け、そこからワスレールが飛び出す。
ワスレールを見てすぐにラブメモリーウォッチを構えようとした時、杏の拳が強く握り締められているのが分かった。
……そっか。杏はただ……昔の友達と再会して、楽しく過ごすだけの予定だったんだよね……。
折角杏が昔の友達と再会して、楽しい時間を過ごせる予定だったというのに……許さない!
「杏、行くよ!」
「うん!」
「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」
- Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.83 )
- 日時: 2017/12/11 21:05
- 名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)
第13話「杏奈帰る!?そうだ故郷行こう」5
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」
「「メモリアルプリキュア!」」
名乗りを終えると、すぐに私達はワスレールの元に駆けた。
するとワスレールはこちらに気付き、攻撃を仕掛けてくる。
私達は横に跳んでそれを躱し、左右からそれぞれ蹴りを入れる。
間に挟まれたワスレールの顔が歪み、メリメリと音を立てる。
私達はすぐにワスレールから離れ、一度様子を伺う。
あんな化け物にも脳震盪という概念があるのか、ワスレールはその場でフラフラと立ち往生している。
私とアデッソは顔を見合わせ頷き合うと、すぐにワスレールの元に駆け、二人で同時にワスレールの体を蹴り上げた。
上空に飛ぶワスレールの巨体。私達はすぐにその上まで飛び上がり、かかと落としで蹴り落とす。
撃沈したワスレールを見ながら、私は口を開いた。
「なんか……体が異様に軽いんですけど……」
「もしかしたらメモリアの影響かもしれないリコ」
宙を飛びながら観戦状態だったリコルンがそう口を挟む。
その言葉に、私とアデッソは同時に「「メモリア?」」と聞き返した。
「そうリコ。メモリアは記憶を司るエネルギーだけど、それは体調とかにも影響するリコ。だから、ロブメモワールによってメモリアを使われている間は気を失うリコ」
「なるほど……それで、メモリアの影響って言うのは?」
「今日は杏奈の故郷に帰って来たリコ。だから、杏奈のメモリアに良い刺激があったかもしれないリコ。あと、瑞樹は杏奈のことを知ったりして良い記憶が増えたから、同じく良い刺激があったかもしれないリコ」
「つまり、メモリアの調子が良くなって、力が上がっていると?」
「そうリコ!」
そんな会話をしていると、ワスレールがヨロヨロと立ち上がる。
すると、アデッソは自分の両手を見つめた後でグッと握り直し、私を見て微笑んだ。
「パースト……一気に行くよ!」
「オーケイ、アデッソ!」
私達は笑い合い、ラブメモリーウォッチを構え、それぞれもう一つの針を重ねた。
そしてネジのような部分を引っ張ると針は高速で回転し、強い光を放つ。
次の瞬間、パァンッと音を立てて弾け、それぞれ武器と化す。
私達はそれを受け止め、柄の部分にある凹みにラブメモリーウォッチから外したカラフルな針を取り付ける。
そして指で弾いて高速で回転させ、私達はそれぞれその剣を構えた。
「今を輝く大いなる光! アデッソソード!」
「過去を束ねる大いなる夢! パーストソード!」
その後、私達は同時に剣を回し、円を作る。
アデッソはさらにもう一周させて円を桃色に染め、私は円を四等分にして空色の欠片を作る。
どちらの剣もその光を纏い、輝きだす。
「今を輝け! プリキュア! アデッソルーチェ!」
「過去を束ねろ! プリキュア! パーストレーヴ!」
叫び、それぞれ空中を両断する。
すると光の刃がワスレールに飛び、浄化していく。
指で針を止めると同時に、ワスレールの体は吹き飛び、消えて行った。
「ふぅ、これで一件落着か……」
「全く、ロブメモワールにも困ったもんだよ~」
アデッソの言葉に、私は苦笑した。
それから変身を解こうとラブメモリーウォッチを構えた時、その手に持っていたパーストソードが眩い輝きを放っていた。
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