二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.134 )
日時: 2017/12/23 23:44
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第21話「語られる真実!プリキュアの代償!?」3

 ラブメモリーウォッチは、リコルンを拾った茂みの中に落ちていた。
 おかげで誰かに拾われたり踏まれたりすることもなく、無事に見つけることができた。

「よいっしょっと……」

 この中で一番腕が長いお姉ちゃんが代表して茂みに手を突っ込み、ラブメモリーウォッチを拾う。
 それから茂みから抜け出し、私とリコルンにラブメモリーウォッチを見せる。

「これで良いの? リコルン」
「そうリコ!」

 リコルンの言葉にお姉ちゃんは安堵したように笑い、私に渡す。
 突然のことに、私は「へっ?」と間抜けな声で返した。

「いや、なんで私?」
「え、だって星華のランドセルに引っ掛かってたんだよ? だから、これは星華のもの……だよね? リコルン」
「月乃の言う通りリコ」
「えぇっ……ってことは、私がプリキュアとして戦うの?」

 私の言葉に、二人は同時に頷いた。
 それに私は「えぇ~」と情けなく声を漏らす。
 その時、お姉ちゃんの背後に、鱗のような肌をした女が現れた。

「お、お姉ちゃん……アレ……」
「あれはロブメモワールのシッパーレリコ!」

 リコルンの言葉に、私は血の気が引くのを感じた。
 するとお姉ちゃんが私とシッパーレとやらの間に立ち、両手を広げた。

「星華はリコルンを連れて逃げて!」
「でも、お姉ちゃん!」
「大丈夫。お姉ちゃん強いから」

 そう言って拳を握り、微笑むお姉ちゃん。
 しかしその時、シッパーレが手を構えた。
 その瞬間、お姉ちゃんの胸元に時計の針が現れた。

「お姉ちゃんッ!」

 私が叫ぶと同時に、お姉ちゃんの目から光が失せ、その場に倒れる。
 時計の針が重なり、やがて、彼女の胸元が裂けた。

「邪魔だよ」

 シッパーレはそう言い、私を突き飛ばす。
 尻餅をつき顔を上げると、シッパーレがお姉ちゃんの胸元に入っていくのが見えた。

「お姉ちゃんッ!」

 私は叫び、お姉ちゃんの体を抱き起こす。
 彼女の瞼はキツく瞑られ、開くことはなかった。

「お姉ちゃん……やだ、お姉ちゃん、目を覚まして……」

 私は動かぬ姉の体を抱きしめ、そう言う。
 その時、自分の手に強く握り締められたラブメモリーウォッチとやらを見た。
 これは……確か……。

「……リコルン。この時計があったら、お姉ちゃんを助けられるんだよね?」
「……そうリコ」
「だったら……私、戦うよ。戦って……お姉ちゃんを助ける」

 私の言葉に、リコルンは目を輝かせる。
 それからリコルンの指示に従い、私はお姉ちゃんを地面に寝かせ、ラブメモリーウォッチの針を重ねる。
 お姉ちゃんの胸元にそれを掲げると、彼女の胸元が裂け、異空間が現れる。

「お姉ちゃん……ごめんなさい」

 そう呟いてから、私は彼女の胸元に踏み込んだ。
 次の瞬間、体が引っ張られ、私はお姉ちゃんの記憶世界に入った。

 穴を抜けると、それは私の家だった。
 見ると、テーブルにはケーキが乗っていて、それを幼い頃の私とお姉ちゃんが輝く目で見つめていた。
 向かい側には、まだ若いお父さんと……お母さんがいた。

「それじゃあ星華。願い事をして息をフーッとしてね」
「うんっ」

 お母さんの言葉に幼い私は頷き、少し考え込む。
 やがて大きな目を開き、大きく息を吸い込み……―――。

 そこで、世界は白黒に染まり、停止する。
 それに私は、自分の血の気が引くのを感じた。

「来るリコ!」

 そんな声と共に、空間が裂け、化け物が出てくる。
 私はそれを見て、息を呑んだ。

「何あれ……大きい……」
「あれがワスレールリコ!」

 リコルンの言葉に、私は表情を引き締める。
 それからラブメモリーウォッチを腕に巻き、構える。

「リコルン……どうやって変身するの!?」
「えっ……えっと、時計のネジを回転させて針を十二時で重ねて、プリキュアメモリアルコンバージョンって叫ぶリコ!」

 リコルンの指示に従い、私は時計のネジを回転させた。
 次の瞬間、頭の中にフレーズが浮かぶ。

「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」

 お姉ちゃんの思い出を……取り戻して見せる!

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.135 )
日時: 2017/12/24 17:43
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第21話「語られる真実!プリキュアの代償!?」4

「んんッ……」

 お姉ちゃんは声を漏らしながら、ゆっくりと瞼を開く。
 やがて、彼女の顔を覗き込んでいる私と目が合うと、不思議そうな顔で「星華……?」と言う。
 それに、私は「お姉ちゃん……」と声を漏らした。

「あ、あれ……私、なんで……」
「ロブメモワールが現れて、月乃のメモリアを奪おうとしたリコ」
「私の……」

 メモリアを全て奪われたら意識不明、ということを思い出したのだろう。
 ゾッと顔を青ざめさせるお姉ちゃんに、私は「大丈夫だよ!」と答える。

「私が倒したから! それに、これからお姉ちゃんがまた襲われても、私が守るよ!」
「星華……あーもう。姉が守られるって何なのよ~」

 そう言って天を仰ぐお姉ちゃんに、私は苦笑する。
 すると、お姉ちゃんはフッと無表情になり、リコルンを見た。

「ねぇ、私にも何か……協力できることとか無いかな?」
「月乃に出来ること……リコ?」
「うん。プリキュアになることは出来なくても、何か出来ることは……」

 そこまで言って、お姉ちゃんは少し考えるような間を置いてから、「そうだっ!」と言った。

「何か思いついたの?」
「うん。あのさ……」

 それからお姉ちゃんが考えたのは、お姉ちゃんだけがロブメモワールに狙われるようにする方法だった。
 ロブメモワールは、プリキュアを目障りな存在だと考えている。
 だから比較的に、プリキュアの近くにいる人間をワスレールの素材として使い、プリキュアを倒そうとしているのだ。
 それを逆手に取り、お姉ちゃんが私の近くにいることで、ロブメモワールの標的をお姉ちゃんに搾ろうと考えたのだ。

 実際この作戦は成功し、お姉ちゃんがロブメモワールに狙われるようになった。
 プリキュアの存在をお姉ちゃんが知っていた、ということもあるだろう。
 ロブメモワールの情報も知っているため、これから何かの障害になる可能性があった。
 頻繁にお姉ちゃんはロブメモワールに狙われ、ワスレールの素材として使われていった。

 無論、ごくまれに、普通の人がワスレールの素材に使われることがあった。
 例えば……翌年の夏休みに襲われた、茶色の髪のツインテールの子だとか。
 その子はすごくメモリアが多くて、ワスレールもかなり強く、中々苦戦を強いられた。

「今回の戦いは長かったね~」

 暢気な口調で言うお姉ちゃんに、私はムッとする。

「そりゃあお姉ちゃんは他人事だからそんな風に言えるんだよ。実際、すっごい大変だったんだから」
「はいはい。……でも、その子って星華よりメモリアが多いってリコルン言ってたよね?」

 お姉ちゃんの質問に、リコルンは頷いた。

「そうリコ」
「じゃあさ、なんでその子がプリキュアにならなかったの?」

 お姉ちゃんの言葉に、リコルンは「メモリアが多ければプリキュアになれるわけじゃないリコ~」と言って耳をパタパタ動かす。
 私の頭に乗ってそれをするため、髪が乱れてしまう。

「ちょっとリコルン~」
「星華の頭の上は乗り心地が良いリコ~」
「プリキュアの基準って、メモリアだけじゃないの?」

 お姉ちゃんの質問に、リコルンは「そうリコ」と答える。

「心の強さだとか、人を想う気持ちだとか、色々あるリコ。でも、プリキュアの適性では、星華の次に高かったリコ」
「へぇ~……」
「もしプリキュアが二人だったら、星華とあの子の二人組だったりして?」
「そしたら尚更お姉ちゃんがやることないじゃん」
「ハッ! 確かに!」

 すぐに納得するお姉ちゃんに、私は笑う。

 モデルとプリキュアと学業の両立。
 大変だったけど、でも……楽しかった。
 だって……お姉ちゃんがいたから。
 明るいお姉ちゃんがいたから、私は、平気だった。
 彼女がいれば、私は戦い続けることが出来ると思っていた。

 でも、お姉ちゃんが中学一年生。私が小学六年生の三月に……その日常は崩れ去った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.136 )
日時: 2017/12/24 20:45
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第21話「語られる真実!プリキュアの代償!?」5

「ハァ……ハァ……」

 荒くなった呼吸を強引に整えるようにしながら、私は目の前の惨状を眺める。
 リコルンがいつだったか、言っていた。
 何度も襲われた記憶世界は、徐々に脆くなるんだって。
 一度や二度なら、そこまで変わらない。
 けど……何十回も襲われ続けたお姉ちゃんの記憶世界は、いつしか、ちょっとした衝撃で壊れるほどに、脆くなっていた。
 それでも、今まではなんとか取り持っていた。
 けど……。

「流石にこれは……無理だよ……」

 そう呟きながら、私は目の前に落ちている灰色のラブメモリーウォッチを見つめる。
 記憶世界が崩れる度に、メモリアを吸収して、ワスレールはさらに強くなる。
 崩れやすくなった記憶世界では、メモリアも早く吸収できるようになる。
 そのワスレールに……私は敗れた。

 今、目の前でワスレールはお姉ちゃんの記憶世界を荒らしている。
 ラブメモリーウォッチが壊れ、そのメモリアすらあのワスレールに奪われた。
 もう……私に勝ち目はない。
 ガラスの蓋はひび割れ、数字が彫られた文字盤は腕と巻くベルトから外れた状態。
 それを私は胸に抱き、俯く。

「星華! とにかくここから出るリコ!」
「でも……お姉ちゃんが!」
「月乃の犠牲を無駄にする気リコ!?」

 リコルンの言葉に、私は押し黙る。
 すぐにリコルンは空間に穴を作り、私を促す。
 私はリコルンと共に記憶世界を脱出した。

 それから、お姉ちゃんは救急車で運ばれ、時見総合病院にて入院した。
 意識不明……なのに、外傷も無ければ体にも特に異常はない。
 未知の病として、処理された。

「お姉ちゃん……」
「……俺がちゃんとしていれば……」

 病院に駆け付けたお父さんは、そう言って拳を強く握る。
 ……お父さんには、プリキュアのことは話していない。
 私は話そうと思ったが、お姉ちゃんが止めたのだ。

『お父さんは仕事で忙しいし、あまり心配させたくないじゃん? だから、お姉ちゃんと星華とリコルンだけの秘密』

 そう言って口元に人差し指を当てて笑うお姉ちゃんの顔を思い出す。
 でも、私はお父さんに、話すべきだと思った。
 けど……リコルンが止めた。

「月乃は、プリキュアやロブメモワールの情報を手に入れていたから狙われたっていうのもあるリコ。あまり、プリキュアのことは他言しない方が良いリコ」

 後から、なぜ止めたのかと問いただせば、そんな答えが返ってきた。
 それに私は納得し、灰色にくすんだラブメモリーウォッチを握り締め、お姉ちゃんを見た。

「……ねぇ、リコルン……」
「何リコ?」
「……この世界ってさ、まだ、ロブメモワールに全部支配されたわけではないでしょう?」
「……そうリコ」
「だったらさ……また、プリキュアって、出てくるのかな」
「……出てくるリコ」
「……じゃあ、次のプリキュアはさ……」

 私はリコルンを見上げ、微笑んで見せた。

「二人に……してあげてくれないかな?」
「……」
「確かに、プリキュアのことは他言できない。でもね、きっと私一人じゃ、戦えなかったと思う。私がずっと戦えたのは……お姉ちゃんの存在があったから。だから、一緒に戦える仲間がいるんだよ。二人で支え合いながら戦う仲間が。だから……お願い、リコルン」
「……善処するリコ」

 リコルンの言葉に、私は「ありがとう」と答えた。
 それから機械に繋がれ眠るお姉ちゃんの額をソッと撫でた。

「お姉ちゃん……ずっと、大変だったよね……だから、今度は私が頑張るから……お姉ちゃんはゆっくり休んでいてね」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.137 )
日時: 2017/12/24 23:20
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第21話「語られる真実!プリキュアの代償!?」6

---現在---

<杏奈視点>

「―――……これで、全部です……」

 星華ちゃんの言葉に、私は何も答えられなかった。
 先ほどの話が、彼女に起こった出来事?
 放心する私に、星華ちゃんは「信じられませんか?」と言って笑う。

「でも、杏奈さんなら信じてくれるって……私は信じています」

 そう言って星華ちゃんはポケットから何かを取り出し、私の手に握らせる。
 驚きつつも手を開いて見ると、それは、灰色に染まったラブメモリーウォッチの地盤だった。
 針もあるし、宝石も付いている。
 でも……全てが灰色だった。

「……それが証拠です。杏奈さん。いいえ、キュアアデッソ……ですか?」

 咄嗟に、私は何かに弾かれたように顔を上げた。
 すると星華ちゃんははにかんで、「正解ですか」と言った。

「星華ちゃん……」
「杏奈さんには、少なくとも、私の二の舞にはなってほしくないんです。杏奈さんは優しいから、きっと、大切な人はたくさんいることでしょう。……だから、その人達を巻き込まないように」
「ねぇ、なんでここまでしてくれるの? 星華ちゃんだって、その過去はあまり思い出したくないものだと思うし……その……」

 尻すぼみになってしまった私を見て、星華ちゃんは柔らかく笑った。
 それから私に距離を縮めて、ソッと指でラブメモリーウォッチを撫でた。

「……杏奈さんは、似ているんです。お姉ちゃんと」
「月乃さん、と……?」
「ハイ。私がモデルでも、分け隔てなく接してくれて……」

 そこまで言うと、星華ちゃんは私の手を握る。
 ひんやりとした手が、指を絡め、私の手を包み込む。

「家族以外でここまで近い距離にいられるのは、杏奈さんが初めてなんです。だから、杏奈さんには……隠し事をしたくなくて」
「でも、そんな……」
「杏奈さんならきっと、ロブメモワールを倒せると思います。だから、早くロブメモワールを倒して、お姉ちゃんを取り戻してくれるって……信じています」

 そう言って悲しそうに微笑む星華ちゃん。
 返答に迷っている時、病室のスピーカーから声がした。

『面会時間終了です』

「……帰りましょうか」

 星華ちゃんはそう言って私の手を引く。
 絡んだままの指は、離れない。
 私より少し小さな星華ちゃんの背中を見つめながら、私は心の中で考える。

 星華ちゃんは多分、私と月乃さんを重ねているんだと思う。
 同い年らしいし、星華ちゃんと親密に距離を縮めたのは私と月乃さんだけみたいだから。
 私には妹もいないし、仲良くなる内に、星華ちゃんを憧れの人であると同時に妹のように感じていた。
 だから……苦しいんだ。
 星華ちゃんの過去と、現状が。

 それから、私の家に着くまでの間、会話は一切無かった。
 Adessoに着くと、私は無言で車を下りた。

「杏奈さん。……また、学校で」

 最後に、星華ちゃんはそう言った。
 だから、私もなんとか笑顔を作って、「うん。また」と答えた。
 それから走り去っていく車を見送ると、私はすぐにAdessoに駆け込んだ。
 自分の部屋に向かい、ぬいぐるみに成りすましているリコルンの耳を掴む。

「杏奈!? 痛いリコ!」
「リコルン! 知っていたんでしょ!? 星華ちゃんのこと!」

 そう言いながら、私はリコルンを壁に押し付ける。
 するとリコルンは焦った様子で「急にどうしたリコ!?」と声を上げる。
 だから私はリコルンに顔を近づけて、叫ぶ。

「星華ちゃんから聞いたの! プリキュアのことを人に話したらどうなるか! 星華ちゃんが……プリキュアだったって!」

 私の言葉に、リコルンは目を見開く。
 それにさらに言及した時、星華ちゃんの言葉が脳内で反芻した。

『前に、杏奈さんと前原先輩との三人で遊んだ帰りに、前原先輩に言われたんです。私は……本当のことを杏奈さんに言わずに、杏奈さんのことを知ろうとしている。だから、前原先輩は私のことが嫌いだ、と』

「ねぇ、リコルン……瑞樹ちゃんはこのこと、知ってるの?」

 私の問いに、リコルンは答えない。
 すぐに私はリコルンを離し、スマホから瑞樹ちゃんに電話を掛ける。
 三度のコール音の後に、プツッとそれが途切れ、声がする。

『もしもし? 杏? どうしたの?』
「ねぇ、瑞樹ちゃん……星華ちゃんのこと、知ってたの……?」
『……あの、生意気モデルのこと……?』

 瑞樹ちゃんの言葉に、私はスマホを握る手が強くなる。
 震える声をなんとか保ちながら、続ける。

「星華ちゃんの……お姉さんの、こと……」
『……杏、それ誰から聞いたの』

 その言葉に、私はスマホの電話を切った。
 それから壁に凭れ、膝を抱えて俯いた。

「杏奈……?」
「リコルン……出て行って……」
「杏奈!?」
「お願い。……私、今一番……誰も信じられないよ……」

 私の言葉に、リコルンは私から離れる。
 そして無言で、部屋の窓から出て行った。
 それを眺めながら、私は自分の手で顔を覆った。

「私……どうすればいいんだろう……」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.138 )
日時: 2017/12/25 17:12
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第22話「未来を照らせ!キュアフューチャー誕生!」1

<星華視点>

 翌日、どうやら杏奈さんは学校に来なかったみたい。
 病気だろうか……とすっとぼけていたが、原因は分かっている。
 恐らく……昨日のあの話が原因だろうか。
 そう思っていた時、肩を叩かれた。

「……?」

 顔を上げると、そこには、話したことない子が立っていた。
 強張った表情で立っている彼女に、私は首を傾げる。
 すると、彼女は教室の出入り口の方を指さした。

「ん……?」

 その方向に視線を向けると、そこには、前原先輩が立っていた。


「……杏が今日学校を休んだことは、知ってるよね?」

 連れ出されて早々、前原先輩はそう聞いてきた。
 場所は屋上。
 蒸し暑い空気に私は汗を拭いながら、口を開いた。

「知っていますけど……」
「……私が考えるに、原因は、昨日アンタが杏にあのこと話したせいだと思ってる」

 前原先輩の言葉に、私は押し黙る。
 するとリコルンが「あまり攻撃的な言い方はダメリコ~」と前原先輩を宥めた。
 リコルンの声を聴くのも、大分久しぶりに感じる。
 ……元気そうで何よりだ。

「えぇ。……私もそう思います」
「だよね。……放課後、私は杏の家に行こうと思ってる」

 その言葉に、私は眉を潜めた。
 すると前原先輩は目を細め、首を傾げた。

「……で、アンタはどうしたい?」
「私……ですか?」
「うん。付いて来たいなら、帰りに声掛けに行くよ。杏に何か言いたいことがあるなら、伝言でも何でもする」

 その言葉に、私は目を伏せる。
 私が、杏奈さんに言いたいこと……。

「……いえ、何も」
「……何も?」
「はい。……私が今の杏奈さんに何か言ったら、杏奈さんをさらに困らせてしまいそうで」
「まぁ、それは一利あるかもね。……あのさ、生意気モデル」

 相変わらず私のことを名前で呼ばない前原先輩に、私は顔をしかめる。
 しかし、それに気づいているのか否か、彼女は真剣な表情で私を見つめながら続けた。

「アンタは……杏のこと、好き?」
「……えぇ。好きですよ」
「……そう」

 前原先輩はそれだけ言うと、歩いて行こうとする。
 それに、私は「前原先輩!?」と呼んだ。
 すると彼女は私を見て、フッと微笑んだ。

「……ただ、アンタが私と同じ感性を持っていて、嬉しかっただけ」

 前原先輩の言葉に、私は押し黙る。
 すると前原先輩は笑って、軽く手を振って歩いて行く。
 やがて屋上から出て行く彼女を見て、私は息をつく。

「……星華」

 その時、心配そうに顔を覗き込んでくるリコルンがいた。
 私は指でリコルンの頬を撫で、それから優しく抱きしめた。
 リコルンは私の胸に手を添えて、寄り添う。
 だから私はリコルンの頭を撫でた。

「……久しぶりだね、リコルン」
「……こんな形での再会は望んでなかったリコ」

 リコルンの言葉に、私は笑う。
 でも、撫でる度に、リコルンの大きな耳が気持ちよさそうにパタパタと動いた。

「やっぱり撫でるのは星華が一番上手リコ」
「何それ……」
「杏奈は普通に気持ち良いリコ。でも、瑞樹は乱暴で、たまに耳掴んだりしてくるリコ」
「そうなんだ。大変だね」
「大変リコ。杏奈は優しいから瑞樹に注意出来ないし。……たまに、月乃と星華が一緒ならって……思うリコ」

 そう言って私の胸に顔を擦りつけるリコルン。
 私はそんなリコルンの頭を撫でて、少し強く抱きしめた。

「リコルン……分かっているんでしょ? それが……叶わない願いだってこと」
「……」
「あの二人にも、お姉ちゃんの中にいるワスレールは倒せない。ロブメモワールを倒すしか、お姉ちゃんを救う方法はない。……でも、ロブメモワールを倒したら、リコルンはメモリー王国に帰る。……私達四人と一匹で楽しむ未来は、もう、存在しないんだよ」
「でも……」

 リコルンがそう言った時、チャイムが鳴る。
 私はリコルンの頭をもう一度撫で、手を離した。

「それじゃあ、私は授業行くから」

 私の言葉に、リコルンは頷き、どこかに飛んでいく。
 ……リコルンが言った未来が、現実になったらな。
 そう思って少し笑いつつ、私は屋上を出て、教室に向かった。


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