二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.174 )
日時: 2018/01/03 22:21
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第27話「杏奈の故郷の夏祭り!?夜空に輝け火の花よ!」2

 あれからホテルに着くまでの間、主に私が質問攻めにあった。
 星華ちゃんと仲良くなったことに関しては、誤魔化すのが大変だった。
 そもそも星華ちゃんが私に近づいたのもプリキュアが理由だし。
 しかしそれをなんとか誤魔化し、適当な理由で躱しながら、まぁ……なんとかした。

「しっかし、まさかあの後宮星華と友達になってるとはねぇ……」
「そしてまさか今日本物に会えるとは思わなかった……」

 感心した様子で星華ちゃんを見る京子ちゃんと夏美ちゃん。
 それに、星華ちゃんはどこか居づらそうにして、不安そうに私の腕に自分の腕を絡めて来た。
 だから星華ちゃんの頭を撫でようかと思ったが、もう一方の腕は荷物を持っているため出来ない。
 しかしそんな様子を見て、京子ちゃんがニマニマと笑う。

「おやおや。慕われていますなぁ? 今行先輩」
「いや、そんなこと……」
「あ、杏奈さんはっ! 皆さんの前では頼りない感じなのかもしれませんが、私にとっては、すごく優しくて頼り甲斐のある……素敵な先輩です……」

 顔を赤らめながら言われた言葉に、私はますます恥ずかしくなる。
 すると、瑞樹ちゃんが星華ちゃんの首根っこを掴み、私の腕から引っぺがす。

「セッチーにとって私は素敵な先輩じゃないか~そうか~」
「いや、あの……瑞樹さん……?」

 瑞樹ちゃんは笑顔で私に旅行鞄を渡すと、星華ちゃんに両手でグリグリし始めた。
 まぁ、流石に今のは星華ちゃんにも原因がある。
 私は笑いつつ、二つに増えた旅行鞄をどう持とうか考える。

「……杏奈」

 その時、光輝君が名前を呼んだ。
 顔を上げると、光輝君が赤らんだ顔で私を見ていた。

「光輝君?」
「その、なんだ……重いだろ? お前の鞄くらいは、お、俺が持ってやるよ……」

 そう言って手を差し出す光輝君。
 私はそれに笑い、自分の鞄を光輝君に差し出した。

「意外と優しいんだねっ。それじゃあ、よろしく」
「……おう」

 そう言って鞄を受け取る光輝君に、私は笑った。


<瑞樹視点>

「あれ……?」

 しばらく拳でセッチーの頭をグリグリしていると、彼女は突然ある一点を見て固まった。
 それに私は手を止め、顔を上げる。
 そこには、杏とコウッペが楽しそうに雑談をしながら歩いていた。
 見ると、コウッペの手には杏の旅行鞄が提げられている。

「おや……ほっほ~?」

 それを見て、京ちゃんがニヤニヤと笑う。
 するとセッチーは京ちゃんの腕を掴んで、必死な表情で口を開いた。

「あのっ! 杏奈さんと光輝さんはどういう関係なんですか!?」
「……見た感じ、恋人同士……とか?」

 ずっと傍観者になっていたツッキーの言葉に、セッチーの表情が徐々に青ざめていく。
 それに私は無言で目を逸らす……が、セッチーに腕を掴まれた。

「瑞樹さん! 嘘ですよね!? あの二人が恋人同士って!」
「えっと……」

 実際は違うけれど、京ちゃんとなつみんがニマニマと笑いながら口元に人差し指を当てている。
 こういう時制止役であるハズの雄やあゆみんもあくまで微笑むだけで何も言わない。
 ふむ……。

「さぁ……私、杏からそういう話聞いたことないし……」
「じゃ、じゃあ……!」
「でも、杏奈ちゃんって恋人とか出来ても、あまり人には話さないタイプだよね」

 ここでまさかのあゆみんからの攻撃!
 あゆみんって物静かだし、あまりこういう悪ふざけとかしなさそうなイメージがあるのに。
 しかし、そんなあゆみんからの攻撃だからこそ、尚更セッチーは信じる。

「じゃ、じゃあやっぱり杏奈さんと光輝さんは……!?」
「さぁ、どうでしょう?」

 悪戯っぽく笑いながら京ちゃんが言った言葉に、セッチーがさらに青ざめる。
 流石にやり過ぎだと判断したので、ひとまずネタ晴らしをした。
 真実を知ると、セッチーはムスッとした表情をした。

「ごめんってセッチー」
「……」
「あはは、だって動揺する星華が面白かったんだもん」

 そう言って悪びれることなくケラケラと笑う京ちゃんに、セッチーはさらに頬を大きく膨らませた。
 するとそんな様子を見て、ツッキーが「でもあの二人、付き合ってないのかぁ」と少し落胆した表情で言った。

「え、お姉ちゃん……?」
「ん? いや、あの二人の雰囲気お似合いだなって思って」

 サラッとツッキーが言った言葉に、セッチーが引きつった笑みを浮かべた。
 まぁ幼馴染だし、ああいう軽口言い合える関係は羨ましい……のかな?

「……え、ちょ、皆さんなんで否定しないんですか……?」

 相変わらずの引きつった笑みでそう聞いてくるセッチー。
 そして誰もそれを否定しない様子に、セッチーはさらに笑みを引きつらせる。
 まぁ、うん。面白くなりそうだし、黙ってよう。

「……でも、今の岡今君と今行さんを見てる限り、そういう関係になるようには見えないけどね」

 苦笑混じりに言った雄の言葉に、私は苦笑した。
 正直、杏が故郷に帰れる機会なんて無いし、コウッペはこの数少ないチャンスを活かしてほしいところだね。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.175 )
日時: 2018/01/04 15:38
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第27話「杏奈の故郷の夏祭り!?夜空に輝け火の花よ!」3

「わぁ……! 皆すごく似合ってる!」

 杏の言葉に、セッチーは顔を赤らめた。
 いやまぁ社交辞令だとは思うけど、でも……確かにモデルというだけあって、セッチーはよく似合ってると思う。
 黄色の髪を結っていて、浴衣は黄色い生地に向日葵の柄。
 カラフルな感じで子供っぽい部分はあるが、セッチーの場合はどちらかというと儚い感じだ。

「うんうん、流石我が妹。もっと自信持って良いぞ?」

 そう言ってバンバンとセッチーの背中を叩くツッキー。
 彼女はセッチーの浴衣をオレンジ色にしたようなデザインだ。
 しかし、ツッキーの場合はどちらかというと活発な印象が強い。
 同じ柄でも、色と着る人によってここまで変わるものなのか。

「瑞樹ちゃんも、すごく似合ってるよ」

 そう言って、杏ははにかむ。
 私の浴衣は、白地に青いバラが描かれた浴衣だった。
 髪も一応結ってみたけど、正直自信が無かった。
 でも、杏の言葉で、少しだけ安心した。

「そうかなぁ。青いバラって、なんか変じゃない?」
「そんなことないよ~。ホラ、瑞樹ちゃんってピアノでドレスとか着るじゃない? なんか、そういう和風と洋風が混ざり合ってる感じがして、その……すごく似合ってると思う」
「ははっ、ありがとう。……杏も、すごく似合ってるよ」
「えへへ……ありがとう」

 そう言ってはにかむ杏は、濃いピンクの生地に薄い桃色で桜が描かれた浴衣を着ていた。
 普段二つ結びにしている髪は、今回は結って一つに纏めている。
 見事に全員花柄という状態だが、まぁ、仲良しってことで。

「えへへ……じゃあ行こっか。皆が待ってるだろうし」

 杏の言葉に私達は頷き、祭りに出向く。
 ホテルを出てしばらく歩いていると、待ち合わせ場所である今別駅前に着いた。

「あ、杏奈~! その他大勢~!」

 どうやら杏奈のお友達一行も先に着いていたようで、私達を見て手を振ってくる。
 それに私達も手を振り返し、駆け寄った。

「おぉ。今行の浴衣すごい似合ってんじゃん!」
「えへへっ、夏美ちゃんも、京子ちゃんも歩美ちゃんも、すごく似合ってるよ!」

 杏の言葉に、私は賛同するように頷いた。
 なつみんは金魚、京ちゃんは水玉、あゆみんは朝顔。
 それぞれバラバラの柄の浴衣を着て、皆それぞれ似合っていた。

「今行さん達もすごく似合ってるよ」

 眼鏡の位置を正しながら雄が言った。
 ちなみに彼は灰色の甚平を着ていて、隣に立つコウッペは紺色の甚平を着ていた。

「二人もすごい似合ってるよ! カッコいい!」

 杏が明るい笑みで軽く手を叩きながら言うと、コウッペは顔を赤らめて目を逸らしながら「……おう」と答えた。
 全く、素直じゃない奴め。
 私は杏の肩を掴み前に出して「コウッペ~」と彼を呼んだ。

「アンタは、杏の浴衣姿どう思う?」
「はぁ!?」
「え、ちょっ……瑞樹ちゃん!?」

 恥ずかしそうに顔を赤らめる杏に「良いから良いから」と答え、私はコウッペの返答を待つ。
 杏の浴衣姿を直視したせいか、コウッペの顔はますます赤くなった。

「に、似合ってんじゃねーの? ま、馬子にも衣裳とはよく言ったものだなっ」

 あれ? 確か馬子にも衣裳の意味って、どんな人でも身なりをととのえれば立派に見える、じゃないっけ。

「えへへっ……ありがとう光輝君」

 しかし、恐らく本当の意味を知らない様子の杏。
 恐らくコウッペは照れ隠しなんだろうけど、逆に褒めたことになっちゃった。
 コウッペはそれに顔を真っ赤にして「お、おう」と答えた。
 すると、京ちゃんがパンパンと手を叩いた。

「ハイハイ。それじゃあ、もうそろそろ花火も始まるし、早く行こうよ!」

 京ちゃんの言葉に、私達は早速花火を見に行くことにした。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.176 )
日時: 2018/01/04 18:36
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第27話「杏奈の故郷の夏祭り!?夜空に輝け火の花よ!」4

<杏奈視点>

 人ごみで賑わう中、私達は屋台を見て回る。
 瑞樹ちゃんや星華ちゃん、月乃ちゃんは、初めての祭りだからかすごく楽しそうに屋台を見ている。
 良かった。皆が楽しんでいるみたいで。
 そう思っていると、光輝君が私の隣まで来た。

「……?」
「杏奈。大丈夫か? なんか、元気無いけど」
「えっ?」

 彼の言葉に、私は自分の顔に手を当てる。
 すると、光輝君は心配するような表情で私の肩に手を置いた。

「無理すんなよ? その……俺が、付いてるから」
「ん……ありがとう。光輝君」

 私の言葉に、光輝君は無言で顔を背けた。
 それにしても、元気が無い……か。
 その原因で真っ先に浮かんだのは……シーフちゃんの顔だった。

『やだ……行かないで……一緒にいて下さい……』
『杏奈っ……ずっと、ずっと一緒にいてくださいね……?』

 シーフちゃんの弱々しい声が。
 彼女を抱きしめた時の感触が。
 未だに、私の心を蝕んでいる。

 きっと彼女は……一人ぼっちなんだ。
 確かに瑞樹ちゃんが言う通り、シーフちゃんは敵で……同情するものではない。
 でも、私は……。

「光輝君」
「んあ?」
「ちょっと……話、聞いて貰って良い?」

 私がそう聞いてみると、光輝君はキョトンとした。
 それからため息をつき、ニカッと笑った。

「良いぜ。俺で良いなら」
「ありがとう。……あのね、私……あっちの町で、新しい友達がたくさん出来た。……その中で、すごく寂しがり屋な子がいるの」

 私の言葉に、光輝君は答えない。
 ただ無言で、私の話を聞いている。
 無視しているわけではなさそうなので、私はホッとして続けた。

「その子にね、ずっと一緒にいようって言われた。私はそれに、離れないよ。ずっと一緒だよ。って答えたんだ。でも、その……色々な事情があってさ。離れ離れになって……。だから、私だけがこんな風に楽しんでも良いのかなって……思って」
「……なんか、よく分かんねぇけどさ……別に、杏奈が気にする必要はねぇんじゃねぇの?」
「いや、私は……」

 つい反論しようとした時、誰かにぶつかった。
 着慣れない浴衣のせいで、上手く踏ん張れない。
 そのまま私の体が揺らぎ、倒れ……そうになったところで、光輝君の手によって支えられた。
 彼の右手が腰に回され、私の右手が、彼の左手によって握られている。
 転びそうになった恐怖からか、心臓がバクバクと音を立てる。
 すぐに光輝君は私の体を立たせ、私の頭に手を置いた。

「杏奈が気にするなって言いたいんじゃなくて……一人で無理すんなって、言いたいんだよ……」
「一人で……?」
「あぁ。それで悩んでるなら、俺とか……それこそ、瑞樹達にきちんと話すべきだろ。……もしそれが出来ないなら、俺が聞いてやる。俺が、その……支えてやるから。……お前は、一人じゃねぇんだからさ」

 光輝君の言葉に、私は胸が熱くなるのを感じた。
 胸の前で拳を握り締め、私は「うん」と頷いた。

「ありがとう。……時見町に帰ったら、皆にも、相談してみるよ」
「あぁ。ま、どういう事情があったのかは知らねぇけど、皆にももっと頼れよ」

 そう言って微笑む光輝君。
 私はそれに「うんっ!」と頷いた。

「あ、おーい! お二人さん!」

 その時、前を歩いていた京子ちゃんがそう声を掛けてくる。
 見ると、京子ちゃんが前方にある射的の屋台を指さしていた。

「あそこ! 射的やろーよ!」
「射的!? 楽しそう!」

 射的の言葉に私は気持ちが高揚し、すぐに駆け寄ろうとした。
 しかしその時世界が停止し、先程の賑わいが嘘のように静まる。

「……!? ロブメモワール!?」
「杏!」
「杏奈さん!」

 人ごみを抜けて、瑞樹ちゃんと星華ちゃんが駆け寄って来る。
 それに私は頷き、辺りを見渡した。

「ふむ……これが人間の祭りというものか……くだらない」

 そんな声がして、私は顔を上げた。
 そこには、青い髪に黒いメッシュが入った男がいた。
 彼は私達を一瞥するとフッと鼻で笑った。

「ディープエアインネルング!」

 そしてそう叫びながら腕を振るう。
 すると黒いメモリアの塊が現れた。
 やがて黒いメモリアが晴れると、そこには、巨大なタコ焼きのような見た目をしたワスレールがいた。

「折角の夏祭りを……! 行くよ! 瑞樹ちゃん! 星華ちゃん!」
「了解!」
「ハイ!」
「「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」」

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.177 )
日時: 2018/01/04 22:09
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第27話「杏奈の故郷の夏祭り!?夜空に輝け火の花よ!」5

「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」」
「「「メモリアルプリキュア!」」」

 名乗りを終えると、すぐに私達は剣を取り出す。
 それを掴み、私達はワスレールに切りかかった。

「ガァァァァァッ!」

 しかしワスレールはそれを躱し、逆に攻撃をしてくる。

「しま……!?」

 咄嗟にアデッソソードを構え、ワスレールのパンチを受け止める。
 拳もタコ焼きになっていて、熱気が伝わって来る。
 しかもタコ焼きみたいな見た目してるくせに無駄に固くて、切り裂いたりも出来ない。
 このままでは、夏の暑さとタコ焼きワスレールの熱気で徐々に体力が奪われて……やられる。
 冷や汗か、暑さから流れたものか分からない汗が、頬を伝った。

『あぁ。それで悩んでるなら、俺とか……それこそ、瑞樹達にきちんと話すべきだろ』

 その時、脳裏に光輝君の言葉が過った。
 彼の言葉は続く。

『……お前は、一人じゃねぇんだからさ』

 それに、私は強く剣を握り直した。
 私は……一人じゃない。
 私には……――

『ま、どういう事情があったのかは知らねぇけど、皆にももっと頼れよ』

 ――頼る相手がいるからッ!

「パーストッ! フューチャーッ! 助け――」

 助けて。
 そう言おうとした時には、二人も私を挟むように立ち、剣でワスレールに攻撃していた。
 視線を動かして見ると、右隣にいたパーストがニカッと笑った。

「助けを呼ぶのが遅いよ! ……まっ、呼ばれなくても来るつもりだったけど!」
「パースト……!」
「皆で守り合う……それが友達であり、プリキュアです!」
「フューチャー……!」

 安心した瞬間、少し力が抜ける。
 しかし、私の腕から力が抜けても、他の二人がカバーしてくれる。
 ……私一人で、気張らなくて良いんだ……。
 私には……支えてくれる、仲間がいるから!

「はぁぁぁぁぁッ!」

 私は叫び、力を込める。
 一気にワスレールを弾き飛ばし、斬り伏せる。

「今だよ! フューチャー!」
「了解です!」

 叫び、フューチャーはレモン色の針を胸元のラブメモリーウォッチから外し、レイピアの柄にあるへこみにはめ込む。
 それから針を回転させ、レイピアを構えた。

「未来を照らす大いなる希望! フューチャーレイピア!」

 そう叫んでから、剣で円を描く。
 円の中で星を描き、レイピアを横に構えてその光を纏わせる。
 そして、フューチャーは叫んだ。

「プリキュア! フューチャーエスペランス!」

 叫び、フューチャーは目の前の空間を両断する。
 すると一筋の光がワスレールに飛び、空中でワスレールの体を停止させた。
 フューチャーはワスレールに背を向け、回転し続ける針を停止させた。
 すると、ワスレールが爆散し、消え去った。

「パースト、フューチャー、あの……!」

 お礼を言おうとした時、頭にポフッと手を置かれた。
 顔を上げると、パーストが私を見てニカッと笑った。

「アデッソ。やったね」
「パースト……うんっ!」

 私が頷くと、パーストも嬉しそうに笑った。
 視線をずらすと、フューチャーも満足気に笑っていた。
 大丈夫。この二人……ううん。月乃ちゃんも含めて、この三人なら、シーフちゃんのことを相談できる。
 根拠は無かったが、私は心の底からそう思った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.178 )
日時: 2018/01/05 21:08
名前: 愛 (ID: fYNkPhEq)

第27話「杏奈の故郷の夏祭り!?夜空に輝け火の花よ!」6

 それから屋台を見て行き、いよいよ花火を見ることになる。
 屋台で買ったものを食べながら、私達は場所取りをする。
 広場はかなり人ごみが凄くて、中々場所が決まらない。

「人多いなぁ……」
「あはは、でも花火楽しみだねっ」

 そう言って微笑む歩美ちゃんに、私は頷いた。
 しかしその時、突然歩美ちゃんの腕が何者かに引かれ、人ごみの中ではぐれてしまう。
 まさか誘拐!? と思ったが、よく見ると近くに京ちゃん達がいる。
 私がはぐれたのか……。

「おい、杏奈」

 その時、腕を引かれる。
 顔を上げると、光輝君がいた。

「光輝君っ」
「人多いからあんま離れるな……って、俺達がはぐれた?」

 光輝君の言葉に私は頷く。
 すると光輝君は呆れたような顔になってため息をついた。

「アイツ等……こんな人ごみで……」

 そう言って私の手を引いて光輝君が皆を追いかけようとした時、空から破裂音がした。
 顔を上げると、夜空に満開の火の花が咲いていた。

「おぉ……」
「綺麗……」

 私達は同時にため息をつき、夜空に咲く花火を見つめた。
 カラフルな花が、夜空に咲き誇る。
 火薬の匂いや、耳を劈く破裂音が、なんだかすごく心地よく感じる。

「……あのさ、杏奈」
「ん?」

 花火に負けないくらい声を張って、光輝君が話しかけてくる。
 それに私が聞き返すと、花火の灯りで照らされた顔をこちらに向けながら、光輝君は続ける。

「俺、今年もお前と花火見れて良かった! お前が別の町に入ったからって、俺達のこと忘れてなくて良かった!」
「忘れるわけないよ! 光輝君達も、私にとって大事な友達なんだから!」

 私の言葉に、光輝君の顔が赤く染まる。
 花火の影響かな。
 そう思っていると、光輝君がこちらに少し身を乗り出してくる。

「あの、俺――」

 光輝君の言葉を、巨大な花火の音が遮った。
 恐らく、シメに入ったのだろう。
 無数の巨大な花火が夜空に咲き、煌く。
 それに、光輝君はショックを受けたような表情で花火を見た。
 何を言おうとしたのかは分からないけど、なんだかそれが可笑しくて、私は笑ってしまった。

「あははっ! 光輝君、今一番輝いてる!」
「な、なんだよそれ……! 俺さぁ……!」
「杏奈さんっ」

 光輝君が何かを言おうとした時、腕を抱きしめられた。
 見ると、そこには私の腕を抱く星華ちゃんがいた。

「星華ちゃん。どうしたの?」
「寂しかったです……杏奈さんと見たかったのに、京子さんに腕を引かれて……」
「いや~。空いてる場所があったからそこにね~」
「え、それじゃあ私達も連れて行ってくれればよかったのに……」
「え~、だって……ねぇ?」

 私の抗議を誤魔化しながら、夏美ちゃんはニヤニヤと笑って光輝君を見る。
 それに光輝君を見ると、不満そうに顔を背けた。
 すると私の腕を抱きしめる力が強くなった。

「あ、杏奈さんは渡しませんから!」
「いや、誰の物でも無いでしょ」

 苦笑い混じりに言う瑞樹ちゃんの言葉に、星華ちゃんは頬を膨らませた。
 それに笑っていると、光輝君に袖を少し引かれた。

「……?」
「あ、あのさ……来年は、さっき言ってた友達も、連れて来いよ」

 光輝君の言葉に、私は少し驚いた。
 しかし、彼の優しさが嬉しくて、私は頷いた。

「うん。……きっと、連れてくるよ」

 私の言葉に、光輝君は微笑んだ。
 光輝君の言う通り、来年はシーフちゃんも一緒だと良いな。
 皆で夏祭りを周ったり、シーフちゃんと楽しく笑い合えたり。
 そんな未来を、私は……――。


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