複雑・ファジー小説
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- セカイ戦記
- 日時: 2016/05/17 18:57
- 名前: 彩都 (ID: lKhy8GBa)
ーーぼくは戦うーーこの汚れたセカイとーー
二作目の投稿です。
初めての方も知っている方も初めまして、彩都と申します。
気長に投稿します。
今回は歴史ファンタジー…かも…
という事で宜しく
登場人物
今作は先にキャラ紹介をさせていただきます。
主人公
トゥダ・リク 男
このセカイは名前に意味は無く、名字・名前や逆に名前・名字は無く、名字・名字、名前・名前となっている。
リクは名前・名前。
リーナ・ユリ 女
名前・名前。
妖精で回復の魔法を使う。
リクの仲間。
リヴェレット・モコ 女
名前・名前。
攻撃系の魔法を使う。
ユリは貧乳だが、モコは巨乳。
何時も箒に乗っている。
ショウ・コウ 男
名前・名前。
肉弾戦が得意な仲間。
魔法では倒せない存在には肉弾戦が良いとされている。
ジェネレッド・D 男
?・?
リクの仲間だが何者かは知らない。
敵かもしれない。
Dは物語の中心に近い。
サルウ°ァ・ティル 女
名前・名前。
名前の言い方は秘密。
大きな剣、真剣簪(かんざし)を使う。
大きさは約三メートル。
サワラビ・ユウ
名字・名前。
遙か遠く、キョクトウのニホンの人間。
彼も何者かは分かってない。
何時も一人で行動している。
薙刀の師範代を務めている。
μ
記号。
名前を持たず、施設で使われていた記号を使っている。
戦闘力は圧倒的に強いが、カロリーが切れるとすぐ戦闘不能になる。
白いジャージに白い肌、髪は無く、オールバックの様な角を生やしている。
用語解説
魔法
魔法は体内に眠る魔力を燃焼させて、魔法を扱う。
キンキなる魔法も存在する。
キンキなる魔法は使うと死んだり、植物人間になったりする。
存在
セカイ戦記における敵。
魔法で倒せる奴や肉弾戦でしか倒せない者もいる。
肉体の一部分が膨らんでいたりと『異形』の存在。
ゾンビの様に意志は持たず、人間を襲う。
セカイ
混沌としている。
その混沌のせいで存在が出来たと言われている。
舞台的に言えば、『北斗の拳』の世紀末ワールドに近いです。
存在が色んな所でばっこしている。
妖精
見える者もいれば見えない者もいる。
リク達のメンバーは見える奴が多い。
見えない者は眼鏡を使ったりする。
だが、眼鏡も法外な値段が多い。
傷の手当や回復が得意。
回復は魔法に当たるので、妖精は無意識に魔法を使っている事になる。
『リク…貴方は希望の仔…貴方は奇跡の仔…貴方は私と**の仔…お母さんが居なくても頑張るのよ…』
「お母さん!!」
そう言って、母さんは燃え盛るセカイから、燃えた。
跡形もなく、消えた。
セカイ戦記 序章 、『運命』の仔
俺はトゥダ・リク。
男、十六歳。
《ヤツラ》を始末する者。
《ヤツラ》とは、前々からこのセカイに現れた敵だ。
コイツ等のせいで俺は母を亡くした。
俺はコイツ等を駆逐する為に仲間を探している。
俺は仲間探しの為に故郷を捨てた。
そして俺は前へ一歩、踏み出した。
少し歩いて着いたのは、妖精の世界、フェアリアだ。
そこで俺は水浴びをしているビキニの女性を見つけた。
「おーい!妖精王に会いたい!道案内してくれ!」
ビキニの女性は羽を生やしてこちらに来た。
どうやら妖精らしいが、背は俺の胴体位だろう。
「貴方、妖精王に会いたいの?今は会えないわ、会うの止めたら?」
「俺は《ヤツラ》を駆逐する為に妖精王に力を借りに来たんだ、止める事は出来ない」
「分かったわ、じゃあ貴方の仲間になるから会うのは止めてくれない?回復も出来るから旅には最適よ」
「良いのか?」
「良いわよ、私の名前はリーナ・ユリ、宜しく」
「俺はリク、宜しく」
こうして、人間、リクと妖精、リーナの出会いだった。
「なぁ、リーナ、この水は人間でも飲めるのか?」
そう言って、リーナが浸かっていた水を一掬い、口に近づける。
「ダメッ!!!!!」
リーナの止めは既に遅し、もう口に含んで、喉を鳴らした後だった。
「ん?どうした?リーナの汗が入っているから、飲むなってか?大丈夫だろ…」
リーナは言う。
「いや、そうじゃなくて…人間は此処の水飲むと、人間には毒だからって…」
そう言うのと同じくして、リクは気絶する。
「リクッ!?」
リーナはビキニのまま、、リクを長老の所へ連れていった。
「んー、ユリ…」
長老は重い口を開いた。
・・・・・・・・・・・・
「こやつには毒その物が無い…これはどういう事じゃ?」
「えっ…?」
リーナは驚いた。
人間で泉の水を飲んだのは大抵、必ず死ぬ、最悪死ななくても毒の後遺症が残るのに…。
リーナにとって、この事は不思議で不思議で意味が分からなかった。
すると、リクが目覚めた。
「う…うーん…此処は…何処だ…?」
リクはすぐさま、リーナを見つけた。
「リーナ!此処は何処だ!?俺は何故此処に!?」
リクは慌てて周りを見やる。
「落ち着くのじゃ、少年」
と、長老が止める。
長老は、リクが倒れて此処に来た事、此処は妖精の村と長老である事を話した。
「全く信じられん話だが、俺が記憶を覚えていないんだ、リーナ有難う」
「良いよ、リクって見た目に反して軽いんだもん」
そういうリーナに驚くリク。
「お前さん知らんのか?妖精は小柄だが怪力だぞ?」
その事を聞いて驚く。
妖精は力が凄いんだ…。
リクは新たに情報を頭に叩き込んで、立ち上がる。
「良し、行くか」
長老はリクがすぐ立ち上がった事と同時に驚くが、どこかへ行く事にも驚く。
「待て、お前さん、今から何処へ行くのじゃ?」
長老が聞くと、すぐさま言った。
「隣町だよ」
「隣町には《ヤツラ》が要るのじゃぞ!!」
長老は止める。
それに対しリクは。
「大丈夫だよ、そいつ等は始末屋であるこの俺に任せな!
」
そう言う台詞に驚く長老。
まさか、《ヤツラ》を倒す力を持っているのか…。
そう思っていると、二人は出発していた。
長老の声は空しくも聞こえなくなった。
こうして、傷が回復したリクとリーナは旅を開始するのだった。
次の町は何処へ行くのか…それは誰も分からない…
序章終了 第一章へ続く…
セカイ戦記 第一章 運命の仔の戦闘
妖精の世界、フェアリアの隣、戦争の世界、バトランゲージは存続の危機に瀕していた。
バトル王宮最上階国王の部屋。
「ひいぃぃ!!まっ待て!話せば分かる!金ならたんまり有る!だから見逃してくれぇ!」
「…………」
バトランゲージ国王、マイルは謎の生命体と話していた。
生命体は体を包帯で巻かれている者やジリジリと追い詰める者も居た。
ただ、生命体には共通点が幾らか有った。
一つ目は全員、肌が腐敗した色になっていた、具体的に灰色。
二つ目は口を大きく広げ、涎を垂らしている事。
そして三つ目は…
喋らない事だ…
何故喋らないのか、各国で議論されるが、喉が使い物にならないが妥当とされてきた。
生命体の過去の姿は、人間だった。
数十年、数百年経っても、この生命体は存在してきた。
そして生命体はゾンビの様に感染する。
今もそんな生命体から避、難する人間の中に反旗を翻す存在も居た。
その名は『退治者』と呼ばれる事になった。
その人物は生命体を倒す程の力を持っていた。
そんなリクも『退治者』の一人だ。
そして『退治者』達は、生命体に名を付ける事にしたのだ。
その名は《ヤツラ》となったのだ。
※小説のレスを消さないで下さい。
消しても無駄なので。
何か気に食わないなら、書き込めば良いじゃないですか、何でそんな事が出来ないんですか?
他人様の小説を消して、ナニが満足ですか?
彩都の小説のレスを消す事に何の意味があるんですか?
出来ればそれを書き込めば、彩都も納得します、なので、消さないで下さい。
困るのはこの小説を読む読者様なので。
コピペしていますから、消しても無駄ですよ?
- Re: セカイ戦記 ( No.236 )
- 日時: 2017/05/13 21:18
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
「……良く寝たなぁ?」
コウはそう言って、ベッドの上で目が覚める、コウは欠伸をして、右手を使用して起き上がる、まだ左手は折れている、一応骨と骨をくっ付けて、左手を動かしてもずれない様に左手はある程度拘束しているが、相も変わらず折れている感覚はし、折れた部分は地味に痛い。
「……一日寝て、骨折が治ってる、なんて有り得ねぇよなぁ」
コウはそう呟いて、体を伸ばす、そしてベッドから降りて、少し体を動かす。
とりあえず、動かさないと筋肉痛を引き起こしてしまうからだ、そして体を動かした後、コウは病室を出、給水室に向かった、其処には風呂上りでラフな格好のユリーカが居た、ユリーカの格好は首にバスタオルをかけており、ホットパンツに薄い生地のタンクトップだった、コウはユリーカを見て、少し驚いた。
「うわっと!……何だユリーカか、お早う」
「あっ、コウ君……お早う……」
ユリーカはコウにそう言って、静かに風呂上りの冷水を飲む、コウも右手で紙コップを手に取り、ウォーターサーバーから冷水を頂き、静かに紙コップの中の冷水を飲み込んでいく。
「はぁ、やっぱ冷水は美味いなぁ、寝起きに一番良いぜ!」
コウは何とか無言状態の給水室で、会話を弾ませようと努力する、ユリーカは『ケッコンはまだだ』というコウの言葉を思い出し、少し憂鬱な気分になりながらコウに返答する。
「う、うん……そうだね、寝起きに良いよね、冷水……」
ユリーカはそう言って紙コップの中の冷水を飲み干したので、ウォーターサーバーから冷水を紙コップの中に入れて、もう一度冷水を飲み込んでいく。
「あ、あのさぁ、コウ君……?」
ユリーカはそう言って、昨日父、ブレンドと話していた『ユリーカとはケッコンはまだしない』という話を聞こうとする。
「え、えぇーと、あのさぁ?」
「ん?何なんだよ、ユリーカ?」
コウがユリーカにそう言うと、急にユリーカは恥ずかしくなり、話題を変えて話し始める。
「あ、あー……えっと、そ、その……そういえばコウ君はどんな家族構成なのかな!?」
「んぁ?家族構成かぁ……まぁ、あまり裕福では無い家庭だったな、親父は≪ヤツラ≫を駆逐する存在だったけど、戦っている途中に足を壊してしまってな、歩く事が、足を動かす事が困難になって車椅子生活になったんだ、その車椅子生活の後に、俺が適齢になって、親父が≪ヤツラ≫を倒す時に使っていた『猛火』という力を教えてもらったのさ……もう少し俺が早く生まれて、車椅子生活になる前に『猛火』を教えてもらっていれば……!」
コウがそう言うとユリーカは少し不思議がった。
「えっ?それってコウ君のお父さんと一緒に≪ヤツラ≫を駆逐したかったって事かな?」
ユリーカの言葉を聞いて、『いいや、違う』と返答するコウ、そしてコウは続けて話し始める。
「そうじゃないんだ、今さっき話した様に『車椅子生活の後に『猛火』を親父から教えてもらった』って言ったよな?」
「う、うん、それがどうかした?何にも変哲も無いけれど……?」
コウの話を聞いて、ユリーカは少し不思議がった、ユリーカの言葉の後にコウは言った。
「『俺の親父が使っている『猛火』には『足技』もあるんだよ、上半身だけではなく、『下半身を使った足技』が』な……」
「……あぁ、そうか、『戦っている途中に足をやられて使えなくなったから、息子のコウ君に『足技』を教える事が出来ない』から、コウ君は『もっと早くに生まれて、『猛火』の『足技』を教えてもらいたかった』、と……?」
ユリーカの要約を聞いて、コウは静かに頷く。
「そう言う事だよ、こういう事がもっと早く分かっていれば、『足技』を先に教えてもらえたかもなぁって」
コウの話を聞いて、少し悲しくなった、そんな過去があったとは……ユリーカはそう思いながらコウに言う。
「コウ君は『足技』を教えてもらえなくて、可哀想だね……」
ユリーカがコウにそう言うと、一つ、ユリーカは不思議な事を思った、その思った事をユリーカはコウに話す。
「ん?ちょっと待って?コウ君、そういえばコウ君は『猛火』って言ったよね?それって一子相伝の物なのかな?」
ユリーカの言葉を聞いて、コウは静かに返答する。
「さぁ、どうだろうなぁ?『猛火』の他の使い手は聞いた事がない……」
コウの発言を聞いて、ユリーカは目を光らせてコウに言う。
「もしもだよ!もしもの話、『『猛火』が一子相伝の物じゃなかったら、他の『猛火』の使い手がいるかもしれない』じゃない!その『他の『猛火』の使い手に『足技』を教えてもらえばいい』じゃない!?」
「お、おう、それもそうだけど……俺は他の『猛火』使いを俺と親父以外知らないからなぁ……何とも言えないぜ」
コウがユリーカにそう言うと、ユリーカは頭を垂れて言う。
「そ、そうだよね……ご、ゴメンね、何だか希望を持たせちゃって」
「いや、いいぜ、確かに希望は持っておいた方が良いからな、『他の『猛火』使いを探して『足技』を教えてもらう』、リクとの旅の中で見つけてみるぜ!」
コウはそう言って、右手でガッツポーズをする、ユリーカは『元気になってくれたから良いかな?』と思いながら手を叩いて拍手する、コウはリクとリーナに出会えるかは、ユリーカとの会話の内容次第だ──
- Re: セカイ戦記 ( No.237 )
- 日時: 2017/05/13 21:18
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
「それにしてもコウ君は凄いよね、お父さんの一子相伝の『猛火』を手に入れて、更に強くなろうとする……私はもう『強くなり過ぎた』から、限界を迎えちゃった、だからこれ以上強くなる事は出来ない……羨ましいよ、『まだまだ強くなれる』コウ君を見れるだけで……」
ユリーカが静かにそう言うと、コウは折れている左手を使用して、ギブスを外し、ヌンチャクの様に振り回してから左手でユリーカの脳天を狙ってぶつける、脳天にぶつける事が出来、コウは少し安心し、ユリーカは『ぐはぁ!』と声を荒げる。
「うぅっ、いってぇ……」
ユリーカは脳天を摩りながらコウの攻撃した左手を見る、どうしてこんな無茶な事をしたんだろう?そう思いながらユリーカはコウに言う。
「あ、あの……案外痛かったんだけどぉ……?」
「そりゃそうだろ、『気』を使用して脳天を攻撃したんだから」
コウの返答に少し呆れるユリーカ、そんなユリーカに対し、コウは上を見上げながら言う。
「ユリーカ、ニンゲンってのは『限界が無い生き物』なんだよ、どれだけ先に目指しても『ゴールが無い』、つまり、『無限に進化出来る』んだよ、ニンゲンってのはよぉ?そうやって自分で限界を決めるなよ、もっともっとお前は強くなれる可能性を秘めているんだぜ?良くある『家族を殺されて、怒りがマックスになった時、新たな力に目覚める』、みたいな?だからまだまだ限界を決めるなよ、俺は思うぜ、『ユリーカはまだまだ強くなれる』ってな、だってお前は『闇の人格のユリーカに勝った』んだからな、成長してるんだよ、自分の肉体、精神はよぉ?だから限界を決めるなよ、まだまだ人生は長いんだ、だからもっと先へ目指そうぜ?」
コウの言葉にユリーカは『確かに』と思ってしまう、本当にその通りだ、『自分で限界なんて決めちゃダメ』だ、もっと人生は長い、だからもっと強くなれる可能性だって秘めているんだ、そうだ、諦めちゃいけないんだ!自分はまだまだ強くなれる!『闇の人格の自分』だってそうさ、何とか持ちこたえて、モコさんが助けてくれたんだし!ユリーカはそう思いながら自分を鼓舞する、そしてコウはギブスを外していたので、左腕にギブスをもう一度嵌める。
「それじゃあ、俺はもう病室へ行くわ、朝飯食って、さっさと治療しねぇとなぁ」
コウはそう言って、ユリーカの前から離れる。
「あっ、ちょっ!」
ユリーカはコウを静止させようとするが間に合わず、頭を垂れる、するとコウが廊下で急に止まり、ユリーカに言う。
「あぁ、後、ユリーカ、その格好、エロいから、何時もの格好に戻っておけよ?他の男に襲われても知らないからな?いや、ユリーカは『このセカイ最強の女』だから、襲われないか」
けらけらと、笑ってコウはユリーカの眼前から消える、コウの言葉を聞いて、ユリーカは恥ずかしさのあまり、顔を赤らめながら目に涙を溜める。
「うるへー!元はと言えば風呂上りに一人でリラックスしている時にコウ君が来たのが悪いんでしょー!?」
ユリーカはそう言って叫ぶ、そしてユリーカは顔を覆って赤い顔を隠す──コウはユリーカの叫びを聞いて、『いや、それもそうなんだけど、その格好は流石にエロいんだって……』と小さな声で呟いてから、病室に戻る──
「ふぅ、後は飯を食って、寝るだけかぁ……それにしても暇だな、何か本が無いか、後でブランドのおっさんに聞くか……」
コウはそう言って、ベッドで寝転がりながら両腕を伸ばし、欠伸をする、そして、伸ばした両手を布団の中に戻して、溜息を吐いて、横へ寝転がる。
「それにしても暇だなぁ、これなら気絶して眠っている方が楽だぜ……」
コウがそう言って、寝転がるのを止めて、起き上がる、そして靴を履いて立ち上がる。
「どうせ『左腕が使えない』だけだし、買い物とかしに行っても良いよなぁ?置手紙とか書いて、どっかに置いとけば、誰かが理解するだろ、『どうせ左腕が骨折しているだけだし』ってな……我ながら良い作戦である」
コウはそう言って、置手紙を書いて、花瓶の下にセットする、そして置手紙を書く為に座ったので、立ち上がると急に病室のドアがノックされる、吃驚したぁ、まさか『この作戦』がバレたのかと思った……コウはそう思いながら胸に手を置いて、安堵し、『入っても良いです』と言って、入室を許可する、そして戸を横に引いて、入ってきたのはリクとリーナだった。
「何だよ、お前らかよ、驚かせるなよ……」
コウが二人にそう言うと、二人はコウに呆れながら言う。
「おいおい……驚かせるなって何なんだよ、驚かせるなって?」
「そうだよぉ、一体どう言う事なのさ、『驚かせるなよ』ってぇ?」
「んぁ?いや、今から俺は出かけるんだ、こうやって寝ているのも暇だしな、だから置手紙を書いて、外に出ようとしたんだ、するとお前らが入室したって所」
コウの説明を聞いて、二人は静かに頷く。
「だけど、お前は左腕が骨折している、これ以上悪化させない為にも外に出しちゃいけないんだろう?」
「そうだよそうだよ、リクの言う通りだよ、今は我慢して病室で我慢しなよぉ?」
「うへぇ、やっぱりもう少し早く移動しておけば良かったぁ……」
コウはそう言って、頭を垂れる、そして渋々靴を脱ぎ、布団の中へと篭る……リクとリーナは仕方なく、娯楽品を買いに行く為にコウに何が欲しいかを聞き、コウの病室を出て、コウが欲しい物を買いに行く──
- Re: セカイ戦記 ( No.238 )
- 日時: 2017/05/13 21:19
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
「ふむぅ、何が良いのか、全く分からん……」
リクはそう言って、一冊の本を両手で持ち、頭を悩ます、そんなリクに対し、籠に大量の本を詰め込んでいるリーナが言う。
「適当で良いんだよ、適当で、どうせすぐに読めなさそうな難しい本を渡せば大丈夫でしょ?だから私は分厚くて文字数が多い小説を選んでいる」
「な、成程、その手があるのか……ふむ、それなら男だからエロ本でも買ってやるか」
「患者のドコを元気にさせんだよ!?」
「そんなの、決まっているだろう、こか……」
「アウトだよ!」
リクの言葉にツッコミを放つリーナ、全く男ってのは……そう思いながら呆れるリーナ、するとリクがまた喋り出す。
「そうだな、それなら官能小説はどうだろう?」
「エロい内容である事には変わりねぇ!」
リクの発言にまたツッコミを入れるリーナ、オチは変わらねぇ……そう思いながらリクが手にした本を籠の中に入れていく、エロ本だろうが、官能小説だろうが自分には関係ない、そう思いながら無心になる事を考える──
あの時、布団に包まったコウはリクとリーナに言った。
「暇なんだ、だから退屈凌ぎになるモノを買ってきてくれないか?」
「退屈凌ぎ、ねぇ……どんなモノを買えば良いのか分からないのだが?」
「ふむ、そう言われるとそうだなぁ……アレだ、本で良いや、漫画でも小説でも良い、退屈さえ凌げたら良いしな」
「成程、本、か……それじゃあリーナと二人で買いに行くよ、お前は病室で寝ていろ」
「はいはい、頼んだぜ、二人共」
「あぁ、分かった」
「うん、大量に買ってくるね」
「大量はちと……」
リーナの発言にコウは少し冷や汗を掻く、まぁ、これで暇を潰す事が出来るな、とコウは考えて、安心する、よろしく頼んだぜ、二人共……そう思いながらコウは居眠る……そんなコウを見て、静かに二人は本屋へと向かったのだ。
そしてコウのあの発言の通りに本を買いに来ているのだが、『どんな本が好きか』なんて聞いていないので、適当に選んで買っているのだ。
「果たして、こういう種類の本はコウが好きか分からないしなぁ……一体どうすれば良いのだろう……?まぁ、適当に買えば良いか」
リクはそう言いながら、巨乳の女性が描かれている本を手に取る、この本は巨乳の女性の店主が料理を作る、という料理漫画だった。
「でもこれ買ったら、腹が減り過ぎて倒れそうだしなぁ……ちょっと見てみたいかも?」
「鬼かアンタは!?」
リクの独り言を傍目で聞いていたリーナはツッコミを入れる、あれっ?今日は私がツッコミ役なのか?それはそれで大変だぞ?あまりツッコミというのを経験していないから、間違えるかもしれない、リーナは静かに思いながら心の奥底で溜息を吐く、ツッコミ役って大変だなぁ、そう思いながらリクの手に持つ、巨乳の女性が描かれている本を籠の中に入れる。
「おいおい、まだ考えている途中なのに……」
リクがそう言うとリーナが小さな声で反論する。
「手に取ったら買わないといけないよ、それが礼儀、流儀ってもんなんだよ」
「お、おう、そうなのか……俺はあんまり本屋ってのに言った事が無いから分からん……」
リクはそう言って、手に取った本を適当にリーナの持つ籠に突っ込んでいく、籠はもう二つ目に突入していた、と言っても、リーナにとってはあまり変わりの無い重さだ、こんな本の重さより、岩を持った方が特に重いが。
「もう良いんじゃない?これ以上本を入れると三籠目になっちゃうよ?」
すると急にリーナがリクに言い出した、リクはリーナの両手の籠を見て、『確かに』、と思う。
「ん?もうそれ程本を籠の中に入れていたのか、これは会計が凄い事になるぞ……」
リクはそう言って、冷や汗を掻く、どれだけの値段になるのか……少々不安であった。
「それじゃあいい加減買うか」
「そうだね、急いでコウに読ませたいね!」
「あぁ」
二人はそう言って、会計に向かって、列に並ぶ、そして会計を始める。
「えーと、本が一点、二点、三点、四点、五点、六点、七点、八点、九点、十点、十一点……」
店員が一冊ずつバーコードを読み込んでいく、リクは合計金額の欄を見て、少しずつ青褪めていく、それもその筈、自分が予定していた金額より、何倍にも膨れ上がっているからだ。
実際自分が選んだ本より、リーナが適当に突っ込んだ本の方が高額で、相当量もある、自分が選んだ本よりも二倍、三倍量が多いのだ、そんな本達を詰め込んだ当の本人、いや、当の本妖精は『うわー、金額が増えて行くぅ!』と言って、目をキラキラ輝かせていた。
「……凄い金額だ」
リクはそう言って、頭を垂れる、そしてバーコードの読み込みが終わり、金額が表示される、リクはその金額を見て、目を見開いた、それもその筈、自分が予想していた金額の五倍だったからだ、リクは口の端を上げて、ひくひくと笑いながら財布からお金を出して、購入する、そして本が入った袋はリーナが持つ事になった。
「結構消費したな、明日から食事の量が減るな……」
リクはそう言って、頭を垂れながら歩く、くよくよしては後悔している気分になる、リクはそう思い、顔を上げて、リーナと一緒にコウの病室へと向かう、コウはこの本の量を見て、どう思うだろう?リクはそう思いながら、空を見上げる──実際どのような反応をするかはリクは分からない──
- Re: セカイ戦記 ( No.239 )
- 日時: 2017/05/13 21:20
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
「ねぇねぇねぇ?お前等さぁ、バカなの!?いいや、バカだろ!?たった一週間程度の入院に対して、お前等何冊買ってんの!?軽く二十冊はあるよね!?こんなのたった一週間程度で全て読めってか!?って、もう一つの袋には文庫本があるじゃねぇか!三十、四十冊程あるじゃねぇか!ていうか何だこの本!?『『セカイ』の規模と『セカイ』の住人とあれやこれ』って!?他の『セカイ』の存在の話とか興味ねぇよ!興味あるのはその『セカイ』の出来事、過去やその『セカイ』に住んでいる人達や『セカイ』を旅している人達の土産話とかが興味あるんだよ!何なんだよこれ!?『料理屋ペグさんの料理日誌』って!?これ、レシピ本じゃん!読まねぇし、いらねぇよ!これ読んでどうする!?『あぁ、今日はこの料理を作りたいけど食材が無いなぁ』とか思いながら夢想すれば良いのかよ!?訳わっかんねぇ!意味不明な本ばっか買うなよ!ちゃんと利用出来るのを買えよ!ん?何だよ、エロ本かよ、何か嬉しいな……ってなるかぁ!此処は神聖なる病院なんだよ!患者のドコを回復させる気だよ!」
「股間だろ?」
「だろうねぇ!って、官能小説もじゃねぇか……エロに貪欲、エロに強欲みたいに見られてるのかよ、俺は!」
「いや、だって、コウは男だし?エロも必要かなぁって……」
「いやいやいやいや、まぁ待て、待て待て待て待て、何でそうなる!男だからってエロはいらねぇって、そりゃリクやDは必要かもしれない」
「俺は要らない」
「あらそう?ってそうじゃない、こういうのはもっと欲しがる人が居るだろう?だから俺は要らないんだけど……まぁ、買ってしまったのは仕方無い、諦めよう……」
「何だ、結局読みたいんじゃん?」
「誰も一言も言ってねぇ!他にも他にもぉ!何なのこの本!?『深層心理における無意識と有意識の判定方法』って!?小難し過ぎて読む人あんまり居ないだろ!ぜってぇこの本売れ残りだろ!?ていうかこの本、案外分厚いから、本当に時間潰しの為にお前らが買ってきた事が良く分かる!んでもって、何この本?『格闘術と柔と剛』って!?一応俺、格闘術『猛火』の使い手なんですけど!?逆に要らないし、逆に知る事あまりないんだけど!?」
「いいじゃん、それ見て、初心に帰ってみれば?」
「初心に帰る?そんなの無駄だよ、逆にこの本から俺は何を学べば良いんだよ!」
「そんなの知らないよ!私は格闘とか出来ないし!」
「だったらお前が読めよ!」
「私は女の子だから、モコみたいな魔法、遠距離、空中から攻撃した方が良いと思うんですぅ!」
「接近戦も有り得るかもしれんぞ?」
「その時はその時!私の怪力が火を吹くぜ!」
「妖精って火が吹けるんだな」
「それはただの例え話!」
「まぁ、知ってるけれど……で、何なんだよこの本……『獣鬼アストロクレピスと負の遺産 1』って!?一巻完結の本ならまだ分かるけど、何で続刊の本を買った!?読み終わったら次の巻が待ち遠しくなるわ!何だぁ、シリーズ物の本を買って、楽しめってか!?いや、いらねぇよ!それなら続刊が無い方を読むわ!その方が満足するわ!」
「そう?私はシリーズ物の方が良いなぁ、だって、次の作品に対してワクワク出来るからね!」
「俺はそうとは思わない……まさかこれ、リーナが?」
「いや、俺だぜ?」
「お前かよ!?」
「文庫本やエロ本、官能小説はお前が喜ぶ、と思って入れたんだがな……失敗だった様だ、後でDに渡しておこう」
「いや、Dも所持に困るから止めておいてやれ……んで、何なんだよ、次の本は……『デス・リターンズ 〜漆黒の美しき騎士(ナイト)と白銀の姫(プリンセス・ホワイト)〜』って……如何にも内容が痛そうだ……」
「えぇー?そう?中々カッコいいじゃん、『白銀の姫(プリンセス・ホワイト)』って?何か選ばれし姫ってオーラがガンガンする!他にも『漆黒の美しき騎士(ナイト)』とかー!騎士の顔、案外カッコいいんだよ!分かる!?読めば分かるんだよ!」
「……リク、まさかこれって女が読む小説じゃねぇ?」
「さぁ?俺は中身を読んでいないから何とも……」
「あぁ、そう……」
「それにねそれにね!騎士の仲間である、アーデルハイトってのがぁ!」
「わ、分かった、分かったから!……えー、気を取り直して、次は何だぁ?『チョコレート・ラブ・ストーリー 〜甘酸っぱいイチゴショートケーキの恋と甘いチョコレートの誘惑〜』……これも女性向けじゃねぇか!何で読むと思った!?男の俺が!?誰だ、この本を入れたのは!?」
「俺だよ、気分転換に女物の本を読んでみたらどうだろう?って思ってな……やっぱりダメだったか?」
「ダメだったねぇ!だって男だもん!女の気持ちなんて分からないさ!」
「あっそう」
「あっそうです!」
「……はぁ、お前等本のチョイス、適当過ぎるわ……何でこうなったんだろう?Dとモコにも着いて行って欲しかったぜ……」
「それは無理だな、モコはDを解剖して、色々調べているからな」
「あぁ、道理で変な叫び声が聞こえるのか……」
コウはそう言って、嘆息する、そしてコウはリクとリーナに対して、本へのツッコミを再開する、リクとリーナはその場で正座し、頭を垂れながらコウのツッコミを聞きながら返答をしたりする、更にコウの本へのツッコミは何時間も続いた──その後、足の感覚が無くなったのは言う迄もない──
- Re: セカイ戦記 ( No.240 )
- 日時: 2017/05/13 21:20
- 名前: 彩都 (ID: J1W6A8bP)
「…………」
Dは無言のまま、目覚める、此処は何処だ?と考える、だがその前に自分は病院から出ていない事を思い出し、此処は病院内か?と考える、そして今迄の出来事を思い出し、自分はモコに色々弄られていたな、と思い出す、いや、その前の問題である、『今、自分の体はどうなっている』、というのが先に思い付いた、だが、今迄の事を思い出し、モコに色々弄られていた事を先に思い出したので、二番目に『今、自分の体がどうなっている』、と言うのを考える、そしてDは自分の右手を上に上げる、自分は寝ているので、頭を右に倒して、右手を確認する、よし、何もされていない、次は左だ、頭を左に倒し、左手を上に上げる、こっちも何もされていないな、次は起床するか、と思い、体を起こし、その場で座る、Dの肉体は上半身は裸、下半身はズボンを着用していた、下半身は流石に脱がしていないのか、それはそれで助かった、と考えて、体を伸ばす、小気味良い音が体の内部で起こり、スッキリする、そして体を少し動かして、体が充分に動くかを確認する、うん、充分に動くな、Dはそう思い、寝ている場所から降りて、もう少し体を動かして、小気味良い音を一人、静かな部屋の中で鳴らす──そして周りを確認する、やっぱり此処は病院内という予想が当たった、それだけは少し嬉しいばかりである、すると近くから謎の声が聞こえる、その声の主はコウだった、何だろう?何だか怒鳴っている様に聞こえるが……だが今の自分には関係ないか、とDは考えて、体を慣らすのを止める、と、とりあえず、上を羽織って、自分の寮に戻ろうか、あの寮は『闘技場』の時に借り出された寮だ、いい加減自分の自室に戻らなくては、そう考えて、Dはその場から動いて、上着を手に取り、体に、胴体に着用する、これで外に出ても大丈夫だろう、Dは外に出る為にドアに近付いた、その時だった、急に自分が居る部屋のドアが開いたのだ、一体誰が入ってくるのか?そんなのは簡単である、モコである、モコは部屋に入って、服を着ているDを見て、少し驚いている、ん?どうして驚いているのだろう?まさか服を着たから?いや流石にそれは無い、『自分が起き上がっている』から驚いているのだろう、まぁ、そりゃそうだ、『寝ていると思った人物が起きていたら誰もが驚く』だろう?それと一緒だ、だから驚いているのだ、そしてDはモコの事を見つめた後、部屋を出ようとする、だがモコが入り口を封鎖していて、この部屋から出られない、更にこの部屋に出られないとなると、またモコに自分の肉体を解剖されてしまうのでは無いか?と考えてしまい、少し恐怖を覚えてしまう、というより、その前に此処で起床する前は恐怖になる様な事しかされていないが……と、とりあえず、この部屋から出ないと……とDは必死に考えて、窓から飛び降りる事を思いつく、だが窓を壊して飛び降りるのは危険だ、何故なら修繕費を払わなければならないからだ、流石に修繕費を払う程、お金は持っていない、だから窓を壊して飛び降りる作戦は無しにする、それではどうするか?簡単だ、『窓を開けて飛び降りればいい』のだ、だが、もしも『窓を開ける』という動作に気付かれたらどうする?次にモコが麻酔入りの注射器を投げて、自分の体に麻酔をしたら?それをされると自分はこの病室から脱出する事が出来なくなってしまう、なので、『如何にしてモコの視線をずらし、窓を開けて脱出するか』、というのが『窓を開けて飛び降りる』作戦の鍵となる、さて、どうすればモコの視線を自分から離せるか?そう考えてDは周りを確認する、精々一部屋なのだ、入り口に居るモコからすれば室内を一望出来る場所に立っているのだ、なので、『一気に目を離せる』行動、もしくは物が必要だ……そう考えた時だった、不意に足元に何かがぶつかった、一体何なのだろう?と思い、下を向く、足元には一本のペンが転がっていた、何だ、ただのペンか、このペンをモコの顔面に向かって投げ、注意と気を逸らし、ペンを避けている間に自分がこの部屋から脱出する、という事を考えたが、あまりにも無謀過ぎて、この考えは却下となる、さて、どうするか、Dがそう考えた時だった、不意にモコが言葉を発す。
「……『光の檻(シャイニング・ロック)』」
「へっ?」
モコの言葉の後、自分の周りに鳥篭の様な形の光の檻が出来、自分を囲んだ、そしてDはモコに言う。
「あの、モコさん?これは一体何なのでしょう?」
「そんなの簡単よ、貴方が『解剖が終わる迄この部屋から出ない様に閉じ込めた』だけよ?」
「は、はぁ……」
Dはそう言って、顔を強張らせる、と言う事は自分はこの部屋から出られずに、モコの解剖が終わる迄不自由の身?それ、マジかよ……?Dはそう思いながら溜息を吐く──
「まだまだ私を楽しませてね?」
両手の指を胸を揉む様に動かしながらニヤニヤと笑うモコ、そんなモコに対し、目に涙を溜めながらDは言い返す。
「い、いい加減にしてくれぇー!!」
その日、Dの悲鳴はコウにもリクにもリーナにも聞こえたという──Dがどうなるかは明日にならないと分からない──
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