二次創作小説(新・総合)
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- 綴られし日々-作者とキャラの日常-
- 日時: 2022/11/28 20:05
- 名前: 柊 (ID: y98v9vkI)
ついに手を出してしまいました、日常系…!!
注意事項
・クロスオーバー
・クロスオーバーCPあり
・キャラ×オリキャラ、オリキャラ×キャラもあるかもしれない
・当方独自設定あり。矛盾することもあるかもしれない
・キャラ崩壊あり
・キャラの裸族化、不憫化などもあり
・作者が夢女子でもあるので夢っぽい要素(キャラ←←作者)が出てくる。テンションがおかしくなったら大変なことになるので注意
・時々シリアスもあり
・時々キャラ掴めてないかもしれない
・荒らしなどはご遠慮ください。
※スマブラに関して
原作をプレイしていないキャラクターが多々いるためキャラの設定が公式設定と矛盾する可能性大(一応調べます…)
こんな感じの注意事項で『大丈夫だ、問題ない』な方はどうぞお楽しみください!
そうでない方は注意してくださいませ。
タグ
スマブラ、刀剣乱舞、艦これ、アズールレーン、フラワーナイトガール、戦艦少女R、文豪とアルケミスト、しんけん!!、夢王国と眠れる100人の王子様、茜さすセカイでキミと詠う、オトメ勇者、フードファンタジー 、Fate/Grand Order、ポケットモンスター、ボーカロイド、Identity_V、ダンガンロンパシリーズ、School Days
目次
『始まりの158』 >>1-3
『魔法少女騒動〜少女とは言ってない〜』 >>6-9
『小さなお宿-前編-』 >>15-20
『小さなお宿-後編-』 >>21-28
『甘くて美味しい果実』 >>29-35
『うちの長曽祢さんがこんなにも可愛い!!〜ただの主張だ気にするな〜』 >>36-40
『虎と春』 >>46-57
『たまにはきちんと歓迎会を!』>>58-63
『信頼した結果-1-』 >>69-75
『信頼した結果-2-』 >>79-85
『信頼した結果-3-』 >>86-92
一振り目と二振り目の呼び方一覧 >>93
『桜よ、彼女を攫わないで』 >>94-96
『バグにも種類がありまして!?』 >>97-101
『恋に落ちないなんてできなくて』 >>105-111
『練習、裸族講座!』 >>112-116
『悪魔の城は崩れない』 >>121-126
『悪魔の城は崩れ始める』 >>136-140 ※140はおまけになります
『悪魔の城は崩壊す』 >>148-155
∟闇の御子の情報 >>156
『VS闇の御子』 >>160-163
∟厄除けの宝玉の情報 >>164
『赤ずきん☆ラグナス』 >>167-171 ※天悪さんとのコラボ!
『赤い花騎士と銀の騎士』 >>178-179
『私が教えるよ』 >>182-184
『コピペSS』 >>185-186
『癒しとカオスと歓迎会』 >>190-197
『六月の花嫁たち』 >>202-209
『七夕は奇跡に染まり』 >>214-217 ※天悪さんとのコラボ!
『お嬢様()な交流会』 >>221-224 ※天悪さん、琴葉姫さんとのコラボ!
『緊急特番()!刀剣乱舞の大盤振る舞い』 >>229-233
『忍び寄るは光の信者』 >>239-244
『南の島、砂浜騒動!?』 >>248-252
『子どもビーチは危険がいっぱい!〜王様は保護者〜』 >>259-263
『私たちは、きっと。』 >>270-274
『解き明かせ、真実! 1』 >>281-286 ※286はおまけです
『解き明かせ、真実! 2』 >>291-297
『解き明かせ、真実! 3』 >>300-304
『VS神殺しの蟲』 >>307-313
∟神殺しの蟲情報 >>314
『出会いは夢の中にて(第一印象は考えないものとする)』 >>317-321
『ちびノブのお仕事!』 >>324-328
『【柊「空を見上げて『バカな…早すぎる…』ってつぶやいたら」】 >>334-335
『新年は新ジャンルと共に!』 >>340-346
『甘い束縛』 >>352-353
『メンヘラマネジメント』 >>356-358
『にっかりファンタジーUDON』 >>362
『コピペSS、おかわり!』 >>363-365
『手を振り解かれ、手を取って。』 >>369-374
『それぞれの決意と忠義』 >>378-383
『扉問答』 >>390-394
∟ねこじぞーの情報 >>395
『水無月祭の出会い』 >>401-403
『コピペSS、もういっちょ!』 >>408-410
『Real or Dream』 >>411-417
『幼児化☆パニック!』 >>422-428
『似てない二人』 >>434-436
『凄惨なる宴』 >>441-446
『雪の別離』 >>449-452
『年末だ!コピペSS!』 >>453-455
『新たな邂逅』 >>458-462
『決戦前〜医師の罪〜』 >>465-468
『決戦前〜泥棒の偽善〜』 >>469-471
『決戦前〜弁護士の覚悟〜』 >>474-477
※477はおまけです
『決戦前〜庭師の想い〜』 >>480-483
『エイプリルフールで嘘予告SS』 >>486
『決戦前〜学生組の会議!〜』 >>487-489
『レオ・ベイカー奪還戦・1』 >>497-500
『レオ・ベイカー奪還戦・2』 >>504-507
『レオ・ベイカー奪還戦・終』 >>511-514
『やっとできるね! 歓迎会』 >>517-522
『異世界にて、恋に出会う』 >>525-527
『コピペSS、いつつめ!』 >>530-532
『オリキャラご紹介その1』 >>535
『いっそ『大嫌いだ』と思えたら』 >>536-543
※543はおまけです
『困りごとはきっかけ』 >>546-548
『本気になったのはどちらだったのか』 >>549-550
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.499 )
- 日時: 2022/05/19 20:15
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: MGNiK3vE)
さて、一方シューリニアショッピングモールでは中央広場に現れたレオ、外に出現した異形を始めとして計画外のことが次々と起こっていた。
「なんでルカと繋がらないんだ……!」
焦った声で通信機をガチャガチャと弄るアンドルー。その側には同じく焦った顔をしたビクターがいる。
彼と確認し合いながら通信機を使っているので間違っていることはない。いや、ルカとライリー以外には繋がったから絶対に間違ってなんかいない。なのに、繋がらない。
ルカが意図的に繋げないのか? だとしたら一体なぜ。
「くそっ!! 僕が、僕が化け物だからか? くそっ、くそ!!」
「ん、んー!」
落ち着いて、とビクターが紙を見せてくるがそれすら目に入らない。指揮はルカ、ライリーがメインで行う。が、ライリーは作戦変更によってレオの注意を引いている。ルカしかいないのに。
苛立ち、焦りで涙が浮かぶ。早く繋がれ、そう叫びながらアンドルーは通信機を弄り続けた。
─────────────
「ど、どうして……? どこ探しても、印なんてないよ!?」
トレイシーも焦っていた。地図を見て現在地を確認。何度確認してもここは確かに魔力の塊がある場所のはずなのに。
印がない。特殊なライトを当てると淡く黄緑色に光るという黒い点がまったく無いのだ。ほぼ同時にポイントに着いたらしいフィオナやパトリシアに聞いてもなかったと言う。
「ど、どうしよう、どうしよう……!!」
元々トレイシーは少し臆病な性格だった。いつも明るいからかあまり気付かれないが。今の状況は、トレイシーに混乱を与えるには充分過ぎた。
どうすれば、どうすれば。それだけが彼女の脳内を巡る。
ルカからの連絡はない。ライリーは作戦変更でレオの注意を引いているという。印に関して連絡がなければ多分、大きな変更はないはずなのに。
「ど、しよ……!!」
涙が、ぼろりと溢れた。
─────────────
「く、そ、どう、やれば、いい。どうすれば、繋がる」
そして。もはやメインの指示役となるはずだったルカも窮地に立たされていた。
朝から頭痛がしていたから嫌な予感はあったのだ。それが今、最も嫌な形で的中した!!
昨日まで普通に使えていた通信機の使い方が、分からない。先程から何度もアンドルーたちから通信が来ているのにそれを取ることができない。くそ、とまた毒付き、辺りを見渡す。
自分は、ここで印の上に陣を描かなくてはいけない。
だが、その『陣』はどんな形だった? 大きさは? 丸? 四角? 中には何が描いてあった? 何か模様はあったか?
通信機が使えず、陣の形や模様も覚えていない。よりにもよってその二つの記憶がなくなるなんて!!
「そうだ、紙。紙を……」
念のためにと陣を書き写した紙を持ってきていたはず。ポケットを探る。
「……な、い?」
置いてきた? 落とした? どちらにせよ、最悪だ。
ここは他のポイントからは遠い。その間にライリーがやられたら? いや、それ以外のメンバーがやられる可能性もある。
「どう、すれば」
つぅ、と頬に一筋の汗が伝った。
その時だった。
「ルカさん!!」
「!?」
ここにいるはずのない人の声がする。勢いよく顔を上げれば、そこにいたのは宍戸佐吉、壁山塀吾郎、栗松鉄平、少林寺歩がいた。
「な、」
「魔力の塊はここでやんす!」
「あの柱から三十二センチの、この場所で間違いないです!」
栗松と少林寺が指した場所へ向かう。何故、彼らが。
描けますか、と聞かれ、思わず首を横に振る。すると壁山と宍戸が大きな紙の両端を持ってそれを広げた。
そこに描かれていたのは、まさしく今から描かねばならない陣だった。
「これは」
「これで描けますよね!?」
「は、早く描いちゃってくださいッス〜!!」
なんでここにいるんだ、早く帰れ、など叱りたいことはたくさんあった。
けれど、辺りを忙しなく見渡しながら、震えながらも紙を広げていてくれる壁山、宍戸。同じく震えながらも、通信機を使えないことに気が付いてくれたのか代わりに通信機を使って自分が不調であると伝えてくれる栗松、少林寺。四人を見て、ただ叱るだけなのは違う、そう考えたルカはふ、と微笑んだ。
「感謝する。とっとと描くから、私が描き終えたらすぐに逃げろ! いいな!」
「「はい!」」
「はいッス!」
「はいでやんす!」
渡されたペンで紙を見ながら陣を描いていく。いつもの過集中が来てしまうだろうが、彼らがいれば大丈夫。
ただ、自分も頭痛でもうほとんど役に立てそうにない。ここを描いたら自分も離脱するなりしなくては、と考えながらペンを走らせた。
─────────────
「そ、そういうことか」
やっと繋がった通信。それはルカではなかったし、何だったら来るはずのない学生組の声でまた愕然としたが。
ルカの不調、消された印。今の状況を把握できた。
だからと言って全てが良い方へ向かったわけではなく、見て分かる通り問題だらけだ。まず指揮役がいなくなったのは痛い。各々が独断で動いてもいいがその場合、絶対にすでに描き終わったところへ行ってしまう、あるいはその逆で描き終わっていないところが把握できず、余計な時間を喰ってしまう、などまた問題が起きる。
もちろん、それらは全て連絡さえ怠らなければ良い。だが、それでも完璧にはできないだろう。
『ぜ、全員、き、聞こえるか。どっちも今指揮ができないから、お、俺とダイアー先生で指示を出す』
「え?」
「ん!?」
『さ、作戦はこのまま、決行。各自の、た、担当ポイントの陣を描くように。ただし、ウィリアム・エリス、ノートン・キャンベル、パトリシア・ドーヴァル、ガンジ・グプタは一つのみ。かき、描き終わり次第、弁護士先生の補助に回れ』
『それ以外は近くのポイントにいる人が描いてあげて。描き終わったら私かピアソンさんへ連絡、適宜指示します。フィオナさんは確か一階だったわね。
ライリーさんもそこでレオさんを引きつけているはずだから長距離のワープを貼ってあげて。三階がいいわ。私も描き終わり次第、そこへ向かいます』
『弁護士先生を、れ、レオ・ベイカーから長距離ワープで引き離した後は俺が引きつける。
る、ルカ・バルサーは、描き終わり次第、ひ、避難しろ。と、とりあえずは以上。何か質問、あるか』
ハッとして大丈夫だと答える。他にも大丈夫だという返事が来ているらしく、よし、とだけ言ったピアソンは通信を切った。
まさかピアソンとエミリーが指揮役を買って出るとは。だが、少し冷静になった頭で考えればそれは妥当なのかもしれない。あの二人はゲームでの経験が豊富だ。基本的に誰かが指示をしてそれを聞くことが多い二人だが、指示していたサバイバーがダウンを取られたりした際に指示に回ることが少なくなかった。エマやラックもそうだが、エマは精神的に安定したとは言えやはりまだ不安が残り、ラックはあまり指示をしなかった。
ぐ、と小さく拳を握ってポイントまで急ぐ。ビクターとはこの作戦の終わりまで行動を共にするように言われている。他にも心理学者のエダ・メスマーと患者であるエミール、ホセとカートが二人で行動していた。
ポイントに着く。と、ほぼ同時だった。
「こちらです!」
「えっ!?」
「んー!?」
そこにいたのは、作戦に参加しないはずの類だった。どうして、と口を開く前に彼は小さく微笑んだ。
「万が一、印が消されることを考えて学生組全員で事前に確認しておいたんですよ。ここは僕が確認しました。
陣の形などは覚えていますか?」
「あ、ああ」
ビクターがそっと『後で叱られちゃいますよ!!』と紙を見せている。それにもふふ、と笑うだけだ。
「叱られる前に、ここから逃げないといけませんね」
「あ、後で僕たちが言いつけといてやるよ」
「おや、見逃してもらえませんか?」
「んー!!」『ダメです!』
「これは手厳しい」
わざとらしく肩をすくめて戯ける彼に、思わずため息を吐いた。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.500 )
- 日時: 2022/05/19 20:14
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: MGNiK3vE)
息を切らせて走り続ける。後ろのレオを他に行かせないように距離は開けすぎず、かと言って近づきすぎずに。
足はとっくのとうに限界を迎えていた。それでも、足を止めるわけにはいかなかった。足を止めてしまえば、もう走れない。そうなれば何もかもが終わってしまうだろうから。
商品やら小さい棚やらを板代わりにいくつも使った。弁償だとか、もう考えてもなかったし考えたくもない。
ウィリアムやパトリシアの粘着もあってそれなりに描き終わっているのではないだろうか。
『聞こえる!? ライリーさん!! 陣はもう十三個は描けたよ、そろそろライリーさんから他のメンバーにターゲット移させるから!!』
そんなことを考えている時に、トレイシーからの連絡が入る。残り九個。そのうち一つは必ず自分が描かねばならない。
おそらく近くにフィオナがいるのだろう。後は他のメンバーに任せておくとしよう。
何とかして後ろのレオを見る。が、何か音がしてその距離は一気に縮まった。
「なっ!?」
まさか『神出鬼没』か。ハンターが使える特質の一つ。板、壁を通り抜けたり距離を縮めることに使われる。サメの形をした武器が振り上げられる。今、周りには誰もいないし何もない。避けられない。
鈍い痛みがする。だが、それでも足は止めない。フィオナからメッセージで『ついてきて!』と送られる。その方向を確認しつつ、そちらへ走った。
レオを少し視界に入れた。……。
「ライリーさん」
フィオナの声がする方を向く。そこには長距離ワープが既に貼られており、彼女は先にそこへ入って行った。ライリーも迷わずそこへ入れば、その先は三階でフィオナの他にもラックとエミリーがいる。
状況は、と口を開くよりも前にガツン、という鈍い衝撃。おそらく、残った影が殴られたのだろう。前に吹っ飛ばされるように倒れるが、すぐにエミリーとフィオナが治療し始めた。
「良かった、ライリーさん。外も凄い事になっているんですよ」
「外……?」
「ええ。多分、ダーズの力だと思うんだけど……黒い何かがたくさんここに集まってきてるのよ」
「そう、か……」
「窓から見ただけですけど、本当に凄かったんですよ! なんか、レオさんっぽい物までいて……」
「……待て。レオっぽい物……?」
ぞくり、と何かが背を駆け抜ける。ヒュ、とどこからか音がして。
「っ!! 全員、ここから離れろっ!! 来るぞ!!」
瞬間。全員の心臓がドクリと強く脈打つ。『赤い服を着た』パペットを視界の端に捉えたとほぼ同時に。レオが現れて。
その武器を、逃げきれなかったライリーに容赦なく振り下ろした。
─────────────
付近、森にて。
「あっちが騒がしいな」
三人の男と共に行動をしている少女は、その美しい青い瞳を昨夜見かけた大きな建物の方へ向けた。少女の言葉に、全員がそちらを見る。
顔に大きな傷がある男。坊主頭で半纏を着ている男。そして一等背が高く、体が大きくどこかムッチリとした、どこかドスケベな男。
「あれって確か、昨日の夜見た大きい建物だよね?」
「そうだな。何かあったんだろうか」
「行ってみよう!」
「ええ〜!? 行くのぉ!?」
坊主頭の男の声はスルーされ、三人がそちらへ足を向ける。男はクーン、と言いながらも三人の後を追いかけた。
彼らは一体何者なのか。それを知る者は、今はここに互いしかいなかった。
─────────────
「む、月島。あの建物が何か騒がしくないか」
一方。ものの見事に四人とは正反対の場所にいた鯉登と月島もあの建物の方へ目を向けていた。
「そうですね。……悲鳴?」
聞こえた悲鳴に、どちらも眉間に皺を寄せる。見上げれば鳥のような何かがあちらへ向かっていた。
「何か黒い物が次から次へとあの建物に向かっている。……様子を見に行くか」
「はい」
鯉登は軍刀を、月島は銃──三八式歩兵銃
を確認したのち、そちらへ歩みを進めた。
近付くにつれ、鮮明に聞こえる悲鳴や泣き声。銃声と、金属音。
再びあの建物が見えてくる。どうやらこちらには誰もいないようだった。しかしあちこちから声や音が聞こえる。一番近い場所へ、とそちらを見ようとした時だった。
「きゃあぁぁっ!!」
「!!」
そちらに目を向けると、一人の少女がへたり込み、少女の前に羆のような何かがいた。少女の腕の中には、見たことがない子犬が必死に羆もどきに吠えている。羆もどきが腕を振り上げる。少女はその子犬を守るように抱きしめた。
状況を確認したとほぼ同時に、鯉登が駆け出す。が、いくら鯉登が速くともあれでは間に合わない。すぐに月島は銃を構え、羆もどきの腕を撃った。銃弾は腕に命中し、羆もどきがこちらを見る。それとほぼ同時に鯉登が軍刀を真っ直ぐに構え、振り上げる。
「────!!」
軍刀が羆もどきを斬る。たった一太刀ではあるが、『自顕流』はその一太刀に全身全霊を込める。羆もどきは一太刀で倒れた。
が、普通に死ぬのではなく、その羆もどきは黒い灰のようになって消えてしまった。それに二人は言葉を無くした。一体これは何だったのだろうか。
「あ、あの」
「!!」
声をかけられてハッとする。鯉登は軍刀を納刀し、少女に手を差し伸べた。
「申し訳ない。お嬢さん、お怪我は?」
「あ、大丈夫です!」
そう言って彼女は手を取った。彼女を起こすと足が痛んだのか、少し顔を顰めていたがすぐに少女は鯉登にふわりと微笑む。……それに鯉登は思わず見入った。
「あの、ありがとうございます、助けていただいて……」
「……ハッ。い、いえ。お嬢さんも、お嬢さんの犬もご無事で何より」
何とか取り繕い、鯉登も微笑む。そこに月島が来て、少女は月島にも頭を下げてお礼を言った。月島はいつもの真顔で礼を言われるほどのことではないです、と返していた。
「ところで、ここは何処か知りませんか。我々は昨日気付いた時にはこの近くで倒れていまして」
「え? 気付いた時には、って……もしかして、わたしたちと同じ……」
「! 何か心当たりが?」
「は、はい。あなたたちを、元の場所に帰せるとは思うんですけど……今は、ここから離れましょう。
その……ここは今、危険なので」
「まあ確かに……」
未だ聞こえる声や音はここが安全な場所ではないと知らせている。
「安全な場所に繋がっているところを知っていますから、そちらへ」
「ありがとうございます、お嬢さん。……あっ」
「どうしましたか?」
「し、失礼。名を名乗っていませんでした」
「あ」
「あっ! ご、ごめんなさい、わたしも忘れてました……!
わたし、望月穂波と言います」
「私は、鯉登音之進と申します。こちらは私の部下である月島基軍曹です。月島」
「……月島です」
「おい、なんだその無愛想な態度は」
「元からでしょう」
「せめてこういう時くらいはだな!」
「ワウッ!」
子犬が吠える。そちらを見れば、今度は黒い犬が多数こちらへ来ているのが見えた。
「た、大変、すぐに……いたっ」
「! お嬢さん、どうか無理をせずに! ……失礼っ!」
鯉登が咄嗟に穂波を横抱きに抱える。所謂お姫様抱っこというものだが、鯉登は分からない。対して穂波は思わずとは言え、顔を赤くしていた。
そのまま鯉登が駆け出す。その後ろを月島が走り出した。
「月島、後ろは頼むぞ! あの犬みたいなのを何とかしろ!」
「無茶言わんでください! あんな数、手持ちの銃弾で何とかできるわけないでしょう!」
と、言いながら距離が詰まると振り向いて撃っている辺りかなり手慣れている。しかし確かに月島の銃一挺で何とかできるような数ではなかった。
とにかく穂波が言う通りの道順を走っていく。が、どうしても徐々にこちらが不利になっていく。
あっ、と穂波が声を上げた。どうしたと声をかける前に、前から銃声がして、犬もどきが弱い鳴き声を上げて消えていった。
「ジーグブルートさん! シャルルヴィルさん! スプリングフィールド(R)さん!」
前には三人が立っている。ジーグブルート、シャルルヴィル、スプリングフィールドと呼ばれた三人はこっちへ駆け寄り、月島と共に犬もどきを倒し始める。
「何やってんだお前は!!」
「ご、ごめんなさい、ガーディちゃんが扉に入ってしまって……!!」
「貴様、か弱い婦女子にいきなり怒鳴るとは不躾な!!」
「ああ?」
「お、落ち着いてください!」
「そうだって、今は撤退しないと!! 喧嘩してる場合じゃないだろ!!」
「鯉登少尉、その通りです。撤退しますよ!」
六人と、穂波に抱えられたままのガーディはそのまま犬もどきから距離を取り、その『扉』を目指し始めたのだった。
─────────────
屋上。そこに描かれた非常に大きな陣は淡い光を放っていて、少しずつその光は強くなっていく。陣の中心には柊が立っており、金色の杖を陣に突き刺しながら何かを唱え続けている。
それを、蛍丸は不安げに見つめていた。この手段しかなかったのは分かる。だが、それでも蛍丸は反対したかった。この手段は……。
ぐ、と目を瞑って飛んでくる何かを斬り伏せる。他には御神刀とされる面々や貴銃士がいて、何かを斬ったり、撃ったり、柊の邪魔をさせないようにしているのだ。
表立って反対できないなら、せめて邪魔はさせない。させるものか。
そう思いながらまた一体を斬り伏せた。それとほぼ同時、だった。
「ぐ、ごほっ!!」
「!! 主さん?」
思わず振り向く。そこには……口から血を吐いた柊がいて。
「あ、あ……主、さ」
「蛍丸!!」
「次郎、太刀」
「行ったらダメだ」
「っ、わかってる、分かってる、よ」
見れば、柊は血に塗れた口でまだ唱え続けている。時折咳き込んで血を吐いて、それでもまだ唱えて。
突然、左腕から血が噴き出す。痛みに顔を歪めても杖から手は離さない。
ああ、だから、嫌だったのだ。
この陣は、柊を『使って』マスターハンド、クレイジーハンドの力を魔力の塊の上に描かれた陣に流し込んで魔力の塊を壊しつつ、レオからダーズの力を追い出すための物。だから、柊の体には容赦なく二神の力が流れ込む。
力を借りてスキルを使うレンタルスキルですら体に、一時的と言えど支障をきたすのに。
ただの人間の体が、神の力に耐えられるはずもないのに。
右腕からも流れ始めた血から目を逸らすように、蛍丸は飛んでくる何かを睨みつけた。どうか、彼女が死なないように祈るしかできない自分への苛立ちを乗せて。
コメントOK
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.501 )
- 日時: 2022/05/19 21:15
- 名前: 月詠 (ID: 86FuzJA.)
こんばんは、第五人格で占い師を欠片購入した月詠です
月詠「ついにレオの奪還作戦当日になりましたね……オーナーの様々な証拠掴んで労基とかに送り込んだろか」(真顔)
克己「真顔だな。そして汚れ………印か。こればかりは邪魔しようとして、したわけじゃないから何とも言えないな」
月詠「奪還作戦が開始しましたが、まぁ、そうだよな!予想通りにはいかないよな!!仮面ライダーとかで知ってた!!
でも第五人格組以外のメンバーのおかげで一般客の人達の避難誘導がされて安心はしたが、一切の油断が出来ないな」
克己「しかしこの異形達が気になるな。ダーズサイドのものだろうが、どうやってこんなに…」
月詠「確かに気になる……レオに対する囮とかも、急激に作戦変更になったな…なるべくライリー無事でいてくれ…」
克己「宴会場は、うん……保護者頑張ってくれ」
月詠「 出 た な ニ ャ ル 公 。うちのハスター様(現在の人格・共通型)派遣してシバいてもらった方がいいのかな…いや、逃げられそうだな……」
克己「通信機が繋がらない上に印もないから全員が焦ってるな。ルカも重要な記憶が無くなったから焦ってる…」
月詠「けど、ここで参戦が反対された学生組が来たのは……正直危ないし、叱りたくなるけど助かったのは事実。叱るのは全てが終わってから、今は感謝だね。エミリーとピアソンが指示役になったのも助かったな。
エミリーには今、サバイバー側でお世話になってます…ハンター気絶の推理タスクが出来ない…」
克己「推理タスクは後にしろ」
月詠「はい。っと、神出鬼没を使われたか……もっぱらリッスン派だけどあれ怖いんだよなぁ…。レオっぽいもの………もしかして衣装のあれとか、ゲーム中に出てくる人型のマグマみたいなものか…?」
克己「金カムメンバーが本格的に参戦してきたな。ガーディと、穂波が足を痛めた以外は無事で良かったが…」
月詠「柊さん……!お願いだから自分を大事にしてください……!あぁあああ、どうなるんだ……!?」
以上で失礼しました
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.502 )
- 日時: 2022/06/05 19:01
- 名前: 大瑠璃音葉(元:桜木霊歌) (ID: Wz/uC4rR)
こんにちは!そしてご久しぶりです!
元:桜木霊歌こと大瑠璃音葉です!
きらびやかな日常を夢見の日常にリニューアルするにあたり、ペンネームを大瑠璃音葉に変更しました。
音葉「レオの奪還作戦・・・!できるだけ無事かつ穏便に住んでほしいんだけど、何でも作戦通りにはいかないよね・・・!急に作戦は色々変更になったけど、皆無事でいてほしいな・・・あの馬鹿ニャル何やってるの!?もう、彼ってば本当に余計ないことしかしないよ!!!エミリーとピアソンが指示役になってくれたのは本当に良かったよ・・・あぁ、柊さん!?大丈夫!!?しっかりして!!!」
次回も楽しみに待ってます!
追伸:ようやく夢見の日常初の小説を書くことができました。時間がある時に見に来てください!
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.503 )
- 日時: 2022/06/20 09:40
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: n8TUCoBB)
ライリー「コメント返信だ」
月詠さん
コメントありがとうございます!
柊「占い師を買ったはいいけど難しくてやれてないですね…←
労基に送っていいと思います!d(^_^o)」
陸奥守「そればかりは同意じゃ←
邪魔しよう思うてしたわけではないけんど、ワシらには大打撃ぜよ…」
柊「大体作戦通りにはいかないんですよねこういうのは←
異形どもがどうしてこんなにいるのかは次回判明…すると思います←
急激な作戦変更は仕方ないけれど、ライリーは無事でいられるか…」
エミヤ「ああ、主に高坂穂乃果や花里みのりが転んだりするのである意味気が気ではなくてな…善処はしよう」
ニャルラトホテプ「きゃはっ☆ ボク、またなんかしちゃった? なんちゃって〜!
…あ、派遣してシバくのは勘弁して。多分こっちのハスターたちも来るし前回の面子+そっちのハスターはさすがのボクもキツい」
柊「また何か声が…???」
謝必安(白無常)「そうなんです。様々な緊急事態が重なった結果、全員が焦ることになってしまいました」
范無咎(黒無常)「学生組が来ていなかったら、さらに混乱は続いていただろうな。だからこそ、ルカ・バルサーもその場では叱らなかったのだろう。
…意外とあの二人が指示に回ると厄介だ。経験からどう立ち回れば最悪引き分けに持っていけるか理解しているからな」
柊「あともうクリアしていたら申し訳ないのですが、気絶のタスクはbotだとやりやすいですね。
botはとりあえず負け続けてから待ち時間が59秒なのに即マッチングしたら九割そうだと思っていいかと。対人なら板に隠れて待機、ハンターが突っ込んできたら倒す、という感じでやってみると案外当てられます。ただこの板裏待機、ボンボンやガラテア、ハスター様、存在感が溜まったルキノさんなど悪手になるハンターも多々いますのでご注意を」
バルク「そうじゃな。レオらしきものは復讐の影、パペットはまあ…次回で説明しとる」
柊「わあ雑☆ はい、金カム本格参戦です…月島軍曹はいいぞ…(最推し)」
陸奥守「主は帰ったら説教が本丸全員満場一致で決まったきに、覚悟しちょき」
柊「御無体な」
大瑠璃音葉(元:桜木霊歌)さん
コメントありがとうございます!
柊「お久しぶりです、そして小説のリニューアルですか! リニューアルした小説も読ませていただきましたが、相変わらず面白かったです…近いうちにコメント…いければ…いいなあ…←
その通り、作戦通りにはいきませんでした…。このままある程度無事で済むのか…!」
ニャルラトホテプ「やっだなぁ、ひっどい言われよう〜! まあでも仕方ないのかな? ボクの愛って分かりづらぁいみたいだし?
ニャルっ☆」
柊「な、なんなんださっきからこの声…」
美智子「別の方の返信でも申し上げていますが、あの二人が一度指示へ回ると…結構な確率でどんな状況でも引き分けには持っていかれるのですよね…」
マリー「ウィリアム・エリスを10秒と立たない内にダウンさせて吊り切ったのに引き分けにされたのは今でも納得いってないわ」
柊「(別名、やっぱハンター環境キツいてェ!!←)」
陸奥守「主が無事でいてほしいんはワシらもじゃ…おおきにありがとうのぅ」
それでは!
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