二次創作小説(新・総合)

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綴られし日々-作者とキャラの日常-
日時: 2022/11/28 20:05
名前: 柊 (ID: y98v9vkI)

ついに手を出してしまいました、日常系…!!

注意事項
・クロスオーバー
・クロスオーバーCPあり
・キャラ×オリキャラ、オリキャラ×キャラもあるかもしれない
・当方独自設定あり。矛盾することもあるかもしれない
・キャラ崩壊あり
・キャラの裸族化、不憫化などもあり
・作者が夢女子でもあるので夢っぽい要素(キャラ←←作者)が出てくる。テンションがおかしくなったら大変なことになるので注意
・時々シリアスもあり
・時々キャラ掴めてないかもしれない
・荒らしなどはご遠慮ください。

※スマブラに関して
原作をプレイしていないキャラクターが多々いるためキャラの設定が公式設定と矛盾する可能性大(一応調べます…)

こんな感じの注意事項で『大丈夫だ、問題ない』な方はどうぞお楽しみください!
そうでない方は注意してくださいませ。

タグ
スマブラ、刀剣乱舞、艦これ、アズールレーン、フラワーナイトガール、戦艦少女R、文豪とアルケミスト、しんけん!!、夢王国と眠れる100人の王子様、茜さすセカイでキミと詠う、オトメ勇者、フードファンタジー 、Fate/Grand Order、ポケットモンスター、ボーカロイド、Identity_V、ダンガンロンパシリーズ、School Days

目次
『始まりの158』 >>1-3
『魔法少女騒動〜少女とは言ってない〜』 >>6-9
『小さなお宿-前編-』 >>15-20
『小さなお宿-後編-』 >>21-28
『甘くて美味しい果実』 >>29-35
『うちの長曽祢さんがこんなにも可愛い!!〜ただの主張だ気にするな〜』 >>36-40
『虎と春』 >>46-57
『たまにはきちんと歓迎会を!』>>58-63
『信頼した結果-1-』 >>69-75
『信頼した結果-2-』 >>79-85
『信頼した結果-3-』 >>86-92
一振り目と二振り目の呼び方一覧 >>93
『桜よ、彼女を攫わないで』 >>94-96
『バグにも種類がありまして!?』 >>97-101
『恋に落ちないなんてできなくて』 >>105-111
『練習、裸族講座!』 >>112-116
『悪魔の城は崩れない』 >>121-126
『悪魔の城は崩れ始める』 >>136-140 ※140はおまけになります
『悪魔の城は崩壊す』 >>148-155
∟闇の御子の情報 >>156
『VS闇の御子』 >>160-163
∟厄除けの宝玉の情報 >>164
『赤ずきん☆ラグナス』 >>167-171 ※天悪さんとのコラボ!
『赤い花騎士と銀の騎士』 >>178-179
『私が教えるよ』 >>182-184
『コピペSS』 >>185-186
『癒しとカオスと歓迎会』 >>190-197
『六月の花嫁たち』 >>202-209
『七夕は奇跡に染まり』 >>214-217 ※天悪さんとのコラボ!
『お嬢様()な交流会』 >>221-224 ※天悪さん、琴葉姫さんとのコラボ!
『緊急特番()!刀剣乱舞の大盤振る舞い』 >>229-233
『忍び寄るは光の信者』 >>239-244
『南の島、砂浜騒動!?』 >>248-252
『子どもビーチは危険がいっぱい!〜王様は保護者〜』 >>259-263
『私たちは、きっと。』 >>270-274
『解き明かせ、真実! 1』 >>281-286 ※286はおまけです
『解き明かせ、真実! 2』 >>291-297
『解き明かせ、真実! 3』 >>300-304
『VS神殺しの蟲』 >>307-313
∟神殺しの蟲情報 >>314
『出会いは夢の中にて(第一印象は考えないものとする)』 >>317-321
『ちびノブのお仕事!』 >>324-328
『【柊「空を見上げて『バカな…早すぎる…』ってつぶやいたら」】 >>334-335
『新年は新ジャンルと共に!』 >>340-346
『甘い束縛』 >>352-353
『メンヘラマネジメント』 >>356-358
『にっかりファンタジーUDON』 >>362
『コピペSS、おかわり!』 >>363-365
『手を振り解かれ、手を取って。』 >>369-374
『それぞれの決意と忠義』 >>378-383
『扉問答』 >>390-394
∟ねこじぞーの情報 >>395
『水無月祭の出会い』 >>401-403
『コピペSS、もういっちょ!』 >>408-410
『Real or Dream』 >>411-417
『幼児化☆パニック!』 >>422-428
『似てない二人』 >>434-436
『凄惨なる宴』 >>441-446
『雪の別離わかれ>>449-452
『年末だ!コピペSS!』 >>453-455
『新たな邂逅』 >>458-462
『決戦前〜医師の罪〜』 >>465-468
『決戦前〜泥棒の偽善〜』 >>469-471
『決戦前〜弁護士の覚悟〜』 >>474-477
※477はおまけです
『決戦前〜庭師の想い〜』 >>480-483
『エイプリルフールで嘘予告SS』 >>486
『決戦前〜学生組の会議!〜』 >>487-489
『レオ・ベイカー奪還戦・1』 >>497-500
『レオ・ベイカー奪還戦・2』 >>504-507
『レオ・ベイカー奪還戦・終』 >>511-514
『やっとできるね! 歓迎会』 >>517-522
『異世界にて、恋に出会う』 >>525-527
『コピペSS、いつつめ!』 >>530-532
『オリキャラご紹介その1』 >>535
『いっそ『大嫌いだ』と思えたら』 >>536-543
※543はおまけです
『困りごとはきっかけ』 >>546-548
『本気になったのはどちらだったのか』 >>549-550

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.149 )
日時: 2020/05/11 18:25
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: EByIShHF)

 そして館。館の広間では刀剣女士が集められ、彼女たちの前では次郎太刀を筆頭に今から避難するための注意点を挙げていた。そこにひょこりと顔を出したのはツキトだ。
「あ、確か主の知人の世界から来てくれたお客さんだね? アタシは次郎太刀! よろしく頼むよ!」
「僕はツキト。よろしく」
「はいっ、ボクは乱藤四郎だよ!」
「アタシはフランシス・ドレイクってんだ、よろしく!」
「私は……ふむ、そうですね。リッパー、あるいはジャックとでも。私としてはリッパー、が耳に馴染んでいますが」
「えっと……リッパーさんは男?」
「ええ。ですがご安心ください。サーヴァントのレディ……おっと失礼、ドレイクさんと次郎さん、乱さんがいれば手を出そうにも出せません。貴方もいれば、尚更出せるはずもありませんよ」
 とは言え、その大きな刃物となっている左手を見て警戒心を抱くな、という方が無理な話だろう。ツキトとしては「この人物は確かに害がない」と分かるからあまり警戒心は抱かないが刀剣女士の何振りかはリッパーに対して警戒心を剥き出しにしている。
 そんな時、ぱん、と次郎が手を叩けば全員の注意が彼に向いた。
「さっきので注意は終わりだよ! さあ、さっさとこんな辛気臭い場所抜け出しちまおう!
誰か歩けないのはいるかい?」
 次郎が言うとおずおずと手を挙げた刀剣女士がいる。江雪左文字だ。パッと見はあまり変わらないがその胸部を見れば一目瞭然だった。
「に……姉様は、僕らを庇って、足を動けないようにされてしまって……」
「あの、僕たちが運びます、だから」
「ああ、お気になさらないで。運ぶのは私ですから」
 そう言ってリッパーは失礼、と江雪(にょた)に近づいていく。そこでようやく気づいたが、青いバラの杖を背に持っていた。
「それでは、失礼しますよ」
 リッパーは刀剣女士になっていても、そこそこ背の高い江雪を軽々と『お姫様抱っこ』した。
「……おや」
「すみませんね、ヒイラギが『絶対にこの携帯品を持っていけ』というものですから。まあ引きずるよりはよっぽどマシでしょう?」
「……引きずられたくは、ありません……特に、髪を掴まれるのは……」
「私の場合、足掴むんですよねえ」
「……顔が、削れてしまいます……」
「大丈夫ですよ、引きずるのはサバイバーだけなので」
 そんなマイペースな会話をしながら、刀剣女士たちと避難し始める。不安に駆られていた彼女らも、避難場所となる所を見てほぅ、と感嘆の息を溢した。
 橋を渡り、中へ入っていく。広々としたその空間は、刀剣女士全員が入ってもスペースが余るほどだ。階段は壁に仕切られており、念のためかエレベーターまで付いている。
「凄い……!」
「ね、ねえっ、本当にここ、ボクたちが使っていいの?」
 乱(にょた)が、興奮を隠し切れない様子で聞いてくる。ツキトが頷けば乱(にょた)はわぁあ、と思わず声を溢していた。
 今まであんなに暗くて狭くて、なおかつ不衛生な場所にいたのだ。こんな風に喜ぶのも無理はない。
 そこに柊と月詠がやって来た。
「全員避難終わったー?」
「ええ、リストアップされていた刀剣女士は全員です。……お嬢さん方、他にはいませんよね?」
「ああ、これで全員だ」
 三日月(にょた)が微笑んで頷いた。そこに、二階から誰かが降りてくる。
「柊殿、月詠殿、申し訳ないのですがもう一杯水を……」
 降りてきたのは一期一振、それも、刀剣女士らと同じ本丸にいた一期一振だ。彼は目を丸くして刀剣女士らを見ている。
「あ……」
「いち、兄?」
「あ、良かった、無事でっ」
「近づくなっ!!」
「っ」
 一期一振が駆け寄ろうとするのを一期(にょた)が叫んで止める。彼女は妹たちを背に隠し、一期一振を睨んだ。
 その体は、微かに震えている。
「い、妹たちに近づくなっ、あの男の味方のくせにっ、どうして!」
「……そうだな。柊殿、どういうことだ? あんな者たち、助けずとも良かろう」
「なんでこいつらまで! おれたちをみすてるようなやつらなんだぞ!!」
 三日月(にょた)、鶴丸(にょた)が言う。戸惑う者が殆どだったが、一部はその三振りと同じように睨んでいる。それに、一期一振は傷ついた表情をしながらも何も言わない。
「待って、誤解だよ」
 ツキトが言うも、誰も信じようとはしない。困った、そう思った時だ。
「いち姉!」
「! 平野っ!」
 平野(にょた)が来たのだ。彼女の服は通常の平野藤四郎の戦闘装束とよく似た服を着ており、下はスカートとスパッツを履いていた。
「皆さん、お聞きください。彼らは、僕らの本丸の刀剣男士は、騙されていたんです!
到底達成できないようなノルマを課され、それが達成できれば僕らのお役目を免除すると……彼らも騙されていたんです! 決して、僕らを見捨てた訳ではありません!」
「ひ、平野っ? 騙されて、いた? 私たちがかい?」
「……いち兄、申し上げ難くて、言えませんでした。ごめんなさい。
いち兄たちが必死にノルマを達成しても、僕らのお役目は、免除されたことはありませんでした」
「そ、んな……私たちが、やっていたことは、無駄だったのか……? ……はは、見捨てたと思われても、仕方ないね……」
 一期一振はそう言って自笑する。その時、彼女らはようやく気付いたのだろう、一期一振の疲れ切っていた様子に。反応も見て、嘘ではないと分かったらしい。
「……こちらの一期よ」
「っはい」
 三日月(にょた)が歩み寄る。そして、そっと手を握り、額に当てた。
「すまない、俺たちの思い込みで、酷い態度を取ってしまった」
「そんな! 三日月殿たちは悪くありません、悪いのはっ」
「悪いのは、あの審神者ですよ」
 月詠の言葉に全員が彼女を見て、柊や次郎たちも頷く。
 月詠が手を叩き、さて、と一息置いた。
「皆さんに服のプレゼントがあります。種類も豊富に揃えましたのでご自由にお選びください」
「カウスリップとものよちゃん向かわせますね。三階で着替えてくれる?
足が動かない子はエレベーター使ってね」
 服は三階に用意してある。刀剣女士たちは階段で上がっていき、江雪(にょた)と宗三(にょた)、小夜(にょた)はエレベーターで上がっていった。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.150 )
日時: 2020/05/11 18:30
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: EByIShHF)

「いやはや、最近の彼女らは『鬼ノ目』とかいう若造に執心でしたからなぁ。そろそろ自分たちの立場をもう一度理解させるとしましょうか」
「ええ、どうぞご自由に!しかし、皆さまも政府に呼ばれていらっしゃったとは」
「結局、何故呼ばれたのかも分からんままだったがね。が、むしろ幸いだったのかもしれん」
 審神者は、『館』の常連であるお偉方と審神者たちを連れて本丸に戻ってきていた。ゲートを潜り、最初に目にするのはどうしても城な訳なのだが。
 彼らが目にしたのは、おどろおどろしく赤く染まった本丸だった。
「なっ!?」
「なんだこれは!」
 全員がざわついていると後ろから何か音がする。振り向くとほぼ同時に、先端が鋭利な鉄格子の付いた壁が迫り上がってきた。その壁は男たちの両脇にも迫り上がってくる。
「ひっ、ひぃっ!!」
「み、皆さま、中へ!!」
 審神者の一言に誰もが我先にと本丸内へ入っていく。最後に審神者が入り、玄関を閉めるも中も赤く染まっている。
 全員が気味が悪いという態度を隠さずに歩いていく。しかし、一つ角を曲がろうとした時、またあの壁が迫り上がってきた。
「ひっ!!」
「な、何なんだ一体……!!」
 戻ろうにもまた壁が迫り上がってくる。仕方なく男たちは本丸内を進んでいく。唐突に迫り上がってくる壁に怯えながら。と、一人が不意に足元に違和感を感じた。それを確認する前にガシャ、という音がする。
 すると、廊下にヌルヌルとした液体と虫がぶち撒けられた。
「ぎゃああああああ!?」
「な、す、すべっ、ぎゃあっ!!」
「ひぃいいいいい!! おっ、俺は虫がダメなんだぁぁ!!」
 突然の出来事に全員がパニックに陥る。とにかくこの場を抜けようとしても液体によって滑り、思わぬ方向へ行けばあの壁が迫り上がり、顔面をぶつけたり。全員、もはや悲鳴を上げて無様なほどに暴れるしかできなくなっていた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.151 )
日時: 2020/05/11 18:35
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: EByIShHF)

 一方、刀剣たちが避難している建物では。
「ファーーーーーーーーwwwwwwwwwwww」
「いやぁ無様だね!!」
「……っ」(プルプル)
「女の一期一振、いいんだよ笑って」
 男たちが悲鳴を上げて混乱に陥っている様がモニターに映っている。あまりの無様さに被害に遭っていた刀剣女士も刀剣男士も顔が赤くなるほどに笑いを堪えていた。
 それは無理もない。今まで我が物顔で振る舞い、自分たちを虐げていた者たちが少しの悪戯(実際やられると少しでは済まないレベルだが、されてきたことを考えれば随分と可愛いものだろう)であそこまで右往左往し、悲鳴を上げているのだ。正直、タネを知っていれば笑えてきてしまう。
『たっ、助けてくれぇえ!!』
『ひぇええええん!! ママぁあああ!!』
「おい一人マザコンいるぞ」
「……(すんっ)」
「……あ、あれ? あの方は、よく鳴狐殿を指名していた……」
 一期(にょた)の言葉を聞き、加州がマザコン男の顔を確認した瞬間、真顔になった鳴狐(にょた)に声をかける。
 その後ろでは鳴狐が月詠さんからの物資の一つである梅酒を一瓶持っていた。
「えっ、そうなの? 大丈夫、鳴狐(にょた)?」
「……大丈夫じゃない。あの男、鳴狐にいつも『ママ』って母親の真似を強要してきた」
 それを少し離れたところから聞いていた柊が思わず、と言ったように声を上げた。
「あっ聞きたくないやつだそれ!」
「……肉体的には楽だったけど、精神的には死にそうだった」
「梅酒、飲む?」
「たくさんちょうだい」
「飲んで忘れよう」
 鳴狐から梅酒を注いでもらった鳴狐(にょた)はそれを一気にあおる。そしてコップを鳴狐に差し出し、鳴狐はまたそれに梅酒を注いだ。トライアル一真は離れさせられていた。
 そのまま加州は鳴狐(にょた)の愚痴に付き合わされる。
「あのね、ほとんど性行為はなかった。でも、大人の男に『ママ』って呼ばれて甘えられるのは精神的には厳しいものがある」
「うん、そうね……厳しいっていうか、人生でも刃生でも何も知らないでいたい世界だね……」
「鳴狐は、一期や粟田口の子なら別に甘えられても良い。いいや、甘えられたい。『母上』って呼ばれてもいい」
「あれ???」
「加州も、可愛らしいから『母上』って言ってもいいよ。だけど、あの男はダメ」
「あれぇ???」
「……加州。鳴狐(にょた)が言いたいのは、若くして頭部が荒野になって、体が鞠のような男はさすがに甘えられたくないってことだと、鳴狐は思う」
「そう。さすが、鳴狐」
「……こんこん」
「こんこん」
「何このやりとり???」
「『母上』って言ってもいいよ」
「さすがにやめておくね???」
 そんなやりとりをしている中、短刀たちが集まって月詠さん、葉月さんから送られた食べ物、飲み物を堪能していた。そこに一振、柊本丸の日向正宗も混ざっている。
「よもぎ餅、美味しいです!」
「塩大福もとても美味しいですよ、前田」
「こっちのぷりんあらもーどって言うのも美味いぜ!!」
「はい、日向はうめがすきだとおききしました! うめのおかゆどうぞ、あーんです!」
「ふふ、ありがとう。……うん、美味しいね。この梅、分けてもらいたいなぁ……後で聞いてみようかな」
「ぜりーおいしいっ!」
「まかろん、どれ、たべようか、なやんじゃいます」
「秋田がまた話せるようになるなんてな……これを用意してくれた人たちに、感謝してもしきれないな」
「……これは、歌仙が作った和菓子ですね。抹茶も、美味しいです。……直接、お礼を言いたいな」
 中には葉月さんから送られた掌サイズの鞠で、たまたま休憩に来た駆逐艦たちを巻き込みながらも皆楽しそうに遊んでいた。

「あの子たちが、あんなに笑顔になれるなんて」
「……ここが、極楽浄土でしょうか……」
「そう思ってしまいますなぁ」
「これからは、もうあの男たちに苦しめられずに済むんですね……」
 保護者にあたる刀剣たちは、ゆったりとピーチティーを飲んでいる。ふわりと漂う桃の香りにそれだけで浄化されそうだ。
 それに加え、月詠さん、葉月さんからのパワーストーン等によって全員がゆっくりとではあるが確実に浄化されていた。
「ほら、蜂須賀姉ちゃん! この子たち可愛いよ!」
「う、うぅ、贋作に似てるのは……しかし……」
「…………贋作、か」
「人懐っこいなこいつら!」
 一方、蜂須賀(にょた)と浦島(にょた)、蜂須賀、浦島は葉月さんより送られたもちたち……正式名称、もちもちマスコット、略称、もちマスの中の蜂須賀もち、浦島もち、そして長曽祢もちと戯れていた。蜂須賀(にょた)と蜂須賀は長曽祢もちに少し複雑そうだが。
 ……というのも、『長曽祢虎徹』に対してあった出来事が原因だ。
 蜂須賀(にょた)は他本丸から『真作の蜂須賀が贋作である長曽祢に嬲られるのが見たい』という欲望から操られた長曽祢に嬲られたことが幾度もある。終いには、わざわざ虎徹の贋作を見つけてきては無理やり顕現させ、その贋作たちに嬲られた。真作である蜂須賀(にょた)を嬉々として嬲る者もいて、中には「このような姿、まるで贋作だ」と嘲笑う者までいた。
 それを知った長曽祢が審神者に対し、怒鳴り込んだのである。「これ以上、女の蜂須賀に対する侮辱をやめろ」と。その時に共に乗り込んだのが蜂須賀であった。審神者は嘲笑いながら言った。「延享の記憶、江戸城下にて亀甲貞宗を連れて帰ることができればやめてやる」と。
 審神者は完全に長曽祢を見縊っていた。それに気付いていた彼は名を使い、『約束』を取り付けたのだ。蜂須賀が見ている前で。結果、長曽祢は亀甲貞宗を連れて帰ることには成功した。彼に謝りながら。……折れるのを、耐えながら。帰城して面白くなさそうな審神者を見ながら、彼は倒れ、蜂須賀に頼んだ。「どうかこの先折れずに、あの審神者に約束を破らせないでほしい」。そう頼んだ。
 蜂須賀が了承したのを見て、彼は折れた。蜂須賀(にょた)は今日それを聞かされ、二振りとも長曽祢に複雑な気持ちを抱いているのだ。
「もっ、も」
「も!? もーっ! もーっ!!」
「もちっ」
 ふと、長曽祢もちだけが離れようとしていることに気が付く。二振りが首を傾げていると虎徹もちで何やら話し合い? が行われているようだった。
「もしかして、長曽祢兄ちゃんみたいなもちさん、蜂須賀兄ちゃんたちのこと考えて離れようとしてる?」
「! ……そう、か」
「その、べ、別にいて構わない。……いや、いてほしい」
 そう言って蜂須賀(にょた)は人差し指でそっと長曽祢もちを撫でる。長曽祢もちは驚いていたが、戻ってきた。
 浦島も浦島(にょた)も笑顔を浮かべてそれを見る。お互いに良かった、と言いながら。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.152 )
日時: 2020/05/11 18:40
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: EByIShHF)

『あーあー。聞こえますか?』
「っと、はいこちら柊。月詠さんどうしました?」
 柊の持っていた端末に、月詠からの連絡が入る。ちなみに彼女とトライアル一真、そして豊前、ジライヤと共にすぐ横の部屋に待機しているのだが男たちは誰一人として気付いていないし、仮に入ってこようとしても先ほどまで迫り上がっていた壁──バルクが操作する壁が邪魔をするだろうから危険はない。万が一乗り越えて危害を加えようとしてくるならば豊前かジライヤが月詠を抱えて全員で逃げる手筈になっている。
『マザコンの声がデカすぎて聞こえづらいんですが実はファザコンもいることが判明しました』
「そんな報告欲しくなかったですwww」
『笑ってるじゃないですか……。そろそろ悲鳴を聞くのも辛いので、次行ってもいいですか?』
「はい、どうぞ。私もそろそろスタンバイしておきますねー」
『それと、あの審神者……ここの審神者、少し変』
 トライアル一真の言葉にぴくりと反応する。しかしすぐに忠告ありがとうございます、と返して歩き出す。念のため、まだ避難場所にいてくれるツキトにもう一つ端末を渡し、簡単に操作を説明して出て行く。
 見張りの食霊、カニみそ小籠包がこちらに気付いた。
「御侍、どこに行くんだ?」
「そろそろ私もスタンバイしとこうと思ってね。つまり、カニみそ小籠包たちもそろそろ『出番』ってわけ。基本的には艦娘たちが何とかするつもりでいるだろうけど、避けるやつも出てくるだろうし。
ところで燐さんは?」
「念のために、後ろの方も見回ってくれてる。とは言え、後ろにはちょっとした庭があるだけで後は水なんだけどさ」
「了解。端末は渡した?」
「バッチリ」
「ありがとう。じゃあ先に行ってくる」
「あ、待った待った! どうせなら誰か一人連れて行った方がいいって。ナシレマとか」
「やめときます」
 橋を渡り、本丸内へ入っていく。そこに用意した部屋を確認した後、別の部屋へと向かった……。







 避難場所内。いい加減、悲鳴も正直聞き飽きてきた。そんな時に、どこからかドン、と音がすると画面の向こうの廊下は一気に偏り、男たちはまた悲鳴を上げながら滑り落ちていった。
「ドリフ……」
「ドッドッ……」
「歌わないですよ、御手杵さん」
「ちぇー。にしてもすげえ量だったんだなぁ、あのぬるぬる」
「ローションですね。ほんと、すごい勢いで滑ってく……ん?」
 画面の向こう。何故か男たちの後に廊下を滑る団体がいた。
『ああああああああああああああああああああああああ!!!!』
「あれって」
「すみません御手杵さん、あの人たちってこっちの世界の裸族ですよね?」
「麻琴」
 簡単な見回りから戻ってきた麻琴が頬を引きつらせながら言う。が、御手杵はのほほんと「そうだなぁ」とだけ。
 周りを見れば予想外すぎる展開に刀剣男士も刀剣女士もぽかんとしている。その場には、完全に酔っ払っている次郎、次郎(にょた)、日本号二振りの笑い声だけが響いていた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.153 )
日時: 2020/05/11 18:45
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: EByIShHF)

「ぎゃあああああああああああ!!」
「いやぁなんか大変なことになったね!」
「なんだお前らぁああ!?」
 悲鳴を上げる男たちに、裸族が追いつき爽やかに話しかける。しかしいきなり褌一丁の裸族たちに、男たちは余計に混乱した。
「我らは柊サイド裸族だ!!」
「らぞっ、はあ!?」
「柊さんが余ったローションを分けてくれて、逆だいしゅきホールドハリケーンの練習をしていたんだけれど、輝々が新しい裸族技+裸族の遊びを思いついてな!
その名も『はだかーリング』!!」
「なんて!!?」
「『裸ーリング』とは! まあ早い話が裸族のやるカーリングだな! 用意するものはデッキブラシとローションと、得点を書いたハウスだ!!
ストーンとなった裸友をローションによって滑らせ、裸友のKO☆KA☆Nがハウスに止まった場所によって得点が変わり、得点が高い方が勝ちだ!! なお、この時滑る体勢によっては【芸術点】を与えるのもあり!!」
「いやそんなのどうでも、ぎゃっ!!」
 突然ぶち当たった壁によって男たちは止まる。ちなみに裸族たちはそのぬめりを器用に扱ってダメージなく止まった。
「さてさて、我らは他の場所で裸ーリングの練習をしてくるとしよう!
ああ、そうだ一つ」
 太子がにこりと笑いながら男たちを見下ろす。何でもないような笑顔のはずなのに、威圧を感じる。
「お前たちの罪は許されることはない。ほら、そこの紙を見てみるんだな」
 太子の言葉に男たちは指された方を見る。そこには『証拠は全て回収した』とだけ書かれた紙が襖に貼られている。
 それだけのことが、どれほど男たちには恐ろしいことか。ほとんどの者が顔を青くして震えている。しかし審神者はそれを剥がし、襖を開け放つ。
 中は書斎のようだ。やはりここも赤塗れ。特に、本や書籍に多い。
 ただ、一ヶ所だけはやたら荒らされていた。
「ひぃいいっ!!」
「な、な」
 審神者は飛び出すように中に入り、男たちも釣られて中に入っていく。ふと上を見れば刀剣男士たちを模った『何か』がいくつも吊るされている。
「ひ、ひっ」
「ぬぅ……」
「ぬ゛ー……」
 そんな声が聞こえる。男たちはいっそ気絶できればいいのにと思うがしないのが現実である。そして審神者は荒らされた場所を掻き分けて何かを探していた。
 後ろからガシャン、と音が聞こえて全員が勢いよく振り向く。あの壁の向こうに、三人の女がいた。
 一人は赤めの長い髪をした女。一人はこげ茶のふんわりとしたショートヘアの女。そしてもう一人は長いおさげの少女だった。女二人はよくいそうなOLのような女だが、少女だけは少し不思議な格好をしている。
 ようやく、そして元々刀剣女士たちを嬲るために来ていた男たちは三人を見て鼻の下を伸ばした。三人は綺麗な顔立ちをしていてスタイルも悪くない。特に少女は胸元がよく見える服装のため、そのふっくら膨らんだ胸部が男たちを誘っている。全くもって、脳が下半身に直結しているとしか思えない。
「貴方たちの罪を裁く宴が始まります」
「神々を己の欲望を満たすためだけに虐げた貴方たちは許されるでしょうか」
「さあ……今より宴の会場まで、真っ逆さまです!」
 三人が口々に言えば男たちのいる部屋の床が突然開いて落ちていく。そしてなかったかのように床が元に戻り、壁は下へ降りていった。
「……ふぅ……」
「緊張しましたね、ゆきさん」
「はい、アステルちゃんは大丈夫?」
「はいっ、大丈夫ですっ」
 三人の女──ゆき(夢100ヒロイン)、あかり(アカセカヒロイン)、アステル(オトメ勇者ヒロイン)がお互いにお疲れ様と労い合う。
 そこに三人の男が歩いてくる。
「ゆき」
「アヴィ!」
「あかり、お疲れさん」
「ありがとう、晋作」
「……おい、大丈夫なのかよアステル」
「う、ん、平気……ごめんねスラッシュ、やっぱり手を貸して! あの、ぬるぬる踏んじゃって……!」
「お前なぁ……ヒイラギにあれだけ立ち位置気を付けろって言われてただろ?」
 アヴィ、高杉晋作、スラッシュがそれぞれゆき、あかり、アステルに手を差し出す。そして壁が完全に降りると六人は中に入り、吊るされていた『何か』……通称、ぬいたちを下ろしてやる。
「お疲れ様、ぬいちゃんたち」
「ぬー!」
「苦しくなかった?」
「ぬ!」
「後はゆっくりしていてね」
「ぬぅっ!」
 全てのぬいを下ろし終えると部屋に来てくれた彼女らの旅の仲間たちと共にぬいを連れて戻っていった。


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