二次創作小説(新・総合)
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- 綴られし日々-作者とキャラの日常-
- 日時: 2022/11/28 20:05
- 名前: 柊 (ID: y98v9vkI)
ついに手を出してしまいました、日常系…!!
注意事項
・クロスオーバー
・クロスオーバーCPあり
・キャラ×オリキャラ、オリキャラ×キャラもあるかもしれない
・当方独自設定あり。矛盾することもあるかもしれない
・キャラ崩壊あり
・キャラの裸族化、不憫化などもあり
・作者が夢女子でもあるので夢っぽい要素(キャラ←←作者)が出てくる。テンションがおかしくなったら大変なことになるので注意
・時々シリアスもあり
・時々キャラ掴めてないかもしれない
・荒らしなどはご遠慮ください。
※スマブラに関して
原作をプレイしていないキャラクターが多々いるためキャラの設定が公式設定と矛盾する可能性大(一応調べます…)
こんな感じの注意事項で『大丈夫だ、問題ない』な方はどうぞお楽しみください!
そうでない方は注意してくださいませ。
タグ
スマブラ、刀剣乱舞、艦これ、アズールレーン、フラワーナイトガール、戦艦少女R、文豪とアルケミスト、しんけん!!、夢王国と眠れる100人の王子様、茜さすセカイでキミと詠う、オトメ勇者、フードファンタジー 、Fate/Grand Order、ポケットモンスター、ボーカロイド、Identity_V、ダンガンロンパシリーズ、School Days
目次
『始まりの158』 >>1-3
『魔法少女騒動〜少女とは言ってない〜』 >>6-9
『小さなお宿-前編-』 >>15-20
『小さなお宿-後編-』 >>21-28
『甘くて美味しい果実』 >>29-35
『うちの長曽祢さんがこんなにも可愛い!!〜ただの主張だ気にするな〜』 >>36-40
『虎と春』 >>46-57
『たまにはきちんと歓迎会を!』>>58-63
『信頼した結果-1-』 >>69-75
『信頼した結果-2-』 >>79-85
『信頼した結果-3-』 >>86-92
一振り目と二振り目の呼び方一覧 >>93
『桜よ、彼女を攫わないで』 >>94-96
『バグにも種類がありまして!?』 >>97-101
『恋に落ちないなんてできなくて』 >>105-111
『練習、裸族講座!』 >>112-116
『悪魔の城は崩れない』 >>121-126
『悪魔の城は崩れ始める』 >>136-140 ※140はおまけになります
『悪魔の城は崩壊す』 >>148-155
∟闇の御子の情報 >>156
『VS闇の御子』 >>160-163
∟厄除けの宝玉の情報 >>164
『赤ずきん☆ラグナス』 >>167-171 ※天悪さんとのコラボ!
『赤い花騎士と銀の騎士』 >>178-179
『私が教えるよ』 >>182-184
『コピペSS』 >>185-186
『癒しとカオスと歓迎会』 >>190-197
『六月の花嫁たち』 >>202-209
『七夕は奇跡に染まり』 >>214-217 ※天悪さんとのコラボ!
『お嬢様()な交流会』 >>221-224 ※天悪さん、琴葉姫さんとのコラボ!
『緊急特番()!刀剣乱舞の大盤振る舞い』 >>229-233
『忍び寄るは光の信者』 >>239-244
『南の島、砂浜騒動!?』 >>248-252
『子どもビーチは危険がいっぱい!〜王様は保護者〜』 >>259-263
『私たちは、きっと。』 >>270-274
『解き明かせ、真実! 1』 >>281-286 ※286はおまけです
『解き明かせ、真実! 2』 >>291-297
『解き明かせ、真実! 3』 >>300-304
『VS神殺しの蟲』 >>307-313
∟神殺しの蟲情報 >>314
『出会いは夢の中にて(第一印象は考えないものとする)』 >>317-321
『ちびノブのお仕事!』 >>324-328
『【柊「空を見上げて『バカな…早すぎる…』ってつぶやいたら」】 >>334-335
『新年は新ジャンルと共に!』 >>340-346
『甘い束縛』 >>352-353
『メンヘラマネジメント』 >>356-358
『にっかりファンタジーUDON』 >>362
『コピペSS、おかわり!』 >>363-365
『手を振り解かれ、手を取って。』 >>369-374
『それぞれの決意と忠義』 >>378-383
『扉問答』 >>390-394
∟ねこじぞーの情報 >>395
『水無月祭の出会い』 >>401-403
『コピペSS、もういっちょ!』 >>408-410
『Real or Dream』 >>411-417
『幼児化☆パニック!』 >>422-428
『似てない二人』 >>434-436
『凄惨なる宴』 >>441-446
『雪の別離』 >>449-452
『年末だ!コピペSS!』 >>453-455
『新たな邂逅』 >>458-462
『決戦前〜医師の罪〜』 >>465-468
『決戦前〜泥棒の偽善〜』 >>469-471
『決戦前〜弁護士の覚悟〜』 >>474-477
※477はおまけです
『決戦前〜庭師の想い〜』 >>480-483
『エイプリルフールで嘘予告SS』 >>486
『決戦前〜学生組の会議!〜』 >>487-489
『レオ・ベイカー奪還戦・1』 >>497-500
『レオ・ベイカー奪還戦・2』 >>504-507
『レオ・ベイカー奪還戦・終』 >>511-514
『やっとできるね! 歓迎会』 >>517-522
『異世界にて、恋に出会う』 >>525-527
『コピペSS、いつつめ!』 >>530-532
『オリキャラご紹介その1』 >>535
『いっそ『大嫌いだ』と思えたら』 >>536-543
※543はおまけです
『困りごとはきっかけ』 >>546-548
『本気になったのはどちらだったのか』 >>549-550
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.104 )
- 日時: 2020/04/04 00:15
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)
アブラナ「コメント返信よ」
葉月さん
バグでてんやわんやしてましたwww
女体化、幼児化バグは確かによく見ますよね!
村正「ワタシはいつでも安定してマス!!」
柊「性癖、たまには不安定になってもいいんやで???」
村正「安心してください、なりませんので」
柊「なって(真顔)」
蜻蛉切(胃がキリキリしてる)
長曽祢さんと蜂須賀と浦島くんに手を出したら、いくら何でも許さなくていいよね感ありまして←
柊「別に他の子たちがどうでもいいと言うわけではないんです、刀派虎徹と虎徹…?がつい優先されてしまうだけで…」
蜂須賀「俺が裸族になったらどうす」
柊「はっちー、それは冗談でも言うんじゃない(真顔)」
蜂須賀「あっごめん」
女子も対象になったら本当にやばいじゃないですかwww私引きこもりますwww
あ、二振り目たちは山切以外幼児化してないんです…!!
柊「ただコメント見て幼児化するのもありかなと思いましたね」
きよ「え?」
和泉「や め ろ」
琴葉姫さん
わー!! 前の話のコメントもありがとうございます!!
柊「マールーシャさんどうどうどう」
陸奥守「マールーシャ殿は馬じゃないぜよ」
柊「せやな。まあでもネット情報に踊らされまくる人ってやっぱりいますからねぇ…どうしてどっちの山姥切も厄介な人間に好かれてしまうん???」
ゼッさん、言い分スルーは正解ですぜ…!!
正直、そねが灰色、赤目になったのは趣味ってのもありますが…ここだけの話、そねだけガチで堕ちかけです(!?)元の本丸で努力しているのに報われるどころか次々否定され、どうすれば認めてくれるのか、そもそも何をやっても認めてくれないのならばやり直したい、と思い続けた結果堕ちかけという設定です(!?!?)
推しを愛でたいけど時々クソ重設定背負わせたい病の審神者は私です←
柊「私がくそ意気地なしってだけなんでぶっちゃけそれぞれが『山姥切国広』『山姥切長義』だって忘れなければいいと思うんですよ…」
堀川「二振り目の兼さんがカッコいい(天仰ぎ)」
柊「急に出てくるのやめよ???」
瑠璃溝隠はTwitterの鍵垢でも呟きましたがロベリアの和名です。花言葉も『悪意』のみで選出しました←
柊「ロベリア、花騎士にもいるんでちょっと悩んだのは内緒です」
席も瑠璃溝隠側が『山姥切国広への冷遇疑惑がある、それに関しての通報が何件か来ている審神者』でしたのでやべーのも無理はないです←
政府としても『今回の演練で本性炙り出して一掃すんぞ』という心意気の元開催されたものでした←
花村「ありがとう!! 何をするつもりかは分からなかったけれど、あの先にリンちゃんがいたんだね…! 良かった、間に合って!」
太子「裸族は正義、はっきり分かるな」
長義「変質者の間違いでは???」
南泉「リンを守ったのは評価すっけどそれ以外できねえ、にゃ」
柊「あの後、私はこってり演練メンバーに絞られましたとさ!!!解せぬ!!!」
陸奥守「当然じゃべこのか」
秋田「解してください!!」
堀川「本当なら本丸全員から説教受けてもおかしくないんですよ???」
山伏「主殿は少し無理をしすぎる(真顔)」
御手杵「そうだぞ。ずれてたら失明だぞ」
石切丸「あの説教では分からなかったかな?」
柊「サーセンっしたぁ!!」
山切「ありが、とう。ここは、あたたかい、ぞ」
リン「ファンのみんなは民度激高なので!!←」
柊「不ネリ、喜んでいただけで何よりですーーーーーーー!!!!!」
サクラ(花騎士)「そちらの私もそうよね、私はネリネちゃんを拐ったりしませんからね〜」
柊「知ってる」
ネリネ「か、可愛いでしょうか…?えへへ、ありがとうございます!」
全裸バグ、本当にどうしてこうなっちゃったんでしょうねwww(書いた張本人)
柊「マツバボタンはあの後、記憶をなくしておりました。夢ってことにしときました」
前田「ですが僕の不手際でしたので夢の中と言えど、と付け加えて謝罪致しました」
村正「主、褒められましたよ! 嬉しいデスね!!」
柊「ほんまそういうとこやぞ村正〜〜〜〜」
以蔵「解せん」
エミヤ「解せぬ」
※他の所から来て全裸バグ発生したの三人だけでした←
アッ…その…ミクの恋人…そんなあの…シリアスですので…!!←
柊「あの時の私は、無限の剣製をぶっ放せると思いました、まる」
花村「死んじゃうかと思いました、まる」
太子「でも刀剣男士の裸族を諦めません、まる」
柊「」(般若顔)
例の後日談も頑張ります!
コメントありがとうございました!!
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.105 )
- 日時: 2020/04/04 12:55
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)
恋に落ちないなんてできなくて
「じゃあいってきまーす!」
「レッスンまでには戻りなさいよー?」
「うん!」
緑のツインテールを揺らし、マンションの共有くつろぎスペースにいたMEIKOに手を振ってミクは出かける。その足取りは軽く、彼女の脳内には今一人の男性しか存在していない。
少し早歩きで、待ち合わせ場所の駅前に着けば、よく待ち合わせ場所に指定される音符像の前に立つ。彼はよく待ち合わせに遅れてくるがそれでも愛しさが勝った。
今か今かとそわそわしていれば、こちらに手を振る男が一人。彼が今ミクと付き合っている男性であり、ミュージシャンをしているバジラと言う。
そもそもアイドルが恋愛していいのか、と言われればNOかもしれないが、こちらではボーカロイドに属するアイドルたちはMEIKOとKAITOのカップルにより恋愛を容認されていた。だから他のアイドルから『羨ましい』とか『私もそっちの事務所に行けば良かった』も言われることも少なくなかった。
「悪い、待った?」
「ううん、全然! 早く行こっ!」
「あはは、はしゃぐなよー」
「えへへ、ごめんね」
バジラはミクの頭を撫でて笑う。その笑顔にミクはときめいてしまう。最初は何とも思っていなかったが、仕事が少しずつ被るようになり、彼からのアプローチによって彼に惹かれ、付き合うようになった。
周りからは注目を浴びてしまうが、それもミクは気にならない。幸せの絶頂とはこのことだろう。
「MEIKO姉、ミク姉は?」
「あらリン。あの子ならまたデートよ」
「そっかー。……大丈夫かなぁ」
「何が?」
「あー……噂なんだけどね? バジラってさ、
女の子取っ替え引っ替えしてるらしいんだよね」
楽しい時間はあっという間に過ぎる。ピピピ、というアラームの音にミクは慌ててスマホを取る。
「あ、ごめんねバジラくん。もうレッスンだから行かなきゃ……」
「ええ? これからもっと楽しいところ行こうと思ってたのに……ねえ、一回くらいサボったってミクの歌声もダンスも悪くならないって。サボろ?」
「ううん、ダメだよ! もっともっと上手くなりたいから……今度、必ず行こう、ね?」
「……分かった」
「じゃあ、またねバジラくん! あ、そうだ!
大好きだよーっ!!」
走りながら恥ずかしげもなくそう叫んだミクは手を振りながら帰っていく。そんなミクをバジラも笑顔で手を振りながら見送っていた……が、ミクが見えなくなると笑顔を消してスマホを取り出し、操作して耳に当てた。
「あ、もしもし? うん、俺だよ、バジラ。
ねえ、これからデートしない?
ん? あはは、やらしいことなんて考えてないって。ほんとほんと。でも、『アヤ』がそうしてほしいならそうしてあげるよ?
……オッケー、じゃあ今から迎えに行くよ」
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.106 )
- 日時: 2020/04/04 13:00
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)
一週間後。スケジュールが埋まり、バジラになかなか会えないミクはこっそりとバジラの家の近くまで来ていた。所謂「来ちゃった」をしようとして。
迷惑かもしれないとは思ったのだが、ほんの少しだけでも話したいという気持ちが勝ってしまった。
ふと、ミクの目にバジラが映る。
「あっ! バジラく……え?」
確かに、バジラだ。その隣を、見知らぬ女性が歩いていた。明るい茶髪に、化粧をした派手な美人。
それだけならまだ家族なのかな、と思えたけれど、女性は自分の腕をバジラの腕に絡め、しなだれかかっている。
「ねえバジラぁ、またホテル行くのぉ? どうせならバジラの家の方がいいなぁ」
「いいじゃん別に。たっぷり可愛がるからさ」
「うふふ、じゃあ私もたっぷり愛してあげる」
甘い声で愛を語らい、往来にも関わらずキスをし出した。頭を鈍器で殴られたような衝撃を感じ、つい手に持っていたバッグを落とす。その音を聞いてようやく二人はミクに気づいたらしい。
けれど驚いていたのも一瞬、女は一切気にせずバジラにくっついたままだ。
「ねえバジラ、あの子、初音ミクよね? どうしたのかしらぁ?」
「……知らねっ。そもそも、俺、初音ミク好きじゃないんだよなぁ」
「……え?」
「くすくす、どうしてぇ?」
「だって天然ぶってウザいんだよ。お前に比べたら芋もいいところだし」
「あははっ、可哀想よぉ! 事実でもっ!!」
「っ……」
息ができない。苦しい。
気付けばミクは走り出していた。二人の笑い声を背にして。
ふぅ、と息を吐いてイソップ・カールは夕方の帰り道を歩いていた。元の世界でも納棺師をしていた彼は柊の紹介でこちらでも納棺師として働いていた。とは言え、基本的に一人でやっているが。
今日は災難だった。仕事仲間と故人と会いたいという遺族がいるからと立ち会えば最初こそ泣いていたが徐々に遺産を巡る争いになっていった。大人たちは醜く争うし、子どもたちは泣いて大混乱。あれは葬式の際も、終わった後も絶対争うなと思いながら肩を揉む。
「故人が眠っている隣で、あんな醜い争いやめてほしいですね……全く」
故人は安らかに眠るべきだ。なのにあんな醜い争いを真横でやられては安心して眠ることすらできないだろう。大泣きするならまだしも、遺産で。重要性は分かっているがせめて取り繕うべきだろうに。
ふと人気のない公園のベンチで、見知った髪色と髪型をした少女を見かけた。彼女は顔を伏せており、時折嗚咽が聞こえる。
普通ならば「どうしたんだろう」と思うところではあるが今のイソップには『うわぁタイミング悪い』としか思えなかった。そもそもイソップは生きた人間が苦手なのだ。社交恐怖は伊達じゃない。
とは言え。今この場にいるのは自分一人。その上、人気のない公園。もうすぐで辺りは暗くなる。そんな状況の中、【アイドル】である彼女を放っておくのはあまりにも危険だし、何かあったら寝覚めが悪い。生きた人間が苦手でも、さすがにそこまで非情ではない。
またふぅ、と息を吐いて公園に入っていく。近付けば近付くほど嗚咽がよく聞こえるようになる。本当に何故このタイミングで会ってしまったのだろう。
「どうしたんですか?」
「ぐすっ……イソップ、くん?」
「もうすぐ夜ですよ。帰らないと」
「あ……どうしよう、レッスン……」
「とりあえず、連絡入れたらどうですか? すぐに帰るからと」
「うん……」
ミクはどんよりとしたままスマホを持とうとしたが、手が震えている。画面を開けないようだ。それにはあ、とまた息を吐けばミクからスマホを取る。
「ロックナンバー、教えてもらえますか」
「え……」
「後で変えてくださいね」
「う、うん……」
ミクが言うロックナンバーを打ち込む。開いた画面の受話器のアイコンを押してミクに手渡した。ミクはそのままスマホを操作してから耳に当てる。
「……もしもし、MEIKO姉? うん、うん……ごめんね、レッスン行かなくて……うん、うん。
すぐに帰るから。うん、じゃあ……」
通話は切れたようだ。ぐす、と鼻を鳴らす彼女は立ち上がる素振りを見せない。
「で、何かあったんですか」
「っ……う、う〜っ……!! イソップくぅ〜ん!!!」
「うわ、抱きつかないで……!! ちょ、ほんと離れてくださいっ……!!」
イソップの社交恐怖はアイドルであろうと発揮される。とは言え無理やり引き剥がすことはしない。
ぐすぐす泣き続ける彼女の頭を恐る恐る撫でてなるべく穏やかな声で問えば、彼女は途切れ途切れに話し出した。
バジラに浮気されていたこと。その浮気相手の目の前でひどい言葉を投げられたこと。そんな二人に、逃げてしまったこと。
「私っ、私……本当に、好きだったの、本当に……」
「そうですか。バジラ、でしたか。
もうそこまで言われたらさすがに嫌いになったのでは?」
「……」
「え、まさかまだ好きなんですか」
「分かんない、分かんないよ……。好きなのか、嫌いなのか……ううっ……」
「……そうですか」
正直、イソップにはミクの気持ちは一切分からなかった。そこまで言われて好きか嫌いか分からないなど。
けれど、一つだけ分かることはある。
「初音さん」
「……?」
「なんか、ぎゃふんと言わせてやりたくありません?」
「え?」
「正直そこまで言われて、悔しい気持ちがないとは思えないんですよね。だから、僕が協力しますよ。
ところで社交ダンスの経験は?」
「えっ?」
「ないならないでいいですが、そうですね、一ヶ月後くらいまでにはマスターしてください。
社交ダンス……あっ、しんど……けど仕方ない……とりあえず後で社交ダンスを教えてくれそうな人に連絡させますので、マスターしてください」
「えっ? えっ?」
「何か質問は」
「たくさんあるよ?」
「一つにしてください」
「ええ……じゃあ、なんで社交ダンス?」
「ぎゃふんと言わせるのに必要だからです」
「何も分からない……」
困惑するミクを置き去りに、イソップはハンカチを差し出す。ミクがイソップとハンカチを交互に見た。
「目、赤く腫れてますから冷やした方がいいです。ハンカチ貸しますから」
「あ、ありがとう……濡らしてくるね」
そう言ってようやく立ち上がったミクは離れた場所にある水道へと歩いていった。
これなら少しの間は時間があるし、【好都合】だ。
先ほどミクのスマホを見た時、バジラからメッセージアプリでメッセージが来ていた。最後に来ていたメッセージは【無視してんじゃねえよ】というものだった。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.107 )
- 日時: 2020/04/04 13:05
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)
ミクのスマホにロックナンバーを入力し、メッセージアプリを開き、バジラの名前をタップする。
『さっきはごめんね、あの人の前であんなこと言って。でも俺が好きなのはミクだけだよ』
『ミク?怒ってんの?』
『無視しないで』
『ちょっとした冗談だろ』
『あーはいはい嘘だよ。全部思ってたことだよ。ガキかよてめえ』
『だいたいデートも何回かたかがレッスンで切り上げやがって』
『ちょっと可愛いからやらせてくれたら本命にしてやったのに』
『今からでも遅くないけど?』
『俺の本命になれんなら一回くらい安いもんだよ?』
『無視してんじゃねえよ』
「うわあ殺意湧きますね」
思わず呟いて、一瞬考える。まあいいか、なんて考えながらメッセージを打ち込む。
『その自意識過剰なんとかした方がいいですよ』
メッセージを送って即ブロック、即連絡先削除。そしてスマホを元に戻す。これがミクのためだ。
はっきり言おう。正直あの遺族たちの鬱憤も溜まっていたので勝手に発散しただけである。
それにしても、実に”タイミングが良い“。あのバジラにぎゃふんと言わせる機会が来るとは。バジラにはイソップもそれなりに腹を立てていたことがある。ミクの復讐も兼ねれば構わないだろう。
「イソップくん」
「戻りましたか。もう少し目を冷やしてから行きますか?」
「……うん。じゃあイソップくん、また」
「え、なんでそうなるんですか」
「え?」
「いくら何でも女性をこんな人気のない、それも夜近くに置いていくほど僕人の心がないと思われてるんですか?」
「それって」
「送って行きますよ。良いタイミングで声をかけてください」
そう言ってイソップは黙って空を見上げた。だから気づいていない。
その優しさがミクの涙腺を刺激したことなど。けれどまた泣いて目を腫らしてはいけないと我慢していることも。
「(バジラくんは、送ってくれたこと、なかったな)」
レッスンで切り上げた日は仕方なかった。けれどそれ以外も全く送ってくれたことはない。でもそれが普通だと思ったから、何も言わなかった。
「(バジラくんは、きっと送って行かないタイプだったんだ。仕方ないよね)」
それなら仕方ないと、また自分の気持ちを飲み込んだ。
- Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.108 )
- 日時: 2020/04/04 13:11
- 名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)
翌日。ミクは集まった面々に緊張を隠せないでいた。
「今日から一ヶ月、よろしくねミクさん」
FGOのマリー・アントワネット。
「緊張しなくてもよろしくてよ? ダンスは楽しくやらなくては」
第五人格の血の女王、もといこちらもマリー。
「マリーさん(第五)の言う通りよミクちゃん!
まずは緊張をほぐすためにお茶でもしましょうか」
ピーチ姫。
「私も参加させていただくことになったんだ。よろしくお願いするよ」
シュヴァリエ・デオン。
本物の貴族たちを目の前にしたミクが緊張するのも無理はない。イソップは確かマリー(第五)に声をかけたと言っていたし、彼女からしか連絡は来ていない。余談だが、これがスマブラ勢でまともな初登場である。
何故、と混乱しているとピーチがごめんなさい、と謝ってきた。
「マリーさん(第五)から聞いて、私たちも協力したいって思ったの」
「そんな酷い人、許せなかったもの!」
「私も許せなくてね。それに、社交ダンスと言うなら男性役も必要だと思ったんだ」
「皆さん……ありがとうございます!」
ミクが頭を下げればいいのよ、気にしないで、とそれぞれ声をかけてきてくれた。この好意を、無駄にはできない。
ミクは、その日から社交ダンスを練習を始めた。
マリーたちやピーチから手本となるダンスを見せてもらい、それをデオンを相手に練習していった。
「そう、その調子。やはりキミはアイドルともあって、ダンスは飲み込みが早いようだね」
「え、えへへ……あっ!」
褒められて油断していたら、デオンの足を踏んでしまった。慌ててごめんなさいと謝れば大丈夫、と微笑まれる。
「本番で相手の足を踏んでしまっても慌ててはいけない。慌ててもっと大きな失敗をしてしまえば、相手にも恥をかかせることになってしまうからね」
「は、はい!」
「二人とも、そろそろお茶の時間にしましょう」
ピーチから声がかけられ、返事をする。デオンは少しだけ気まずそうだが。
一度ダンスをやめてそちらに行けば、特徴的すぎる鼻をした、赤い帽子と青のオーバーオールの世界一有名な配管工がいた。
「マリオさん!?」
「やあミクちゃん。頑張っているね」
「どうして……」
「ピーチ姫から聞いてね。ボクも何かお手伝いできないかなって。紅茶を淹れに来ることくらいだけど……」
どうぞ、と椅子を引かれてそこに座る。そして手慣れた様子で紅茶を淹れ始めた。
「ミクちゃんはミルクティーにするかい?」
「あっ、いえ、皆さんと同じで……」
分かったよ、と返事を返した彼はすでに温めていたカップに紅茶を注ぐ。ふわりと紅茶のいい香りがした。
出された紅茶を一口飲む。それだけでホッとできる。
「美味しいです……」
「そうでしょう? マリオの淹れてくれる紅茶はとても美味しくて、いい香りなの」
「ルイージには負けます」
「ふふ、そうかもしれないけれど、私にとってはマリオが淹れてくれたって言うのがポイントなのよ? ルイージの紅茶も美味しいけれど、そこは彼ではできないでしょう?」
「はは、ボクは本当に姫に愛されてるなぁ」
穏やかに話す二人に、ついミクはバジラを思い出す。もっと分かり合えていれば、こうなっていたのかな、なんて。
「ミクちゃん?」
「っ、あ、すみませ……」
「ミクちゃん。キミは何も悪くないんだよ」
「え……」
「マリーさん(第五)から聞いたんだ。キミは何も悪くない。気にしないでというのは難しいかもしれないけど、あの人のことでキミが悩む必要はないよ」
「……はい」
ミクは泣き出してしまう。それを全員が優しく慰めてくれた。
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