二次創作小説(新・総合)

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綴られし日々-作者とキャラの日常-
日時: 2022/11/28 20:05
名前: 柊 (ID: y98v9vkI)

ついに手を出してしまいました、日常系…!!

注意事項
・クロスオーバー
・クロスオーバーCPあり
・キャラ×オリキャラ、オリキャラ×キャラもあるかもしれない
・当方独自設定あり。矛盾することもあるかもしれない
・キャラ崩壊あり
・キャラの裸族化、不憫化などもあり
・作者が夢女子でもあるので夢っぽい要素(キャラ←←作者)が出てくる。テンションがおかしくなったら大変なことになるので注意
・時々シリアスもあり
・時々キャラ掴めてないかもしれない
・荒らしなどはご遠慮ください。

※スマブラに関して
原作をプレイしていないキャラクターが多々いるためキャラの設定が公式設定と矛盾する可能性大(一応調べます…)

こんな感じの注意事項で『大丈夫だ、問題ない』な方はどうぞお楽しみください!
そうでない方は注意してくださいませ。

タグ
スマブラ、刀剣乱舞、艦これ、アズールレーン、フラワーナイトガール、戦艦少女R、文豪とアルケミスト、しんけん!!、夢王国と眠れる100人の王子様、茜さすセカイでキミと詠う、オトメ勇者、フードファンタジー 、Fate/Grand Order、ポケットモンスター、ボーカロイド、Identity_V、ダンガンロンパシリーズ、School Days

目次
『始まりの158』 >>1-3
『魔法少女騒動〜少女とは言ってない〜』 >>6-9
『小さなお宿-前編-』 >>15-20
『小さなお宿-後編-』 >>21-28
『甘くて美味しい果実』 >>29-35
『うちの長曽祢さんがこんなにも可愛い!!〜ただの主張だ気にするな〜』 >>36-40
『虎と春』 >>46-57
『たまにはきちんと歓迎会を!』>>58-63
『信頼した結果-1-』 >>69-75
『信頼した結果-2-』 >>79-85
『信頼した結果-3-』 >>86-92
一振り目と二振り目の呼び方一覧 >>93
『桜よ、彼女を攫わないで』 >>94-96
『バグにも種類がありまして!?』 >>97-101
『恋に落ちないなんてできなくて』 >>105-111
『練習、裸族講座!』 >>112-116
『悪魔の城は崩れない』 >>121-126
『悪魔の城は崩れ始める』 >>136-140 ※140はおまけになります
『悪魔の城は崩壊す』 >>148-155
∟闇の御子の情報 >>156
『VS闇の御子』 >>160-163
∟厄除けの宝玉の情報 >>164
『赤ずきん☆ラグナス』 >>167-171 ※天悪さんとのコラボ!
『赤い花騎士と銀の騎士』 >>178-179
『私が教えるよ』 >>182-184
『コピペSS』 >>185-186
『癒しとカオスと歓迎会』 >>190-197
『六月の花嫁たち』 >>202-209
『七夕は奇跡に染まり』 >>214-217 ※天悪さんとのコラボ!
『お嬢様()な交流会』 >>221-224 ※天悪さん、琴葉姫さんとのコラボ!
『緊急特番()!刀剣乱舞の大盤振る舞い』 >>229-233
『忍び寄るは光の信者』 >>239-244
『南の島、砂浜騒動!?』 >>248-252
『子どもビーチは危険がいっぱい!〜王様は保護者〜』 >>259-263
『私たちは、きっと。』 >>270-274
『解き明かせ、真実! 1』 >>281-286 ※286はおまけです
『解き明かせ、真実! 2』 >>291-297
『解き明かせ、真実! 3』 >>300-304
『VS神殺しの蟲』 >>307-313
∟神殺しの蟲情報 >>314
『出会いは夢の中にて(第一印象は考えないものとする)』 >>317-321
『ちびノブのお仕事!』 >>324-328
『【柊「空を見上げて『バカな…早すぎる…』ってつぶやいたら」】 >>334-335
『新年は新ジャンルと共に!』 >>340-346
『甘い束縛』 >>352-353
『メンヘラマネジメント』 >>356-358
『にっかりファンタジーUDON』 >>362
『コピペSS、おかわり!』 >>363-365
『手を振り解かれ、手を取って。』 >>369-374
『それぞれの決意と忠義』 >>378-383
『扉問答』 >>390-394
∟ねこじぞーの情報 >>395
『水無月祭の出会い』 >>401-403
『コピペSS、もういっちょ!』 >>408-410
『Real or Dream』 >>411-417
『幼児化☆パニック!』 >>422-428
『似てない二人』 >>434-436
『凄惨なる宴』 >>441-446
『雪の別離わかれ>>449-452
『年末だ!コピペSS!』 >>453-455
『新たな邂逅』 >>458-462
『決戦前〜医師の罪〜』 >>465-468
『決戦前〜泥棒の偽善〜』 >>469-471
『決戦前〜弁護士の覚悟〜』 >>474-477
※477はおまけです
『決戦前〜庭師の想い〜』 >>480-483
『エイプリルフールで嘘予告SS』 >>486
『決戦前〜学生組の会議!〜』 >>487-489
『レオ・ベイカー奪還戦・1』 >>497-500
『レオ・ベイカー奪還戦・2』 >>504-507
『レオ・ベイカー奪還戦・終』 >>511-514
『やっとできるね! 歓迎会』 >>517-522
『異世界にて、恋に出会う』 >>525-527
『コピペSS、いつつめ!』 >>530-532
『オリキャラご紹介その1』 >>535
『いっそ『大嫌いだ』と思えたら』 >>536-543
※543はおまけです
『困りごとはきっかけ』 >>546-548
『本気になったのはどちらだったのか』 >>549-550

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.424 )
日時: 2021/09/06 22:45
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

 とりあえず。こうなった原因が分からない以上、どうしようもないわけで。柊本丸に入ればそれはそれはカオスであった。
「やすさだがたたいたぁ!!」
「きよみちゅがさきにたたいたんだもん!!」
「おかちあ! あにき! ごじぇんん! どこ! にゃあああ!」
「にいにい、にいにい!」
「うぇええん!」
 カオス。なんてカオス。人数こそ少ないが、そこそこ広めの部屋に集められていた幼児化した刀剣男士は余裕で十は超えていそうだ。
 しかも大抵泣いてる。ケンカしたり、兄弟刀、同派の刀たちから離されているせいで。燭台切光忠や小豆長光と言った幼児の扱いに慣れていそうな刀剣男士がいれば話は別かもしれないが……。
「あずくん、ぼくがいるからね、しんぱいしないでね」
「ぐすっ……ぐす……」
 なんでこの二振りも幼児化しているんだと頭を抱えた。はっきり言って結構頼りにしていたのだが。
「小豆と光忠はな、御手杵に善意という形で口にデザートを突っ込まれたんじゃよ……」
「なんだその口調」
「そして当の御手杵は赤ちゃんになってる」
「なんでだよ」
「我が伴侶候補ぉおおおおおおっ!!」
「うるさっ」
 勢いよく入ってきたのは、花騎士のアイビーだ。いつもはクールに振る舞う彼女(ただし厨二病である)。しかし伴侶候補と呼んでいるように想いを寄せている御手杵の変貌を見て完全に動揺が隠せていなかった。
「あ、ああ、な、なんて、なんてぷにぷにな姿にっ……!」
「せやな」
「伴侶候補っ……」
 アイビーが震える手を赤ん坊になった御手杵に近づける。それが目に入ったらしい御手杵が小さく丸くなった手で指をきゅっと握ってきゃっきゃっと笑った。
「……団長さん」
「なんぞ」
「この子は私が育てます」
「深呼吸して」
「キミはそれ言える立場ではないんだけどね????」
「長曽祢さんとそねは私が育てるって世界が決めましたぁーーーーーー!!!!!!」
「ちょっと何言ってるか分かんない」
 アイビー、柊、ゴルドルフの三人のコントじみたやりとりの中、咳払いをしたのはパトリシアだ。
「とにかく、みんなを元に戻す方法を探さないといけないわ。このままだと色々不都合が出るでしょう?」
「そうだな。マスターハンドとクレイジーハンドとやらに確認は取れないのか?」
「今、村正に確認しに行ってもらってるよ」
「なんで?????」
「いや、あいつなんだかんだ真面目だからね????」
「主、ただいま戻りました」
「ほういきなり全裸の男が真面目」
「いつ脱いだ!?!?!?!? おまっ、場合によっては通報案件だからなそれ!?」
「子どもの前で全裸も通報案件では?」
「門を潜ってからこう、しゅぱっ、とデス」
「ならいいか」
「良くない」
 子どもたちの目の前で全裸は教育上悪すぎるので(とは言え全員幼児化、乳児化しただけだが)服を着させてから話を聞く。
 曰く、原因はデザートに含まれていた特殊な薬で、別の神による悪戯なのだとか。しかもその神は痕跡を消すのに長けているのか殆ど手がかりが掴めない状態らしい。数日はかかるだろうがそれでも特定し、元に戻させることはできるだろうとのことだった。薬が切れるのを待つのも手だが、こちらも数日はかかるだろうし相手がまた同じように薬を、別の手口で仕込んでこないとは限らない。
 何にせよ、数日で戻るということにホッとしつつ、柊は頭を抱える。
「刀剣男士で幼児化、乳児化したのは長曽祢さん、そね、加州、安定、御手杵、治金くん、南泉、小豆、光忠、一期、鳴狐、明石、蜻蛉切、篭手切、南海先生に和泉を除いた二振り目のメンバーに、女士で一期、和泉守、鶴丸かぁ……まあ何とかなる……か?」
「サバイバーだと多すぎるし、ハンターたちも体調不良で手が借りられないからこちらに居てもいいかしら?」
「まあそれは仕方ないよねー。でも、ゴルドルフ所長。カルデアは重要なマスター二人がなったとは言え、サーヴァントの被害ゼロですよね? そっち行った方がいいんじゃ……」
「それはそうなんだが……ここぞとばかりに甘やかすのはまだいいとして、なんか、甘やかしすぎてむしろダメにしそうなサーヴァントとか、光源氏計画みたいなこと企ててるサーヴァントがいて怖い」
「「「「あー……」」」」
 きっと厳密には光源氏計画ではないのだろうけど。それでも「私がいないと生きていけないようにしてしまいましょう」みたいな、どこから見ても怖い計画を立てるのはいそうだ。百歩譲って計画立てすぎてそう見えるサーヴァント。
 ……そう考えると、立香と六花もこちらにいさせた方がいいのかもしれない。頷いておき、これからどうするかを考え始めた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.425 )
日時: 2021/09/06 22:50
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

 ……とにかく、幼児化したメンバーを一部屋に集めて面倒を見よう、ということで一度話は落ち着いた。きゃっきゃとはしゃぎ回る子ども。すやすや穏やかに眠る赤ん坊。これらが幼児化した顔見知りとかでなければ、あと自分たちが面倒見るわけでなければどれほど癒されることか。ゴルドルフははぁとため息を吐いた。
 長曽祢とそねの面倒を見る柊は死ぬほど幸せそうだし、蜂須賀はそわそわしているし浦島は交互に頬をぷにぷにと突いている。たまたま遊びに来ていた言葉も可愛らしいですね、と微笑んでいた。
「だめですー!! このおもちゃはつくってるとちゅうですー!!」
「すこしだけみせてくれたまえ」
「だーめーでぇーすぅ!! うわぁああん!!」
「こら、止めなさい……!! 返してあげなさい……!!」
「よしよし、泣かないで」
 好奇心のまま、アニーが作っていた玩具を取ってしまった朝尊をあわあわしながら叱る水心子と、泣き出したアニーを宥める清麿。
 そこにアニーの泣き声を聞いてガンジが飛んできて朝尊を突き飛ばして、小さくなって涙腺が緩んだらしい朝尊が静かに泣き出した。
「ふんっ、レスターをなかせるからだ」
「だからと言って乱暴は良くないわね」
 パトリシアがガンジにデコピンをする。とは言えかなり軽いものだったのだが……自分より小さいアニーを守っただけなのに叱られたというのがショックだったのか彼も泣き出してしまった。
 そこに白山が近付いていく。
「皆さま。一発芸をご覧ください」
 なんて???? 今近くに自分がいればそう突っ込んでいただろう。
 白山はすっと肩にいる白い狐を撫でた。狐がぱくぱくと口を動かす。
「おや」
「声が」
「遅れて聴こえて参ります」
 腹話術!? しかもそれなかなか懐かしいやつでは!? 大丈夫!? 通じる!? とゴルドルフが思うのも束の間、全員(+水心子)の目がキラキラと輝く。ネタが通じたわけではなさそうだが、万事良しとするべきか。
 視線を別に向ける。そこには江派の刀剣男士たちが赤ん坊になった篭手切を囲んで覗き込んでいた。
「かわいいね」
「うん、可愛い。いつもの篭手切も可愛いけれど、赤ん坊になるともっと可愛い」
「だな。五月雨と村雲ももっと構ってやれよ」
「いえ、私はこの位置で」
「お、俺もこの位置でいいや……ってちょ」
「あー、うー」
「雲さんに手を伸ばしてますね」
「なんでさ!? えええここは豊前じゃないの……!?」
「う、うー……!」
「あああもう泣かないでよ……うっ、お腹痛くなってきた……」
 村雲が抱き上げると泣きそうな顔が一変、花が咲いたような笑顔になって上機嫌なのが一発で分かった。それに影響されたのか、村雲も少しだけ驚いた顔をして、ふにゃりと笑う。
 次に手を伸ばしたのは五月雨。彼も驚いた顔をしたが村雲の手から五月雨に抱き上げられるとまた上機嫌に笑っている。それを全員に。
 ……一つだけ言うなら、通常の篭手切江が少年の姿でよかった。赤ん坊の頃からとんでもない顔面偏差値の高い男に囲まれていたらなんかいろいろ狂いそうだ。主に、美に対する価値観が。
 手伝いに来たらしいディプラデニアが顔を見せると今度はディプラデニアに手を伸ばした。困惑する彼女に抱かせればきゃあきゃあと喜んで、しっかりと服を掴んで離さない。困惑していた彼女だったがだんだんと顔が綻び、泣きそうになりながらぎゅう、と篭手切を抱きしめていた。
 大なり小なりトラブルがありつつも何とかなりそうか。そう思いながらゴルドルフが部屋を見渡せば、隅の方でぽつんと座り、大人しく絵本を読んでいる立香が目に入った。しかし時折キョロキョロと見渡し、年上の者をじいと何か物言いたげに見ては少し残念そうに目を絵本に落とす。
 それにはぁ、とため息を吐いて、近くでお絵描きをしていた六花の側から立ち上がる。六花がどうしたのと言いたそうに顔を上げたが視線の先を見て、スケッチブックを持って蜂須賀たちの元へ行ってしまった。その先でここでおえかきしていーい、と聞いている。……兄妹揃って空気を読むことに長けている。兄の方は不器用というか、あまりに長けすぎていてもはや甘え下手だが。
「藤丸立香」
「はっ、はい?」
「絵本を貸してみなさい、読んであげよう」
「……いいんですか?」
「今は子どもなんだから、存分に甘えたまえ。ほら、今読んでるものだけでいいのか? 私は寛大だからな、あと二、三冊くらいは読んであげようではないか」
「……!!」
 ぱぁ、と顔が明るくなる。んしょ、と立ち上がり、絵本を選びに行った。
 まあ、いつもは過酷すぎる戦いを強いている。……こういう時くらいは甘えさせねば、壊れてしまうだろう。そう思いながら小さい頃からこれならもう少し見ておかんと、と考えるゴルドルフであった。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.426 )
日時: 2021/09/06 22:55
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

 お昼が過ぎ、二時頃。手伝いに来る面々は少しずつ入れ替わる。それに幼児化したメンバーの中にはお手伝いを進んでやる子もいて、案外これなら平気だったかもなとライリーはしみじみ思った。
 絆されたはいいが(とうとう認めている)感情のまま面倒を見るなんて言って……ちなみに楽しんではいない。楽しんではいないのだ。そう、少しテンションが上がって紙芝居し始めようとした程度には楽しんではいない。
「やあ、皆さんが大変と聞いて馳せ参じたよ。私にも手伝わせてくれないかい?」
 少しキザな笑顔を見せたハバネロが赤い髪をふわりと払う。ここに彼女に心酔しまくる憲兵隊がいればはぁあんと感嘆のため息を吐いてぶっ倒れていたことだろうがここにはいない。しかし毎度毎度よくこんなキザな笑顔を浮かべるものだとライリーが少しため息を吐いた。
 するとハバネロがふと視線を他所に向けた。それを辿れば、ポカンとハバネロを見るピアソンがいる。
「……彼、ピアソンさんかい?」
「ああ、クリーチャー・ピアソンで間違いない」
「そうか、ありがとう」
 そう言って彼女はピアソンに近づいていく。ピアソンはポカンとしたままだ。
「やあ、初めまして。私は……」
「は……ハバネロさん……?」
「えっ?」
 つい固まってしまう。幼児化した面々に共通していたことだが、基本的には大人の時の記憶がない。刀剣男士は別のようだったがそれでも大半はないようなものだ。なのに、ピアソンはなぜハバネロの名前を? それ以前に、さんとは付けていなかったはず。
 そんな二人の疑問を他所に、ピアソンはぐしゃりと顔を歪め、泣き出して、ハバネロに抱きついた。
「っ、ハバネロ、さ、ハバネロさん、ハバネロさんっ……ひっ、ぐ、うあ、うわぁあああん……!」
 泣き出したピアソンにハバネロは困惑しながらも宥めた。そこに来て、ピアソンが泣いているのを見たエマが幼児特有のもらい泣きをしてエミリーも混乱しながら泣き出してしまって、少しその場は混乱した。











 ピアソンたちが泣き疲れて眠ったあと、ライリーは少しだけハバネロと話をし始める。
「……一応聞くが、幼い頃にクリーチャー・ピアソンとの交流はあったのか?」
「あるわけがないよ。私たちは別の世界の人間なのだから。……とは言え」
「ああ。容姿が似ていて、名前が同じ別人とは思い難い……」
「……一体どうして私の名前を……それに、どうして泣き出したのだろう……?」
「……考えても答えが出るわけではないと、分かっているんだがな……」
 ふぅ、と息を吐く。
 容姿が似ているのはまだ分かる。だが、名前まで同じとなると話は別になってくる。特にライリーたちの世界でハバネロと同じ容姿、同じ名前ならまずかなり浮くだろう。近所や行く先々でひそひそと話をされる程度だろうが。
 そこでゴルドルフからおやつだと声がかかり、中断せざるを得なくなった。泣き疲れていた三人も起こしてゴルドルフたちの元へ向かう。ただ、それ以降ピアソンはハバネロにべったりとくっ付いたままで、控えめながらも時折甘えていたのだった。

────────────────

 小さい頃から甘え下手過ぎるだろう! そう思いながらゴルドルフは目の前の立香に頭を抱えそうになる。
 立香の前には先ほど焼き直したパンケーキ。しかも、フィルムを外すとクリームが流れて模様が描かれるタイプにしたところ大好評。全員嬉々としてフィルムを外していたのだが……きよが転んでしまったのだ。
 パンケーキとクリームは床に散乱し、痛みと食べられない、そして自分だけがあのフィルムを外す楽しみがなくなったきよはショックで泣き出した。そこで立香がすぐに立ち上がって自分の分をあげる、と譲った。きよは泣き止み、笑顔でありがとう、と言って大和たちと食べ出したが、立香が少しだけ食べたそうにしていたから焼き直したのである。とは言え、きよに譲らなくても彼の分を焼き直すつもりだったが。
「全く、別に譲らんでも焼き直すつもりだったんだがね」
「……でも、ぼく、おにいちゃんだから。おにいちゃんはたくさんがまんするんだよ」
「お兄ちゃんなのは藤丸六花に対してだろう。兄だからと我慢なんてする必要はない」
「……」
 兄だからと我慢を強いられていたのかと思うがそれにしたって少々これは……。それに絵本を読む前は六花もなんだかんだ立香を気にかけていたようにも思う。
 一体何があればこうなるんだか。そう思いながら少しずつパンケーキを食べる立香を見ている。
 そうして、全員がパンケーキを食べ終えて片付けをし始める。幼児化した面々はうとうとしているが、立香を始めとする何人かは片付けの手伝いをしていた。
 そんな中、パリン、と音がした。そちらを見れば立香の前に割れた皿。立香は呆然と皿を見ている。大丈夫か、と声をかける前に立香が割れた皿を拾おうとした。
「やめんか!!」
「っ」
 咄嗟に怒鳴ってしまったが、立香が手を止める。
「大丈夫かい?」
「僕たちが片付けるから、立香は別のことを……」
 ホセとカヴィンがすぐに近づき、皿を片付けて始める。しかし、立香は顔を伏せていた。
「……めん……さ……」
「え?」
「ごめん……なさい……おさら、わって、ごめんなさい、ごめんなさいっ……」
 見れば、立香はぎゅっと目を瞑って涙を溢していた。……立香がこの姿になって初めて見せた涙だ。
 それを見たらしい六花がすぐに駆け寄り、立香をぎゅっと抱きしめたらだいじょーぶ! と言って頭を撫で始める。
 ゴルドルフもすぐに歩み寄るが……立香は気付いていないし、六花に至っては懐いていたゴルドルフを睨んだ。咄嗟とは言え、怒鳴るのは失敗だった。
「怪我は?」
「え……?」
「皿で指を切ったりはしていないな?」
「して、ない、です……」
「なら良し」
「え……」
「……りつかをおこらない?」
「怒らんとも。さっきは怒鳴ったが、あれは皿で指を切ってはいけないと思ったからだ。とは言え、すまなかった」
「……」
「ただな、今のお前たちは子どもなのだから。無理に自分でやろうとしたり、無理に我慢しなくてもいい」
「……うぇ……ひっく……」
 やっと、立香は声を出して泣いた。とは言えささやかな物だが……それでもだ。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.427 )
日時: 2021/09/06 23:00
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

 食べたら眠くなる、は本能だが幼児となるとそれに従いやすいらしい。あれだけ騒がしかった部屋は今や穏やかな寝息で静まりかえっている。
「いやはや、子どもの相手がここまで大変とはね」
「大家族の親には尊敬するな」
 ホセとカヴィンがそう言いながら眠る子どもたちを微笑みながら見ている。パトリシアは自分の服を掴んで離さないフィオナの頭を撫でていた。モウロはモウロで、赤ちゃんになっていたマイク、マルガレータと共に眠ってしまっているし、セルヴェとライリーは他の机で突っ伏していた。
 そんな中、柊とゴルドルフが戻ってくる。皿を片付けていた二人は破片が残っていないか短刀男士たちと入念に確認していたのである。
「お疲れ様」
「いや本当にお疲れなのだがね? 途中でなんか楽しくなったらしい今剣が『まだここにほこりがのこっていますよ!』とか言い出して悪ノリした面々が姑にいびられる嫁ごっことか始めるし……」
「ねえ長曽祢さんとそねは?」
「歪みないな〜〜〜〜〜〜〜〜」
「どちらもぐっすり」
 そう聞いた柊がそっと二振りに近付いていく。もう後ろ姿からめちゃくちゃ悶えてるんだろうなと分かるレベルで震え始めた柊を他所に、ゴルドルフは大きく息を吐いて座った。
 こんなに疲れるとは思っていなかったと考えていそうな顔についホセとカヴィンは苦笑いを浮かべる。気持ちは分かるが。
「ねえねえ」
「ん?」
「六花ちゃん、まだ寝ていないのかな?」
「早く寝なさい……」
 六花が三人にとてとてと歩み寄ってきた。ゴルドルフは心底疲れた様子で寝なさいと言うが六花は首を横に振った。
「んーん、ねて、おきたの。ゴッフおじちゃん、りつかおこらないでくれてありがと」
「ゴッフ呼びな上におじちゃん……ああもういいか……で、怒らないでとは?
もしかして兄というだけで両親が厳しく叱りつけていたとか?」
「んーん。パパとママ、そんなこといわないよ。いつも、おにいちゃんでもあまえていいんだよ、っていうよ。
でもね、ようちえんのせんせーたちがみーんなりつかにおにいちゃんだからっていうの」
 その言葉に、嫌な予感がする。それを感じたのか全員顔を強張らせている。
「おにいちゃんだから、がまんしなくちゃね、っていうの。りっかがおさらわっちゃったときにね、りつかにおこったの。
いじわるしたんでしょって。してないのに。ちがうっていったのに。だからりっか、せんせーたちきらい!」
 嫌な予感が的中した。あそこまでになったのは、よりにもよって幼稚園の職員たちが原因とは。多分、六花が言うこと以外にも立香に『兄だから』を理由にいろいろ我慢させていたに違いない。もはや、言葉による虐待かもしれない。
「でもね、パパとママにいったらね、ようちえんかわるんだって。だから、あのせんせーたちともうあわないの。
おともだちとはあえるの。すごいでしょ」
 えへんと何故か胸を張る六花。微笑ましくなってカヴィンが頭を撫でればさらに胸を張った。
 ……両親は味方でいてくれて何よりだ。
「それは良かったね。次はいい先生たちだといいね」
「うん! あ、りっかもっかいねるね」
 ザ・自由。いや、成長後もわりと自由だが輪にかけて自由だった。
 けれどとてとてと歩み寄って行ったのは立香の隣。そこに寝転がり、立香と向かい合う形でもう一度眠り始めた六花に本当に大好きだな、とゴルドルフは呟いた。











 とある空間。
「あっはははははははは!! 何これ楽しい〜!!」
 黒い肌をした、人とは思えぬ美貌を持った青年──ニャルラトホテプはそれはそれは愉しそうに笑っていた。その視界に映るのは柊本丸にいる幼児化した面々。
 ここまで来れば分かるかもしれないが、この騒動の原因はニャルラトホテプであった。
 暇で暇で仕方なかったニャルラトホテプはふと思いつきで姿形及び記憶が幼児化する薬をデザートに混ぜてそれぞれ目に付いたところにテキトーな数を送ったのである。
 暇つぶしでやったことがこんな結果になり、ニャルラトホテプは非常に上機嫌だった。
「どーしよっかなぁ〜。元に戻すの、なんか勿体無いなぁ〜。そうだ、ある程度経ったら他の手口でまた薬仕込んで、の繰り返しにしてみよっかな! しかも徐々に若返りが進んで、それに気付いたらどんな反応するんだろ!
あー楽しみだなぁ!」
「随分と愉しそうだな、貴様」
「そりゃもちろん! こんな楽しいこと……ん?」
 今、自分は誰と話している? そう考えながら振り向く。そこにいたのは、ハスターとイドーラ。
 二柱の存在を見たニャルラトホテプはぐにゃりと顔を愉快そうに歪めた。
「やあやあやあ! 違う世界のハスターとイドーラじゃあないか! どうしたの?」
「どうしたとは白々しい。分かっておろう」
「あはははは!! だよねぇ? お気に入りに手を出されてお怒りなんだろう?」
「そうとも。ただでは済まさんぞ」
「ただでは、ねえ? いいよ? かかっておいで? だけど……たった二人でボクに勝てるかな☆? いくら神格が同程度と言えどね」
「誰が二人と言った?」
「は?」
 ひゅ、と音がする。咄嗟に避ければ、そこには長い傘がある。そしてそれを持つのは白く細長い青年、白無常……もとい、謝必安しゃびあん
 再び音がしてそちらも避ける。次にいたのは、黒く細長い青年、黒無常……もとい、范無咎ふぁんうじん
「は……?」
「まったく、急に貴様らから毒を抜くと言われて深淵に頭から突っ込まされて……気が付けばここまで来てしまいました」
「何にせよ、貴様が元凶ならば……とっととケリを付けてやろう」
 目の前の二人も、多少ではあるが神格を有している……。白黒無常と呼ばれる故か。
 何にせよ、人型のニャルラトホテプはひくりと頬が引き攣るのを感じていた。
「ちょちょちょ!? 待った待った!! 四人はさすがに卑怯じゃない!?」
「卑怯も何もあるか、戯けめが」
「ボク一人な上に人型だよ!? 卑怯すぎない!?」
「まあ、自業自得ということで」
「なるべく一撃に近い形で仕留めてやる」
「范無咎は優しいですね……私は何度か痛めつけようと考えていましたよ」
「優しそうな方が怖いこと言ってる!!!!!!!!」
「謝必安は本気で怒るとこうだぞ」
「つまり本気で怒ってるわけかOK把握したくなかったよ!!
あーもう!! 戻せばいいんでしょ戻せば!!
明日の朝に戻るようにしてあげるよ!」
「ありがとうございます。それはそれとしてお仕置きとして少しばかり痛めつけますね」
「なんでよ!? あーもう、もう!! そんなこと言ったらボクも本気で抵抗するからなこの野郎!!!!!!」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.428 )
日時: 2021/09/06 23:05
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: bD140njr)

 朝。柊本丸に泊まって赤ん坊になった御手杵を面倒見ていたアイビーはふと目を覚ました。そしてすぐに起き上がり、眼帯を着ける。この眼帯は溢れ出る魔力を抑える重要な物(という設定)だ。眠る時は外すが起きたらすぐに着けねばならない。
「さあ我が伴侶候補、起きて今日、も゛っ!?」
「んぁ〜……? あいびぃ……?」
 隣にいたのは赤ん坊になった御手杵……のはずだった。しかし今隣にいるのは、上半身に何も着けていない、元の御手杵だった。
 のそりと御手杵が起き上がれば、意外とがっしりした体がアイビーの目の前に。
「んー……なんであいびーがいるんだぁ……? まあいいかぁ……」
「きゃっ!?」
 ころん、と御手杵がアイビーと共に再び布団に寝転がる。そのままふにゃりと笑う。
「もっかいねよーぜ……」
 瞬間、アイビーがいろんな意味で召されたのは何も言わないでおくとしよう。
 また、幼児化をしていた面々は女性以外は全員上半身裸で戻っており、共に眠っていた内の一人が大量出血したことをここに明記しておく。……主に、鼻からである。
 全員がその一人に対して言った。

──だから挟まる形で寝るなって言ったのに……。

と……。
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