二次創作小説(新・総合)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

綴られし日々-作者とキャラの日常-
日時: 2022/11/28 20:05
名前: 柊 (ID: y98v9vkI)

ついに手を出してしまいました、日常系…!!

注意事項
・クロスオーバー
・クロスオーバーCPあり
・キャラ×オリキャラ、オリキャラ×キャラもあるかもしれない
・当方独自設定あり。矛盾することもあるかもしれない
・キャラ崩壊あり
・キャラの裸族化、不憫化などもあり
・作者が夢女子でもあるので夢っぽい要素(キャラ←←作者)が出てくる。テンションがおかしくなったら大変なことになるので注意
・時々シリアスもあり
・時々キャラ掴めてないかもしれない
・荒らしなどはご遠慮ください。

※スマブラに関して
原作をプレイしていないキャラクターが多々いるためキャラの設定が公式設定と矛盾する可能性大(一応調べます…)

こんな感じの注意事項で『大丈夫だ、問題ない』な方はどうぞお楽しみください!
そうでない方は注意してくださいませ。

タグ
スマブラ、刀剣乱舞、艦これ、アズールレーン、フラワーナイトガール、戦艦少女R、文豪とアルケミスト、しんけん!!、夢王国と眠れる100人の王子様、茜さすセカイでキミと詠う、オトメ勇者、フードファンタジー 、Fate/Grand Order、ポケットモンスター、ボーカロイド、Identity_V、ダンガンロンパシリーズ、School Days

目次
『始まりの158』 >>1-3
『魔法少女騒動〜少女とは言ってない〜』 >>6-9
『小さなお宿-前編-』 >>15-20
『小さなお宿-後編-』 >>21-28
『甘くて美味しい果実』 >>29-35
『うちの長曽祢さんがこんなにも可愛い!!〜ただの主張だ気にするな〜』 >>36-40
『虎と春』 >>46-57
『たまにはきちんと歓迎会を!』>>58-63
『信頼した結果-1-』 >>69-75
『信頼した結果-2-』 >>79-85
『信頼した結果-3-』 >>86-92
一振り目と二振り目の呼び方一覧 >>93
『桜よ、彼女を攫わないで』 >>94-96
『バグにも種類がありまして!?』 >>97-101
『恋に落ちないなんてできなくて』 >>105-111
『練習、裸族講座!』 >>112-116
『悪魔の城は崩れない』 >>121-126
『悪魔の城は崩れ始める』 >>136-140 ※140はおまけになります
『悪魔の城は崩壊す』 >>148-155
∟闇の御子の情報 >>156
『VS闇の御子』 >>160-163
∟厄除けの宝玉の情報 >>164
『赤ずきん☆ラグナス』 >>167-171 ※天悪さんとのコラボ!
『赤い花騎士と銀の騎士』 >>178-179
『私が教えるよ』 >>182-184
『コピペSS』 >>185-186
『癒しとカオスと歓迎会』 >>190-197
『六月の花嫁たち』 >>202-209
『七夕は奇跡に染まり』 >>214-217 ※天悪さんとのコラボ!
『お嬢様()な交流会』 >>221-224 ※天悪さん、琴葉姫さんとのコラボ!
『緊急特番()!刀剣乱舞の大盤振る舞い』 >>229-233
『忍び寄るは光の信者』 >>239-244
『南の島、砂浜騒動!?』 >>248-252
『子どもビーチは危険がいっぱい!〜王様は保護者〜』 >>259-263
『私たちは、きっと。』 >>270-274
『解き明かせ、真実! 1』 >>281-286 ※286はおまけです
『解き明かせ、真実! 2』 >>291-297
『解き明かせ、真実! 3』 >>300-304
『VS神殺しの蟲』 >>307-313
∟神殺しの蟲情報 >>314
『出会いは夢の中にて(第一印象は考えないものとする)』 >>317-321
『ちびノブのお仕事!』 >>324-328
『【柊「空を見上げて『バカな…早すぎる…』ってつぶやいたら」】 >>334-335
『新年は新ジャンルと共に!』 >>340-346
『甘い束縛』 >>352-353
『メンヘラマネジメント』 >>356-358
『にっかりファンタジーUDON』 >>362
『コピペSS、おかわり!』 >>363-365
『手を振り解かれ、手を取って。』 >>369-374
『それぞれの決意と忠義』 >>378-383
『扉問答』 >>390-394
∟ねこじぞーの情報 >>395
『水無月祭の出会い』 >>401-403
『コピペSS、もういっちょ!』 >>408-410
『Real or Dream』 >>411-417
『幼児化☆パニック!』 >>422-428
『似てない二人』 >>434-436
『凄惨なる宴』 >>441-446
『雪の別離わかれ>>449-452
『年末だ!コピペSS!』 >>453-455
『新たな邂逅』 >>458-462
『決戦前〜医師の罪〜』 >>465-468
『決戦前〜泥棒の偽善〜』 >>469-471
『決戦前〜弁護士の覚悟〜』 >>474-477
※477はおまけです
『決戦前〜庭師の想い〜』 >>480-483
『エイプリルフールで嘘予告SS』 >>486
『決戦前〜学生組の会議!〜』 >>487-489
『レオ・ベイカー奪還戦・1』 >>497-500
『レオ・ベイカー奪還戦・2』 >>504-507
『レオ・ベイカー奪還戦・終』 >>511-514
『やっとできるね! 歓迎会』 >>517-522
『異世界にて、恋に出会う』 >>525-527
『コピペSS、いつつめ!』 >>530-532
『オリキャラご紹介その1』 >>535
『いっそ『大嫌いだ』と思えたら』 >>536-543
※543はおまけです
『困りごとはきっかけ』 >>546-548
『本気になったのはどちらだったのか』 >>549-550

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.84 )
日時: 2020/03/16 21:24
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: HLTL9ZJI)

 柊本丸、夜。預けられた山姥切国広は、堀川派の堀川国広、山伏国広、そして同じ個体である山姥切国広と同室で寝ることになった。
 ……ここでの生活は、一日も経たぬのに驚きの連続だ。特殊、とは言っていたがまさか別世界に存在していたとは。そしてポケモンなる生き物や、艦娘、真剣少女など山姥切国広には見たことも聞いたこともない人々との出会いがあって。……皆、山姥切国広に「よく耐えた」と言ってくれた。それでようやく、あの本丸の出来事が普通ではなかったのだと肯定されたような気がした。
「(温かい)」
 何もかもが温かい。これが普通の本丸だと言うのだろうか。だとするなら、あの本丸は異常だったのだろうか。……いいや、そうとは言い切れない。今はもうぼんやりとしているが、あの本丸にも確かにこの温かさはあった。
 ……どうして、ああなってしまったのだろう。自分がもっと、きちんと主張していれば良かったのだろうか。それとも、あの審神者の言うように、山姥切長義に感謝し、彼を敬いながら存在していれば良かったのか。
「……眠れないのか」
「!」
 こちらの山姥切国広と目が合う。こちらの山姥切国広は、確か国広と呼ばれていた。彼はじっと自分を見ている。
「……眠れないなら、少し歩こう。起き上がれるか?」
 国広が起き上がる。山姥切国広も起き上がって、山伏と堀川を起こさぬように廊下に出た。多少春めいてきたとは言え、まだ夜は冷える。少し待ってろと言われ、待っていれば国広は半纏を持ってきた。
 それを着て、二振りでゆっくりと歩く。今日は半月か、と思いながら月を見上げる。
「……ここのおれは、国広とよばれているんだな」
「ああ。だがな。本歌が来て少し、そうだな、三週間くらいだったか。それまでは、まんば、だの、山姥切と呼ばれていた」
「え」
「それがなくなった頃は、主は不慣れながらも俺を『切国』と呼んで、今では『国広』になった。……俺の主は、本歌との問題で非難の目を浴びるのが恐ろしかったんだ」
「……」
「ただ、俺はそれに不服など抱いていない」
「そう、なのか」
「ああ。……主も、ここの本丸の連中も、他の奴らも。俺を『山姥切国広』の国広として呼んでくれている。
和泉守だけは、『切国』呼びなんだが」
「……おれの、おれのほんまるの、和泉守も、おれを『切国』とよんで、くれるんだ。
なあ、本歌はなんと、よばれているんだ?」
「長義、だよ」
 後ろからした声に大きく体を震わせて振り返る。同じく寝巻きの山姥切長義が立っていた。
「なんだ、起きていたのか」
「そろそろ寝ようとしていたら、話し声が聞こえたんでね。で、そこの……あー……写しくん」
「な、んだ」
「俺も、この呼び方に不服はないよ。そこの偽物くん同様、ここの仲間たちは俺を『山姥切長義』の長義として呼んでくれているからね。
ただ知ってるか、偽物くん。主はこれで平等と考えているらしい」
「写しと偽物は違うがそうなのか。主らしい」
 長義と国広がくく、と笑っている。あの本丸では、想像すらできない光景だ。
「写しくん」
「なんだ……?」
「あの本丸の俺は、どうなっているんだ? いくら優判定を下したからとそれを覆すのを良しとせず放置しているわけじゃあるまい。
仮説ではあるが、あの審神者に問題があるね?
そう、例えば……」
 長義の話し始める『仮説』。それに山姥切国広は目を見開くしかできなかった──。







 同時刻、執務室。そこで陸奥守吉行と柊は向き合っていた。
「なんじゃ主」
「……むっちゃん。明日の演練のことでいくつか話しておきたいことがある。
まず第一に、明日の演練メンバー。部隊長はむっちゃんに頼みたい」
「! おお、任せちょけ!」
「隊員は、秋田藤四郎、堀川国広、山伏国広、石切丸、御手杵にしようと思っている」
「ん? ウチの初なんたら、のメンバーじゃの」
「……確実な勝利を手にするなら、いつものメンバーで行った方がいいんだけど。正直腹立ったからうちの本丸の絆とやらでも見せてやろうかと」
「がっはっは! 主らしい!」
「それと。……前田くんから連絡が入った。
やはり、って訳でもないけど相手は山姥切国広を切り捨ててそのまま逃げようとしている動きを見せているらしい」
「!!」
「まあだからこその前田くんだ。彼なら穏便に相手を引き摺り出してくれるだろう。
……あと、和泉守兼定が蔵に閉じ込められているらしい」
「なっ!?」
「彼曰く、山姥切国広を逃した罰だそうだ。だから和泉守兼定が演練に出る可能性はゼロと見ていい」
 その報告に陸奥守はぎり、と歯を食いしばった。
「……むっちゃん、実は今から言うことが一番頼みたいことなんだ。
明日の演練、おそらく──」

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.85 )
日時: 2020/03/16 21:40
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)

 前田は審神者に与えられた部屋をこっそり抜け出して、本丸の様子を見ていた。前田が立候補した理由は主に三つ。
 まずは極短刀であるが故に隠れたり、偵察は得意だ。それを生かし、何か違和感があれば報告するため。
 次に、前田は山姥切国広と大した接点がないことだ。そうであればまず審神者が前田を取り込もうとする可能性は低くなり、関心も薄いだろうと踏んでいたが合っていたようだ。特に監視を付けることもなく部屋に案内してから去っていった。
 そして一番最後にして重要な役目。万が一、審神者が約束を破って試合放棄しようとした場合、なるべく穏便に演練に向かわせるためだ。もしも言うことを聞かない場合にも逃げるための準備は整えてある。問題はない。
「(やはり、おかしい)」
 短刀、脇差、打刀は極めている刀剣が何振りかいるのに、山姥切国広が極修行へ行く許可が下りて以降、ぱったりと修行に行きたがる刀剣がいなくなったようだ。その証拠と言わんばかりに大太刀、槍、薙刀に極めた刀剣は一振りもいない。また、その時までは単純に練度が足りなかったのか短刀、脇差、打刀にも極めていない刀剣が多く見られた。
 思ったよりも、この本丸の信頼関係は希薄な物になっていたらしい。
 ふと、蔵の中から刀剣男士の気配を感じた。大典太光世かとも思ったが、先ほど本殿ですれ違ったばかりだ。ならば、と前田は蔵を覗き込んだ。
「えっ……」
「前田か? ……ここの本丸の前田じゃねえな」
「あ、の、和泉守さん、ですか?」
「ああ。わりぃ、今動けねえんだ」
「いえ、それは問題ありません、が……」
 見ると和泉守の身体にはいくつも『封』と書かれた札が貼ってある。なのに和泉守は苦しそうな表情を一つも見せず、それどころか前田に向けて笑って見せた。
 確か、あの札は刀剣男士など、人ならざるものの動きを封じる札だ。ただ、基本的には一枚で充分。必要以上に貼れば、苦痛を伴うと言われている。
「これか? あいつが言うには俺は“堕ちかけている”らしいぜ? 俺が切国を逃して和を乱したからだとよ。全くもって、バカらしい。本当のことなんざ何も見えちゃいねえ。
……前までは、こんなんじゃなかったのにな」
「え?」
「ここもな、他と大して変わらねえ本丸だったはずなんだよ。だが山姥切長義が来てからおかしくなり始めた。ああ、あいつが悪いってんじゃない。むしろあいつも被害者だ。
元々人の話をあまり聞かない人間だったが輪にかけて話を聞かなくなった。自分の考えることが完全で完璧な正義だと思い込み始めた。自分じゃ否定してるが、自分でも気付かねえところでそう思ってる。仮にそうでなかったとしても、『冷遇される山姥切長義を守る、正義の審神者』ってのに酔っちまってるんだ。
……その上、主の霊力の性質がこれまたタチ悪い方向に相性ピッタリでな。うちの主は、『言霊』だけはやたら強い。
何も知らねえやつ、知ってても執拗に言われ続けたらその思考が正しいと思い始める。……長曽祢さんや、清光たちを見ただろ。ありゃ、存在が揺らぎ始めてんだ」
「!!」
「山姥切長義や俺はそこまででもねえ。山姥切長義は主の描く『山姥切長義』の像に不満を持ってる。俺は多少は聞き流すようにした。
……前田。お前の所の審神者に頼みたい。俺は切国を救ってやれなかった。だから俺は助けなくて構わねえ。だが、切国や他の奴らは助けてくれねえか?
頼む」
「……承知しました。あの、もう少しお聞かせ願いたいのですが、ここの極の刀剣たちの練度は、その……低いように感じます。それは、何故ですか?」
「……ほとんどは『主のために修行してきたのは間違いだった』と思ってる。それはな、主が切国を蔑ろにしているからだ。
ネットとやらの言葉、情報だけを聞いて責め立て、切国の言葉は言い訳扱い。……そりゃ、全部信じろとは言わねえ。だが、長年共に戦ってきた仲間より見たこともねえ相手の言葉を信じてあっさり突き放すようなやつを信じろと言われても無理な話だろう」
 そう呟くように吐き出された言葉は、どこか悲しみを含んでいるようにも聞こえた。
 ……考えれば、ここの審神者は山姥切国広だけではない。ほとんどの刀剣の思いも、裏切っているのではないか。
 前田は和泉守にかける言葉が見つからず、
彼にそろそろ寝ろ、と言われるまで、黙り込んでいた。

 夜は明ける。時は過ぎる。
 大演練会場。ここで、事態の決着は着く。
コメントOK

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.86 )
日時: 2020/03/19 20:17
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)

信頼した結果-3-
 大演練会場は、定期的に行われる本来各サーバーの代表とも言える審神者同士の演練をより多くの審神者が見れるようにした、競技場のような場所である。今回のような個人的な諍いに使われるような場所ではないが、その原因が原因故か注目を集めていた。
 リンも特別に通してもらったが席はほとんど空いていない。そのため、立ち見をすることにした。……向かい側は空席が目立つ。しかしそちらに行ってはいけないと役人から言われた。何だと言うのだろう。
 すると、アナウンスが入る。あの審神者と柊が入場するようだ。
「審神者、瑠璃溝隠るりみぞかくし入場」
 瑠璃溝隠と呼ばれたあの審神者は変わらず巫女服を着ていた。彼女の後ろには今回の演練メンバーであろう刀剣男士が控えている。
 部隊長、山姥切長義。
 三日月宗近。
 蛍丸。
 江雪左文字。
 小竜景光。
 大典太光世。
 山姥切長義以外は全員、レア4以上の編成だ。刀装は山姥切長義は投石兵を、それ以外は重騎兵、精鋭兵を中心に持っている。
「審神者、柊入場」
 柊の格好は活撃審神者のような服を着ていた。上着は黒になっている。柊の後ろにも演練メンバーが控えている。
 部隊長、陸奥守吉行。
 秋田藤四郎。
 堀川国広。
 山伏国広。
 石切丸。
 御手杵。
 極めていないが全員練度上限に達している部隊、全員が極めている部隊。
「……逃げなかったことだけは称賛するよ」
「それはこちらのセリフよ。てっきり逃げるかと思ったのだけど」
 聞いた話だが、瑠璃溝隠は一度逃げようとしたらしいのだが前田に見つかってやんわり促されてからは逃げようとしなかったようだ。
『両審神者は、結界の中へ』
 機械的な女性の声がして、二人は結界に入る。それを確認したかのように、螺貝の音が鳴った。これが演練開始の合図だ。



「銃兵、展開!!」
「弓兵、構え、放てっ!!」
「投石兵、展開じゃあ!!」
「……投石兵、展開」
 互いの遠戦用の刀装が展開され、銃弾、弓、石が飛び交う。
 相手の石は御手杵に向かうが、投石兵を展開したまま陸奥守が駆け寄り、それらを叩き落とす。互いの遠戦は多少刀装に傷を付けた程度で終わった。
「悪いな、陸奥守」
「構わん構わん!! 行くぜよ!!」
 大抵の先手は極めた短刀が取る。その例に漏れず、一番手は秋田だ。狙うのは、三日月宗近。対する三日月はゆらりと本体を構える。
「えい!」
 秋田の本体が三日月の肉体を確実に攻撃した、はずだった。彼はただ無表情でそれを防ぎきった。結果として言えば、刀装を剥いだものの、本刃を傷つけるまでには至らない。
「はッはっハ、良きカな。なかナかの太刀筋だ」
「……?」
 何か、喋り方に違和感を感じる。まるで多少機械のような……。
「秋田っ!!」
 秋田がハッとした時には、眼前に迫るのは長義の本体。咄嗟に防ぐように構えるが、誰かが来て自分を庇い、それを弾き返した。
 その誰か、は堀川であった。
「大丈夫!?」
「はい、ありがとうございます堀川さん!」
 お礼を言われた堀川はただ笑い返し、そのまま果敢に斬り込んでいく。しかしその攻撃もまた、刀装を一つ剥いだだけだった。
 ならば、と堀川が下がり、再度陸奥守と突撃していく。狙うは部隊長の長義だ。
「二刀」
「開眼!!」
 二刀開眼。脇差と打刀が使える特殊な技であり、脇差が刀装を剥がし、打刀が敵を斬るというものだ。
 二振りの狙う長義は微動だにせず、これならば、と考えた二振りの前に飛び出してきたのは、小竜景光だった。
「なっ……!?」
 小竜の刀装が全て弾かれ、陸奥守の本体による一閃は小竜を捕らえた。狙いと違ったとは言え、まずは一振りを戦線離脱状態に追い込めたのは良い事だ。そう考え、本体を構え直す。
 その時だ。陸奥守が、いや、そこにいるほとんどが、瑠璃溝隠側の席に座る審神者の様子がおかしいことに気付いたのは。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.87 )
日時: 2020/03/19 20:22
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)

 リンもようやく、あちら側の審神者たちの様子に気が付いた。倒された小竜を見て、涙する者もいればほう、とうっとりしたような感嘆のため息を吐く者もいて。こっそりと耳のヘッドホンに手を伸ばし、かちりとボタンを押す。このヘッドホンは、任意の音や声を拾えるかなりハイテクなヘッドホンなのだ。言うなれば、『かがくの ちからって すげー!』である。

「なんて、なんてことなの。あんなに無残なのに、山姥切を守り倒れる姿が美しいわ」
「ああ、さすがね小竜。やはり山姥切を守る長船の一振りよ」
「あんな偽物を庇うことが優しさと勘違いしている審神者なんて早く倒してしまえばいいのに」
「あの審神者、堀川派の二振りを入れるなんて山姥切への嫌がらせのつもりか? 意地が悪い女だな」

 ……ぞわり、とした。思わずボタンをもう一度押して聞こえないようにした。あの審神者たちは何を言っているんだろう? まるで山姥切国広が悪者で、それを庇う者たちも悪者のように。それに長船派が山姥切長義を守るというのもいまいちよく分からない。確かに長船派と全く縁がないかと言えばそうではないが……。
 はっきり言ってしまうならそれは『異常』だった。まるで山姥切長義が全ての中心のような言い方なのだ。次々聞こえた話を要約するならばあの審神者たちにとって山姥切長義は神格が高く、何故かは知らないがどの刀剣男士も彼を守り、褒め称えると考え、逆に山姥切国広はそんな彼から逸話を奪い、極になれば写しをやめて彼を襲うとんでもない存在で、そんな彼を庇う存在もロクでもない存在のようだった。……だからやたら堀川派が仇のような目で見られているのか。今回、新撰組の刀剣男士が被害に遭ったのも堀川国広が新撰組の刀剣男士だからその延長線なのかもしれない。巴形と静形は完全にとばっちりを食らったのだろうが……それでも一振りのためだけに当たり前のように他を蔑ろにする発言ができる審神者たちにリンは薄寒いものを感じた。
 しかも、本人たちは本気でそれを『善意』かつ『正義』だと信じているのだろう。だから何の疑問も持たずにその発言をし続けられるのだろう。
 ……あちらにいる山姥切国広は、大丈夫なのだろうか。善意から来る『悪意』に、蝕まれていないだろうか。
「国広の方も深刻ではあるが、長義の方も厄介だな……」
「それって、どういうことです?」
「元々、国広の方にもあいつらレベルに庇うような審神者がいたんだ。まあ、国広の方は鎮静化……ではないか。あまり目立たなくなっていったんだが、長義の方はまだ鎮静化しないな、これは……。長義も、難儀だよな」
 そんな審神者たちの会話が耳に入る。
「柊さん……」
 もしこの演練、勝てなければ山姥切国広だけでなく、柊本丸の長義や刀剣男士たちまで危険に晒される。リンはきつく手を組み、祈るように目を瞑った。
 彼女の背後から伸ばされる手に、彼女は気付かない……。
──ポンポンッ
「え?」
 彼女は、後ろを振り向いた。

Re: 綴られし日々-作者とキャラの日常- ( No.88 )
日時: 2020/03/19 20:27
名前: 柊 ◆K1DQe5BZx. (ID: PF4eFA6h)

 少し時は遡る。本来であれば瑠璃溝隠側に通されていた審神者の二人は、柊側の観客席に来ていた。
「瑠璃溝隠様の本丸から、偽物とは言え山姥切国広を奪おうとした少女がこっちの方にいるらしい。金髪の少女で、白い大きなリボンを付けている」
「可哀想に。きっとその子もあの審神者に洗脳されているんだろう」
「ああ。我々が『保護』し、再教育を施し、洗脳から解放してやらなくては……」
 こっそりと覗き込む。すると審神者二人はつい目を見開いた。目の前に、リンの姿があったからだ。リンは手を組み、祈るような仕草をしている。
 そして、都合が良くリンの周りの人々も演練に釘付けだ。……チャンスは今しかない!
 審神者たちはこっそりと近づいていく。手を伸ばしていく。リンは、気付いていない。
──ポンポンッ。
 突然背後から肩を叩かれ、大きく体を震わせた。勢いよく二人が振り向く。
「やあ⭐︎」
 全くもって。全くもって誰が予想しただろう。
 背後に、全身タイツを着た不審な男四人がいるとか。絶対誰も予想しない。
 はい、この二人は知る由もないが皆さんお察しの通り、裸族の登場である。花村、太子、芭蕉、裸族太郎がそれぞれポーズを取っていた。
「え?」
「ゑ?」
「すぐに用件を済ませてあげたいけれど、こっちに来てもらうよ……」
「大丈夫だ、痛くはしない……」
 二人の抵抗虚しく、二人は近くの空き室に連れ込まれた。なお、何故か太子と芭蕉だけはやたらヌルヌルテカテカしていたとだけ追記しておこう。
 密室に、男六人。正直身の危険を感じている。むしろこれで身の危険を感じないのは鈍感通り越していると思う。
「な、なんだ貴様ら!!」
「我々は、通りすがりの裸族だ!!」
「らぞ、は!?」
「事前に時の政府の方に『不審人物を見かけ次第捕縛してくれ』と頼まれていてね」
「いや不審人物お前らだろ!!」

 ぐうの音も出ないほどの正論である。

 ちなみに太子は青、芭蕉は緑、花村は蛍光ピンク、裸族太郎は紫の全身タイツを見に纏っていた。はっきり言って目に毒だった。
 街中で見かけたら通報からのお縄不可避な格好をした彼らはやたらKO☆KA☆Nを主張するようなポーズを取り続けている。
「だが、場合によっては多少の怪我もやむを得ないとも言われたよ」
「僕らとしては、いくら何でも怪我をさせてくない……だけど無力化はしないといけない」
「いやこの時点でわりと無力化成功してますけど!?」
「よって、キミたちを『裸族技』による『裸舞』で平和的に無力化することにしたんだ!」
「平和なの!? それ平和なの!?」
「安心するでおま、痛くないさ」
「むしろ、ここにいる裸族の『裸舞』でお前たちを幸せにしてやるぜ……」
「全力でご遠慮したい!!」
「全力で逃げたい!!」
 審神者二人にじりじりと近づいていく太子と芭蕉。審神者二人の背後の扉には裸族太郎と花村。……裸族太郎は細身ではあるが意外と体格がいい(某真実はいつも一つの名探偵の犯人が一番イメージしやすいです)。だが花村なら何とか押し除けて逃げられるはず。
「くそっ!」
「こんな部屋にいられるか、俺たちは逃げるぞ!!」
 死亡☆フラグ。審神者たちは花村の方へ向かって走り出す。
「させないよ!! らぞガード!!!」
「ぐぁあああああ!?」
「何で!?」
 花村がポーズを取っただけで一人の審神者が弾かれた。それを見てもう一人が思わずツッコミを入れてしまう。
 そんな花村の隣で裸族太郎は腕組みをして解説し始める。
「らぞガードとは。裸友が意図せぬKO☆KA☆Nポロリしてしまいそうな時にポーズを取り、こちらに視線を向けて守る技だ!
なお、意図してポロリする場合は効かないのが難点だ!」
「今弾かれた理由は!?」
「そんなことよりらぞガードってありそうだよな、被っていたら、その上で効力が違っていたら申し訳ない!!」
「弾かれた理由を話せや!!」
「さあっ、観念するんだ!!」
 審神者が振り向く。そして目の前に……緑のKO☆KA☆N。それがべちゃあと顔に押し付けられる。
「ーーーーーーー!!」
 声にならない悲鳴が上がる。いや声にできない悲鳴である。何でかと言われれば『言わせんなバカ///』である。
 KO☆KA☆Nがぐるりと顔を回り始める。足まで腕で拘束されるがたまに離れる。そのまま緑が自分の体を軸にして高速回転を始めた。
「これぞ鍛錬を重ねた裸族技!!

『逆だいしゅきホールドハリケーン』!!」

 いや長い。

「ちなみにこれは作者がTwitterで『だいしゅきホールドの起源は俺』的なツイートを見て、なおかつ大先輩方が編み出した裸族技を思い出して「これいけるのでは?」と考案した技さ!!」
「相手の顔に無防備なKO☆KA☆Nを当て、私たちに争う意志のないことをアピール!! それを回転しながら当て続けることによりさらにアピール!! 回転は時々手を離し、床や相手の足を使って回転力を上げていく!!
事前に付けているローションは相手を傷つけない配慮であり、もし望むならローション無しでも大丈夫だ!!
相手に争う意志がないことをアピールし、相手との裸舞を確認し合う裸舞&ピースな裸族技だぞ!!」
「こっちのサイドでもまだ太子さんと芭蕉さんしかできない技なんだ……。僕らも頑張ってできるようになろうね、裸族太郎くん!!」
「ああ、もちろんだ輝々!!」
 絶対受けたくないなそれ。
 なお、この二人は間もなく気絶し、ヌルヌルテカテカのまま縛られたのであった。
 余談だが、政府の役人曰く「地味に運びづらいから今度からやめてほしい」とのこと。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。