最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第014次元 元霊の謎



 「そういえば元霊って昔の次元師だろ?」

 いきなり話し始めたのはレトだった。
 レトは、口に焼きたてのパンを含ませながら双斬に話しかけた。

 「そうだよ?」
 「でもお前性格変わってるよな」

 レトが鋭い目で双斬を見る。
 その冷たい一言が、双斬の心に深く突き刺さる。

 「え……。でも、これが僕の性格だよ?」
 「だって普通男は『僕』なんて言わないだろ」
 「でも、そうなんだし」
 「元霊にあたった俺は恵まれてるのか?それとも他の次元師から見放されてるのか?」
 「そんな事言わないでよッ!レトはラッキーなんだから」
 「なんでだ」
 「元霊を持つ次元師は、次元技との友情が深くなりやすく、強くなりやすいんだ」
 「へぇ~。お前って昔は特別だったのか?」
 「特別って?」
 「代表とか」
 「うん、代表だった」
 
 一瞬沈黙が流れた。
 レトが飲んでいた紅茶のコップを落とした。
 でも奇跡的にコップは割れなかった。
 
 「え、待てよ、お前……」
 「僕、人族代表だったよ?」
 「お、お前が!?」
 「……信用してないね」
 「だって自分の元霊が代表だったなんて普通思わないだろ」
 「千年間も僕、君を待ってたんだ」
 「俺を……?」
 「うん、僕のパートナーを、探してた」
 「パー、トナー?」
 「そう、レトが僕のパートナー」

 何がなんだか分からなくなってきた。
 双斬の言ってる事は、全て正しいのか。

 「ロクのパートナーが、雷皇のようにか?」
 「うん」
 「パートナーは、限られてるのか?」
 「そうだよ~。因みにパートナーはこの世に五人しか存在しないんだ」
 「待った、じゃあ次元獣は?」
 「あれは別。だって獣だもん。元霊じゃないんだ」
 「ほ~。ってお前妙に詳しいな……」
 「だって僕次元技だし♪」
 「知らねぇよ」
 
 この世で五人。
 その中に奇跡的に入っているこの兄妹。
 すごすぎる。

 「これからは、術も増えるといいね」
 「あぁ、俺はそれを願いたいね」
 「レトはさぁ、人族代表になりたい?」

 双斬からの意外な言葉。
 でも、レトの気持ちは変わらない。
 神族を倒すという、気持ちは。

 「なりたいな」
 「そっか。なら僕はレトを代表にするための武器になるッ!」
 「今までだってそうだったんじゃ……」
 「違うよレト。僕は君の武器としてじゃなく、君のパートナーとして一緒に戦うんだ」
 「パートナーか。悪くねぇな」
 「うん、レトは僕が絶対代表にしてみせるッ!」
 「頼むぜ、相棒」
 「あいあいさぁー♪」

 いつの間にか二人の友情は固く結ばれていた。
 その勇敢な姿は、まさに人族代表に相応しい。 
 
 「レト、知ってるよね。元霊の、秘密」
 「あぁ、戦争が終わったら自分の世界に帰るんだろう」
 「うん、ごめんね……。もう、会えなくなるかもしれない」
 「俺は別にいい」
 「え……?」
 「それまで、お前と一緒に戦っていられるなら、俺はそれでもいい」
 「レト~~~ッッ!!」

 双斬が泣きながらレトに抱きついた。
 30Cmしかない精霊の姿で。
 この二人は、戦争が終わるまで戦い続け、お互いを信じ続ける。
 たとえいつか離れる事になっても________