最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第031次元 時を纏いし紅の少女Ⅰ



 足の踵まである黄緑色の長い髪の毛を揺らし、口笛を吹きながら歩く少女が一人。
 ロクアンズ・エポールはなんとなく食堂の違和感に気づいた。

 「ねぇフィラ副班、あの四人は?」

 ロクは自分の隊の副班長、フィラ・クリストンに聞いた。
 肩に朱い蛇を乗せ、せっせと仕事をこなすその姿はまるで家にいつもいる優しいお母さんのようだった。

 「あの四人って?」
 「三番隊と四番隊のあの四人さ」
 「あぁ、ルイルとガネストとラミアとティリね」
 「どうしていないの?」
 「あの四人は緊急の任務で合同任務に行ってもらったの。すごい任務らしいから」
 「えぇ~!あたしも行きたかったなぁ」
 「だってその時は蛇梅を助けに行ってたじゃない」
 「あ、そっか」
 「そうよ。それにあの四人ならいけるわ。ルイルはすぐ甘えちゃうけど、ね」
 
 ルイル、ガネスト、ラミア、ティリの四人は任務に行った。
 四人の次元師が行けなければいけない程の任務というのだ。
 それに、相性は良い事なのか。

 

 「ガネストー、暑いよぉ……」
 「我慢して下さいよルイル。こっちだって暑いんです」
 「なんで四人でいかなくちゃいけねぇんだよ」
 「……あたしだってごめんだわ」

 最後に冷たく喋った少女はティリサナ・ヴィヴィオ。
 8歳にして次元技を使いこなす優秀な蛇梅隊最年少次元師。 
 腰まである灰色の髪の毛と紫の瞳は何故か威厳さを感じさせる。
 チャームポイントの真っ黒なベレー帽を愛用している。
 冷たく無口な少女だが最も親しいルイル・ショートスを姉のように慕っている。
 
 「何で俺がティリと一緒の班なんだよ」
 「あたしだって知りたい。本当はルイル姉さんとが良かった」
 「うるせぇな。チビのくせに生意気なんだよっと」

 青く、長い髪を持つ女性のような少年は、ひょいっとティリのベレー帽を取った。
 その行動にティリが頭に血を昇らせる。

 「よくも……よくもあたしのベレー帽を取ったわねッ!!」
 「へっへーんだ悔しかったら取ってみやがれ~」
 「第五次元発動ッ!!」
 「ティ、ティリちゃん危ないよ!!」
 「ティリ、少し抑えて下さ……」
 「霊操縛連ッ!!」

 ティリは右手を上に上げ、無数の霊を呼び出した。
 これがティリの次元技、霊帝だ。
 ティリが呼び戻した霊の魂がラミアのまわりで自爆していった。
 ラミアは見事に焼け、その場で倒れている。

 「ちょ、おま……技、なし……」
 「誰が取っていいって言ったのかしら?」
 「その気なら俺、だって!!」
 「だからやめなってーー!」
 「第六次元発動!!」
 「こ、こらラミア君、君もこんな小さい子にむきになって……」

 ガネストの言葉に耳も貸さずにラミアは怖い顔をしてティリをにらめっこをしている。
 その姿にルイルもガネストもため息をついた。

 「水撃ーーーッ!!」
 「ちょっと!!水が溢れ……」
 
 ラミアの次元技は、水を自由自在、縦横無尽に操る水皇。
 ロクの雷皇と全く似ている術を出すが、属性が違う。
 
 「ちょっと!何すんのよ!!」
 「お前が先に術を出したんだろ!?」
 「だけど六次元を使う事ないじゃない!!」
 「お前と一次元しか変わんねぇよ」
 「もうー、どうすればいいんですか?」
 「分かんなぁい。もうティリちゃんそろそろ着くよ?」
 「まぁ、ルイル姉さんが言うなら仕方ないけど」 
 「んだと?これだからこいつと同じ班は嫌なんだよ」
 「私だってルイル姉さんとが良かったのに」
 「あーあ、何でロクやレトは一人なんだろうな。羨ましいかぎりだぜ」
 
 こんな喧嘩をしながら歩き続ける四人の次元師。
 相性の悪いティリとラミアはこの先もやっていけるのだろうか。
 ガネストは心成しかそんな事を胸に秘めていた。