最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第016次元 双斬の未知なる力



 「ほざきやがって!力もないのに俺と戦うのか?面白い奴だなッ!」
 「黙れッ!お前は僕が排除するッ!!」

 双斬は元魔の元へとフルスピードで向かった。
 そして、そのまま地面を蹴り、上へと飛んだ。
 双斬は、足をへ思いっきり振った。
 
 「うらッ!」
 「おぅっと危ねぇなぁ」

 でも、元魔は自分の体をちぢこませてその攻撃をよけた。

 「チッ!」
 「もっと楽しませてくれよ、おチビちゃぁ~ん」
 「黙れーーーッッ!!」
 「双、斬……」
 
 レトが、かすれた声で双斬の名を呼ぶ。
 視界があまり開いてなく、少ししか見えない。

 「おらよッッ!」
 「ぐあッ!」
 
 双斬は、元魔の攻撃に地面に倒れる。
 でも、また起き上がる。

 「まだ起きやがるか……」
 「僕は、負けない」
 「ほざけッ!」

 元魔が双斬に長く、鋭い爪を突きつける。
 そして、双斬の右腕に深い傷が出来る。
 
 「うああああああああぁぁぁッッ!!」

 やがてその痛さはじわじわと全身に通っていく。
 双斬は、自分の服を歯で破り右腕に巻いた。
 すでに双斬の息は荒くなっていた。

 「双斬、もう、やめ……」
 「僕は、許さないって言ったはずだ」
 「さっさと倒れろよ軟弱精霊がッッ!!」
 「双斬……!!」

 レトが、閉じた目を開け、視界を広げていく。
 すると、そこにはレトの目でも分かるような光景が広がっていた。

 「双斬……」

 そう、双斬はレトの前に出て、仁王立ちしていたのだ。
 歯を食いしばり、怖い目つきで、しっかりと相手を睨んでいる。
 
 「しぶとい奴だなぁ」
 「レト、ごめんね?僕が、弱いから……」
 「そんな……!」
 「だから、一つだけお願いを聞いてほしい」
 「……・?」
 「君の力を、借りたい」
 「!?でも、俺は……」
 「大丈夫、僕が借りるのは『君の力』だ」
 「どういう……」

 レトが言いかけた瞬間。
 双斬の手には、銀色に輝く双剣が握られていた。

 「開け、次元の扉_________」
 「お前……・」
 「双斬ッッ!!」
 「双斬だと?貴様、まさか……!!」
 「もう、遅い」
 「!?」
 「十字切りーーーーッ!!」

 双斬は、二つの剣をクロスさせたまま、それを振りほどき横に思い切り振るう。

 「待て、まさか……ッッ!!」
 「第八次元発動_____ッ!!」
 「間違いない……。あいつは、あいつは……ッッ!!」
 「双、天、魔斬ーーーッッ!!」

 双斬は、二つの剣を上に上げ、円を描くようにして下に振り下ろし、十字切りのように相手を切った。

 「ぐああああああああぁぁあぁッッ!!あいつは、あの千年前の英雄、紅蓮の、魔剣使い……・」

 元魔は何か言い残し、消えていった。
 
 「紅蓮の、魔剣使い……?」
 「レト」
 「……何だ?」
 「お腹すいちゃったぁ♪」

 双斬の意外な言葉にレトが軽く微笑んだ。
 そして、その傷ついた体で双斬の元へと歩み寄る。

 「……分かったよ。帰ろうぜ」
 「うんッ!」

 紅蓮の魔剣使い。
 それは、千年前の戦争の英雄の呼び名。
 千年前の英雄は全部で六人。

 紅蓮の魔剣使い。
 百夜の槍術師。
 一閃の狩人。
 紅き炎の殺し屋。
 金色の雷帝者。
 白銀の天使。

 この六人は、必ず存在する。
 今の世界で、多分元霊の姿をしているのではないか。
 いつになれば、この最強の六人がそろうのだろう。
 滅多にない、いや、出会ったら奇跡に近い。
 そんな日がいつか来ると信じたいだろう。