最強次元師!!
作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw

第045次元 神族との戦闘
蛇梅隊本部の廊下が、すごく騒がしくなっていた。
医療部隊の人達が駆け巡っている。
「はいはいあっちの薬貸してー!」
「こっちも、酷い傷よ!」
「全く、この兄妹は……」
医療室にいるのは、街中で倒れていたロクとレトだった。
寝息を立てながらベットに横になっていた。
ふと、レトが目を覚ます。
「うぁ……?此処、何処っすか?」
「本部よ、全く、無茶しないの」
「あぁ医療部隊の人達か。つうかやけに騒がし―――」
レトが、口から勢い良く血を吐き出した。
手で口をおさえていたため、掌が真っ赤に染まってしまった。
それを見た看護婦さん。
「ちょ、ちょっと、大丈夫なの……?」
「はい、平気、だと……」
レトは必死に薬を探そうとしたが、もう先ほどの戦いで飲み干してしまった事に気が付いた。
(前にもらったばっかなのになぁ……)
ため息をついたレトの横で、ロクが起き上がった。
「あぁロク、おはよ」
「あぁ、おはようレト~」
「おはようじゃありません!副班長がお見えになってますよ!」
「「え」」
扉から現れたのは、フィラ副班長と、コールド副班長だった。
コールド・ペイン副班長。
蛇梅隊一番隊副班長で、レトの保護者と言っても良い存在。
「あ、コールド副班長……」
「ひ、久しぶりですね!」
ロクが満面の笑みで迎えたが、コールド副班は笑顔すら見せなかった。
何か、笑っているようにも見えたがそれは嬉しの笑顔ではなく怒りの笑顔。
タバコを銜えライターで火をつけた。
「レートー?お前、何してきた?」
「え、と……、お、お出かけを……」
「嘘つけ、そんなにお前のお出かけは危険なものなのか?」
「いや、ですね……」
「レト、ちゃんと言いなさい。理由くらい言ってくれてもいいじゃない」
「ロク、お前が言え」
「何であたしーー!?」
「お前だって共犯だろ」
「レトだって!」
二人が言い合いをしているその姿についに二人の副班長は切れた。
「「どっちでもいいから早く言え!!」」
「は、はい……」
レトとロクは神族、ワルドの事について、そして、コアについても詳しく説明した。
「なるほどね、分かったわ。すぐに班長に報告しておく」
「あと、もう二人で勝手な行動はとるなよ」
「そうね、危ないし、何より神族だもの。良く頑張ったわ」
「まぁ、そこらへんなお手柄っつことであとで班長にご褒美もらいな」
「「はい!」」
病室にいる二人は、落ち着かないのか体をぐらぐらを揺らしていた。
ロクなんて右腕をぶんぶんと振り回している。
「あぁー、こんな時に何で神族なんか……」
「でも、倒せたじゃん。怖かったけど……」
「うん、あたしも、あれで結構怖かった」
初めて神族を倒したレトとロク。
その手柄はすごいものだが、納得がいかなかった。
「何で、ワルドは教えてくれたんだろうな」
「さぁ?そういう人なんじゃない?」
「ワルドは人じゃねぇぞ」
「あ、そうだった」
でも、三番隊や四番隊も今戦ったいるのだ。
二人がじっとしているなんて、耐えられるわけがない。
「あぁー!すぐにでも任務行きたいーー!」
「焦るな、まだ時間はあるんだぞ」
「……まだって、あと2年じゃん」
「レトーー!大丈夫ーーー!?」
病室の扉から勢いよく入ってきたのは、ミルだった。
隊服を着ていて、右手には大きな花束を持っている。
「あ、あたし受かったの!今日からレト達の仲間入りなんだよ!」
「良かったじゃんか、おめでと」
「おめでとう~」
「はい、お見舞いの花束。あ、別にロクちゃんにあげにきたんじゃないからね?」
「分かってますよー」
ミルも仲間に加わったようだ。
だが、何番隊になることかまだ不明。
まぁ一件落着ということだ。
「レト、神族と戦ったって本当?」
「あぁ、本当」
「名前は?」
「え……ワルドだけど?」
「そ、か……」
ミルが悲しい表情を見せているのは気のせいなのか。
そうレトは不思議に思った。
この時代の神族を、初めて倒した人族。
この兄妹は、一体何処まで倒せるのだろう。
(これからも、倒していくにはきついかもな……)
レトは、初めて神族への弱音を吐いた。
多分ロクは、そんな事考えてはなかったと思うが。

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