最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第024次元 自分の道



 「これはどういう事かなぁ?レト、ロク」

 通称蛇梅隊の班長室に呼び出されたレトとロク。
 実はあの後、二人は帰ってきていたのだ。
 レトは欠伸をかき、ロクはぼーっとしている。

 「私の話を聞いているのか?」
 「あーはいはい。すいませんでしたー」
 「そうじゃなくてだな!お前らの休暇日数は一週間だったはずだが?」
 「そうだったねぇ……確か……・」
 「そうなんだよ。なのに二日も過ぎるとは……・」
 「すいませんでしたよ本当に」
 
 ロクとレトには反省の色が見えない。
 セブン班長は半切れ状態で二人の顔を覗いた。

 「私が怒っているのはそんな事ではない……」
 「え?違うんですか?」
 「お前らは一体なにをしたんだ」
 
 班長のその声からは真剣さが伝わってきただろう。
 レトとロクは顔を見合わせた。

 「だから他の次元師と遭遇してですねぇ……」
 「そうじゃなーーい!」
 「「へ?」」
 「私が怒っているのはそんな事ではない!」
 「んじゃ何ですか……?」
 「何故お前らは私に黙って……!」
 「あ、それは申し訳――――……」
 「私に黙って可愛い女の子とイチャイチャするのだああああッ!!」

 レトは一瞬で呆れた。
 ロクもため息をついてしまった。
 この人はそんな事しか考えてなかったのか。

 「イチャイチャしてませんって」
 「嘘つけーー!お前らの情報はちゃんとこの耳に聞いてるんだぞ!!」
 「「え」」
 「幼馴染と一緒に暮らし、隣町の看板娘を助け、もうさんざん女の子と遊んだだろおお!!」
 「知りませんって」
 「しかもレトは街中で女の子の集団に襲われたそうじゃないか!なんと……・なんと……・!」
 
 班長が頭を抱えて、体を揺らせている姿はまるで幼稚な子供だった。
 レトは完全に呆れ、颯爽と班長室から出て行こうとした。
 
 「待て、レト」
 「ん?これ以上文句は聞かねぇぞ?」
 「いや、お前に手紙が来ている」
 「誰から?」
 「確か……シャラル・レッセル、とか言ったかなぁ……」

 レトが驚き、すぐに班長の手にあった手紙を取った。
 レトは急いで自室に戻り、手紙をそっと開けた。
 そこにはシャラルから告げられた事が書いてあった。

 レトヴェールへ
 俺も結構悩んだよ。
 どうするか、な。
 でもお前も言ったとおり、俺は俺の道を行く。
 だから、俺は一度故郷に帰って一から次元技の特訓をするよ。
 俺がもっと強くなったらまた戦おう。
 俺はその日を楽しみにしている。
 じゃあな、レト。
 P.S
 キールアには好きだと伝えてくれ(笑
 お前のライバル、シャラルより

 レトはぐしゃりと手紙を握り締めた。
 そして、小さく呟いた。
 
 「あぁ……また会おうぜ、シャラル……」

 シャラルは自分の道を進む事を決めたようだ。
 レトは手紙を引き出しにしまうとベットにねっころがった。
 この頃戦いの連続で疲れきっていた。

 「はぁー……。疲れたなぁ……」
 
 でも、次から次へと戦いは続いていくものだった。
 フィラ副班も、悩みを抱えていたのだから。

 「ねぇフィラちゃん、フィラちゃんには次元技がないの?」
 「え……?」
 「だってフィラちゃん、一回も任務に行ってないし、技だって見た事ないし」

 そう聞いたのはルイル・ショートスだった。
 その好奇心旺盛な目でフィラ副班を見つめている。
 
 「ええ……・そう、ね……・」
 「ふーん、何かあったんだ?」
 「まぁ、ね……。ルイルは気にしなくてもいいのよ?」
 
 フィラ副班は、紛れもなく次元師だ。
 でも今は、いない。
 その話を影で聞いてしまった少女が一人。
 勿論、ロクだった。