最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第120次元 新しい仲間



 「……フィラ」
 「何ですか?突然」
 「すごいぞ、良い収獲だ……」
 「はい?」
 「また新しい次元師が我蛇梅隊に入ったんだぁぁああああッ!!!」
 「……そ、そうなんですかッ!?」
 「あぁ、今から全員の蛇梅隊次元師を集めろーーーッ!!」
 「は、はいッ!!」

 と、いう事で未だ昼食をとっていたレトとロク、それに他の次元師を急遽集めた。
 場所はもちろん、第二班長室。

 「此処、結構使うよねー……」
 「あぁ。気に入ってんのか?」
 「まぁ良く聞きたまえ諸君」
 「何何ー♪」
 「なんと、第一部隊と第二部隊に新しい次元師が入る事になった」
 「はぁッ!?」
 「第一と第二って……レトと……」
 「……ロク……だよねぇ?」
 「そうだ。実は2人には特例で1人ずつになってもらっていた」
 「うんうん」
 「だが、今この戦争の時代に1人では厳しいのかと思っていた矢先、ちょうど2人入ってきたんだ」
 「すご……」
 「そこで私はこの2人を別々にして振り分ける、という事に」
 「それで、新しい次元師はぁ??」
 「まぁ待て。さぁ入って良いぞー」
 「?」
 
 班長の声により、2人の次元師が入ってきた。
 1人は身長が140前後で、いかにも冷たそうな顔をしている深い藍色の少年。
 2人目は頭にバンダナを巻いているせいか紅色の髪の毛が少し隠れている大工さんのような少年。
 どちらも同い年に見える。

 「さぁ自己紹介を頼む」
 「……」
 「ま、まぁ許せ。こっちはあんまり喋らないんだ……はは……」
 「先に言って下さいよ」
 「こわー……」
 「まぁ名前は私が言おう、『エン・ターケルド』、だ」
 「なんかかっこいい名前だねぇ」
 「本人は何か睨んでいるようですが……ね」
 「……?」

 ロクは、エンに対して何か不信感を抱いた。
 何か隠しているような、そんな感じを。

 「んじゃお次は……」
 「おうっ!俺は『サボコロ・ミクシー』。ま、宜しくな」
 「元気で何よりじゃないですか」
 「良かったー、なんか馴染み難かったらどうしようかと思ったよぉー」
 「……ま、そうだな」
 
 (あれ……あの男……)

 ロクはまたしても、今度はサボコロに不信感を抱き始めた。
 サボコロは何も気にせずに笑顔でルイルの頭をぐしゃぐしゃに撫でている。
 
 「んじゃあこれで自己紹介はいいよな?エンは第一部隊、サボコロは第二部隊だ。仲良くしろよー?」
 「はぁーい♪」
 「これなら仲良くできそうですね」
 「ちょっとあっちの冷血の方が困りそうだけどな」
 「……ま、いいと思うけど」
 「どっちもかっこいいけどー……、やっぱ眼鏡かけてないから嫌かもー……」
 「な……仲良く……かぁ……」
 
 皆ががやがやとしている中、ロクだけは険しい顔をしていた。
 その顔に気付いたレトはロクに話しかける。

 「おい、どうした?」
 「いや……なんかね」
 「なんかって……、まぁわかった事があれば……」
 「あの小さい方の少年、いるじゃん?」
 「小さいって……まぁ」
 「人の事言えないだろ、とか思った?」
 「いや、全然」
 「……それでね、ちょっと可笑しいんだ」
 「何が?」
 「目の色とか、まるで光沢を失った宝石みたいにドス黒いの」
 「……?そうか?」
 「何かある気がして……」
 「まぁあんまり考えすぎても始まんないぞ?俺は生憎あの少年とだけど」
 「そう……だね」
 「お前も慣れておいた方がいいぞ?馴染み易そうだし」
 「うん……」

 レトはエンの方へ行き、なにやら1人で話をしていた。
 サボコロは何かに気付いたのか皆と話を切り上げてロクの方へ歩み寄ってきた。

 「ようっ!お前がロクアンズなんだってなぁ?」
 「ま……まぁ」
 「ああ1つ言うのを忘れてたよ」
 「何ですか?班長」
 「ちょっとそこの新入りにね」
 「……?」
 「そのロクアンズ・エポール。紛れもなく神族だからね?」
 「なッ!?」
 「やっぱ言うんだ……」
 「それはそうですよね……」
 「そ、そうなのかッ!?お前」
 「うん。心の神、妖精だよ」
 「へぇー……つうは事フェリーか」
 「ま……まぁ」
 「おっとついでにもう1つ」
 「何ですか?また」
 「班長って言い忘れ多いよね……」
 「その新入り、2人とも元霊の持ち主だから♪」
 「え……」
 「そうだったのッ!?」
 「有り得ない……そんな……」
 「だってレトとロクが2人とも元霊だろ?なのに更に2人入るかっ!?」
 「そうそう、俺の次元技まだ言ってなかったな」
 「……?」
 「俺は『炎皇』。炎の次元技だ」
 「炎……?って事は【紅き炎の殺し屋】か?」
 「……良く知ってるな、お前」 
 「まぁこの間ロクと家に帰ったとき見つけてな」
 「へぇー……」
 「んで、エンは?」
 「……」

 相変わらずというかエンは口も開かない。
 愛想つかされたのか、とレトはため息をついた。
 
 「あぁ、エンの次元技は『光節』だそうだ」
 「光節?」
 「弓の事だよ」
 「……班長って何でも知ってるんだな、おい」
 「まぁねー」
 「んで、サボコロ。その元霊を見せてもらいたいんだが」
 「あぁいいぞ?おい出てこい炎皇ー」
 「……何だよ~、せっかく眠ってたのにさぁ~」
 「んじゃロク、俺らも紹介すっぞ」
 「う、うん……」
 「双斬、いいぞー」
 「雷皇ー出ておいでー」
 
 双斬と雷皇が出てきた瞬間、炎皇は表情を切り替えた。

 「お……お前ら……」
 「炎皇だぁーーっ!久しぶりだねー?」
 「炎皇、あんた見ないうちにすっかりへっぴり腰になったんじゃないの?」
 「双斬……雷皇……。千年前以来、だな」
 「うんっ!」
 「まぁそうなるな」
 「あ……そういえばロク」
 「ん?」
 「お前確か……風皇があるんじゃ……」
 「ッ!?」
 「うん……でも、【白銀の天使】の元霊ではないみたいで……出てこないの」
 「風……皇……?」
 「嘘……あの風皇がいるのッ!?」
 「へ?」
 「その次元技、絶対風皇なんだろうなッ!!」
 「うん……風皇……だけど?」
 「風皇……」
 「会えるんだね……風皇……」
 「……?」

 双斬、雷皇、炎皇が一瞬にして表情を変えた。
 『風皇』という、次元技の名を聞いて。
 風皇というのは一体どういう人物なのか。
 それはまだ、ロクにも分かりえぬ存在だった。