最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第130次元 ラミアの昔話



 「……まぁあの時のルイルは想像できませんがね」
 「ガネストだって、今じゃ有り得ないもんねー」
 「お前ら……、2人とも想像つかねぇなぁ」
 「ルイル姉さんがあのままだったら……私は此処にいないわね」
 「だから、ロクには感謝してるんです」
 「だって教えてもらったもんね、素直になる事」
 「そうですね」
 「懐かしいねー……、あの時レトが他の任務へ行かなければもっと……」
 「はいはい俺のせいですか」
 
 ロク達は昔話に浸り、あの頃の自分達の様子やおかしかった事などを話していた。
 そこで不意にロクがこんな事を言い出した。

 「そういえば、何でガネストはあれ以来人間に対して銃を撃たなくなったの?」
 「あぁ……、それですか」
 「確かにーっ、聞きたぁーい♪」
 「まぁ単純ですよ。僕はあれ以来人を撃つ事に拒否反応が出てしまったというか……」
 「拒否反応?」
 「ええ、少し躊躇してしまうというのが」
 「へぇー……、優しくなったんだね」
 「ありがとうございます。前は少し荒れていたもので」
 「前のガネストのまんまだったら他の人撃ち殺しまくってもんね……」
 「はは、そうですか?」

 (いや……その不適な笑みからしてそうかと……)

 ガネストの只ならぬ笑顔の奥では何を思っていたのだろうか。
 ロクは少し気をつけようと静かに心に誓った。

 その頃、去って行ってしまったサボコロは…、

 「……なぁサボコロー……」
 「……、何だよ炎皇」
 「やっぱ戻ろうぜぇ?真相も明らかになったし……」
 「……炎皇」
 「……んー?」
 「お前も……殺し屋だったんだろ?」
 「まぁ……な。お前の先祖のレイズとは結構つるんでた方だ」
 「どうして……殺人の時代は終わったんだろうな」
 「知らねぇなぁ。……多分」
 「多分?」
 「俺が……関係してると思う」
 「……え」
 
 さっきロクに告げられた真相を、2人で話し合っていた。
 
 そして、ロク達がルイルとガネストの思い出話に浸っている時、ロクがあ、っと何か言いかけた。

 「どうしたの?ロクちゃん」
 「いやさぁ……そういえば」
 「?」
 「ラミアもこんな事あったなぁーって」
 「はぁー?」
 「えぇー!?ラミアちゃんも元はひねくれてたのぉー?」
 「待て待て、何でひねくれ前程なんだ」
 「だってあの時のラミア……」
 「な……何だよ」
 「恥ずかしがり屋さんだったもんねー?」
 「はぁぁぁぁッ!?」
 「えぇー?そうなのーーっ!?」
 「ロク、その話聞かせて下さいっ!!」
 「ルイルも聞きたぁーい♪」
 
 (何で皆そんなに必死なんだよ……)

 レトは、先ほどまでと違うロクの笑顔にふっと笑みを零した。
 この光景が微笑ましい、と思ったのだろうか。

 「いいじゃんいいじゃん、これからのコミュニケーションのためにさぁ……」
 「誰がお前らとコミュニケーションなんかとるかっ!!」
 「えとね、あれは一昨年の事で……」
 「勝手に話を進めるなこのアホォォォォォッ!!」
 
 ロクが笑顔で語りだしたのは。
 ルイルやガネストに引き続きラミアの昔話。
 昔、といっても極最近の、 
 ロクとラミアがまだ11歳だった頃の話。
 そしてその2人がまだ蛇梅隊次元師として1ヶ月も経っていない、
 あやふやな新米の頃の話でもあった。