最強次元師!!

作者/瑚雲 ◆6leuycUnLw



第101次元 次元師or医者



 「……あたし、次元師だったのかぁ……」

 キールアはただ1人、自室でため息をついていた。
 このままついていけるのか、戦いなんて慣れてない、と色々と不安を抱きながら。

 「キールアいるか?」
 「レト?」
 「……全部、聞いてたんだろ?」
 「まぁ、ね……」
 「驚かないのか?」
 「十分驚いてるよ。でも、なんかそんな気がしてて、そこまで驚く気になれないというか」
 「何だよそれ」
 「今思い出せば、お父さんもお母さんもセリスも、皆紫色の目をしてた。
  自分だけ違うって事ぐらい、分かってた」
 「まぁキールアは医者になりたいんだし、そっちの道を進めばいよ。
  次元技が覚醒しなければ次元師になることはないしな。そしたら戦争も免れるし」
 「そ……、か」
 「あんま気に持つなよ?俺だって最初双斬に告げられた時は何も言えなかったし」
 「そうだよね。あたしにはあたしの道があるし、そっちに進んでもいいんだよね?」
 「あぁ、もし狙われたって、俺達がどうにかしてやんよ」
 
 レトが背を扉に向けてキールアを話をしていると、ひょこんと何かが現れた。

 「俺達~?」
 「うぉッ!!?」
 「俺、の間違いじゃないの~?」
 「お前はいちいちうるさいって言ってるだろーーッ!!」
 「きゃーーっ」
 
 レトはロクを追いかけて走り去っていってしまった。

 「次元師……、か」

 (あたし……、それでいいのかな……)
 
 次元師の道か、それとも医者の道か。
 キールアにとって1番の悩みだった。

 (でもあたしはシーホリー家の娘。ここで次元師の道に進むわけにはいかないもんね……?)

 そうやって、気持ちを塗り替えてそのまま寝てしまった。
 それでも、なかなか寝付けなかった。

 
 「ねぇレト~」
 「……」
 「ごめん、もう許して?」
 「嫌だ、と言ったら?」 
 「……すいませんでした」
 「宜しい」
 「ところでさ」
 「ん?」
 「キールアが次元師だって事、何で黙ってたのさ。っていうかいつ聞いたの?」
 「そんないっぺんに質問するな。まぁ、あいつに変な不安を持って欲しくなかったってだけだ。 
  情報なキラーからだ。あいつもシーホリーの瞳の関係には気付いていたらしい」
 「ふーん……、キラーか」
 「しかも医者の道を目指しているキールアに、次元師だなんて、普通言えないだろ?」
 「まぁね。あたしだったら、大事な事でも相手を傷つけたくないかな」
 「……、そか」

 医者の道か、それとも次元師の道か。
 この世にたった100人しか存在しない次元師が、次々にいなくなるこの時代で、どちらを選ぶか。
 それを決めるのはキールア自身だということは、誰もが分かっている事。

 「班長、いますかー?」
 「おうレトか。なんか用でもあるのか?」
 「いや、キールアの事について」
 「私的には仲間になって次元師として戦って欲しい、と願っているがね」
 「……それは、なんのためだ?」
 「世界のため、人のため、もしくは、本人のため」
 「本人?」
 「キールアちゃんには期待しているんだ。新しい次元師なら、戦力になってほしい」
 「……そうか」
 「レト、心配するのも分かっているが言ったはずだ、戦争から、また戦いからは逃れられない、と」
 「分かってるよー」
 「宜しい。もしキールアちゃんに何かあったらお前が全力で護るんだぞ?」
 「……」
 「あんな可愛い子、あんまりいないし……」
 「黙れロリコン」

 レトは扉を閉めて出て行った。
 ただ一言、そうか、と呟いて。