ブラッドエッジ

作者/ 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE



#etc. ゴスロリとメイド服は微妙に違うって今さっき気付いた



「メイド服とかどうだ?」
 次の瞬間、ノワールはローズの飛び蹴りによって盛大に吹き飛ばされ、盛大にゴミ箱に激突した。
「悪くないかもね」
「ちょっと!? ルージュまで何言ってるんですか!?」

 事の発端は、ローズが
「この制服ってちょっと素っ気ないですよねー。…何か新しいデザインでも、上の方に提出したら採用してくれるでしょうか?」
と言ったのが始まりだった。

 人造人間にも、ある程度の娯楽は許されている。
娯楽や休養も効率よく作業をこなすためには、必要な要素のひとつなのだ。
ただ、非合理的なことをあまり好まない傾向にある人造人間の場合
主に服装や恰好といったファッション方面に興味を示すことが多い。
 ローズの場合はそれが顕著で、そのこだわりが断罪者の制服という題材にも顔をのぞいたのだ。

「メイド服は動きにくいし、非効率的です」
「動きやすさと効率だったら今のこの制服がダントツなんだけど?」
「それだからルージュは。せっかくの美形なのにもったいないですよー?」
「割とどうでもいい」
「…で、採用されるかは別として。ローズはどんな制服が良いんだよ?」
「かわいいやつ!」
 割と高音質で、『ドヤァァァ』という幻聴がルージュとノワールの二人には聞こえた。
そもそも、具体的にどういうかわいいのがいいのかを口頭で表現していない。
しかしローズはまるで、それだけですべてが伝わることが当然であるかのような表情をしていた。
(察するべきなの!? ねぇ!? 察するのが当然なの!?)
(知るか! 俺に訊くなよ! かわいいのって何だ!? 何がヤツの言う『かわいいやつ』なんだ!?)
目で必死で相談するルージュノワール。
(かわいいやつ…フリルとか付いてるやつか?)
(いや、それじゃありきたりかもしれない。…意外にアーミーテイストかも。モスグリーンで、自衛隊っぽくて…)
(今着てるこれじゃねぇか!)

「ね、なんかいいアイデアある?」

ギックゥゥゥ!、と二人は思い切り驚く。
そして、混乱と焦燥と1/3の純情な感情の果てに、彼らが提案したものとは……





「…メイド服ッ!」



 ローズのダブルラリアットが二人に炸裂した。