ダーク・ファンタジー小説
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- この馬鹿馬鹿しい世界にも……【番外編追加】
- 日時: 2025/05/23 09:57
- 名前: ぶたの丸焼き (ID: 5xmy6iiG)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12919
※本作品は小説大会には参加致しません。
≪目次≫ >>343
初めまして、ぶたの丸焼きです。
初心者なので、わかりにくい表現などありましたら、ご指摘願います。
感想等も、書き込んでくださると嬉しいです。
この物語は長くなると思いますので、お付き合い、よろしくお願いします。
≪注意≫
・グロい表現があります。
・チートっぽいキャラが出ます。
・この物語は、意図的に伏線回収や謎の解明をしなかったりすることがあります。
・初投稿作のため、表現や物語の展開の仕方に問題があることが多々あります。作者は初心者です。
※調整中
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ありがとうございますm(_ _)m
励みになります!
完結致しました。長期間に渡るご愛読、ありがとうございました。これからもバカセカをよろしくお願いします。
≪キャラ紹介≫
花園 日向
天使のような金髪に青眼、美しい容姿を持つ。ただし、左目が白眼(生まれつき)。表情を動かすことはほとんどなく、また、動かしたとしても、その変化は非常にわかりづらい。バケガクのCクラス、Ⅴグループに所属する劣等生。
笹木野 龍馬
通称、リュウ。闇と水を操る魔術師。性格は明るく優しいが、時折笑顔で物騒なことを言い出す。バケガクのCクラス、Ⅱグループに所属する優等生。
東 蘭
光と火を操る魔術師。魔法全般を操ることが出来るが、光と火以外は苦手とする。また、水が苦手で、泳げない。 バケガクのCクラス、Ⅱグループに所属する優等生。
スナタ
風を操る魔法使い。風以外の魔法は使えない。表情が豊かで性格は明るく、皆から好かれている。少し無茶をしがちだが、やるときはやる。バケガクのCクラス、Ⅲグループに所属する生徒。
真白
治療師。魔力保有量や身体能力に乏しく、唯一の才能といえる治療魔法すらも満足に使えない。おどおどしていて、人と接するのが苦手。バケガクのCクラス、Ⅴグループに所属する劣等生。
ベル
日向と本契約を交わしている光の隷属の精霊。温厚な性格で、日向の制止役。
リン
日向と仮契約を交わしている風の精霊。好奇心旺盛で、日向とはあまり性格が合わない。
ジョーカー
[ジェリーダンジョン]内で突如現れた、謎の人物。〈十の魔族〉の一人、〈黒の道化師〉。日向たちの秘密を知っている模様。リュウを狙う組織に属している。朝日との関わりを持つ。
花園 朝日
日向の実の弟。とても姉想いで、リュウに嫉妬している。しかし、その想いには、なにやら裏があるようで? バケガクのGクラス、IVグループに所属する新入生。
???
リュウと魂が同化した、リュウのもう一つの人格。どうして同化したのかは明らかになっていない。リュウに毛嫌いされている。
ナギー
真白と仮契約を結んでいる精霊。他の〈アンファン〉と違って、契約を解いたあとも記憶が保たれている不思議な精霊。真白に対しては協力的だったり無関心だったりと、対応が時々によって変わる。
現在行方不明。
レヴィアタン
七つの大罪の一人で、嫉妬の悪魔。真白と契約を結んでいる。第三章時点では真白の持つペンダントに宿っている
が、現在は真白の意思を取り込み人格を乗っ取った。本来の姿は巨大な海蛇。
学園長
聖サルヴァツィオーネ学園、通称バケガクの学園長。本名、種族、年齢不明。使える魔法も全てが明らかになっている訳ではなく、謎が多い。時折意味深な発言をする。
ビリキナ
朝日と本契約を結んでいる闇の隷属の精霊。元は朝日の祖母の契約精霊であったが、彼女の死亡により契約主を変えた。朝日とともにジョーカーからの指令をこなす。朝日とは魔法の相性は良くないものの、付き合いは上手くやっている。
ゼノイダ=パルファノエ
朝日の唯一の友人。〈コールドシープ〉の一族で、大柄。バケガク保護児制度により学園から支援を受け、バケガク寮でくらしている。バケガクのGクラス、Ⅴグループに所属する劣等生。
≪その他≫
・小説用イラスト掲示板にイラストがありますので、気が向いたらぜひみてください。
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書きをお読みください】 ( No.340 )
- 日時: 2022/09/14 20:13
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: jk2b1pV2)
32
ヘリアンダーは目を見開いた。海水が目に触れることも厭わずに瞼を持ち上げ、遠ざかっていく海面を見た。
(まだ戦える)
なにが彼を戦わせるのか。彼は優しすぎるのだ。それは愛ゆえであった。姉を、そして友を愛する心が彼の原動力であった。
救いたいという感情があまりにも大きい。花園日向もその感情は大きかったが彼には劣るし、なにより彼女と彼の救いたいという感情には明らかに違いがある。花園日向は確かに花園朝日を救いたいと思っていた。しかしそれはあくまで花園日向が花園日向という精神を維持するためだけに抱いていた感情だ。そう、自分のためなのだ。対してヘリアンダーはどうだろう。ヘリアンダーは自分の利益などは考えていない。彼はあまりにも純粋だ。
彼は姉と友、二人を愛していた。家族愛、そして友情。彼女が支配者のとしての宿命に苦しんでいると知ったときから、彼が支配者の元に逃げてきて助けを求めたときから、彼はなんとか二人を救いたいと思っていた。彼は無力な自分を呪ったりした。太陽神の力が通用するのはこの世界だけだ。彼が立ち向かおうとしているのはそれより大きな時空そのもの。彼は限りなくちっぽけな存在だ。
(まだ戦える!)
ヘリアンダーの魂に火が灯った。
スペードは腕を組み、頭を働かせた。ヘリアンダーの弱点が水であることを知っていたから、海の中に落とされたヘリアンダーが復活する可能性は低いと判断した。心も折れてしまったに違いないと思った。あながちそれは間違っていない。
「しかし、惜しい才能が消えてしまいましたね」
スペードはぼやく。スペードがヘリアンダーを必要としていたのは、ヘリアンダーが種と親しい間柄であるからだけではない。ヘリアンダーはスペードがいままで見てきた無数の存在たちの中でもいい意味で異質な存在だった。
支配者は人を狂わせる才能がある。だが彼は狂わなかった。支配者とあれほど近い関係を築いていながら心を壊さず病まず正常で居続けられるのは、彼の才能だ。そして諦めずに戦い続けられる彼の強い精神も評価していた。ヘリアンダーならば支配者を救うまで共に協力し合えると思っていた。それだけにスペードは彼に失望の念すら抱いた。
所有している力だけで言えば、スペードにとって、ヘリアンダーはちっぽけな存在だ。だとしても仲間がいるというだけでスペードの心にもゆとりができた。それが失われた彼は、どうするのだろうか。
どうもしない。
彼はこれまでと同じように孤独に戦い続けるだけだ。スペードは種に向き直り、戦いを再開しようとした。曇り空は太陽を失って暗転していた。
スペードの行動を止めさせるほどの出来事が起きた。大地が裂けるほどの地鳴りが起こった。スペードは宙に浮いていたため影響は少なかった。
種の攻撃か第三者の介入をスペードは考えた。が、この地鳴りを起こしている力の根源が海のほうにあることから力の主をいとも容易く推測する。
その推測は確信に変わった。海の中に巨大な火柱が立つ。爆発の煙すら炎に変わったような火柱。その大きさは彼らがいるこのバケガクの面積にも劣らないだろう。火柱は海を焦がした。
スペードは火柱の中に一人の青年を見た。頭頂部から毛先にかけて金から橙のグラデーションという珍しい髪色。彼が少し気にしているらしい童顔の中に埋め込まれている、炎の灯る橙色の瞳。白の衣服は彼が自ら生み出した炎に焼かれつつある。
不覚にもスペードは、このときヘリアンダーに見とれていた。スペードが見たヘリアンダーの魂はこれまで見てきた魂の中で見たことがないくらい純粋で無垢で、それでいて激しい炎を宿している。スペードは彼以上に美しい魂を持った存在を知らない。支配者の魂が持つ美しさは、ヘリアンダーのものとは少し違う。比較はできないのだ。
スペードは眩しそうに目を細めた。なにも火柱が放つ強烈な光に目をやられたのではない。スペードが眩しく感じたのはヘリアンダー自身だ。スペードはただのヒトであるヘリアンダーが誰かの為にここまで動けることを不思議に思った。
火柱が、海水が蒸発して剥き出しになった地面から消えた。燃え尽きたのか、いやそうではない。地面から離れただけで火柱は存在し続けた。円柱状だった火柱が、体積はそのままに形を球体へと変える。暗闇の中に光源が浮かぶ。
太陽はその存在を空から地上へ移した。太陽光は空間そのものを包み込み、世界の色を金に塗り替えるような勢いで大地を照らした。
ヘリアンダーはちっぽけな存在だ。支配者に種にスナタにスートたち、ヘリアンダー以上の存在は腐るほどいる。しかしそうだとしても、ヘリアンダーを核として誕生した太陽は彼がこの世界における二番目に地位の高い神であることを知らしめるには十分なほどの存在感を放っていた。それにはスペードの心も震えたし、種も自らにとって危険だとわかった。すかさずブツブツと言葉を並べる。
「άχχττηοςρητχάτςάρσσσρορηοηάχςοσς」
文字は具現化して空間を黒く染める。太陽の光も遮る濃密な黒。それを弾く白が横から割り込んだ。スペードが稲妻にも見える白い雨を降らせたのだ。黒い文字はボロボロになって剥がれていく。
ヘリアンダーの金、種の黒、スペードの白が衝突する。この場に下界人がいたならば、死体すら残せず消え失せることだろう。しかし神々の戦争を間近で視界に捉えることができたことによる幸福感で死の絶望を感じないかもしれない。
(これで、最後にしよう)
太陽の中心でヘリアンダーは目を閉じていた。深呼吸をして、熱い熱い空気を肺いっぱいに吸い込む。炎と同化し、自分すら太陽に溶け込んだのだと錯覚する。
ヘリアンダーは目を開き、縦に細くなった瞳孔を世界に主張する。文字に表し難い不思議な言葉を唱えた後に、彼は言った。
「戻ってこい、リュウ!」
「【キセキ・燦爛玲瓏】!!!」
世界は彼に魔法の使用を認めた。太陽からより強い光──火焰光が放たれた。火焔光は一見すると、種を中心とした半径一キロメートルほどの円状に大地を燃やしたように見えるが、その場にいた三人の神は種の魂に攻撃が集中していることを本能的に理解した。
「SnoSnoccoionSoSSncnnionooccinniSonoiincoon」
種の黒い文字は太陽を襲うために伸びていったが、太陽に到達する前にスペードの白い雨に打たれて消滅する。攻撃を遮るものがなくなったヘリアンダーのキセキは正確に種の魂、その弱点を捉え、そして見事に撃ち抜いた。
種は最後のあがきに一言だけ言葉を述べたが、それは白い闇に消えていった。
「Gartais tbii」
─────
リュウは困り果てていた。自分が一秒前なにをしていたのかさえ記憶が曖昧なのだ。頭を回転させてこの場所がバケガク内の西の海岸であることはすぐに理解できたが、今度はなぜここに自分がいるのかわからない。
「やっと、起きたのかよ……」
一番困惑したのはいま声を出した彼の存在。リュウは、彼がよく知り合った人物であることは理解していたがどうして彼が東蘭からヘリアンダーに戻っているのか、どうして傷だらけで服もボロボロなのかわからない。
「返事しろよ」
ヘリアンダーはリュウを睨んだ。リュウは数秒沈黙して慌てて言う。
「うん」
「本当に戻ったのか?」
見た目だけならリュウは元に戻っている。と言っても顔に被さっていた落書きが取れただけだが。人の言葉も話している。それでもヘリアンダーは信じられず、疑いの眼差しをリュウに向ける。リュウは彼に対してなにか疑われるようなことをした覚えはなかったので、さらに困惑した。
「戻ったのかって言われても、自分がいままでどうしたのか記憶がないからなんとも言えないな」
ヘリアンダーは盛大にため息をついた。リュウはなんとなく申し訳ない気がして、小さくなった。
「なんともないのか? 体に異変とか」
リュウは自信を持って首を横に振ることができた。
「そういうのはなにもない。ただ本当に記憶がないだけだ」
ヘリアンダーはそこで初めて笑った。やっとリュウが戻ってきたと感じることができたのだ。
「そうか」
安心故か疲労故か、ヘリアンダーは地面に倒れた。ガンッと強い音がして、ヘリアンダーは地面に後頭部を思い切りぶつけた。
「おい、蘭?!」
リュウはヘリアンダーの元に駆け寄った。
彼は東蘭ではなくヘリアンダーであるが、リュウは蘭という呼び名の方が呼び慣れている。とっさに飛び出てきたのは、ヘリアンダーが人間であったときの名前だった。
「疲れた、寝る」
「はぁ?」
呆れたように言うリュウの声にヘリアンダーは苛立たないわけでもなかったが、同時に安堵する自分もいるのを自覚した。苦笑混じりに微笑んでリュウに告げる。
「日向を救えるのはお前しかいない。あいつにはお前が必要なんだ。
あとは、頼んだ」
ヘリアンダーの体が黒くなった。目を丸くするリュウを見て言葉を続ける。
「しばらくは眠りにつくよ。数世紀くらい眠ってたって世界に支障はない。消えるわけじゃないから、太陽は変わらず空にあるままだしな」
曇り空の隙間から太陽の光が差し込んだ。だが、そんなことはリュウにとってはどうでもよかった。ヘリアンダーの体が地面に沈みかけている。そちらのほうがよほど重大だった。
「蘭、蘭!」
「寝るだけだって。また会えるよ」
ヘリアンダーは目を閉じた。
『お や す み な さ い』
スペードはヘリアンダーが眠りにつくことを知っていた。あれほど力を使ったのだからいくら神であっても休息が必要だ。最後に残された時間を使ってリュウに言いたいことがあることもスペードはわかっていたから、二人の会話を邪魔することはせずにただ見守っていた。そして、ヘリアンダーの体が地面に消えていったのを見て、放心するリュウに話しかけた。
「はじめまして」
支配者は自らの宿命と種としてのリュウの宿命をリュウに知られることを避けていた。だからあえてスペードもリュウの前に出ていったことがなかったのだ。二人は初対面だ。スペードが話しかけるとリュウはびっくりして肩がビクッと跳ねた。
「ワタシはスペード。ヒメサマの、あー……」
スペードは少し考えた、話すと長くなる。いまさら隠すことでもないし、これからのことに必要な情報は全て包み隠さず伝えるつもりだ。だがいまはリュウ自身も困惑していることだし、今は伝えるべきじゃないそう判断し言おうとしていた言葉の内容を変えた。
「ヘリアンダーはあなたのために、そして、花園日向のために戦ってくださいました」
スペードは支配者を花園日向と呼ぶことに抵抗があった。しかし彼女を支配者と呼んでもリュウにはいまいち伝わりづらい。花園日向のためにという言葉にリュウは反応した。
「日向になにかあったんですか?!」
リュウはなんとなくスペードに敬語を使わないといけないという念に駆られて思わず敬語を使った。それに違和感を覚えることは一切なかった。
興味を持っていることだし、支配者のことならばいくら記憶が混同しているとはいえ理解してくれるだろう、スペードはそう考えて支配者に起こったことをリュウに全て話した。宿命の話はスペード自身もややこしいと思っていたので省いて、支配者が種を探し求めていたことや、どういう理由であのように無感情になったのか、そして、リュウのよく知る花園日向の存在は記憶を失ったためにもういないこと、支配者はリュウとしての種の記憶をなくしていること。
リュウは驚愕し、悲しみにくれた。なにも言わないまま彼は海の向こうを見た。なにがあるわけでもない。スペードは彼がなにを見ているのかぼんやりとわかった。
「それでも」
リュウは呟く。
「おれは貴女を、愛してる」
33 >>341
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【※注意書きをお読みください】 ( No.341 )
- 日時: 2022/09/01 18:55
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: I3friE4Z)
33
ぐしゃっ
生々しい音がボクの耳に飛び込んできた。なにが起こったのかすぐには理解できなかった。だけど、視界が真っ赤に染まった直後に真っ黒になったことから、そしてさっきの音からボクの両目が潰されたことを理解した。そしてボクの両目を潰したのが誰なのかもすぐに分かる。残虐な行為の主の声がした。
「こうするしかないんです。すみません」
スペードはボクに謝った。謝るくらいならこんなことしなければいいのに。そう思ったりもするが、影に与えられた力によってスペードの思考はわかるので、責めたりはしない。
「あなたを救うことはできなかった」
スペードが悔しそうにボクに言った。ボクに向けられた言葉ではなく、単にスペードがこの言葉を口にしたときにたまたまボクが目の前にいたというだけだけど。
「せめてあなたを物語から解放します。神々の監視からあなたを解き放ちました。これであなたはこれまでよりは自由になるでしょう」
神々はボクの目を通して情報を得る。すなわちボクが見ているもののほとんどすべてを神が知っているということであり、それは監視に近いものだ。罪滅ぼしのつもりだろうか。目ぐらい潰そうと思えば自分で潰せるから贖罪にはならないと思う。でも、スペードの意思は尊重しよう。この贈り物を有り難く受け取ろう。それが神として求められる対応というものだ。目などなくとも【万里眼】で未来現在過去の全てを見ることができる。
それにしても、両目を失ったということは、ボクの視点で進んでいた物語はもうこれ以上描けないということだ。いくらなんでも、視覚情報がない物語は面白みに欠けるからね。
ちょうどよかった。花園朝日も死んだことだし。
Asahi's storyは、これにて完結だ。
この馬鹿馬鹿しい世界にも……【完】
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【完結】 ( No.342 )
- 日時: 2023/06/23 07:44
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 2kdnCy6W)
∞
やあ。神々諸君。今回の物語はいかがだったかな? 諸君が楽しめようが楽しめまいがワタシはさほど興味は無いのだが。諸君の意見をワタシが知ることも出来ないしね。それが出来るのは神たる創造主だけだ。ワタシが諸君の前に姿を現したのは、今回創造主が記録した物語の感想が聞きたいからではない。なに、大したことではないんだ。ただ、可愛い我が子の物語を最後まで読んでくれた諸君に、挨拶でもしようと思ったのさ。
自己紹介をしておこうか。
ワタシは守護者。神のうちの一つであり、この時空の創造者であり、かつての支配者だ。後は諸君の想像にお任せするよ。ワタシにはたくさん語れるほどの自己というものがない。ワタシもまた人形のようなものだからね。
さて、あの子にも困ったものだ。自らの役割に疑問を持つなんてワタシでも予想できなかったことだ。かつての支配者だって自らの役割に、自らに疑問を持つことなどしなかった。考えてみれば不思議なことは確かにある。どうして種子は独を探すのか、どうして独は一つの世界にしか出現しないのか、どうして独は出現するのか。挙げてみればきりがないということに、あの子を見守る過程でワタシも気づいた。それは認めよう。
馬鹿馬鹿しい。
それらは疑う必要のないことだ。これらは不思議に思う必要のないことだ。世界設定はどうしようと覆らない。創造主が定めた決定事項。受け入れることしかできないし、疑うなど無駄で無意味で愚かしい行為だ。あの子は馬鹿だよ。だからこそ、可愛いのだけれどね。
バグを抱えたあの子のもとに独はやってきた。支配者に選ばれたのはあの子だ。ワタシはあの子を最後まで見守ろう。あの子が失敗を犯す度、ワタシは何度でも修正しよう。それが守護者の役割なのだから。
ところで、ナイトは何を考えているのだろうか。本来、支配者の修正はナイトの役目だ。ワタシは支配者の暴走がナイトの手に負えなくなったときに、最後に出てくる役割を担っている。あくまでワタシは最後の手段であり、ナイトはワタシが出てくる前に最善を尽くす必要がある。なのに奴はむしろ支配者のバグを増大させようとしている不届き者だ。しかしその反面、奴はある意味ナイトとしての役割をこなしているとも言える。支配者に尽くすこと、支配者の願いを叶えることこそが眷属である奴の一番の役割だ。
奴はどうとでもなる。支配者を修正したから奴の思考も元あるべき正しい形へと戻ることだろう。歪んだ歯車はそのままに。壊れている状態こそ、この世界の正しい姿なのだ。
察しがついている神もいるかもしれない。この物語はまだ終わっていない。『この馬鹿馬鹿しい世界にも……』という作品はひとまずは完結している。しかし物語はまだ続いている。この作品の舞台となったBの時代、その過去があり、未来がある。過去とはそこに存在する物語の総称であり現在とはそれまでに存在した過去の総称であり未来とはいずれの過去である。つまり現在だけではなく過去にも未来にも物語がある。そしてそれらは個々は一つの点であり、形作るものは面ではなく線だ。物語たちは一本の線を生み出し続けている、いや、定まった線をなぞり続けている。きっと主はまだ書き記すはずだ。これまでに存在した、そしてこれから存在するであろう物語たちの代表として、主自ら選んだ現・支配者のstoryが終わるまで。
ワタシの長話に付き合ってくれてありがとう。そろそろ時間だ。
さよなら、神よ。
また、会おう。
Master's Message【 】
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【完結】 ( No.343 )
- 日時: 2022/09/27 18:57
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: 4rycECWu)
この馬鹿馬鹿しい世界にも……
第一章 >>01-83
~Hinata's story~
第一幕 >>01-23
0,1 >>01 2 >>02
3 >>03 4 >>04
5 >>07 6 >>11
7 >>12 8 >>13
9 >>14 10 >>15
11 >>18 12 >>19
13 >>20 14 >>21
15 >>22 16 >>23
この世界には、魔法が存在する。火、水、風、土。四大魔力に加え、光、闇の稀少属性、その他数多の魔法が存在する。
国際立サルヴァツィオーネ学園に在籍する女子生徒、花園 日向。彼女はいつも、無表情。何に対しても興味を示さず、何に対しても無気力。そんな彼女の心を唯一動かすのは、三人の仲間。
「彼らを傷つけることは許さない」
強すぎる彼女の心は、はたして、愛か、毒か。
第二幕 >>24-61
1 >>24 2 >>25
3 >>26 4 >>27
5 >>28 6 >>29
7 >>30 8 >>31
9 >>32 10 >>33
11 >>34 12 >>42
13 >>43 14 >>44
15 >>45 16 >>46
17 >>47 18 >>48
19 >>49 20 >>52
21 >>53 22 >>54
23 >>55 24 >>56
25 >>57 26 >>58
27 >>59 28 >>60
29 >>61
バケガクの恒例行事である、≪サバイバル≫。今回の目的地は、北の海の沖にある、[ジェリーダンジョン]。『魔物を寄せ付ける』異常体質を持つ女子生徒、真白も参加し、日向たちはダンジョン攻略を目指す。
ダンジョンの中で明かされる、日向の罪。それは悪か、それとも正義か。
第三幕 >>62-83
1 >>62 2 >>63
3 >>64 4 >>65
5 >>66 6 >>67
7 >>68 8 >>69
9 >>70 10 >>71
11 >>72 12 >>73
13 >>74 14 >>75
15 >>76 16 >>77
17 >>78 18 >>79
19 >>80 20 >>81
21 >>82 22 >>83
順調にダンジョン攻略を進める日向たちの前に、『ジョーカー』と名乗る謎の男が現れた。どうやらジョーカーは、日向たちの秘密を知っているらしい。
ついに明らかになるダンジョンボス! さて、その正体は?!
謎が深まり謎が増える、第一章完結の第三幕! お楽しみくださいませ。
第二章 >>84-154
~Ryu's story~
第一幕 >>84-101
0,1 >>84 2 >>85
3 >>86 4 >>87
5 >>88 6 >>89
7 >>90 8 >>91
9 >>92 10 >>93
11 >>94 12 >>95
13 >>96 14 >>97
15 >>98 16 >>99
17 >>100 18 >>101
名家カツェランフォートの当主の孫として生まれた、笹木野 龍馬。彼は吸血鬼とは思えないほど温かな家庭で、穏やかな生活を送っている、ように思われる。
しかし、その内面に秘められた、闇の部分。彼は彼なりの、葛藤を抱えていた。
第二章は、リュウ目線で進行いたします! 別の視点から展開されるstoryを、みなさま、どうぞ、ごゆるりとご堪能ください。
第二幕 >>102-120
1 >>102 2 >>103
3 >>104 4 >>105
5 >>106 6 >>107
7 >>108 8 >>109
9 >>110 10 >>111
11 >>112 12 >>113
13 >>114 14 >>115
15 >>116 16 >>117
17 >>118 18 >>119
19 >>120
_日向。おれは、日向を愛してる。
友情でも恋愛感情でもない、大きな愛を日向に向けるリュウ。
「意思疎通なんてありえない。伝えることでしか、おれの思いは伝わらない」
リュウが日向に抱く想いとは?
第三幕 >>121-154
1 >>121 2 >>122
3 >>123 4 >>124
5 >>125 6 >>126
7 >>127 8 >>128
9 >>129 10 >>130
11 >>131 12 >>132
13 >>133 14 >>134
15 >>135 16 >>136
17 >>137 18 >>138
19 >>139 20 >>140
21 >>141 22 >>142
23 >>143 24 >>144
25 >>145 26 >>146
27 >>147 28 >>148
29 >>149 30 >>150
31 >>151 32 >>152
33 >>153 34 >>154
日向の弟・花園 朝日がついに登場! とうとう物語が動き出す?!
そして今回はなんと、回想編も。日向とリュウが出会った頃のお話です。
第二章、完結!!
第三章 >>155-227
~Mashiro's story~
第一幕 >>155-178
0,1 >>155 2 >>156
3 >>157 4 >>158
5 >>159 6 >>160
7 >>161 8 >>162
9 >>163 10 >>164
11 >>165 12 >>166
13 >>167 14 >>168
15 >>169 16 >>170
17 >>171 18 >>172
19 >>173 20 >>174
21 >>175 22 >>176
23 >>177 24 >>178
貧乏でありながらも幸せに暮らす真白の元に、怪しげな訪問者が。その人物とは一体?
そしてこの出来事が真白の生活を、真白の人生を、壊すきっかけになったのだった。
第二幕 >>179-202
1 >>179 2 >>180
3 >>181 4 >>182
5 >>183 6 >>184
7 >>185 8 >>186
9 >>187 10 >>188
11 >>189 12 >>190
13 >>191 14 >>192
15 >>193 16 >>194
17 >>195 18 >>196
19 >>197 20 >>198
21 >>199 22 >>200
23 >>201 24 >>202
朝日と出会った真白は、その無垢な笑顔に徐々に惹かれていく。その笑顔の裏にひそむ『何か』に気付かぬまま……。彼から受けとったペンダントが導く未来とは?
第三幕 >>203-227
1 >>203 2 >>204
3 >>205 4 >>206
5 >>207 6 >>208
7 >>209 8 >>210
9 >>211 10 >>212
11 >>213 12 >>214
13 >>215 14 >>216
15 >>217 16 >>218
17 >>219 18 >>220
19 >>221 20 >>222
21 >>223 22 >>224
23 >>225 24 >>226
25 >>227
悪魔の力に魅了され、堕ちてしまった真白。
これは、一人の哀れな少女の物語。幕を閉じてしまった、少女の結末を描いたstory。
第四章 >>228-341
〜Asahi's story〜
第一幕 >>228-262
0,1 >>228 2 >>229
3 >>230 4 >>231
5 >>232 6 >>233
7 >>234 8 >>235
9 >>236 10 >>237
11 >>238 12 >>239
13 >>240 14 >>241
15 >>242 16 >>243
17 >>244 18 >>245
19 >>246 20 >>247
21 >>248 22 >>249
23 >>250 24 >>251
25 >>252 26 >>253
27 >>254 28 >>255
29 >>256 30 >>257
31 >>258 32 >>259
33 >>260 34 >>261
35 >>262
ボロボロになったバケガク校舎を修復するために家を出た日向を、朝日は追いかける。その先で彼は、日向を取り巻く謎に触れることになる。
最終章。物語はとうとう終盤へ……。
第二幕 >>263-308
1 >>263 2 >>266
3 >>269 4 >>274
5 >>275 6 >>278
7 >>279 8 >>280
9 >>281 10 >>282
11 >>285 12 >>286
13 >>287 14 >>288
15 >>289 16 >>290
17 >>291 18 >>292
19 >>293 20 >>294
21 >>295 22 >>296
23 >>297 24 >>298
25 >>299 26 >>300
27 >>301 28 >>302
29 >>303 30 >>304
31 >>305 32 >>306
33 >>307 34 >>308
「それじゃあ、種を明かそうか」
ジョーカーから与えられた最後の任務を果たすために、カツェランフォートの屋敷に侵入した朝日。そこで出会った彼は、何故か別人になっていた。
神、そして世界を知った朝日の運命は。パーツはそろった。生まれた歪はそのままに、世界は終わりへと動き出す。
第三幕 >>309-341
1 >>309 2 >>310
3 >>311 4 >>312
5 >>313 6 >>314
7 >>315 8 >>316
9 >>317 10 >>318
11 >>319 12 >>320
13 >>321 14 >>322
15 >>323 16 >>324
17 >>325 18 >>326
19 >>327 20 >>328
21 >>329 22 >>330
23 >>331 24 >>332
25 >>333 26 >>334
27 >>335 28 >>336
29 >>337 30 >>338
31 >>339 32 >>340
33 >>341
「この馬鹿馬鹿しい世界にも、救いがあると思っていた」
Master's Message >>342
- Re: この馬鹿馬鹿しい世界にも……【完結】 ( No.344 )
- 日時: 2022/12/18 15:50
- 名前: ぶたの丸焼き ◆ytYskFWcig (ID: CFpxvhHi)
《花園 日向》
○性別
女
○年齢
三十五歳
○外見
父の金髪と母の青眼を受け継いだ、天使によく似た容姿(しかし左目が白眼のオッドアイ)。金髪は肩までの長さで緩いウェーブ、目はややつり目、色白で細身で人間離れした美貌を持つ。着飾ることに興味が無く休日でもバケガクの制服を着ている。いつも無表情で、その虚ろな瞳からは何を考えているのかは分からない。
○種族
天陽族
○力
この世に存在するありとあらゆる魔法を使える(一部条件付き)。生まれながらに白と黒の壁を超えている唯一の『人間』。主に黒魔法を使う。
○家族構成
七草(祖父) あめ(祖母) 悠陽(父) 綾(母) 日向 朝日(弟)
○交友関係
リュウ、蘭、スナタの三人とよく一緒にいる。むしろこの三人以外に友人らしい人物はいない。本人曰く友人ではないらしい。
真白という生徒とは付き合い自体は長く(仲良くはない)、学校行事でたまに共に行動している。
○生い立ち
大陸ファーストの権力者『六大家』の一つ、『花園家』の長女として誕生。白眼のせいで生まれたその瞬間から疎まれながら生きてきた。しかしそのせいで精神がおかしくなることは無かった……と言うよりも元々おかしかった。
幼少期から虐待を受けていて、避難も兼ねて一時的にバケガクで寮生活をしていたことがある。時間が経ち両親が実家から引っ越した時に日向も両親の元に戻り、朝日を含めた四人で暮らし始めた。
虐待の恨みから、『白眼の親殺し』の事件を引き起こしたと言われている。
○概要
聖サルヴァツィオーネ学園に通う、ⅤグループCクラスの劣等生。
基本的には無感情で何に対しても無関心な少女。しかしリュウ、蘭、スナタの三人に何か危害を加えられることがあれば露骨に感情を出す。罪という概念を理解出来ず、人殺しにすら何の抵抗も抱かない。ただ、罪を犯すことが悪いこととはわかっている。そんな矛盾を抱えている。
『やる気』という言葉を知らないのかと疑いを待つほどの極度の面倒臭がり。面倒臭いという理由で誕生時、産声をあげなかったとかなんとか?
○作者からのコメント
オッドアイ、無表情、無感情。かわいい、そして愛おしい。第一章の主人公でありこの作品の主人公でもあるので物語の色々なところに関わっている。本編出ててないだけで『え、ここにも日向関わってるの?』というところもある。いつか番外編を出します。
とにかく日向を取り巻く『愛』が素晴らしい。
かわいい。
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