死にたがりの私
作者/桜

―3章― 5
「亜美!穂乃実死ぬよ!?やめなよ!」
他の子達がリーダーの子を私から離す。
「ゲホッ、ゲホッ」
私は首をおさえて咳き込む。
死ぬのは、こんなにも苦しいんだ。
でも、それが死というモノだから。
皆、止めなくても良かったのに。
私は死んでも良かったのに。
むしろ、死を望んでいたのに。
「何故止めるの!コイツはアタシを侮辱したのよ!」
リーダーの子の名前は、亜美というらしい。
これからは、亜美と呼ぼうと思う。
亜美は私の首に手を伸ばして暴れる。
でも、その手は私の首には届かない。
「亜美が穂乃実を殺したら犯罪だよ!亜美、冷静になってよ!」
他の子達が必死に亜美を押さえる。
少しの沈黙。
「……止めてくれて有難う」
亜美は冷静になったようだ。
そして私は、亜美にむかってこう言った。
別に、挑発している訳ではなくて。
私の本心から。
『何故殺してくれなかったの?』

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