死にたがりの私
作者/桜

―6章― 1
私は、いつもの様に偽りの笑みを浮かべて友達と話していた。
楽しくもないのに。
友達が次に言ってほしい事はなんだろう?と考えながら、言葉を紡ぐ。
何も変わらない。
ガタッ
蓮華が席を立つ音。
誰も反応しない。
もう、蓮華は慣れたかな?
あれから2週間は経ってるもんね。
慣れる慣れないの問題じゃないか。
まぁ、慣れた方が楽だけどね。
慣れるのが難しいけど。
自分が悪いんだと思い込んで、諦めれば楽になるのかな?
……自分が悪いんだと思い込んでくれれば、私も楽だけど。
私は目の前にいる友達にばれない様に、蓮華を目で追った。
蓮華は、教室を出ず、黒板の前の方で足を止め、私達の方を向いた。
微かにだけど、蓮華の顔が歪んでいる気がする。
苦しみに耐えている顔。
蓮華は、教室の床に座り込み、土下座をした。
何回も頭を上げ下げしながら、私達に向かって叫ぶ。
まるで、昔の私の様に。
「ごめんなさい!ごめんなさい!許して、何でもするから!」
助けを求める?
許しを請う?
――――――――――――――――何も変わらないのに?
誰も、蓮華の方を見ない。
何もなかったかの様に、友達は話を続ける。
そう、何もないんだ。
皆は、蓮華という存在を消したのだから。
蓮華が『ごめんなさい』『許して』と繰り返す。
皆には、聞こえていないんだ。
蓮華に、1つだけ教えておきたいな。
『奇跡』なんて、起きないよって。

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