死にたがりの私

作者/桜

―6章― 7


今日は授業に集中できた。

何故?

それは蓮華がいじめられているから。

いじめ=ストレス解消

ある意味、先生とかにとっては良いことかもね。

蓮華はどうか知らないけど。



「ねぇ、穂乃実」

小声で言いながら、後ろの子が私の肩を叩いてきた。

「これ」

振りかえれないので、腕だけその子に向ける。

渡されたのは、2つ折りにされた小さな紙。

大体予想はつく。

きっと、蓮華の悪口でも書いあるんでしょ。

紙を開き、中を見る。

予想通り。幼稚な悪口が並んでいる。

『馬鹿らしい』

それが私の今の考え。

こんな紙に悪口を書いてどうするの?

蓮華が見るわけじゃあるまいし。

意味ないじゃん。

そんな事を思ったりしたけれど、私は紙に簡単な悪口を書いて前に回した。

前の子は、笑っていた。

……何が楽しい?






昼食を食べて、昼休み。

蓮華に近寄る人はいない。

そこは前と変わらない。

前と変わったことは1つだけ。

蓮華が存在している。

当たり前の事だけれど、当たり前じゃない。

矛盾しているけどね。

クラスメイトにとっては当たり前だったけれど、私にとっては当たり前じゃなかった。

今更、どうでもいいことか。



クラスメイトの1人が私に近寄ってきた。

「ねぇ、今日の蓮華さー」

あぁ、またその話。

「―――――変じゃない?」

いや、昨日と変わらないけど。

「てかさ、死んでほしいよね、あれ」

アンタが殺せばいいじゃん。

『うん、そうだね』

私はクラスメイトに話を合わせておいた。

だって、心の中は誰にも見えないもんね?

だから、皆、内心どう思ってるか分からないよ?

表面上は友達なのに『あの人嫌い』とか思っていたり。

好きでもないのに、むしろ嫌いなのに友達ごっこをしていたり。

……誰の事か分かるよね?








春菜の事だよ。