死にたがりの私
作者/桜

―3章― 6
時が止まったようだった。
浴室を静寂が包む。
その静寂を壊したのは、亜美だった。
「……は?」
意味が分からない、と思ってるの?
そのままの意味。
『何故、私を殺してくれなかったのか』
難しく考える必要はない。
「何故殺してくれなかったの?首までしめたのに……」
私はゆっくり、亜美に近づく。
私の顔には、笑みが。
何故?
亜美より、上に立っているから?
亜美に、勝っているから?
それか、哀しいから?
もうすぐ自分が死んでしまうのが、哀しいから?
でも、私は死を望んでいる。
矛盾。
何故笑っている?
どうでもいい。
私は、壊れた。
いや、もっと前から壊れていた。
死を望んだ時から、私の何かが消えた。
だから私は……、
――――――――――――自分自身が分からないんだ。
アハハハハハハハッ……。
頭の中で笑い狂う。
何がどうなっている?
私は何を望んでいる?
死ぬ?生きる?
私は、死ぬ事を望んでいる。
華麗に死ぬ事を。

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