死にたがりの私
作者/桜

―5章― 3
私は、いつもより少し早く目を覚ました。
制服に着替え、鞄を開ける。
中には、昨日と同じ場所に封筒があった。
宛名もない、無地の封筒が。
私は、いつもより早く家を出た。
学校には、人はあまりいなかった。
それを狙ったのだから、当たり前。
私は、辺りを見回し、誰も見ていない事を確認してから教員用の靴箱へ向かった。
靴箱が沢山並ぶ中から担任の靴箱を見つけ、震える手で封筒を入れた。
誰も見ていませんように。
そう、願いながら。
私は入れ終わると、急いで靴箱から離れた。
卑怯な手口だけれど、これで春菜が救われたら万々歳?
でも、勇気を持ってこっそりではなく堂々とした方が良かったかな?
けれど、ばれたら怖い。
前の様にまた苦しめられたら?
いじめられたら、私はどうすればいいの?
――――――――――――――――――――――――――――――死ねばいい。
そんな声が聞こえた気がした。
『死』は、私への希望の光。
いつでも解放されるんだよ、というメッセージ。
だから、私は生きられる。
人生に逃げ道があるから。
私は、そんな事を考えながら教室へ入った。
教室には、数人のクラスメイトがいた。
私は、いつものように明るく挨拶をした。
逃げ道があると思うと、少し恐怖がなくなった。

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