死にたがりの私
作者/桜

―5章― 2
私は、『ごめんなさい』『ごめんなさい』と何回も頭の中で繰り返しながらボールを春菜に当てる。
謝れば、許されるような気がして。
そんな事あるわけないのに。
ただ、許してほしくて。
人に憎まれるのが怖くて。
独りになるのが怖くて。
だから春菜をいじめる。
これは春菜をいじめる理由になってるかな?
自分を守るために春菜を犠牲にしているだけじゃないのかな?
そして、その春菜に本物かどうか分からない罪悪感を持ちながら。
私は、何故春菜をいじめるの?
もしかしたら、助けられるかもしれないのに。
そんな事は無理だと最初から思い込んで。
助けを求めたら、誰かが助けてくれる。
そんな甘い希望を持てなくて。
人を、信じられなくて。
誰も私の事なんか分からないと決めつけて。
でも、少しだけ賭けてみようかな?
少しだけ、助けを求めてみようかな?
甘い期待を抱いてみようかな?
――――――――――――――――――神様は、そんな私を許してくれますか?
私は、家へ帰り、自分の部屋に閉じこもった。
そして、自分専用のパソコンで手紙を作った。
助けを求める手紙。
担任に向けての手紙。
先生とかは信じられないけれど、もしかしたら。
もしかしたら、助けてくれるかもって。
春菜を。
そして私を。
私はパソコンの文をコピーし、封筒に入れた。
手書きで書かなかったのは、筆跡でばれてしまうかもと思ったから。
もしばれたら、自分がいじめられそうだから。
やっぱり、自分が大切。
ごめんなさい、春菜。
今まで苦しめて。
でも、もしかしたら助けてくれるかもしれない。
私は、忘れないように手紙を鞄に入れた。
私はパソコンを閉じている時、ふと思った。
これは、他人から見たら、ただのお節介?
私は、良い子ぶっている偽善者?
春菜は、これを望んでいる?
私は、その考えを頭から追い払い、ベッドに横になった。
これで何かが変わるかな?

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