死にたがりの私
作者/桜

―4章― 8
数日後、私は転校した。
いじめのない、平和な学校だと願って。
新しい学校に着いた。
校長らしき人が門から出てきて、私を校長室へ連れて行く。
少し話をし、私の新しい担任と一緒に新しい教室へ向かう。
担任と一緒に教室の中へ入る。
新しいクラスメイト達の視線が私へ集まる。
私は人の視線が怖い。
皆は私の事をどう思っているのだろう?
皆から見た私はどうなのだろう?
悪い方へ悪い方へ考えて行き、自分を苦しめる。
自分で自分を苦しめるなんて、馬鹿な私。
けれど、もうそんな私は捨てる。
私は新しくなるんだ。
今までとは違う、誰からでも好かれるような私になるんだ。
面白くもない事で笑い、哀しくもない事で泣く。
皆と合わせておけばいいんだ。
「さぁ、自己紹介をして」
担任が私に微笑む。
「転校してきた九重穂乃実です。これからよろしくお願いします」
普通の言葉を言い、頭を下げる。
少しも変じゃない。
いじめの標的にはされない。
私は微笑みを浮かべる。
少しでも皆からの評価が上がるように。
少しでもいじめの対象から抜けれるように。
クラスメイトからの簡単な質問を終え、教えられた席に着く。
隣は黒髪を後ろに上の方で1つに結んだ子。
親しげな微笑みを浮かべ、私に自己紹介をする。
「藤川 蓮華(ふじかわ れんげ)です!穂乃実ちゃん、よろしくね♪」
「はい、よろしくお願いします」
私も微笑む。
これなら大丈夫。
友達を1人でも作れば大丈夫。
1人でも仲間がいれば。
私は、楽しくもないのに笑った。
そして、蓮華が何を言って欲しいか考えながら、慎重に話した。
嫌われない様に、慎重に、慎重に。
本当の自分を殺しながら。

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