死にたがりの私
作者/桜

―6章― 13
「……助けて、穂乃実」
蓮華の、小さな声。
教室が一気に静かになる。
「……穂乃実?」
心が訝しげに私を見る。
心に続いて、次々とクラスメイト達の視線が私へ向けられる。
「……あははっ、私が助ける訳がないでしょう?アンタは1人がお似合いだしね!」
『助ける訳がない。アンタは1人が似合ってるよ』
蓮華と春菜。
春菜が私から目を逸らした。
私は、何度も蓮華の悪口を言う。
蓮華を傷つける。
『偽善者ぶらないで』
あの言葉は何だったの?
『ごめんなさい!ごめんなさい!許して、何でもするから!』
本当は助けて欲しかったの?
『アンタに生きている価値はない』
『アンタに仲間なんていない』
『この世から消えてよ。見てると気分悪くなるから』
『アンタが死んで哀しむ人なんていないよ?』
『死ね死ね!早くこの世から消え失せろ!』
『目ざわりなんだよ。早く死ねよ!』
『馬鹿らしい』
こんなの、どうでもいい。
悪口なんて、どうでもいい。
自分が標的にならなければいい。
『死にたいんなら、死ねばいい』
私は、何を思って言ったの?

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