死にたがりの私
作者/桜

―4章― 3
それから数週間後。
私は退院し、学校へ行く事になった。
門が見えてくると、皆の声が聞こえてくる。
私の事を話している。
『あの子だよね?飛び降りた子』
『いじめで飛び降りたりするんだね』
『あの子が』『あの子が』『あの子が』
私は座り込み、耳をふさいだ。
皆の視線が、もっと私へ集まる。
『飛び降り』『あの子が』『いじめ』
やめて、やめて、やめて……。
私の事を話さないで。
私は教室へ走った。
皆の話声から逃れるように。
教室のドアを開けた。
笑い声が聞こえる。
悪口が聞こえる。
蹴る音が聞こえる。
皆が笑っていた。
亜美を取り囲んで。
「穂乃実、おはよぉ♪」
亜美を蹴っていたクラスメイトが、私に微笑む。
この人は亜美の親友じゃなかったっけ?
「……何これ」
私は小さく呟いた。
「生贄交代♪今まで威張っていて、ウザかったんだよねぇ」
「穂乃実も一緒にやろうよ」
「スッとするよ♪」
亜美へ視線を向ける。
私の視線でビクッとする亜美。
前の私の様に、惨め。

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